日本核物質管理学会Institute of Nuclear Materials Management (INMM) Japan Chapter

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INMM米国年次大会論文集(1992年)

メンター部会の活動の一環としてINMM米国年次大会におけるProceedingタイトルリスト(日本語訳付き)の1992年分を作成しました。

タイトル、著者のほかに、タイトルだけではよくわからない専門用語や略号を日本語で補足した備考欄(訳注、補足・コメントなど)を付加しましたので有効活用いただければ幸いです。

 

Sub-volume number Title/タイトル Authors 備考
(訳注、補足・コメントなど)
A Balanced Assessment of an Actinide Burning System for Radioactive Waste Toxicity Reduction William R. Hollaway
放射性廃棄物毒性低減のためのアクチニド燃焼システムの総合評価
— 核変換効果と炉心設計・安全性・燃料サイクル負荷のバランス分析
(*)長寿命アクチニド(Np, Am, Cm など)を高速炉または加速器駆動システムで燃焼させ、放射性廃棄物の長期毒性を低減する概念を評価した。核変換による毒性低減効果と、炉心設計・安全性・燃料サイクル負荷・経済性などの負の側面(trade‑offs)を比較し、バランスの取れた評価を提示。結論として、アクチニド燃焼は一定の毒性低減効果を持つが、技術的複雑性・燃料製造の困難性・安全性課題が大きく、実用化には慎重な検討が必要とした。(LLNL)
A Comparison of Algorithms for Anomaly Detection in Safeguards and Computer Security Systems Using Neural Networks J. A. Howell, R. Whiteson
ニューラルネットワークを用いた保障措置およびコンピュータセキュリティにおける異常検知アルゴリズムの比較
― 大量データ中の異常パターン自動抽出に向けたネットワーク構造・学習手法の評価
(*)核物質管理(safeguards)およびコンピュータセキュリティにおける異常検知は、大量データの解析を要するため、従来は手作業で時間と労力を要する作業であった。ニューラルネットワークは柔軟なパターン認識能力を持ち、通常状態の挙動をモデル化することで異常を自動的に検出できる可能性を示す。本研究では、異常検知に適用するためのニューラルネットワークの構造・情報流・学習方法などの設計上の論点を比較し、複数アルゴリズムの有効性を検討している。(LANL)
A Computerized System for the Isotopic Analysis of Plutonium and Uranium David T. Baran
プルトニウムおよびウランの同位体組成を解析するための計測・データ処理の統合システム
― 質量分析・γ線スペクトルの自動取得と同位体比算出の高速化
(*)Pu の同位体組成および U の濃縮度を迅速かつ高精度に測定することは、保障措置・核物質管理における基礎的要件であり、測定の自動化が求められている。本研究は、質量分析または γ 線スペクトル測定から得られるデータをコンピュータで自動処理し、ピーク識別・補正・同位体比算出を一体化したシステムの構築を目的とする。システム化により、手作業による解析のばらつきを減らし、核物質の受入・出荷・在庫確認における同位体分析の迅速化と再現性向上を図る。(LANL)
A Host Computer System for Distributed, Unattended Plutonium Safeguards Markku Koskelo, M. Swinhoe, B. G. R. Smith, M. Franklin, P. A. Zukosky
分散型・無人運転プルトニウム保障措置のためのホストコンピュータ統合監視システム
― 中性子・γ線計測およびC/S機器の自動収集・認証・保存
(*)保障措置の高度化に伴い、プルトニウム貯蔵・取扱施設では、複数の計測装置を無人で長期間運転し、データを中央で統合管理する仕組みが必要になっている。本研究は、分散配置された中性子計測器・γ線監視装置・C/S(封じ込め・監視)機器を、ホストコンピュータが自動的に収集・認証・保存するシステムを構築するものである。システム化により、人手による巡回点検の頻度を減らし、データの連続性・信頼性・改ざん防止性を向上させることを目的とする。(LANL)
A Methodology for Evaluating Information Protection Effectiveness John D. Veatch, Phillip H. Bosma, Benjamin A. Huggin, David W. Garner
情報保護の有効性を評価するための体系的手法
― 文書管理・アクセス制御・通信保護を対象とした脅威・脆弱性・対策の対応評価
(*)機密情報・センシティブ情報の保護は、文書管理、アクセス制御、通信保護、情報システム管理など複数のプログラムの組み合わせで実施されるが、それらの有効性を体系的に評価する手法が不足している。本研究は、情報保護プログラムを構成要素ごとに分解し、脅威・脆弱性・対策の対応関係を定量的に評価する枠組み(methodology)を提示する。この手法により、組織は情報保護の弱点を特定し、改善優先度の決定・資源配分の最適化を行えるようになる。(SNL)
A Methodology for Protection Program Planning Joseph D. Rivers, Joseph W. James, John D. Veatch, Phillip H. Bosma, Kenneth A. Owen
防護プログラム計画のための体系的手法
― 脅威・脆弱性・結果分析に基づく防護水準設定と予算配分
(*)効果的な防護プログラムを計画するには、リスク(脅威×脆弱性)と結果(consequence)の分析、およびそれに基づく予算見積りが不可欠であるが、不正確な分析は過剰投資または防護不足を招く。本研究は、施設の脅威シナリオ、資産価値、脆弱性、対策の効果を体系的に評価し、必要な防護レベルと資源配分を合理的に決定する手法(methodology)を提示する。この手法により、組織は防護の弱点を特定し、費用対効果の高い防護プログラムを計画・最適化できるようになる。(SNL)
A Miniature Modular Multichannel Analyzer System for Automated, Low­ resolution Gamma-ray Spectroscopy J. K. Halbig, P. A. Russo, S. F. Klosterbuer, J. K. Sprinkle, S. E. Smith
自動化・低分解能γ線スペクトル測定のための小型モジュール式マルチチャネルアナライザ(MCA)システム
― ホールドアップ測定キャンペーン向けの携帯型・自動計測ユニット
(*)核施設全体でのホールドアップ量(配管・装置内部に残留する核物質)の定量化需要が増加し、多数の測定点を短時間で回るための小型・自動化されたγ線計測装置が求められている。本研究は、低分解能 γ 線スペクトルを自動取得し、ピーク検出・計数・データ保存を一体化した小型モジュール式マルチチャネルアナライザ(MCA)システムを開発した。システム化により、ホールドアップ測定キャンペーンの効率化、作業者負担の軽減、データの一貫性向上が可能となる。(SNL)
A Multiple Analysis Capability in Assess Neutralization William K. Paulus, Junko Mondragon
ASSESS/Neutralization(攻撃者無力化解析)における複数解析機能
― 交戦条件・応答力構成の違いによる無力化確率の比較評価
(*)ASSESS Neutralization モジュールは、警備員(response force)が攻撃者と交戦した際に、攻撃者を無力化できる確率(neutralization probability)を解析するための Sandia の物理防護評価ツールである。本研究は、この Neutralization モジュールにおいて、複数の解析手法(multiple analyses)を組み合わせて比較・評価できる機能を追加し、異なる交戦条件・攻撃者能力・応答力構成を同一枠組みで検討可能にした。これにより、施設の防護設計者は、応答部隊の配置・武装・到着時間などの要素が無力化確率に与える影響を体系的に比較し、防護計画の改善点を抽出できる。(SNL)
A Penetration less Secure Container David Skogmo
貫通部を持たないセキュアコンテナ
― 非接触給電・通信による改ざん耐性向上設計
(*)データ収集装置と認証装置(IAEA のデータ認証ユニットなど)の間の通信リンクを保護するため、改ざんに強いセキュアコンテナが必要とされている。本研究は、外部からのアクセス点(ケーブル導入孔・フィードスルー)を完全に排除した、“penetrationless(貫通部ゼロ)”構造のセキュアコンテナを提案する。電源供給・通信・改ざん検知を非接触方式で実現し、物理的弱点の排除・改ざん耐性の向上・現場での取り扱い簡素化を図る設計思想を示す。(SNL)
A Perspective of the IAEA on LASCAR John Jennekens, Hideo Kuroi, Burton F. Judson
ASCAR に対する IAEA の視点
― 大型再処理施設保障措置フォーラムの成果とその適用可能性
(*)1987年、日本の提案により、多国間フォーラム LASCAR(Large Scale Reprocessing Plant Safeguards)が設立され、大型再処理施設に対する保障措置アプローチと技術の検討が開始された。 本論文は、IAEA の立場から、LASCAR の作業経緯・技術的成果・参加国間の協力の意義を整理し、大型再処理施設における保障措置の実効性向上に向けた主要な教訓を総括する。特に、NRTA(Near-Real-Time Accountancy)、遠隔監視、オンライン計測、データ認証など、LASCAR で検討された技術が IAEA の標準的保障措置アプローチにどのように反映されたかを論じている。 (IAEA)
A Proposal of Verification Means for the Pulse Column Inventory Masahiro Kikuchi, Shojchiro Masuda, Masahiro Nabeshima, Akira Furuhashi
パルスカラム内インベントリの検認手段に関する提案
― 抽出カラム軸方向温度分布を用いた間接検認法
(*)再処理プラントに設置されたパルスカラム内の Pu インベントリは運転中に直接測定することがほぼ不可能であり、しかし NRTA(near real time accountancy)の観点からは、推定インベントリを検認する何らかの手段が望まれている。本報では、抽出カラムの軸方向温度分布を監視することによる「間接的な検認手段」の可能性を示している。溶液流量の変化に伴うインベントリ変化が、発熱反応のピーク位置の変化として温度分布に現れる。改良版シミュレーションコード DYNAC を用いて、抽出カラムとスクラブカラムを含む系を数値解析し、最大温度位置と抽出カラム内 Pu インベントリの間に相関があることを示し、この相関曲線を用いればタイムリネス目的の検認手段となり得ることを示している。(Nuclear Material Control Center(核物質管理センター), Sumitomo Metal Mining Co. Ltd.(住友金属鉱山))
A Survey of Euratom Research and Development Activities P. J. Chare, M. Swinhoe, W. Kloeckner, R. Schenkel, H. G. Wagner
URATOM 保障措置が実施する研究開発活動の概観
― NDA・封印・監視・破壊分析・データ処理・C/S の主要プロジェクト
(*)本論文は、EURATOM Safeguards が支援・資金提供している最新の研究開発活動を概観し、NDA、封印、ビデオ監視、モニタリング、破壊分析、データ処理、C/S などの主要分野での取り組みを整理している。これらの開発は、JRC(Karlsruhe、Ispra、Geel)の研究所による基盤的支援のもとで進められ、現場試験中または既に実装された装置も含まれる。また、二国間協力、研究機関との契約、欧州内外の産業界との契約による特定プロジェクトも紹介され、EURATOM の R&D 体系の広がりを示している。(Euratom)
A Tiltmeter-based Weighing Device Mark Soo Hoo
ティルトメータ(傾斜計)を用いた重量推定装置
― 車両の傾き測定による簡易・非侵襲型の重量スクリーニング
(*)INF 条約の履行検証では、移動式ミサイル発射装置(TEL)や関連車両の重量が、条約対象物かどうかを判別するための重要なスクリーニング指標として用いられている。本研究は、車両の傾き(tilt)を高精度で測定し、その角度変化から重量を推定する ティルトメータ(傾斜計)を用いた新しい重量測定装置を開発した。この方式は、従来のロードセル式のような大型・高荷重対応の装置を必要とせず、迅速・簡便・現場適用性の高い重量推定手法として条約検証活動に有用である。(SNL)
A User’s Guide to Automation in Calorimetry S. J. James, P. W. Kasperski, D. P. Renz, J. R. Wetzel, K. L.  Breakall
カロリメトリ自動化のユーザーガイド
― 操作インタフェース・校正・データ処理・システム監視の改良による性能向上
(*)カロリメトリによる核物質 NDA は 40 年以上の歴史を持ち、近年は 操作性向上・データ処理改善・システム監視強化 など多くの改良が進んでいる。ユーザーフレンドリーな操作画面、詳細な測定レポート、オペレータエラー低減のための自動処理、環境異常の自動検知 などが導入され、既存システムの性能向上が可能になった。Pu-238 標準の代替となる 電気加熱校正ヒータ や複数の自動化システムが開発され、測定精度向上・スループット増加・作業負荷と被ばく低減 を実現している。(EG&G Mound Applied Technologies)
Access Control Issues and Solutions for Large Sites Fred E. Warren
大規模サイトにおけるアクセス制御の課題と解決策
― LLNL の100ポータル自動入退域システムの運用経験から
(*)LLNL は 100 以上のポータル(入口)を持つ大規模自動アクセス制御システムを運用しており、その規模ゆえに運用・保守・信頼性に特有の課題が生じている。システムの拡張、機器の老朽化、ピーク時の人流処理、カード管理、警備員との連携など、大規模サイト特有の問題点が整理されている。これらの課題に対し、機器更新、冗長化、運用手順の改善、監視機能の強化、データ管理の最適化などの解決策が提示されている。(LLNL)
Accurate Plutonium Waste Measurements Using the 252Cf Add-a-source Technique for Matrix Corrections Howard O. Menlove
²⁵²Cf Add‑a‑source 法によるマトリックス補正を用いたプルトニウム廃棄物の高精度測定
― パッシブ中性子計測における吸収・散乱補正の高精度化
(*)プルトニウムスクラップ・廃棄物の NDA 精度向上のため、²⁵²Cf Add‑a‑source 法を改良した新しい測定技術を開発した。追加設置した ²⁵²Cf からの自発核分裂中性子に対する検出器応答の変化を利用し、マトリックスによる吸収・散乱を定量的に補正できるようにした。この手法により、不均質な廃棄物ドラムでも高い精度と感度で Pu を定量できることが示された。(LANL)
Adapting Safeguards & Security Technology to Meet the Changing DOE Mission and Threat Environment Donald G. Bruckner
変化する DOE の任務と脅威環境に対応した保障措置・セキュリティ技術の適応
― SNM 防護と環境修復・兵器解体を統合する多機能 S&S 技術
(*)保障措置・セキュリティ技術の進展により、SNM 防護だけでなく、環境修復・廃止措置・兵器解体など新たな DOE 任務にも対応できる多機能化が進んでいる。センサー、システムアーキテクチャ、コンピュータ技術の発展により、多分野横断の統合的 S&S 運用(PPO、MC&A、OPSEC、Personnel Security)が必須となっている。RDBMS を活用したデータ統合や技術共有により、コスト制約下でも効率的な SNM 管理と新任務対応を両立できることが示されている。(DOE)
Advanced Alarm Multiplexer Communication System Design Alan Y. Liang
先進的警報多重化通信システム(AAMCS)の設計
― 光ファイバ LAN を用いた高信頼警報伝送アーキテクチャ
(*)本研究では、光ファイバ LAN を基盤とする Advanced Alarm Multiplexer Communication System(AAMCS) を提案している。多数の警報点を高速・高信頼で伝送するため、光ファイバの耐ノイズ性・長距離伝送能力・高帯域を活用した新しい通信アーキテクチャを示している。従来の銅線ベース AMCS の課題であった 誤警報耐性・改ざん検知・冗長化・拡張性 を改善し、大規模施設向けの高信頼警報通信を実現する設計である。(SNL)
Advanced Handling Concepts and Application to Storage and Transport Systems P. C. Bennett, T. L. Sanders
使用済燃料キャスク取り扱いの先進的概念と貯蔵・輸送システムへの適用
― ロボット技術による高線量作業の自動化と安全性向上
(*)使用済燃料キャスクを MRS(Monitored Retrievable Storage)などの受入施設で取り扱う際、ロボット技術を導入することが実務的かつ安全性向上に有効であると示している。ロボット化により、作業者被ばく低減・作業標準化・事故リスク低減が可能となり、特に重量物・高線量環境での取り扱いに適している。これらの高度な取り扱い概念は、貯蔵システムおよび輸送システムの設計・運用に適用可能であり、将来の施設設計に反映できると結論づけている。(SNL)
ALTERNATIVE RISK-BASED CRITERIA FOR TRANSPORTATION OF RADIOACTIVE MATERIALS ON THE UNITED STATES DEPARTMENT OF ENERGY HANFORD SITE J. E. Mercado, J. G. Field, R. J. Smith, O. S. Wang
米国エネルギー省ハンフォード・サイトにおける放射性物質輸送の
リスクベース代替基準の検討
(*)ハンフォード・サイト内の放射性物質輸送について、規制に基づく個人線量限度を基準としたリスク受容アプローチにより、「同等安全性(equivalent safety)」を満たす代替パッケージング基準を提案している。DOT/DOE/NRC 認可パッケージを原則としつつ、サイト内輸送は公道輸送より事故頻度・重大度が低いという実績データを用いて、オンサイト専用パッケージに対するリスクベースの代替基準を正当化している。低頻度事象(発生頻度 <10E-6/年)の不確実性評価や、放射線健康影響評価の更新に応じた基準見直しの必要性を示し、手続き的な適用方法(methodology)も併せて提示している。(WHC)
Alternatives for Disposal of Plutonium from Nuclear Weapons Disarmament Activities E. R. Johnson
End(1) 核兵器解体に伴うプルトニウム処分オプションの比較評価
— MOX 化・固化処分・地層処分の技術性と拡散抵抗性の分析
(*)核兵器解体により発生する余剰プルトニウム(weapons‑grade Pu)の処分オプションを、技術性・安全性・経済性・拡散抵抗性の観点から比較評価した。MOX 燃料化、ガラス固化、セラミック固定化、深地層処分など複数の代替案を検討し、それぞれの利点・課題・実装可能性を整理した。結論として、処分オプションは単一解ではなく、政策目的(拡散抵抗性 vs コスト vs 実装速度)に応じた複数案の組合せが現実的であると指摘した。(E. R. Johnson Associates, Inc. )
An Approach For Consequences Evaluation and an Application to the Strategic Petroleum Reserve Gary Smith, David S. Fortney
影響評価手法の一アプローチと戦略石油備蓄への適用
— 事故・攻撃シナリオに対するリスクと影響の定量分析
(*)事故・攻撃・自然災害などのシナリオに対して、影響(consequences)を体系的に評価するための手法を提示している。その手法を米国戦略石油備蓄(SPR: Strategic Petroleum Reserve)に適用し、漏えい・火災・爆発・環境影響などの潜在的結果を定量的に分析した。結果として、SPR のリスク管理において、シナリオ選定・影響範囲の定量化・緩和策の優先順位付けが重要であることを示した。(DOE)
An Approach to Documenting Vulnerability Assessments D. Scott, M. P. Billings, C. J. Udell, C. W. Rancher
脆弱性評価(VA)の文書化手法
― DOE 施設間での一貫性確保に向けた標準化アプローチ
(*)DOE とその請負業者は、近年 Site Safeguards and Security Plans(SSSP) の作成に多大な労力を費やしており、脆弱性評価(VA)を体系的に文書化する必要性が高まっている。しかし、VA の文書化方法は施設ごとにばらつきがあり、評価結果の比較・追跡・更新が困難であることが課題となっている。本論文は、VA の記述内容・構造・レベルを標準化し、DOE 全体で一貫した VA 文書化を可能にするアプローチを提示している。 (DOE)
An Integrated Methodology for Sabotage Vulnerability Assessment Thomas Edmunds
サボタージュ脆弱性評価の統合的手法
― 多地点・多目標を対象としたシステムレベル評価モデル<この論文は サボタージュ(破壊工作)に対する脆弱性評価(SVA)を、多地点・多目標に対して統合的に扱う手法を提示した。>
(*)本研究では、複数の目標が異なる場所に存在する状況でのサボタージュ脆弱性を定量的に評価する統合手法を開発した。攻撃者の行動選択、移動経路、目標間の相互依存性を考慮し、全体としての脆弱性(system‑level vulnerability)を推定できる。この手法は、防護資源の最適配置・対策優先順位付け・複数目標の同時防護設計に有効であることが示されている。(LLNL)
An Integrated Monitoring System Robert L. Martinez, Larry J. Fox
統合監視システム(IMS)
― ネットワーク技術を用いた多サブシステム統合監視アーキテクチャ
(*)近年のネットワーク技術を応用し、新しいタイプの Integrated Monitoring System(IMS) を構築した。IMS は、複数のセンサー・サブシステム・警報装置をネットワーク上で統合管理し、従来の個別監視方式より高い柔軟性と拡張性を提供する。このネットワーク化 IMS により、大規模施設での監視効率向上・データ共有・運用コスト削減が可能となることを示している。(SNL)
An Investigation of Target Simulation Techniques for Microwave Perimeter Detection Systems Edward J. Foley, James CheaI
マイクロ波周界検知システムにおけるターゲットシミュレーション手法の検討
― 侵入者を模擬する標準ターゲット(30 cm 金属球)と代替模擬体の比較評価
(*)マイクロ波周界検知システムでは、侵入者を物理的に模擬する標準ターゲットとして「30 cm 金属球」が長年使用されてきたが、その妥当性を再検証する必要がある。本研究は、実際の侵入者の電磁的特性を模擬する複数のターゲットシミュレーション手法を比較し、金属球との応答差を定量的に評価した。結果として、金属球は必ずしも人間の侵入者を正確に模擬していないことが示され、より現実的なターゲット設計の必要性が示唆された。(SNL)
Anomaly Detection in an Automated Safeguards System Using Neural Networks J. A. Howell, R. Whiteson
自動化保障措置システムにおける異常検知
― ニューラルネットワークを用いた MC&A データの異常判定手法
(*)自動化された保障措置システムでは、核物質計量管理(MC&A)データの“異常”を検知することが最初の重要ステップであり、本研究はそのためにニューラルネットワークを適用した。研究では、従来モデルを 3タンク問題(3-tank problem) に拡張し、複数のニューラルネットワーク構造・学習アルゴリズムを比較評価した。ニューラルネットワークは 通常状態を学習し、そこからの逸脱を異常として検知できるため、非線形でリアルタイム性の高いプロセスに適していることを示した。(LLNL)
Application of IAEA Safeguards in Germany B. Richter, R. Weh
ドイツにおける IAEA 保障措置の適用
― 国家当局・Euratom・IAEA の三層構造と運用実態
(*)ドイツの核エネルギー利用と法制度を概説し、国家当局・Euratom・IAEA の三層構造で保障措置が適用されている仕組みを説明している。施設査察、計量管理、C/S(封じ込め・監視)など、ドイツ国内での具体的な保障措置運用を紹介している。燃料サイクルの変化や高度計測技術の導入など、近年の課題と改善点について述べている。(EURATOM, Physikalisch-Technische Bundesanstalt (PTB), Germany )
Application of Network Technology to Safeguards and Security Systems Charles S. Johnson
保障措置・セキュリティシステムへのネットワーク技術の適用
― LAN と分散処理によるセンサー・警報・制御の統合化<1990年代の論文は、生成AI時代の Safeguards の“祖先”;「ニューラルネットワークで異常検知」→ 2026年では 生成AI+深層学習でリアルタイム異常検知
「LAN でセンサー統合」→ 2026年では  AI がセンサー融合(sensor fusion)を自動で最適化、「自動化された Safeguards システム」→ 2026年では AI 主導の意思決定支援システム>
(*)ネットワーク技術(LAN・分散処理)により、センサー・警報・制御機能を施設全体で統合し、知能を分散配置できる新しい Safeguards/Security システムが実現可能になった。このネットワーク化により、信頼性・柔軟性・拡張性が向上し、従来の個別サブシステム方式より効率的な監視が可能となる。一方で、高セキュリティ環境でのネットワーク導入には、耐障害性・改ざん防止・通信保護などの課題があることも指摘している。(SNL)
Applications of Radio Frequency Technology to the Control of People and Material in the Nuclear Industry Brian W. Martin
原子力産業における人員・核物質管理への RF 技術の応用
― 位置追跡タグと監視システム統合の可能性
(*)医療分野で成功している RF 技術による位置監視(例:認知症患者の徘徊検知) を、原子力産業の 人員・核物質の移動管理に応用できるかを検討した。RF タグ・受信機・ネットワークを組み合わせ、人と物のリアルタイム追跡を Safeguards/Security システムに統合する構想を提示している。一方で、核施設特有の課題として、電磁干渉・信頼性・改ざん防止(tamper resistance) などの技術的問題を指摘している。(SNL)
Argus – An Integrated Access Control and Intrusion Detection System F. Warren, G. Davis, J. Smart
Argus:統合アクセス制御・侵入検知システム
― LLNL における大規模統合セキュリティ基盤の構築と運用
(*)LLNL は Argus と呼ばれる統合セキュリティシステムを構築し、アクセス制御・警報監視・ビデオ・暗号化無線・電話制御を単一の高解像度コンソールで統合した。Argus は 800エーカーの LLNL 本部と 15マイル離れた別サイトを高速回線で接続し、18,000名の人員・設備のアクセス管理、6,000超のセンサー、450のビデオフィードを統合的に運用している。1988年から稼働し、性能が評価されたため、国防総省(Falcon AFB)や Sandia など他機関にも輸出されるほど成熟したシステムとなっている。(LLNL)
Arms Control’92 – Progress adn Permutations Michael F. Heaney
軍備管理 ’92:進展と構造変化
— INF・CWC・CFE・Open Skies・START の進捗と、米国・CIS 間の新たな軍備管理枠組みの台頭
(*)過去 12 か月で軍備管理分野は、INF 条約の協力継続や CWC・CFE・Open Skies・START の成立・批准に向けた進展など、着実な前進を示した。一方で、米国と旧ソ連(CIS 諸共和国)間の二国間イニシアティブの急増により、軍備管理の構図そのものが大きく変化した。米国の関心は、核兵器の安全な封じ込め・廃棄、および 大量破壊兵器の世界的拡散阻止へと重点が大きくシフトしている。(Meridian Corporation)
Authentication Algorithm for the Universal Authenticated Item Monitoring System (AIMS)  J. Lee Schoeneman, Charles D. Jenkins, Larry J. Fox, Jim Davis
汎用認証型アイテム監視システム(AIMS)における認証アルゴリズム
— センサー測定データの真正性確保と改ざん検知のための暗号的手法
(*)AIMS の認証アルゴリズムは、センサーから送信されるデータの真正性(authenticity)を保証するための暗号的手法を提供する。各 AIMS センサーは、固有識別子・時刻情報・測定値を組み合わせた認証コード(MAC)を生成し、改ざん検知を可能にする。この方式により、長期無人監視下でもデータ改ざん・偽造を防止し、IAEA 保障措置に必要な信頼性を確保する。(SNL)
Authentication System for the JAERI Fast Critical Facility Advanced Containment and Surveillance System Takehiko Mukaiyama, Mark Baumann, Kenneth W. lnsch, Anthony W. Perlinski, Kenneth J.
Ystesund, Andrew E. Dakofsky
JAERI 高速臨界実験装置(FCA)向け高度 C/S (封じ込め・監視)システムの認証システム
— 事業者提供型監視機器の真正性確認と改ざん検知を可能にする認証アーキテクチャ
(*)JAERI・IAEA・Sandia による共同開発で、FCA(高速臨界実験装置)向け高度 C/S システムの認証機能が設計・実装された。センサー、データ収集装置、通信経路に対し、暗号的真正性確認・構成管理・改ざん検知を統合した認証アーキテクチャを構築。この認証システムにより、事業者提供型 C/S 機器でも IAEA が独立に信頼性を確認できる運用が可能となった。(JAERI, SNL, IAEA)
Automated Assay of Uranium Solution Concentration and Enrichment T. E. Sampson, G. Walton, E. Chris Harley, T. Kelley, K. E. Gainer, W. J. Hansen, J. L. Parker, S. A.Jones
ウラン溶液の濃度および濃縮度の自動アッセイ
— γ/X 線スペクトル解析を統合した単一ステップ同時測定技術
(*)新たに開発された計測装置により、ウラン溶液の濃度と濃縮度(enrichment)を単一ステップで同時測定できるようになった。装置は γ線・X線スペクトルの同時計測と自動解析を統合し、迅速かつ非破壊での定量を可能にする。この自動化手法により、保障措置・プロセス管理・核物質計量の効率と信頼性が大幅に向上する。(LANL)
Automated Box/Drum Waste Assay (252Cf Shuffler) Through the Material Access and Accountability Boundary S. C Bourret, E. Chris Harley, P. Polk, C. M. Schneider, R. V. Studley, C. Bjork
核物質アクセス・計量境界(MAA/MB)を通過する箱/ドラム廃棄物の自動アッセイ(²⁵²Cf シャフラー)
— 誘導核分裂・遅発中性子計測を用いた廃棄物中核物質の高精度定量
(*)²⁵²Cf Shuffler を用いた 箱・ドラム廃棄物の自動アッセイ装置が、初めて 核物質アクセス・計量境界(MAA/MB)内の正式な計量システムとして組み込まれた。²⁵²Cf 中性子源を周期的に「シャッフル」し、誘導核分裂と遅発中性子計測を組み合わせることで、廃棄物中の核物質量を高精度に定量できる。この統合により、廃棄物処理工程における核物質計量(MC&A)の信頼性と自動化レベルが大幅に向上した。(LANL)
Automated System for Accountability Process Tanks Stephen H. Holt
核物質計量用プロセスタンクの自動化システム
— 液面・密度・温度補正を統合したリアルタイム在庫算定基盤
(*)SRS のプルトニウム処理施設に、プロセスタンクの核物質計量(MC&A)を自動化するタンク監視システムが導入された。システムは 液面計測・密度推定・温度補正・データ収集・自動記録を統合し、タンク在庫量をリアルタイムで算出する。この自動化により、人手による測定誤差の削減・計量境界の透明性向上・保障措置対応の迅速化が実現した。(WSRC)
Automated Test System for Remote Badge Readers James P. Holmes, Taivas DeGroff
遠隔バッジリーダーの自動試験システム
— 読み取り性能・通信信頼性・環境耐性を自動評価する QA 基盤
(*)遠隔バッジリーダーの性能を評価するための 自動データ収集・試験システムが開発された。システムは 読み取り速度、誤読率、通信遅延、環境条件下での動作などを自動で測定し、再現性の高い評価を可能にする。この自動化により、核施設のアクセス制御機器の品質保証(QA)と導入前検証の効率が大幅に向上した。(SNL)
Brittle Fracture Safety for Transportation Packages Larry E. Fischer, Martin W. Schwartz
放射性物質輸送容器における脆性破壊安全性
— R.G. 7.12 に基づく破壊靭性・最低使用温度・応力評価の設計基準
(*)本論文は、Regulatory Guide 7.12(輸送容器の脆性破壊防止指針)で採用された脆性破壊基準の開発過程を示す。材料の破壊靭性、最低使用温度、応力状態を考慮し、輸送容器が低温・衝撃条件下でも破断しないための設計基準を体系化した。この基準により、10 CFR 71 の仮想事故条件(衝撃・落下・火災)に対する容器構造の信頼性が大幅に向上した。(LANL)
Calorimetry Servo Control Evaluation Walter W. Rodenburg, J. A. McDaniels
カロリメトリーにおけるサーボ制御方式の評価
— 熱流型カロリメータの測定時間短縮と温度安定化のための制御パラメータ検証
(*)Mound で 40 年以上使用されてきた 熱流型カロリメータの測定時間短縮を目的に、サーボ制御(servo control)方式の性能評価が行われた。サーボ制御は、外部温度変動に応じてヒータ出力を自動調整し、熱平衡到達時間を大幅に短縮できる可能性が示された。評価の結果、測定精度を維持しつつ測定時間を削減できる条件・制御パラメータが明確化され、将来の自動化カロリメータ設計に重要な知見を提供した。(Mound Laboratory(EG&G Mound Applied Technologies))
Capability and Limitation Study of the DDT Passive-active Neutron Waste Assay Device K. L. Coop, R. J. Estep, N. J. Nicholas
End(2) DDT パッシブ/アクティブ中性子廃棄物アッセイ装置の能力と限界の評価
— 誘導核分裂信号とマトリックス効果の影響分析
(*)LANL が開発した DDT パッシブ/アクティブ中性子廃棄物アッセイ装置について、その測定能力(capabilities)と限界(limitations)を体系的に評価した。Pu・U を含む不均質廃棄物に対し、アクティブ照射による誘導核分裂信号と、パッシブ中性子計数を組み合わせることで、低量核物質の検出感度を向上できることを示した。一方で、マトリックス効果・水分・遮へい・大型廃棄物形状などが測定精度を制限する要因であり、校正モデル・補正手法の改善が不可欠であると結論づけた。(LANL)
CAVIS-2 and CARES: Systems for Computer-aided Video Recording and Reviewing in Multi-camera Applications M. J. Mol, E. Bettendroffer
CAVIS‑2 と CARES:多カメラ監視におけるコンピュータ支援型記録・レビューシステム
— 保障措置監視の効率化とイベント管理の高度化
(*)多数の監視カメラを用いる保障措置監視において、記録・レビュー作業を効率化するためのコンピュータ支援システム CAVIS‑2 と CARES を紹介している。CAVIS‑2 は、複数カメラの映像を統合し、自動記録・タイムタグ付与・イベント管理を行う記録支援システム。CARES は、査察官が膨大な映像を効率的にレビューできるよう、高速検索・イベント抽出・同期再生などの機能を備えたレビュー支援システムである。(JRC)
Cerenkov Viewing Device Training for IAEA Inspectors: A Joint Effort Among Three Safeguards Support Programmes in Cooperation with the IAEA P. Vodrazka, Anita Nilsson, Alexandre Ossipov, J. F. Brauneisen, J. Dennis Chen, Arja Tanninen
AEA 査察官向けチェレンコフ観察装置(CVD)訓練
— 3 つの保障措置支援プログラムと IAEA の共同開発による訓練体系
(*)Cerenkov Viewing Device(CVD)は、軽水炉使用済燃料プールにおける燃料集合体の存在・照射履歴を非侵襲的に確認する IAEA の主要検認装置である。本論文は、IAEA と 3 つの支援プログラムが協力して構築した CVD 訓練カリキュラム・教材・実習手順の開発と実施結果を報告する。この共同訓練により、査察官の観察技能・光強度評価能力・装置操作の標準化が大幅に向上し、CVD の国際的な運用品質が強化された。(IAEA, Swedish Support Programme, France Support Programme, US Support Programme, Finish Support Programme)
Challenge Inspections in Arms Control Treaties: Any Lessons for Strengthening NPT Verification? Jack Allentuck
軍備管理条約におけるチャレンジ検査:NPT 保障措置強化への教訓はあるか ― イラク事例を踏まえた特別査察制度の再検討 (*)イラクの秘密核兵器計画の発覚は、従来のIAEA保障措置では未申告活動を検知できないという深刻な限界を露呈させた。CFE条約・CWC・STARTに含まれる「チャレンジ検査」や「チャレンジ類似検査」は、NPT特別査察強化のモデルとして検討されたが、直接の適用モデルにはならなかった。しかし、STARTの「疑惑地点(suspect-site)」「以前の申告地点(formerly declared site)」に対するチャレンジ類似検査の仕組みは、NPT特別査察の強化に有用な示唆を与える。(BNL)
Characterization and Propagation of Uncertainties Associated with Holdup Measurements at Rocky Flats Dennis R. Weier, Gregory Sheppard, Frank W. Lamb, J. Bruce Glick, Randy Boan
ロッキーフラッツにおけるホールドアップ測定の不確かさの特性化と伝播解析
— Pu 滞留量評価の精度向上に向けた誤差要因の体系的検討
(*)Rocky Flats ではグローブボックス排気ダクト内の Pu ホールドアップ測定を継続しており、その評価には測定誤差・幾何学不確かさ・沈着分布の不均一性など複数の不確かさ要因が複合的に影響する。本研究は、これら不確かさの特性化(characterization)と、最終的なホールドアップ量推定へどのように伝播(propagation)するかを体系的に解析し、誤差寄与の支配因子を明確化した。解析結果は、測定手順の改善、校正方法の見直し、ダクト構造のモデル化精度向上など、Pu ホールドアップ評価の信頼性向上に直接的な指針を与える。(EG&G Rocky Flats, Inc.)
Computer Simulation of a Germanium Detector Response to Highly Radioactive Waste M. C. Miller, R. A. Sigg, Frank S. Moore, D. A. Close
高放射能廃棄物に対するゲルマニウム検出器応答の計算機シミュレーション
— DWPF (米国サバンナリバーのガラス固化施設)におけるガンマ線分析の校正と効率評価の高度化
(*)DWPF では高レベル廃液をガラス固化する工程で、ガンマ線スペクトロメトリによる核種分析が不可欠だが、極めて高い放射能レベルのため実測校正が困難である。本研究は、Ge 検出器の応答を詳細にモンテカルロ計算でシミュレーションし、遮蔽・散乱・自己吸収などの影響を含む「実測不能領域」の検出器応答を高精度に再現した。結果として、DWPF のオンライン核種分析に必要な校正関数・効率曲線・スペクトル歪み補正の信頼性が大幅に向上し、廃棄物処理の品質保証に直接寄与する。(SRL)
Computer System Audits: Bread Crumbs or Blazed Trees W. Lee Zaugg
コンピュータシステム監査:パンくずか、刻まれた道標か
— データ説明性と監査証跡の質を高めるシステム設計
(*)監査人がコンピュータシステムのデータ追跡を行う際、システム側が残すログや記録が「パンくず(bread crumbs)」のように断片的なのか、それとも「樹木に刻まれた道標(blazed trees)」のように明確で体系的なのかが、監査の成否を左右する。本論文は、監査可能性(auditability)を高めるために必要なログ設計・アクセス記録・変更管理・責任追跡性(accountability)の要件を整理し、監査人がデータの流れを確実に追跡できるシステム設計の指針を示す。結果として、監査を「後付けで苦労して追跡する作業」ではなく、「最初から道筋が明確に示されたシステム運用」に転換するための実務的なフレームワークを提示している。(LLNL)
Computerized Nuclear Material Accounting System for Nuclear Power Plants D. M. Liu, R. B. Zhu
原子力発電所向けコンピュータ化された核物質計量システム
Concentration Criteria for the Termination of International Safeguards on Nuclear Material Discards Bruce W. Moran
核物質廃棄物に対する国際保障措置終了のための濃度基準
— IAEA による 保障措置終了条件の再検討
(*)IAEA は、核物質が「廃棄物(discards)」として保障措置を終了できるかどうかを判断するため、核種濃度・放射能レベル・化学形態などの定量基準を再検討している。本論文は、保障措置終了の根拠となる「核兵器利用が実質的に不可能となる濃度(concentration)」の考え方を整理し、Pu・U・混合廃棄物に対する閾値設定の技術的課題を提示する。結果として、廃棄物管理と保障措置の境界領域における透明性向上と、国際的に一貫した termination 基準の必要性を強調している。(IAEA)
Current Explosives Detection Technology at Sandia National Laboratories Frank J. Conrad, B.T. Kenna
Sandia 国立研究所における最新の爆発物検知技術
— 新規検知装置の改良・構築・評価と最適反応機構の検討
(*)Sandia は爆発物検知のための新規装置の改良・構築・性能評価を進めており、その技術的成果を報告する。爆発物分子を検知するための最適な化学反応(反応機構)を比較・評価し、最も有望な検知方式を特定する研究を実施した。本研究は、将来の爆発物検知装置の高感度化・高信頼化に向けた基盤技術の確立を目的としている。(SNL)
Definition and Evaluation of Generic Threat Statements R. L. McKnight, J. L. Franck, H. M. Leith
汎用脅威記述の定義と評価
— DOE 施設における脅威分析の一貫性確保に向けて
(*)1988 年以降、DOE フィールドオフィスは施設評価において「フル・スレート(full threat spectrum)」を考慮するよう強く求められ、脅威記述(threat statements)の標準化が課題となった。本論文は、施設横断的に利用できる「汎用脅威記述(generic threat statements)」の定義方法と、その妥当性・適用限界を評価し、脅威分析の一貫性向上を目的とする。結果として、脅威記述は単なるリストではなく、能力・意図・資源・アクセス性を含む体系的な構造を持つべきであり、DOE 施設間の評価のばらつきを減らすための基準が提示される。(DOE, SNL)
Demonstration of the Pressure-volume Authenticator on the PETRA input Accountancy Tank Bernard Keisch, Sylvester Suda, Brian A. Hunt
PETRA 入力計量タンクにおける Pressure–Volume Authenticator の実証
— 計量タンクの真正性検証(DIV)に向けた P–V 応答評価<PETRA(Plutonium Experimental Tank for Reprocessing Analysis); JAERI(旧原研)東海の再処理研究設備>
(*)PETRA の入力計量タンクに対し、圧力変化と体積応答の関係を利用してタンクの真正性(未改変性)を検証する Pressure–Volume Authenticator の実証試験を実施した。試験では、タンク内部の液面・ガス空間・配管構造が P–V 応答に与える影響を評価し、改変・バイパス・隠し容積の有無を検知できることを確認した。結果として、P–V Authenticator は計量タンクの設計情報検証(DIV)および保障措置の信頼性向上に有効であることが示され、IAEA の実装候補技術としての妥当性が裏付けられた。(BNL, JAERI, IAEA)
Design Considerations for the Development and Manufacture of Integrated Surveillance Packages S. Kadner, Mark Bronson, Jerry Beckes
統合監視パッケージの開発・製造における設計上の考慮事項
— 核燃料物質取り扱いプラント向け IAEA 保障措置用 C/S (Containment & Surveillance)システムの統合化指針
(*)ネットワーク化制御システムが核燃料物質取り扱いプラントや化学プラントで普及する中、IAEA 保障措置用の「統合監視パッケージ」の設計要件を体系化した。監視カメラ、センサー、電源、データ認証、筐体を一体化することで、設置性・信頼性・耐改ざん性を高め、核燃料物質取り扱いプラントの多様な環境条件に適合させる設計指針を提示する。量産性、保守性、環境耐性、データ完全性を考慮した統合設計が、将来の IAEA C/S システム標準化に不可欠であることを示した。(IAEA,SNL)
Development of a Plutonium Solution-assay Instrument with Isotopic Capability S. T. Hsue, T. Marks
『同位体分析機能を備えたプルトニウム溶液アッセイ装置の開発
— 核燃料物質取り扱いプラントにおける Pu 溶液計量の多機能化
(*)水系プルトニウム回収工程における全てのアッセイ要求を満たすため、濃度測定と同時に同位体組成を取得できる新世代の溶液アッセイ装置を開発した。γ 線スペクトロメトリと高速データ処理を統合し、核燃料物質取り扱いプラントのオンライン計量に必要な高精度・高信頼性の測定を実現した。本装置は、従来の濃度測定器では得られなかった同位体情報を付加することで、保障措置・工程管理・核物質収支の精度向上に寄与する。(LANL)
Development of GEMINI: An All-digital Video Surveillance System Steve Kadner
GEMINI の開発:全デジタル方式による監視システム
— 核燃料物質取り扱いプラント向け IAEA 保障措置監視のデジタル化
(*)従来の MIVS (Modular Integrated Video System)などの監視装置は商用電源への依存が大きく、停電時の監視継続性やデータ完全性に課題があったため、IAEA は全デジタル方式の新型監視システム GEMINI を開発した。GEMINI は長時間バッテリー、デジタル記録、データ認証、耐改ざん筐体を統合し、核燃料物質取り扱いプラントにおける保障措置監視の信頼性と運用性を大幅に向上させた。本システムは、アナログ依存からデジタル統合型 C/S への移行を示す初期の実装例であり、後続の IAEA デジタル監視技術の基盤となった。(IAEA)
Development of New UV-11 Cerenkov Viewing Device and Performance Evaluation Masao Kuribara, K. Nemoto
新型 UV‑11 チェレンコフ観察装置の開発と性能評価
— 照射済燃料取り扱い施設における燃料識別能力の向上
(*)BWR・PWR の照射済燃料集合体から観察されるチェレンコフ光を用いた燃料識別の信頼性向上を目的として、新型 UV‑11 Cerenkov Viewing Device を開発し、その性能を評価した。光学系・暗視増強管・フィルタ構成を改良することで、低燃焼度燃料や長期冷却燃料におけるチェレンコフ光の視認性が向上し、照射済燃料取り扱い施設での保障措置検認の確実性を高めた。試験結果から、UV‑11 は従来機より高感度・高コントラストであり、IAEA の現場検認における実用性が大幅に向上することが確認された。( Japan Nuclear Fuel Service(JNFS / JNFL))
Development of Performance Testing Programs to Support Insider Vulnerability Assessments Joseph D. Rivers
内部脅威脆弱性評価を支援するパフォーマンステスト計画の開発
— 核燃料物質取り扱いプラントにおける S&S 実効性検証の体系化
(*)DOE は、核燃料物質取り扱いプラントにおける内部脅威(insider threat)評価の信頼性を高めるため、重要な S&S 機能が実際に期待どおり動作することを実証するパフォーマンステスト(performance testing)の体系化を求めている。本論文は、内部脅威脆弱性評価(Insider Vulnerability Assessment)を支援するためのパフォーマンステスト計画の設計・実施・評価方法を提示し、人的要因・アクセス権限・手順遵守・応答能力などを定量的に検証する枠組みを示した。結果として、内部脅威対策の有効性を客観的に測定し、施設間の評価の一貫性を確保するためには、標準化されたテストプログラムの導入が不可欠であることを強調している。(DOE)
Development of Robotics Technology for Remote Characterization and Remediation of Buried Waste Mark W. Noakes, Bradley Richardson, Barry Burks, Gerald R. Sandness
埋設廃棄物の遠隔特性評価および除去に向けたロボティクス技術の開発
— 地下廃棄物リメディエーションにおける検知・評価・掘削の自動化
(*)DOE の埋設廃棄物処理において重要となる、地下に埋設された物体・廃棄物の検知・特性評価・掘削作業を遠隔で実施するためのロボティクス技術を開発した。センサー統合型ロボットプラットフォームを用いて、地中の金属・ドラム缶・放射性廃棄物の位置特定、土壌特性評価、遠隔掘削を行う手法を実証し、作業者の被ばく低減と作業効率向上を確認した。本研究は、埋設廃棄物リメディエーションにおけるロボティクス適用の有効性を示し、DOE の地下廃棄物処理プログラムにおける標準技術の確立に寄与した。(ORNL, INEL)
Development of Test Equipment for Safeguards Applications Jesse Bozone
保障措置機器向け試験装置の開発
— C/S 機器の性能・耐改ざん性評価を支える試験基盤の整備
(*)コンピュータ支援型監視装置の導入、光ファイバー封印の普及、そして保障措置機器の信頼性検証ニーズの高まりを背景に、SNL は保障措置用途に特化した試験装置(test equipment)を体系的に開発した。これらの試験装置は、監視カメラ、封印、データ認証機能、電源系統などの性能・耐改ざん性・環境耐性を定量的に評価でき、核燃料物質取り扱いプラントで使用される C/S 機器の品質保証を強化する。本研究は、保障措置機器の標準化・信頼性向上に不可欠な試験基盤を整備し、IAEA・DOE の機器認定プロセスを支援するための重要なステップとなった。(SNL)
Development of Training Materials for Verification of Nuclear Material (UF6 Cylinders) J.N. Cooley, J. Michael Whitaker, W. L. Belew, A. Teufner
核物質(UF₆ シリンダー)検認のための訓練教材の開発
— IAEA 査察官向け検認手順の標準化と教育基盤の整備
(*)IAEA 査察官が UF₆ シリンダーの核物質検認を行う際に必要となる手順・観察ポイント・封印確認・計量情報の扱いを体系的に示すため、ORNL と IAEA は訓練用ビデオおよび教材を開発した。教材は、シリンダー識別、封印・タグの確認、重量・計量データの扱い、外観検査、異常兆候の検出など、核燃料物質(UF₆)取扱施設での実務に即した内容を網羅し、査察官の技能標準化を目的としている。これらの訓練資料は、UF₆ シリンダー検認の一貫性・信頼性を向上させ、IAEA の保障措置実施における教育基盤として重要な役割を果たす。(ORNL, IAEA)
Digital Compression Techniques for Optical Surveillance Systems Charles S. Johnson, William R. Hale
End(3) 光学監視システムにおけるデジタル圧縮技術
— 監視用途に適した圧縮方式と画質・容量の最適化
(*)保障措置用の光学監視システムにおいて、デジタル映像の圧縮技術(digital compression)を導入することで、記録媒体の容量制約を克服し、長時間記録を可能にする手法を検討した。画像品質・圧縮率・処理速度のトレードオフを分析し、監視用途に適した圧縮方式(DPCM、DCT 系、予測符号化など)の比較評価を行った。結論として、保障措置監視では「完全な画質よりも、イベント識別に必要な情報を保持する圧縮」が重要であり、適切な圧縮パラメータ設定が鍵であると示した。(SNL)
Diversion Path Analysis – A New Approach Neil R. Zack, William D. Stanbro, Ron L. Hawkins
盗取経路解析の新しいアプローチ
— 施設構造・運用・防護性能を統合した経路モデルの体系化
(*)核物質防護における diversion path(盗取経路) を体系的に特定・評価するための、新しいアプローチを提示した。施設の物理構造・運用手順・アクセス権限・検知・遅延・応答要素を統合し、攻撃者が取り得る経路を網羅的にモデル化する手法を提案。このアプローチは、従来の単純な経路列挙を超え、脅威モデル・防護性能・運用上の弱点を統合した総合的な経路評価を可能にする。(LANL)
Effects of Seasonal Variation in the Thermal Background Scene on the Detection Capability of Passive Infrared lnstrusion Detection Systems Lindamae Peck
受動型赤外線侵入検知システムの検知能力に対する季節的背景温度変動の影響
— 屋外熱環境と検知性能の関係に関する実測評価
(*)受動型赤外線侵入検知システム(PIR IDS)が季節ごとの背景温度変化にどのように影響されるかを評価するため、1 年間にわたり屋外シーンの熱的背景とセンサ応答を連続監視した。夏季の高温・低コントラスト条件では検知能力が低下し、冬季の低温・高コントラスト条件では検知性能が向上するなど、背景温度と侵入者の温度差が検知性能を支配することが明確に示された。これらの結果は、PIR IDS の設置位置・感度設定・季節補正の必要性を示し、核燃料物質取り扱いプラントを含む重要施設での誤報低減と検知信頼性向上に寄与する。(SNL)
Ensuring System Security Through Formal Software Evaluation J .A. Howell, C. Fuyat, Marc Elvy
形式的ソフトウェア評価によるシステム・セキュリティ確保
— 数学的検証を通じた保障措置システムの信頼性・完全性の保証
Environmental Sensitivity of Thermal Intrusion Detection H. Duane Arlowe, Ronald C. Dykhuizen
熱赤外侵入検知の環境感度
— 背景放射・気象条件が検知性能に与える影響評価
(*)熱赤外を用いた侵入検知は広域監視に有望だが、環境条件による性能変動が大きい。背景温度・放射率・湿度・風などが、人体との温度コントラストと検知距離を左右する。本研究はこれら環境因子の影響を体系的に評価し、誤検知低減と信頼性向上のための設計指針を示す。(SNL)
Evaluation Tests of the Secure 1000 Scanning System B. T. Kenna, D. W. Murray
SECURE 1000 走査システムの評価試験
— 安全性・生体検知性能・物体識別能力の総合的検証
(*)SECURE 1000 の評価試験は、開発段階の試験手順に準じて実施され、安全性、生体(人体)検知性能、物体検知能力、運用上の実用性の4要素で構成された。人体への被ばく安全性、人体の存在を確実に検知できるか、衣服下の物体を識別できるかなど、装置の基本性能を体系的に検証した。結果として、非侵襲型スキャナとしての有効性と限界を明確化し、実運用に向けた改善点と評価基準を提示した。(SNL)
Evolution of a Mass Measurement Control Program John P. Clark
質量測定管理プログラムの発展過程
— 校正・標準化・統計管理を統合した測定品質保証体系の成熟
(*)質量測定管理プログラムは、初期の単純な校正中心の仕組みから、標準試料管理、測定手順の統一、統計的性能評価を含む総合的品質保証体系へと発展してきた。運転経験の蓄積に伴い、測定バイアスの補正、測定者間のばらつき管理、装置の長期安定性評価など、継続的改善プロセスが組み込まれた。本論文は、これらの進化過程を整理し、核物質計量管理における質量測定の信頼性確保に必要な要素と実務的教訓を示す。(WSRC)
Fence Detection Systems: Achieving the Desired Performance Nigel D. E. Custance, Alan G. Lindfield
フェンス侵入検知システム:所望性能の達成に向けた要件と実装指針
— PSDB(英国警察科学開発局)による周界フェンス検知性能の最適化アプローチ
(*)英国 PSDB は、周界フェンスに設置される侵入検知システムの性能向上を目的として、設計・設置・調整の最適化手法を体系化してきた。フェンス構造、環境条件、取り付け方法、センサ設定が検知率・誤報率に大きく影響するため、性能要件を満たすための実証的ガイドラインを提示する。本論文は、実地試験と運用経験に基づき、フェンス検知システムが所望性能を安定して達成するための技術的条件と改善策をまとめている。(英国 PSDB)
Fiber Optic Barrier Integrity Monitor Billy D. Black
光ファイバ式バリア完全性監視装置
— 軍備管理条約の大規模バリア監視に向けた光信号連続性の評価と運用要件
(*)光ファイバをバリア構造に組み込み、光信号の連続性を監視することで、切断・破断・改ざんを即時に検知するバリア完全性監視装置(BIM)を開発した。軍備管理条約で対象となる大規模施設では、長距離敷設・環境変動・複雑なバリア形状が課題となるため、光損失・接続部・ゾーニングの最適化を含む評価試験を実施した。結果として、光ファイバはバイパス工作が困難で誤警報率が低く、広域バリア監視に適した堅牢なセンサ技術であることが示された。(SNL)
Field Measurements to Support IAEA Procedures Development for Fuel Assembly and Fuel Rod Active Length Verification J. N. Cooley, J. Michael Whitaker, W. L. Belew
燃料集合体および燃料棒有効長検証のためのIAEA手順策定を支援するための現場測定
— 検認手順の精度評価と適用条件確立のための実地データ取得
(*)IAEA が実施する燃料集合体・燃料棒のアクティブ長検認手順を確立するため、実炉サイトでの測定データ取得と性能評価を行った。燃料種類・集合体構造・測定条件の違いが検認精度に与える影響を分析し、手順の適用限界・測定誤差・再現性を明確化した。これらの実地測定結果は、IAEA の標準化された検認手順の策定に直接反映され、保障措置現場での信頼性向上に寄与した。(IAEA)
Flexible Data Communications: The Primary Challenge in Rapidly Deployable Integrated Security Systems Ken Jacobson, Michael L. Christiansen
迅速展開を可能とする統合セキュリティシステムにおける最大の課題:柔軟なデータ通信基盤
— 多様なセンサ・機器を即時統合するための通信方式と運用要件
(*)冷戦後の軍事態勢縮小により、限られた人員で優先度の高い施設を迅速に防護する必要が生じ、柔軟で即応性の高いデータ通信基盤が重要課題となった。多様なセンサ・監視機器・制御装置を短期間で統合するには、通信プロトコル、帯域、接続形態の互換性が不可欠であり、固定インフラ依存の従来方式では対応できない。本論文は、迅速展開型セキュリティシステムにおける通信要件、設計指針、運用上の制約を整理し、柔軟な通信アーキテクチャの必要性を示す。(SNL)
Foreign Experience in Extended Dry Storage of Spent Nuclear Fuel K.  J.  Schneider, S. J.  Mitchell 使用済み核燃料の長期乾式貯蔵に関する海外の経験
使用済燃料の長期乾式貯蔵に関する海外経験
— 各国の乾式貯蔵方式・運用実績・安全性評価の比較分析
(*)多くの原子力発電国では、使用済燃料(または再処理高レベル廃棄物)を最終処分するまでの中間段階として、長期乾式貯蔵の利用が拡大している。各国の乾式貯蔵方式、運用経験、規制枠組み、安全性評価を比較し、長期貯蔵における技術的課題と成功要因を整理した。これらの国際経験は、米国を含む各国の乾式貯蔵プログラムの設計・規制・運用改善にとって重要な指針となる。(PNL)
Future Directions for Nuclear Non-proliferation Policy: An Enhanced Role for Safeguards John Rooney
核不拡散政策の将来方向:保障措置に求められる拡張的役割
— 冷戦後の国際環境における政策再構築と IAEA 保障措置の位置づけ
(*)冷戦終結により国際安全保障環境が大きく変化し、核不拡散政策は従来の二国間・軍事中心の枠組みから、国際的・制度的アプローチへの転換が求められている。この新しい環境では、IAEA 保障措置が核物質管理だけでなく、透明性向上・信頼醸成・未申告活動の検知といった広範な役割を担う必要がある。本論文は、政策・制度・技術の観点から、保障措置の役割拡大が核不拡散政策の将来に不可欠であると論じる。(DOE)
Fuzzy Risk Analysis for Safeguards and Network Security Andrew Zardecki, Laura A. Stoltz
保障措置およびネットワークセキュリティにおけるファジィリスク分析
— 曖昧性を含む脅威・脆弱性評価のためのファジィ集合アプローチ
(*)保障措置システムやネットワークセキュリティのリスクは、脅威・脆弱性・影響度が明確に定量化できない場合が多く、ファジィ集合を用いたリスク分析が有効である。ファジィメンバーシップ関数により、侵入可能性や検知性能などの曖昧な要素を数値化し、従来の確率論では扱いにくい不確実性を体系的に評価できる。本論文は、保障措置とネットワーク防護の双方に適用可能なファジィリスク分析モデルを提示し、複合的脅威環境における意思決定支援を目的とする。(LANL)
Heat-transfer Analysis of the Operation of Isothermal and Heat-flow Plutonium Assay Calorimeters J. A. Mason, N. Bainbridge
等温型および熱流型プルトニウム定量カロリメータの運転における熱伝達解析
— 熱設計・温度安定性・応答特性が測定精度に与える影響の評価
(*)等温型および熱流型カロリメータの熱伝達挙動を解析し、熱設計・温度安定性・外乱応答がプルトニウム定量精度に与える影響を評価した。熱抵抗・熱容量・外部温度変動のモデル化により、各方式の応答時間・安定性・測定誤差の特徴を比較した。解析結果は、カロリメータの設計改善(断熱性・熱結合・制御方式)に直接反映され、高精度な Pu 熱出力測定のための設計指針を提供する。(英国 ANTECH(Applied Nuclear Technologies))
IAEA Safeguards Experience in the Last Ten Years (1982-1991) A. Adamson, V. Bychkov 過去10年間のIAEA保障措置の経験(1982-1991)
IAEA 保障措置の過去 10 年間(1982–1991)の経験
— 安定成長期における制度運用・技術導入・査察実務の総括<1982–1991 は、強化保障措置(93+2)以前の成熟期として重要>
(*)1982〜1991 年は、IAEA 保障措置が制度的にも技術的にも安定成長を続け、査察手法・C/S 技術・計量管理の高度化が進んだ 10 年間であった。この期間に、査察頻度の増加、無人監視システムの導入、計量管理の標準化、査察官訓練の強化などが進み、保障措置の信頼性と効率性が向上した。本論文は、この 10 年間の成果と課題を整理し、1990 年代以降の強化保障措置(93+2)への移行に向けた基盤形成期としての意義を示す。(IAEA)
IAEA Safeguards for the Late 1990s James M. de Montmollin
1990 年代後半に向けた IAEA 保障措置の方向性
— 冷戦後の国際環境における制度強化と新たな役割の展望<冷戦終結直後(1992 年)という歴史的転換点において、1990 年代後半に向けて IAEA 保障措置がどのように進化すべきかを示した政策・制度的ビジョン論文。後の「93+2 強化保障措置」につながる思想が明確に見える重要文献。>
(*)IAEA 保障措置は 1957 年の創設以降発展してきたが、冷戦終結後の国際環境変化により、未申告活動の検知・透明性向上・情報分析の強化が不可欠となった。1990 年代後半に向けて、保障措置は従来の施設中心の査察から、国家全体を対象とする包括的アプローチ(state-level approach の萌芽)へ移行する必要がある。本論文は、制度改革・技術強化・国際協力の観点から、保障措置の役割拡大と近代化の方向性を提示する。(IAEA)
Implementation of the Department of Energy’s “Personnel Security Assurance Program” Richard L. Renne
DOE「人員セキュリティ保証プログラム」の実施
— 大統領令・連邦規則・DOE 命令に基づく適格性審査と継続監視の制度化
(*)DOE の Personnel Security Assurance Program(PSAP)は、大統領令 12584、10 CFR 710、DOE Order 5631.6 に基づき、核関連業務従事者の信頼性・適格性を継続的に評価する制度として整備された。本論文は、薬物検査、心理評価、職務適格性審査、行動監視などの要素を統合し、内部脅威の早期発見とリスク低減を目的とした運用プロセスを解説する。制度導入に伴う組織的課題(プライバシー保護、運用負荷、訓練要求)と、安全保障上の効果が示されている。(DOE)
Improved Accountability Method for Measuring Enriched Uranium in H­ Canyon Dissolver Solution at the Savannah River Site Sherrod. L. Maxwell Ill, James Satkowski
サバンナリバーサイト H‑Canyon 溶解液中の濃縮ウラン測定におけるアカウンタビリティ手法の改良
— 同位体希釈質量分析(IDMS)を基盤とした測定精度向上と運用改善
(*)H‑Canyon の溶解液中の濃縮ウランは、同位体希釈質量分析(IDMS)によりアカウンタビリティ測定されているが、試料調製・スパイク添加・化学回収率に起因する誤差が課題であった。本研究では、スパイク濃度の最適化、試料均質化手順の改善、化学分離工程の標準化により、測定不確かさを低減し、再現性を向上させた。改良手法は、H‑Canyon の核物質計量管理の信頼性を高め、施設全体のアカウンタビリティ精度向上に寄与する。(SRL)
Improvement of Sample Preparation for Input Plutonium Accountability Measurement by Isotope Dilution Gamma-ray Spectrometry J. MASUI, S. Sato, T. K. Li, J. L. Parker, K. NISHIDA, E. A. Hakkila, Y. Kuno
同位体希釈ガンマ線分光法によるプルトニウム受入アカウンタビリティ測定のための試料調製法の改良
— 均質化・スパイク添加・化学処理の最適化による測定精度向上
(*)同位体希釈ガンマ線分光法(ID‑GS) によるプルトニウム受入アカウンタビリティ測定では、試料調製工程(均質化、スパイク添加、化学処理)が測定精度の主要な誤差要因となっていた。本研究は、試料の均質化手順、スパイク溶液の調製・添加方法、化学分離工程の標準化を改良し、測定の再現性と不確かさを大幅に改善した。改良手法は、再処理施設における Pu 計量管理の信頼性向上に寄与し、ID‑GS の実用性を高める重要な成果となった。(PNC, LANL)
Improving Technology Information Exchange Within the U.S. Department of Energy Is Vital to Meeting Its Environmental Restoration Mission Rebecca M. lmbolz, Harold Kurstedt, Evelyn Wight
End(4) DOE の環境修復ミッション達成に不可欠な技術情報交換の改善
— 組織分断の解消と情報共有基盤の強化に向けた提案
(*)DOE の環境修復(Environmental Restoration)ミッションを達成するには、技術情報の迅速かつ正確な共有(information exchange)が不可欠であると指摘。現状の DOE 内部では、組織分断・情報の孤立化・標準化不足により、技術知識の伝達が遅延し、重複作業や非効率が発生していることを分析。これらの課題に対し、情報体系化・データベース統合・標準化されたコミュニケーションプロトコルなど、DOE 全体での情報共有改善策を提案した。(Virginia Polytechnic Institute & State University(Virginia Tech), DOE)
In-Situ Nitrite Analysis in High Level Waste Tanks Ronald R. Livingston, Patrick E. O’Rourke
高レベル廃液タンクにおける亜硝酸イオンの現場分析
— 放射線場対応プローブによる連続濃度監視技術
(*)高レベル廃液タンク内の亜硝酸イオン(NO-)濃度を 現場(in/situ)で迅速測定するための光学・電気化学的手法を開発した。試料採取を伴う従来法と異なり、放射線場・腐食性環境下でも使用可能なプローブをタンク内部に直接挿入し、連続的な濃度監視を実現。この in-situ 測定は、腐食抑制・化学平衡管理・プロセス安全性向上に寄与し、HLW タンク運転の信頼性を大幅に高めることを示した。(SRL)
Independent Verification of Tank Volume Measurements by Pressure-volume Authentication Bernard Keisch, Sylvester Suda
圧力–体積認証法によるタンク容量測定の独立検証
— 保障措置におけるタンク計量の信頼性向上のための物理的認証手法
(*)タンク容量測定は運転者申告に依存することが多く、保障措置上、独立した検証手段の確立が課題であった。Pressure‑Volume Authenticator(PVA)は、タンクに圧力変化を与え、その体積応答を測定することで、タンク容量を非破壊かつ独立に認証できる。本論文は、PVA を用いたタンク容量測定の実証結果を示し、保障措置におけるタンク計量の信頼性向上に有効であることを示す。(BNL)
Initial Laboratory Evaluation of Color Video Cameras Preston L. Terry
カラー監視カメラの初期実験室評価
— 警報評価用 CCTV における画質・低照度性能・運用適合性の比較検証
(*)SNL は長年モノクロ CCTV を警報評価に使用してきたが、カラー化の可能性を検討するため、複数のカラー監視カメラの実験室評価を実施した。評価項目は、解像度、色再現性、低照度性能、逆光耐性、ノイズ特性などで、カラー化による利点と制約が明確化された。結果として、カラーは識別性向上に寄与する一方、低照度性能の低下が課題であり、運用環境に応じた適用判断が必要であると結論づけた。(SNL)
Integrated Safeguards Concepts for Gas Centrifuge Uranium Enrichment Plants Hellen M. Hunt
ガス遠心分離濃縮施設における統合保障措置コンセプト
— 短期間での HEU 盗取につながる運転変更を、早期に検知・抑止するための監視・計量・運転情報の統合的適用
(*)ガス遠心分離濃縮施設では、運転条件をわずかに変更するだけで短期間に HEU を生産できるため、従来の査察中心の保障措置では逸脱検知が困難である。本論文は、オンライン監視、運転データ解析、計量管理、封じ込め・監視(C/S)を組み合わせた統合的保障措置(Integrated Safeguards)の概念を提示し、早期検知能力の向上を図る。これにより、濃縮施設に特有の「迅速な逸脱」のリスクに対応し、保障措置の信頼性と実効性を高める枠組みを示す。(ORNL)
Interaction of Safeguards Instrumentation used in Large Plutonium Stores P. J. Chare, W. Kloeckner, R. Schenkel, H. G. Wagner
大規模プルトニウム貯蔵施設における保障措置機器の相互作用
— C/S・NDA・データ管理システムの同時運用に伴う設計・運用上の課題と最適化
(*)欧州共同体で建設された大規模プルトニウム貯蔵施設では、多数の保障措置機器(C/S、NDA、監視システム)が同時に運用されるため、機器間の相互干渉や運用上の整合性が重要課題となった。本論文は、Pu ストアの一般的設計を前提に、封印・監視カメラ・NDA 機器・データ認証装置などの相互作用を分析し、信頼性・冗長性・データ整合性を確保するための設計指針を示す。結果として、保障措置機器の配置・電源・通信・データ管理を統合的に最適化することが、大規模 Pu 貯蔵施設の保障措置実効性を高める鍵であると結論づけている。(EURATOM, JRC)
International Safeguards at the Crossroads: Are They Relevant? Myron Kratzer
岐路に立つ国際保障措置:その意義は失われたのか
— 冷戦後の核拡散環境における NPT・IAEA 保障措置の役割再評価
(*)冷戦終結後、核兵器国は 5 カ国に固定化され、インドなどの非 NPT 核保有国が存在する中で、従来型の IAEA 保障措置の有効性が問われている。未申告活動の検知、地域紛争、核物質の拡散リスクなど、従来の制度設計では対応しきれない課題が顕在化し、保障措置の役割・範囲・手法の再定義が必要とされる。本論文は、NPT 体制の限界と強化の方向性を示し、国際保障措置が今後も意義を持つための条件を論じている。(元米国国務省)
International Safeguards Without Material Balance Areas Joseph P. lndusi, Ming-Shih Lu, Jonathan B. Sanborn
核物質収支区域(MBA)を用いない国際保障措置の概念
— 財政制約と未申告活動リスクを踏まえた新たな保障措置アプローチの検討
(*)NPT 体制の役割変化や IAEA の財政制約を背景に、従来の MBA ベースの保障措置は、コスト効率・未申告活動検知能力の両面で限界が指摘されている。本論文は、オンライン監視、プロセスデータ解析、C/S、統計的サンプリングなどを組み合わせ、MBA を設定せずに保障措置を成立させる概念的枠組みを提示する。このアプローチは、施設の複雑化や運転者依存の削減に対応し、より柔軟でリスクベースの保障措置設計を可能にする。(BNL)
Intra-site Secure Transport Vehicle Steven H. Scott, Marvin Plugge
施設内セキュア輸送車(物理防護機能を備えた専用輸送車)
— 核物質の施設内移送における安全性・セキュリティ強化のための専用車両設計と運用要件
(*)1980年代、多くの核施設で、核物質の施設内移送における安全性・セキュリティの強化が必要と認識され、専用のセキュア輸送車の開発が進められた。本論文は、衝突安全性、アクセス制御、監視システム、通信機能、運転者保護などを統合した施設内専用輸送車の設計要件と評価結果を示す。この車両は、内部脅威・外部脅威の双方に対する防護能力を高め、核物質移送のリスク低減に寄与する。(SNL)
Investigation of the Applicability of Safeguards Technologies to Evolving Arms Control and Nonproliferation Scenarios D. G. Langner, H. O. Menlove, N. Ensslin, H. A. Smith, M. S. Krick, G. E. Bosler, K. E. Apt
進化する軍備管理・不拡散シナリオへの保障措置技術の適用可能性の検討
— 既存 NDA・C/S 技術を軍備管理検証へ拡張するための概念的評価
(*)既存の IAEA 保障措置技術(NDA、C/S、データ認証)は、冷戦後に拡大する軍備管理・不拡散の検証ニーズに対して、有効な基盤技術となり得る。本論文は、核兵器解体、余剰核物質の管理、透明性措置などの新しいシナリオに対し、保障措置技術をどのように適用・拡張できるかを体系的に評価する。その結果、技術的には高い適用可能性がある一方、機密保護・アクセス制限・政治的制約が主要な課題であると結論づけている。(LANL)
Item Monitoring at Nuclear Fuel Services Terry W. Lewis
Nuclear Fuel Services におけるアイテム監視(Item Monitoring)
— 戦略特殊核物質(SSNM)の損失検知を強化するための監視・追跡技術の開発
(*)NFS は、SSNM の損失検知能力を向上させるため、アイテム単位での継続監視(item monitoring)技術を開発した。この技術は、封印、タグ、位置監視、データロギングを組み合わせ、アイテムの移動・状態変化をリアルタイムで把握できるようにする。結果として、従来の在庫確認(inventory)に依存した方式よりも、迅速な異常検知と内部脅威対策の強化が可能となる。(Nuclear Fuel Services(NFS, Tennessee))
JRC Technical Support Programme to EURATOM Safeguards M. Cuypers, D. Landat, W. Kloeckner, D. Van der Eecken, R. Schenkel
EURATOM保障措置に対するJRC技術支援プログラム
Line Security Upgrade Considerations: Alarm Communications  Calvin D. Jaeger, Alan Y. Liang
警報伝送路セキュリティ更新における警報通信の検討事項
— 侵入検知システムの警報伝送路(line security)を強化するための通信(communication)要件
(*)警報多重化通信システム(AMCS)は、屋内外の侵入検知センサからの警報を中央監視室へ確実に伝達するための基盤であり、その信頼性は警報伝送路(line security)の健全性に大きく依存する。本論文は、警報伝送路に対する妨害・断線・誤作動といった脅威を踏まえ、必要な情報を正しく人間に伝えるという communication の本質的機能を維持するための通信要件を体系的に整理する。冗長化構成、通信路監視、信号認証、EMI 対策、自己診断などの強化策を検討し、これらを適切に組み合わせることが侵入検知システム全体の信頼性向上に不可欠であると結論づけている。(SNL)
MACH A computer Tool to Assess a Protection System J. P. Gayral, M. Gluais, M. Bena
MACH:保護システムを評価するためのコンピュータツール
— CEA/DAM の Plan MACH‑PP における保護システム効率評価(MACH‑2)ツール<Plan MACH‑PP の公式構造:MACH‑1:対象施設の重要度評価・優先順位付け、MACH‑2:保護システムの効率評価(今回の論文の対象)、MACH‑3:改善計画の策定>
(*)フランス原子力庁(CEA)軍事応用局(DAM)は、重要施設の物理防護を体系的に改善するため、Plan MACH‑PP を立ち上げ、その一環として 保護システムの効率を定量評価するコンピュータツール「MACH」 を開発した。このツールは、脅威シナリオ、侵入経路、検知・遅延・対応要素をモデル化し、既存防護システムの弱点や改善優先度を分析できるようにする。結果として、施設ごとの防護投資判断を合理化し、最適な防護強化計画(MACH‑3)につなげるための基盤を提供する。(CEA)
Maintaining Continuity of Knowledge on Safeguards Samples A. B. M. N. Islam, Mark Baumann, F. Franssen, J. L. Schoeneman, C. S. Sonnier
保障措置サンプルにおける知識の連続性(CoK)の維持
— 採取・封印・保管・輸送・分析にわたるサンプル管理の封じ込め・監視要件
(*)保障措置サンプルは、採取から分析までの全期間にわたり、真正性・完全性・未改変性を保証するための知識の連続性(CoK)が不可欠である。本論文は、封印、監視、追跡、記録管理、輸送手順などを統合し、サンプルの取り違え・改変・紛失を防止するための実務的な CoK 維持手法を整理する。これにより、分析結果の信頼性を確保し、保障措置上の結論を支える証拠能力を強化することが可能となる。(IAEA)
Matrix and Position Correction of Shuffler Assays by Application of the Alternating Conditional Expectation Algorithm to Shuffler Data P. M. Rinard, Mark M. Pickrell
Shuffler 測定のマトリクス効果・位置依存性補正
— ACE(Alternating Conditional Expectation)アルゴリズムを用いた 252Cf Shuffler データの統計的補正手法<ACE(Alternating Conditional Expectation)アルゴリズムの役割:非線形関係をデータから自動抽出、応答変動の原因を統計的に分離、最適な変換関数を推定、多変量の相互作用も扱える>
(*)252Cf Shuffler は、アクティブ中性子照射後の遅発中性子を計数して核分裂性物質量を求めるが、試料マトリクスや位置ずれによる応答変動が測定誤差の主要因となる。本研究では、Shuffler データに ACE アルゴリズムを適用し、非線形かつ複雑なマトリクス効果・位置依存性を統計的に抽出して補正関数を最適化した。その結果、従来の線形補正よりも精度が向上し、Pu・HEU の NDA 測定における不確かさ低減に有効であることが示された。(LANL)
Measurement of the Assay Precision of the Active Neutron Multiplicity Technique M. C. Miller, D. G. Langner, N. Ensslin, M. S. Krick, D. W. Miller
アクティブ中性子照射による核分裂中性子の同時検出パターンを用いた測定法の精度評価
— 1 個発生・2 個同時発生・3 個同時発生の計数特性に基づくアッセイ精度の実測検証
(*)アクティブ中性子照射により誘起される核分裂から、1 個だけ検出される中性子、2 個同時に検出される中性子、3 個同時に検出される中性子の計数を解析し、この手法の繰り返し測定精度を実測した。照射条件、検出器応答、計数統計の揺らぎを詳細に評価し、測定ばらつきを生む要因(源強度・幾何・統計)を分離して定量化した。その結果、この同時検出パターン解析法は、核分裂性物質の量推定において実用的な精度を達成し得ることが確認された。(LANL)
Measurement of Trace Uranium-235 and Plutonium-239, 240 in Waste Tank Material at the Savannah River Site Sherrod. L. Maxwell III, Roger N. Mahannah
サバンナリバーサイト廃液タンク中の微量ウラン‑235およびプルトニウム‑239、240 の測定
— 高放射性廃液マトリクス中に含まれる微量核種の高感度定量法の適用
(*)SRS の高レベル廃液タンクでは、蒸発濃縮により複雑な化学組成と高放射能を持つマトリクスが形成され、微量の U‑235 と Pu‑239/240 の定量が困難となる。本研究では、前処理(溶解・分離・化学精製)と高感度測定法(α スペクトロメトリ、ICP‑MS、または KPA/LSA 系)を組み合わせ、廃液中の微量核種を妨害なく定量できる手法を確立した。その結果、廃液管理・核物質収支・保障措置の観点で重要な 微量核種の信頼性の高い測定値が得られた。(SRS)
Measurement of Uranium Concentration Utilizing Rosemount Pressure Transmitters Brian L. Faidley, Nancy C. Kenner
Rosemount 圧力トランスミッタを用いたウラン濃度の測定
— 溶液比重の圧力差測定によるウラン濃度推定システムの開発
(*)Rosemount 製差圧トランスミッタを用いて、溶液の静圧差から比重を算出し、ウラン濃度を連続的に推定する計装システムを開発した。この方式は、従来のサンプリング分析に比べて応答が速く、工程管理や核物質収支に必要なリアルタイム濃度監視を可能にする。実運転条件下での評価により、温度補正・キャリブレーション・タンク幾何の影響を適切に扱えば、工程管理に十分な精度が得られることが示された。(WSRC, SRS)
Meeting DOE’s Environmental Cleanup and Waste Management Challenges Richard J. Aiken, John F. Munro
DOE の環境修復・廃棄物管理における課題への対応
— 技術的・制度的障害を克服するための戦略的アプローチ
(*)DOE の環境修復・廃棄物管理(EM)プログラムは、老朽化施設、複雑な汚染、規制要求、利害関係者調整など、技術的・制度的に極めて困難な課題に直面している。本論文は、技術開発、プロジェクト管理、リスク評価、規制機関との協働、地域社会との関係構築を統合した 包括的な課題解決フレームワークを提示する。これにより、EM プログラムが長期的に持続可能な形で進展し、環境修復の加速とコスト削減を両立する道筋を示している。(DOE)
Methodology for Evaluating Insider Protection Strategy Joseph W. James, John D. Veatch, Randall M. Richardson, William Knox
End(5) 内部脅威対策戦略の評価手法
— 人物信頼性・アクセス管理・監視を統合した多層防護モデル
(*)内部脅威に対する防護戦略を評価するため、人物信頼性・アクセス管理・監視・行動観察・運用手順を統合した評価方法論(methodology)を提示した。内部者が取り得る行動シナリオをモデル化し、検知確率・遅延・運用統制・組織文化など複数要素を組み合わせて戦略の有効性を定量・定性的に評価する枠組みを構築。結論として、内部脅威対策は単一要素では成立せず、多層防護(defense‑in‑depth)と組織的要因の統合評価が不可欠であると示した。(WSRC)
Modeling Serial Engagements with Assess/Neutralization Byron Gardner, Mark Snell, William K. Paulus
ASSESS/Neutralization(攻撃の無力化、そのための検討用モジュール)を用いた逐次交戦モデル化手法
— 検知・遅延・応答を連鎖化した防護有効性評価
(*)物理防護評価ツール ASSESS の Neutralization モジュールを用いて、攻撃者と防護側の交戦(engagement)を 連続的・逐次的(serial engagements)にモデル化する手法を提示した。各交戦ステップでの 検知・遅延・応答・交戦成功確率を連鎖的に計算し、全体としての防護成功確率を評価できる枠組みを構築。このモデルにより、警備員配置・応答戦術・遅延要素の改善が どの交戦段階に最も効果を持つかを定量的に分析できることを示した。(LANL)
Monitoring Human Error with Control Charts by Exploiting Existing Data Collection Systems Mary Ann French, Dewey L. Whaley
既存データ収集システムを活用した管理図による人的エラー監視
— 運転データの統計的解析による異常傾向の早期検知
(*)既存の運転データ収集システムを活用し、人的エラー発生を管理図(control charts)で統計的に監視する手法を提案した。人的エラーを「工程のばらつき」として扱い、異常傾向・逸脱パターンを早期に検知することで、運転信頼性の向上を図る。このアプローチは追加のデータ収集を必要とせず、既存データの再利用による低コストな人的信頼性監視を可能にする。(WSRC)
Monte Carlo Code Criticality Benchmark Comparisons for Waste Packaging H. P. Alesso, C .E. Annese, R. M. Buck, .S. Pearson, W. R. Lloyd
廃棄物パッケージにおけるモンテカルロコード臨界度ベンチマーク比較
Multi-State Modeling in ASSESS Mark Snell, C.J. Patenaude, Brad Key, David S. Fortney
ASSESS におけるマルチステート・モデリング
— 状態遷移を考慮した脅威進行と防護性能の統合評価
(*)ASSESS における防護要素(検知・遅延・応答)を、単一状態ではなく複数状態(multi‑state)として扱うモデルを提案した。各状態に応じて、攻撃者の進行度・防護側の対応・検知確率・遅延性能が変化することを表現し、より現実的な脅威シナリオ解析を可能にした。この multi‑state モデルにより、従来の単純化モデルでは捉えられなかった 時間依存性・状態依存性の脆弱性を評価できるようになった。(LANL)
Multiple State Modeling in ASSESS Outsider Mark K. Snell, Bryan Bingham, Brad Key, Scott Walker
ASSESS Outsider モジュール利用におけるマルチステート・モデリング
— 状態遷移を考慮した外部脅威進行と防護性能の統合評価
(*)ASSESS Outsider モジュールに multi‑state(複数状態)モデルを導入し、攻撃者の進行を段階的に表現する手法を提示した。状態ごとに検知性能・遅延要素・応答条件が異なることを反映し、より現実的な外部脅威シナリオ解析を可能にした。このモデルにより、従来の単一状態モデルでは見落とされていた 状態依存の脆弱性・時間依存性 を評価できるようになった。(LANL)
Network Security Mangement System Richard Schonbachler, Ted Wright
ネットワークセキュリティ管理システム
— 監視・アクセス制御・異常検知を統合した核施設向け情報防護基盤
(*)核施設のネットワーク環境におけるセキュリティ管理を統合的に行うため、Network Security Management System(NSMS) の構成と機能を提示した。既存ネットワークの監視・アクセス制御・ログ管理・異常検知を一元化し、運用者がリアルタイムにセキュリティ状態を把握できる仕組みを構築。このシステムにより、ネットワークの脆弱性評価・侵入兆候の早期検知・運用管理の効率化が可能となり、核施設の情報セキュリティ基盤強化に寄与することを示した。(SNL)
Neutron Activation Analysis as a Cost Effective Alternative to Wet Chemistry Methods F. F. Dyer, L. Robinson, D. W. Combs
湿式化学分析法に対するコスト効率の高い代替としての中性子放射化分析
— 前処理最小化と照射条件最適化により多元素を高効率で同時定量する環境試料分析手法
(*)汚染地域の大規模土壌試料を対象に、中性子放射化分析(NAA)を湿式化学法の低コスト代替として確立した。前処理最小化・照射条件最適化・1回ガンマ測定化により、Hg・U同位体・重金属を高スループットで同時定量可能とした。EPA準拠の品質保証体系を維持しつつ、1日100試料超の処理能力と多元素分析の効率化を実証した。(ORNL)
New International Non-proliferation Regime and the Role of IAEA Hiroyoshi Kurihara
新たな国際不拡散体制とIAEAの役割
— 冷戦後の制度再構築における保障措置強化と国際協力枠組みの再定義
(*)冷戦終結後の急速な国際情勢変化により、従来の核不拡散体制は制度的再構築を迫られ、IAEAの役割拡大が不可避となった。新たな不拡散体制では、未申告活動の検知・透明性向上・保障措置の強化(93+2)が中心課題として浮上した。IAEAは、国際協力の枠組み強化・情報分析能力の向上・包括的保障措置の適用拡大を通じて、新体制の中核的機関として機能する必要性が示された。(STA-Japan)
New Strategies for Protecting Special Nuclear Material David Crawford
特殊核物質防護のための新たな戦略
— 複合施設再編・武器解体・近代化に対応したリスクベース防護とMC&A統合強化
(*)核兵器削減・複合施設再編・近代化に伴い、特殊核物質(SNM)の保管・移転・測定の形態が大きく変化し、新たな脅威と脆弱性が顕在化した。これに対応するため、リスクベースの防護設計、統合的アクセス制御、材料管理(MC&A)と物理防護(PP)の連携強化が不可欠となった。DOEは、施設再構成に適応した柔軟な防護アーキテクチャ、異常検知の高度化、SNM移転時のセキュリティ強化を柱とする新戦略を提示した。(DOE)
Non-proliferation and international Safeguards Andre Petit
不拡散と国際保障措置
— 冷戦後の課題多様化に対応したIAEAの役割強化と国際協力枠組みの再編
(*)INMM が新たに「国際保障措置・不拡散部門」を設立した背景として、冷戦後の不拡散課題の多様化と、IAEA保障措置の強化要求の高まりが指摘された。新体制では、未申告活動の検知、核物質移転の透明性向上、地域的枠組み(EURATOM等)との協調が重要な柱となる。IAEAは、情報分析能力の拡充、追加的検証手段の導入、国際協力の再構築を通じて、不拡散体制の中核機関としての役割を再定義する必要性が示された。(CEA)
Non-proliferation Aspects of Commercial Nuclear Fuel Cycle Paul J. Persiani
商業用核燃料サイクルの不拡散上の論点
— 低濃縮U・Pu-U再処理・増殖炉サイクルの比較による核拡散リスク評価とカルトロン転用可能性の定量分析<カルトロン(Calutron)は、電磁同位体分離(EMIS)を用いてウラン同位体を分離する大型装置で、質量分析計と同じ原理で動作する。第二次大戦期に HEU 生産に使用された歴史的技術で、現代では非効率だが、技術的に単純で秘匿性が高いため、不拡散評価では依然として重要な転用リスクとして扱われる。>
(*)商業用核燃料サイクルの不拡散性を評価するため、低濃縮U(denatured U)・Pu-U再処理・増殖炉の11種類のサイクルを比較し、核物質転用の技術的難易度を定量化した。現行技術のカルトロンを用いたHEU生産では、3%濃縮Uのアップグレードは天然Uからの2段階濃縮より20倍容易であり、16–20台のカルトロンと6–8集合体で1年以内にHEUが得られることが示された。結果として、ウラン系フロントエンドとプルトニウム系バックエンドの双方で不拡散対策を強化すべきであり、体系的な転用シナリオ分析の導入が必要とされた。(ANL)
Nondestructive Assays of 55-Gallon Drums Containing Uranium and Transuranic Waste Using Passive-active Shufflers P. M. Rinard, H. O. Menlove, J. K. Sprinkle, E. L. Adams
パッシブ・アクティブ・シャフラーを用いた55ガロンドラム中のウランおよびTRU廃棄物の非破壊測定
— 遅発中性子法とパッシブ計数を統合したドラム廃棄物の核物質量評価手法
(*)パッシブ・アクティブ・シャフラー(PAS)を用いて、55ガロンドラム中のウランおよびTRU廃棄物の核物質量を非破壊で定量する手法を評価した。アクティブ照射による遅発中性子測定と、パッシブ計数による自発核分裂・(α,n)反応の寄与評価を組み合わせ、ドラム内の不均質性や遮蔽効果を補正した。結果として、低濃度UからTRU混合廃棄物まで広範なマトリクスに対し、信頼性の高い核物質量推定が可能であり、廃棄物管理・保障措置の双方に有効であることを示した。(LANL)
Nuclear Material Accounting: The Next Generation L. P. McRae, E. A. Kern, P. B. O’Callaghan, D. Yearsley
核物質計量管理:次世代システムへの移行
— LANMAS による標準化・高信頼化・セキュリティ強化を実現する新アーキテクチャ
(*)旧来の核物質計量管理システムは、老朽化・高コスト・セキュリティ不足により、現行のDOE/NRC要件に適合しなくなりつつある。LANL と Westinghouse Hanford は、マイクロコンピュータ技術とLANアーキテクチャを活用した次世代システム LANMAS を共同開発し、性能向上と標準化を図った。LANMAS は、低コスト・高信頼性・強化されたセキュリティ機能を備え、DOE/NRC施設間での共通基盤としての利用が期待される。(WHC, LANL)
On the Relevance of Reported Data for Material Balance Verification Rudolf Avenhaus, M. J. Canty
報告データの物質収支検認における有効性
— データ改ざんを想定した最適検定手続きと独立測定の役割
(*)故意のデータ改ざんが排除できない状況を想定し、物質収支検認における最適な統計検定手続きを理論的に導出した。報告データを検証当局が完全に独立測定で確認できる場合、報告値は使用せず、検証者自身の測定値のみで物質収支を構成するのが最適であることを示した。一部しか検証できない場合には、報告データの信頼度を統計的に組み込んだ最適検定が必要であると結論づけた。(ドイツ連邦軍大学ミュンヘン校(Universität der Bundeswehr München), ユーリッヒ研究センター(Forschungszentrum Jülich GmbH))
PAMTRAK: A Personnel and Material Tracking System DeNise Anspach, Jonathan Anspach, John A. Abbott, Paul A. Wayne
PAMTRAK:人員・物品統合追跡システム
— RFIDとポータル検知を用いた核施設の動線監視と未承認移動検知の自動化
(*)Sandia は、核施設における人員動線と核物質移動を統合的に追跡する自動化システム PAMTRAKを開発し、その有効性を評価した。システムは、RFIDタグ・ポータル検知器・中央データベースを組み合わせ、人物と物品の同時追跡、未承認移動の検知、リアルタイム警報を実現する。結果として、アクセス制御・物質管理(MC&A)・物理防護(PP)の連携強化が可能となり、核施設の内部脅威対策に大きく寄与することが示された。(SNL)
Performance Predictions for a Passive Infrared Intrusion Detection System James Lacombe
受動型(照射を行わない)赤外線侵入検知システムの性能予測
— 野外試験と性能モデルによる温度差・距離・速度依存性の評価
(*)屋外用PIR侵入検知センサの性能を評価するため、野外試験と性能モデルの開発を実施した。モデルは、背景温度・目標温度差、目標サイズ、距離、速度などの変化に対するセンサ感度を予測する。このPIRモデルは、固定施設や戦術監視における最適なセンサ配置・設定の決定に有用であると結論づけられた。(U.S. Army Cold Regions Research and Engineering Laboratory(CRREL)  )
Performance Testing: If Only We Knew Then What We Know Now Kay E. Ondracek
性能試験:当時それを知っていれば——過去の教訓に基づく試験手法の再考
— 予算縮小・ミッション変化・新規規制に対応した試験改善の必要性
(*)安全保障予算の縮小や規制変更により、従来の性能試験(performance testing)の方法では十分でないことが明らかになった。過去の試験から得られた教訓を整理し、より安全で、コスト効率が高く、実運用に即した試験方法の必要性を指摘する。施設のミッション変化に対応するため、試験計画・評価基準・データ収集方法の改善が不可欠であると結論づけている。(SNL)
Performance-based Training & Expanding Applications John L. Hehmeyer, Melvin F. Duff
実際の職務遂行能力を測る訓練方式(パフォーマンスベース訓練)とその応用拡大
— DOE 複合施設における任務変化・規制強化・コスト制約への対応
(*)DOE 複合施設では、ミッション変更・規制強化・コスト制約により、従来の知識中心の訓練から、実務能力を測るパフォーマンスベース訓練(PBT)への移行が加速した。PBT は、実際の任務遂行能力(タスクパフォーマンス)を評価し、訓練内容を職務要件に直接結びつける方式として、Safeguards & Security の多領域に拡張されている。その結果、訓練の質の向上・コスト効率化・規制適合性の強化が可能となり、DOE 全体での標準化が進んでいる。(SNL)
Personal Computer Tools for Inventory Difference Analysis Using Off-the-shelf Software Joseph D. Rivers, Kenneth A. Owen
市販ソフトを用いた在庫差(Inventory Difference)分析のためのパソコンツール
— DOE 要求に対応した統計評価の効率化と実務適用
(*)DOE 政策では、核物質の Inventory Difference(ID:在庫差) を統計的に評価することが義務付けられており、その実務負担が増大していた。本論文は、市販の PC ソフト(スプレッドシート、統計パッケージ)を活用し、ID の統計評価を効率化するためのツール群を紹介する。これにより、現場レベルでの迅速な ID 分析、コスト削減、標準化された評価手順が可能になると結論づけている。(DOE)
Perspective on Acceptance Issues and Governmental Actions for a Deep Underground Repository in France Pierre Saverot
End(6) フランスにおける深地層処分の受容性課題と政府の対応
— 社会的受容性・政策措置・地域協働の視点から
(*)フランスにおける深地層処分(Deep Underground Repository)計画について、社会的受容性(acceptance issues) と 政府の政策的対応(governmental actions) を整理した。技術的妥当性だけでは受容性は得られず、透明性・段階的アプローチ・地域社会との協働 が不可欠であると指摘。政府は法制度整備、研究プログラムの公開、地域との合意形成プロセスを進め、長期的信頼構築を重視した政策転換を行っていると述べる。(CEA)
Plutonium Behavior During Flush-out Operation of a Reprocessing Process Yasuhide Kojima, Michihisa Maeda
再処理プロセスのフラッシュアウト操作(残留 Pu の回収を目的とした洗浄操作)におけるプルトニウム挙動
— 残留・再溶解・移行特性の解析
(*)再処理工程のフラッシュアウト操作における プルトニウムの残留・再溶解・移行挙動 を実験データと運転データから解析した。プルトニウムは沈着形態・酸化状態・溶液化学条件により挙動が大きく変化し、洗浄効率・残留量・再溶解速度に影響することを示した。得られた知見は、再処理工程の 核物質管理(MC&A)・工程管理・残留量評価 の精度向上に寄与する。(PNC)
Portable Reporting and Display System (PRDS) Douglas G. Adams, I. Lt. James,  A. Thurber
携行型報告・表示システム(PRDS)
— 米空軍分散型統合セキュリティシステムにおける移設可能センサとの連携<PRDS(Portable Reporting and Display System)は、空軍が核兵器・核弾頭・特殊兵器を輸送・分散配置する際の“周辺防護(perimeter security)” のためのシステム>
(*)PRDS は、米空軍の 分散型統合セキュリティシステム(DISS) の一要素として、移設可能センサからの警報・状態情報を携行型端末で表示・管理するシステムである。センサの迅速な再配置や、前線・臨時拠点での運用を想定し、機動性・即応性・現場での状況把握能力の向上を目的として設計されている。PRDS により、固定施設に依存しない柔軟な防護態勢が可能となり、戦術的状況に応じたセキュリティ運用が実現する。(U.S. Air Force(USAF))
Potential Advantages of Neutron Multiplicity Counting for Plutonium Waste Assay Hellen M. Hunt
プルトニウム廃棄物アッセイにおける
核分裂中性子の同時発生パターン利用の利点
(*)現行の中性子 NDA では、Pu 廃棄物の量を十分な精度で測れない場合がある。核分裂で 1 個・2 個・3 個と“まとめて”飛び出す中性子の発生パターンを解析すると、Pu 由来の中性子と(α,n)中性子を区別しやすくなる。この“同時発生パターン”の利用により、Pu 廃棄物アッセイの精度向上が期待できる。(LANL)
Potential Information Requirements for Spent Nuclear Fuel James A. Disbrow
使用済燃料に必要となる情報要件の検討
— DOE/EIA によるデータ整備と標準化の課題
(*)DOE/EIA は、使用済燃料の管理・輸送・貯蔵・最終処分に必要となる 情報項目(データ要件) を体系的に分析した。既存のデータベースでは、燃料履歴・燃焼度・初期濃縮度・発熱量・寸法・被覆管状態 などの重要情報が不十分であることが判明した。将来の政策立案や施設設計のためには、標準化されたデータ収集方式と、より詳細な燃料特性情報の整備(DOE)
Potential Solutions to the NIMBY (Not in My Backyard) Problem Herbert lnhaber
NIMBY(自分の地域には置きたくない)問題への潜在的解決策
— 米国・カナダの取り組みに基づく政策的アプローチ
(*)米国 Nuclear Waste Negotiator(David Leroy)の最近の取り組みや、カナダの類似事例から、NIMBY(Not In My Backyard)問題を緩和する新しいアプローチが示唆されている。住民の反対は、単なる恐怖ではなく、リスク・利益・補償の不均衡から生じるため、これを是正する政策的手法が必要である。補償制度、地域参加、意思決定の透明性、受入地域への実利提供などが、NIMBY 問題を解決する有望な方策として提示されている。(NRC)
Prescription v. General Performance Criteria in Standards Development: A Case Study of Physical Security Regulation James R. Tourtellotte
規定型基準と性能基準の比較:物理防護規制における標準策定の事例研究
— 技術革新と規制柔軟性の観点からの検討
(*)技術標準は、詳細な仕様を定める方式(prescriptive) と、達成すべき性能だけを示す方式(performance-based) のどちらを採用するかで、技術の発展速度や柔軟性が大きく変わる。物理防護規制の事例では、仕様規定型は一貫性を確保できる一方で、技術革新を阻害し、状況適応性が低いという問題がある。一方、性能基準型は柔軟性が高く、脅威・環境・技術変化に対応しやすいため、将来の規制設計では性能基準の比重を高めるべきだと論じている。(SNL)
Prioritizing and Scheduling Safeguards and Security Upgrade Projects Under Restricted Budgets Thomas Edmunds, Richard A. Saleh
限られた予算下での保障措置・セキュリティ改良プロジェクトの優先順位付けと実施計画
— リスク低減効果とコストを考慮した最適化手法
(*)予算が制約される中で、Safeguards & Security(S&S)の改良・更新プロジェクトを どの順番で、どの時期に実施すべきか を決めるための体系的手法を提示する。各プロジェクトの リスク低減効果、コスト、実施期間、依存関係 を評価し、最適な優先順位とスケジュールを導くモデルを提案する。このアプローチにより、限られた資金でも 最大の防護効果を得る投資計画 が可能になると結論づけている。(LLNL)
Proposed Integrated Data Acquisition System for Nuclear Material Safeguards J. K. Halbig, Hiroshi Hoida, C.M. Schneider, S. F. Klosterbuer, W.J. Hansen
核物質保障措置のための統合型データ取得システムの提案
―NDA無人監視データの収集・変換・解析を統合するソフトウェア基盤の構築
(*)本研究は、核物質の保障措置において重要な非破壊測定(NDA)機器の統合的データ取得を目的とし、複数機器のデータを一元的に扱う仕組みを構築するものである。Los Alamos National Laboratory が開発した COLLECT/CONVERT/REVIEW の3種のソフトウェアを基盤として、無人連続監視データの取得・変換・解析を統合的に扱うシステムを設計している。将来的には、複数のNDA装置の設定、リアルタイム監視、安全なデータ転送、データベース互換ファイル生成などを含む包括的な統合パッケージとして発展させる構想が示されている。(LANL)
Protection Program Planning in a Changing Environment Lewis A. Goldman, Lawrence Harris
変化する環境下における防護プログラム計画
―DOE Orders に基づく防護要求の整理と計画立案プロセスの体系化
(*)本論文は、DOE 複合体における防護プログラム(Safeguards & Security)計画の立案が、DOE Orders 5630.11・5630.13・5630.14 によってどのように指針づけられているかを整理するものである。これらの Orders は、核施設の防護・管理・運用に関する要求事項を規定し、脅威環境の変化に応じた計画更新と管理プロセスの整合性を確保する役割を持つ。著者らは、変化する環境下での防護計画において、リスク評価・資源配分・管理手順の体系化が不可欠であることを論じている。(Science Applications International Corporation (SAIC))
Protection System Effectiveness: A Qualitative Approach to Risk Modification for Insider Adversary Sets David R. Pickering
防護システム有効性:内部脅威アドバーサリ集合要素に対するリスク修正の定性的アプローチ
―定量指標では捉えきれない内部者特性を統合した防護評価枠組み
(*)防護システムの有効性を定量指標(検知率・遅延時間・応答時間など)だけで評価すると、内部脅威に特有の行動・動機・アクセス特性を十分に捉えられないことを指摘する。著者は、内部者 adversary set の多様性(職務権限、知識、動機、内部協力者の有無)を踏まえ、リスク修正(risk modification)を定性的に評価する枠組みを提案する。このアプローチは、SNL が進めていた行動特性・組織文化・手続き遵守度などの非数値的要素を統合し、内部脅威に対する防護システムの「実質的な強さ」を評価することを目的とする。(SNL)
Public-key Data Authentication for Treaty Verification Timothy Draelos, Steven Y. Goldsmith
条約検証のための公開鍵データ認証
―NIST DSS に準拠した認証モジュール(TDAM)と安全通信基盤の構築
(*)本研究は、二国間・多国間の軍備管理条約におけるデータ真正性確保(data authentication)のため、公開鍵方式を用いた認証技術の重要性を示すものである。Sandia が開発した Treaty Data Authentication Module(TDAM) は、NIST Digital Signature Standard に準拠し、暗号モジュール要件に沿って設計されたデジタル署名ベースの認証装置である。TDAM は Authenticated Data Communication Subsystem(ADCS)に組み込まれ、条約履行データの安全な送信・認証をユーザに意識させずに実現する透明な通信基盤として機能する。(SNL)
Quality Assurance Program for Low Level Waste Management in France Pierre Saverot, A. Canvel
フランスにおける低レベル放射性廃棄物管理の品質保証プログラム
―ANDRA が構築した段階的 QA 体系と受入基準・運用手順の統合
(*)ANDRA は過去 20 年にわたり、フランスの低レベル放射性廃棄物管理における品質保証(QA)体系を段階的に整備し、必要な品質レベルを規定する包括的プログラムを構築してきた。この QA プログラムは、廃棄物発生者・輸送者・処分施設運用者の各段階における技術要求・文書化・検証手順を統合し、廃棄物の受入基準と処分安全性を確保する仕組みとなっている。ANDRA は、規制要件・技術基準・運用経験の変化に応じて QA プログラムを継続的に更新し、フランス LLW 処分の信頼性と追跡可能性を高める体系的アプローチを示している。(ANDRA:フランスの放射性廃棄物管理を担う国家機関)
Quantitative Analysis of Plutonium and Uranium Using Reversed-phase Liquid Chromatography and Spectrophotometric Detection Y. C. Rogers, V. T. Hamilton, W. D. Spall, B. F. Smith, D. D. Jackson
逆相液体クロマトグラフィーと分光光度検出によるプルトニウムおよびウランの定量分析
―C18 分離・Arsenazo III 呈色・ピーク積分による高選択的アクチニド定量法
(*)本研究は、C18 逆相液体クロマトグラフィーと Arsenazo III を用いたポストカラム呈色法により、溶解液中のウランとプルトニウムを高選択的に分離・定量する効率的手法を開発した。2-hydroxyisobutyric acid を錯形成剤とする溶離条件と Arsenazo III のアクチニド選択性により、金属イオン干渉を最小化し、ピーク積分による直接定量が可能となった。分離後の金属イオンは回収して同位体希釈質量分析(TIMS)やガンマ線測定に利用でき、核物質分析における前処理・分離工程として高い応用性を持つ。(LANL)
Racon Commercialization of Sandia/USAF Developed Portable, Reconfigureable Line Sensor (PRLS) Daniel A. Blattman
Sandia/USAF が開発した携行型再構成ラインセンサ(PRLS)の Racon 社による商用化
―臨時展開型侵入検知センサの民生移転と技術改良プロセス
(*)本論文は、Sandia と USAF が共同開発した Portable, Reconfigurable Line Sensor(PRLS) を、Racon 社が商用化する取り組みを紹介し、軍用技術を民生・産業向けに展開するプロセスを論じている。PRLS は、携行性・再構成性・迅速展開性を特徴とし、臨時警備・前線基地・重要区域の一時的防護に適した侵入検知ラインセンサとして設計されている。商用化にあたり、信頼性向上、環境耐性、ユーザインタフェース、保守性などの改良が加えられ、軍用センサ技術を民間警備市場へ移転するための技術的・運用的課題が整理されている。(SNL)
Radiation Measurements to Qualify Spent Reactor Fuel for Loading into Burnup Credit Casks Ronald I. Ewing
燃焼度クレジットキャスクへの装荷判定のための使用済燃料の放射線測定
―初期濃縮・燃焼度・冷却期間の組合せを検証するための γ/中性子測定手法
(*)本研究は、燃焼度クレジットを適用した輸送キャスクに装荷するため、使用済燃料集合体の初期濃縮・燃焼度・冷却期間の組合せが設計条件を満たすかを放射線測定で確認する手法を検討している。γ線スペクトルや中性子放出率などの測定値を、計算コードによる燃焼度予測と比較することで、燃焼度の妥当性(burnup verification)と核分裂生成物・アクチニドの源項評価を行う。この測定手法は、燃焼度クレジットキャスクの安全な装荷判断を支援し、臨界安全性の確保と過度な保守設計の回避に寄与する。(ORNL)
Real Time Inventory Data Bases: The Key to Material Control Peter Jeal
リアルタイム在庫データベース:核物質管理の鍵
―クリティカリティステーション単位での即時会計・追跡を可能にする AWE の運用体系
(*)AWE は 25 年以上にわたり、プルトニウムおよびウラン生産施設においてリアルタイム在庫データベースを用いた核分裂性物質管理を運用してきた。 このデータベースは、各クリティカリティステーションでの全ての核物質アイテムと会計取引を即時反映し、手動・半自動・全自動のいずれの方式でも維持可能な設計となっている。 リアルタイム化により、核物質会計、臨界管理、物理防護、生産管理、計画立案において大きな利点が得られることが示されている。 (Atomic Weapons Establishment (AWE) )
Real-time Asset Management System Lamon L. King
リアルタイム資産管理システム
―温度・振動・衝撃・改ざん・移動を連続監視する高価値資産保護基盤
(*)本研究は、組織の高価値資産(設備・機器・材料・仕掛品・在庫)を保護するため、複数の資産属性をリアルタイムで連続監視する RTAM(Real-Time Asset Management)システムを紹介する。RTAM は、温度・振動・衝撃・改ざん・移動などの属性を常時収集し、高度化する妨害・盗取手法に対抗するためのオンライン監視基盤を提供する。このシステムは、資産の状態変化や異常を即時検知し、資産保全・在庫管理・物理防護の統合的強化を可能にする。(WEC)
Recent lmpreovements in Plutonium Gamma-ray Analysis Using MGA Wayne Ruhter, Ray Gunnink
MGA を用いたプルトニウム γ線分析の最近の改良
―低エネルギー領域補正・自己吸収補正の強化による同位体比測定精度の向上
(*)本研究は、プルトニウム同位体比を非破壊で求めるための γ線スペクトル解析コード MGA(Multi-Group Analysis) の性能改善を報告し、特に低エネルギー領域の解析精度向上を示している。改良版 MGA は、自己吸収補正・検出器応答補正・低統計スペクトル処理の改善により、広い同位体組成範囲での精度向上と、実運用でのロバスト性強化を実現した。これにより、保障措置・核物質管理・プルトニウム加工施設での迅速・高精度な同位体比測定が可能となり、従来の手法よりも信頼性が向上した。(LLNL)
Reflective Particle Technology for Identification of Critical Components Keith Tolk
重要構成品識別のための反射粒子タグ技術
―複製困難な光学パターンによる固有識別と改ざん検知
(*)本研究は、戦略兵器や重要部品の個体識別を目的として、微小反射粒子をランダムに埋め込んだタグ表面に可視光を照射し、その反射・散乱パターンを光学的フィンガープリントとして読み取る Reflective Particle Tag(RPT)技術を紹介する。粒子の形状・向き・材質・埋まり方のランダム性により、複製不可能な固有の光学パターンが生成され、タグの剥離・改ざん・複製を極めて困難にする高い反改ざん性能を実現する。この光学パターン識別技術は、戦略兵器の条約検証だけでなく、保障措置対象物品や重要構成品の非接触・高信頼識別にも応用可能であることが示されている。(SNL)
Remote Visual Examination System for Characterization of Waste Sites M. L. Sumsion
End(7) 廃棄物サイトの状態把握のための遠隔視覚検査システム
— 危険環境下での非破壊視覚評価技術
(*)廃棄物埋設サイトの内部状態を非破壊で把握するため、遠隔視覚検査システム(Remote Visual Examination System) を開発した。カメラ、照明、位置決め装置、制御システムを統合し、人が立ち入れない・危険な環境でも詳細な視覚情報を取得できるようにした。このシステムにより、廃棄物の状態評価、構造物の劣化確認、作業計画の最適化など、安全性と作業効率の向上が可能となった。(INEL)
Result of a 15 Months Field Test with JRC-ISPRA Sealing-bolts Installed on 53 MEB Transport/Storage Containers at the BNFL Plant of Sellafield R. Olsen, J. Toornvliet, E. Mascetti, A. Linge
BNFL セラフィールド施設における 53 基の MEB 輸送・貯蔵容器への
JRC‑Ispra 封印ボルト取り付けによる 15 か月間のフィールド試験結果
(*)JRC‑Ispra が開発した 封印ボルト(sealing‑bolt) を、BNFL Sellafield の 53 基の MEB 輸送・貯蔵容器に取り付け、15 か月間のフィールドテストを実施した。取り付け作業性、耐環境性、改ざん検知性能、長期安定性を評価し、封印の健全性が長期間維持されることを確認した。この結果は、封印ボルトが 保障措置用の信頼性の高い C/S 手段として実運用に適用可能であることを示した。(JRC-Ispra)
Results and Conclusions from the ESARDA Technical Worskhopof NDA Techniques Applicable to Safeguarding Nuclear Materials in Waste H. Ottmar, S. Guardini, G. Bignan
廃棄物中核物質の保障措置に適用可能な NDA 技術に関するESARDA 技術ワークショップの成果と結論 (*)ESARDA が開催した 「廃棄物中核物質の保障措置に適用可能な NDA 技術」技術ワークショップ の成果と結論を総括した。廃棄物の多様性・遮へい・不均質性などの課題に対し、ガンマ線測定・中性子測定・アクティブ NDA・統計的手法 などの有望技術が整理された。NDA 技術の限界と研究課題を明確化し、欧州における今後の研究開発ロードマップ を提示した。(ESARDA/EC, CEA)
Risk Assessment of Shipping Radioactive Waste Using the TRUTACT-11 Packaging O. S. Wang, R. F. Carlstrom, M. V. Shultz
TRUPACT‑II 包装を用いた放射性廃棄物輸送のリスク評価
―ハンフォード・サイト内輸送事故データに基づく確率論的評価
(*)本研究は、ハンフォード・サイト内で TRUPACT‑II 標準廃棄物ボックスを用いて高レベル放射性廃棄物を輸送する際のサイト内限定リスク評価を行い、週 1 回の輸送が安全かを検証している。評価には、全国統計ではなくハンフォード・サイト固有の輸送事故データを用い、Westinghouse Hanford のリスク評価手法と受容基準に基づいて確率論的リスクを算定した。その結果、計画された輸送活動に伴うリスクは受容可能(acceptable)であると結論づけられた。(WHC)
Robotics Applications for the Staging of Weapon Components Frank Martin, Billy Caskey
核兵器構成品の整列(staging)におけるロボティクス応用
―自動搬送・整列・検査支援による安全性と構成管理の強化
(*)本研究は、米国核兵器備蓄の削減に伴い大量に発生する核兵器構成品を安全に保管・整列(staging)するため、ロボットによる自動搬送・整列・検査支援技術を開発する取り組みを紹介している。これらの構成品は、定期点検・構成管理(configuration control)・アカウンタビリティを維持する必要があるため、ロボットは位置決め、識別、状態確認などの作業を高精度で実行するよう設計されている。ロボティクス導入により、作業者の被ばく低減、人的エラーの削減、保管効率の向上が期待され、核兵器解体・保管プロセスの安全性と信頼性を高める技術基盤となることが示されている。(SNL)
Sabotage Assessment Neil R. Zack, H. R. Martin, D. A. Myers
サボタージュ評価
―敵対者能力・標的特性・防護応答・結果影響に基づく DOE 施設の脆弱性評価手法<このあとの2件含めた3件シリーズ発表の理由として考えられること;
背景:冷戦終結(1991)で DOE の脅威認識が大きく変化;・1991 年にソ連が崩壊、・核兵器の大規模攻撃よりも小規模・高精度のサボタージュ内部脅威(insider threat)テロリズム
が現実的脅威として浮上、・DOE は 1991–1992 にかけて、物理防護(physical protection)とサボタージュ評価のガイダンスを全面改訂
>
(*)本研究は、DOE 施設および危険物質をサボタージュから防護するために、敵対者能力・標的特性・防護システム応答・結果影響を体系的に評価するサボタージュ評価手法を紹介する。この手法は、攻撃シナリオの生成、侵入経路の解析、システム応答のモデル化、結果の定量化を含み、施設の脆弱性を定量的に把握するための枠組みを提供する。評価結果は、防護システムの改善、重要設備の再配置、運用手順の強化など、リスク低減のための意思決定支援として活用される。(SNL)
Sabotage Evaluation Process Neil R. Zack, H. R. Martin
サボタージュ評価プロセス
―脅威定義・標的識別・防護応答・結果影響に基づく構造化された脆弱性評価手法
<1991 年の冷戦終結により、DOE の脅威認識は大きく変化:小規模・高精度のサボタージュや内部脅威(insider threat)が現実的脅威として浮上し、DOE は 1991–1992 年にかけて物理防護ガイダンス(DOE Orders)を全面改訂。サボタージュ評価の体系化、脅威定義の明確化、標的セット(target sets)の抽出手法の確立、防護システム応答の定量評価 を新たに要求。SNL がその実装手法の開発を担当。また、1990–1991 年には GAO が DOE 施設の防護の弱点を指摘。>
(*)本研究は、DOE の新しいサボタージュ防護ガイダンスに基づき、脅威定義 → 標的識別 → 防護システム応答評価 → 結果影響評価を順に行う構造化されたサボタージュ評価プロセスを提示する。このプロセスは、敵対者能力、攻撃シナリオ、重要設備の脆弱性、防護システムの探知・遅延・対処能力を体系的に評価し、施設の脆弱性を定量的に把握する枠組みを提供する。得られた評価結果は、防護システムの改善、重要設備の再配置、運用手順の強化など、リスク低減のための意思決定支援として活用される。(SNL)
Sabotage Target identification Methodology Neil R. Zack, Ron A. Herman
サボタージュ標的識別手法
―重要機能・設備依存関係・攻撃シナリオに基づく標的セットの体系的抽出
<関連事例:以下のような「警鐘となる事例」は存在した: ● 1988–1991:内部者による核施設の不正アクセス事件;複数の DOE 施設で、内部者が無許可で重要区域に侵入、設備破壊未遂、不正持ち出し未遂などが発生。 ● 1991:湾岸戦争後のテロ脅威の増大 米国政府は、「核施設への小規模攻撃」 を現実的脅威として扱い始めた。 ● 旧ソ連地域での核物質盗難事件(1992–)により、「核施設の脆弱性評価の重要性」が国際的に注目された。>
(*)本研究は、複雑な産業施設に対して、サボタージュの標的となり得る設備・システム・材料の組合せ(target sets)を体系的に抽出する手法を提示する。この手法は、攻撃シナリオの生成、重要機能の特定、設備間の依存関係解析を通じて、破壊されると重大影響を与える標的群を定量的に識別する。得られた標的セットは、防護システム設計、重要設備の再配置、運用手順の強化など、リスク低減のための意思決定支援(SNL)
Safeguards and Security Planning for Transition L. A. Goldman, D. J, Frank, R. E. Kellam
移行期における保障措置・セキュリティ計画
―運転状態の変更に伴う脆弱性を最小化するための体系的移行手法
(*)本研究は、核施設が運転状態を変更する際(稼働 → 休止、運転 → 廃止措置など)に、保障措置と物理防護を途切れさせずに維持するための「移行計画(transition planning)」の体系的手法を提示する。移行プロセスでは、核物質の所在管理、アクセス制御、監視・検知システム、運用手順、責任分担などを再構成し、状態変化に伴う脆弱性の発生を最小化することが求められる。提案された手法は、事前計画、リスク評価、段階的移行、検証・レビューを含み、施設の安全性・保障措置遵守・セキュリティ確保を維持しながら運用状態を変更するための管理枠組みを提供する。(SNL)
Safeguards Equipment the Next Generation Leon Green
次世代保障措置機器
―高性能センサー・データ収集・反改ざん技術による将来要求への対応
(*)本研究は、次世代の保障措置機器に求められる 性能向上・信頼性・保守性・反改ざん性を満たすため、SNL が評価中の新技術(センサー、データ取得、改ざん検知デバイス)を概説する。特に、光学・電磁・機械的センサー、デジタルデータ収集、自己診断機能、耐改ざん構造など、将来の IAEA/DOE 保障措置要件に適合する技術群が検討されている。これらの技術は、核物質監視の自動化、遠隔監視、データ信頼性向上を実現し、次世代保障措置システムの基盤となる装置群の方向性を示すものである。(SNL)
Safeguards for the Nineties: Do We Need a New Perspective? W. Fischer, W. D. Lauppe, G. Stein
1990年代の保障措置:新たな視点は必要か?
―冷戦後の政治変動と技術革新を背景とした IAEA 保障措置の課題と方向性
(*)本研究は、冷戦終結後の政治的変化と技術革新を背景に、IAEA 保障措置が直面する新たな課題(未申告活動、拡散リスクの多様化、技術的複雑化)を整理し、従来の枠組みでは対応困難であると指摘する。特に、イラクの未申告核計画の発覚(1991)を契機に、“善意遵守(good‑faith compliance)” を前提とした従来の保障措置モデルの限界が明確になり、より積極的・包括的なアプローチが必要とされると論じる。著者らは、情報分析、環境サンプリング、衛星画像、国家レベル評価などを含む 新しい視点(new perspective)(Forschungszentrum Jülich)
Safeguards Measurement and Verification Activities Within the DOE – Issues and Views David W. Crawford
DOE における保障措置計測・在庫検認活動
―目的・範囲・頻度をめぐる論点と見解の整理
(*)本研究は、DOE 内部で議論されていた 核物質計測(measurements)と在庫検認(inventory verification)の目的・範囲・頻度に関する論点を整理し、政策的・運用的観点からの見解の違いを提示する。特に、規制遵守(compliance)を重視する立場と、運用負荷・コスト・施設特性を考慮した柔軟性を求める立場の間で、計測精度・検認頻度・許容誤差・実務負担に関する意見の相違が存在することを指摘する。著者は、保障措置目的・安全性・運用効率のバランスをとるため、計測の目的明確化・リスクベースの検認・施設特性に応じた柔軟な適用が必要であると論じる。(DOE)
Safeguards Technology and Computer Security Training W. J.  Hunteman, N. R. Zack
保障措置技術とコンピュータセキュリティの研修
―LANL/SNL による統合的施設防護教育プログラム
(*)本研究は、LANL Safeguards Systems Group が連邦政府および DOE 事業者向けに提供している 保障措置技術・計測・物理防護・コンピュータセキュリティの統合研修プログラムを紹介する。研修内容には、NDA/DA 計測、核物質管理(MC&A)、アクセス制御、監視システム、ネットワークセキュリティ、脅威評価などが含まれ、施設防護を総合的に理解するための体系的カリキュラムが構築されている。著者らは、保障措置とコンピュータセキュリティの融合が今後ますます重要になると指摘し、統合的な人材育成が次世代の核セキュリティの基盤となると論じる。(LANL, SNL)
Safety, Design and Operational Aspects of the New Near Surface LLW Disposal Facility in France Pierre Saverot, J. C. Fernique
フランス新 LLW 浅地中処分施設(ローブ処分センター)の安全性・設計・運用面
―Centre de l’Aube における多重バリアと長期性能評価
(*)本研究は、フランスの新しい浅地中 LLW 処分施設 Centre de l’Aube の安全設計・運用方針を、25 年の運転経験を持つ Centre de la Manche の知見を踏まえて体系的に解説する。工学的バリア、廃棄体受入基準、施設レイアウト、排水・浸透管理、長期性能評価など、多重バリアと運用管理を組み合わせた安全確保アプローチが示される。ANDRA は、設計段階から閉鎖後管理までの全ライフサイクルを通じて、環境影響の最小化・トレーサビリティ確保・長期安定性を重視した運用体系を構築している。(ANDRA)
Sample Vial Secure Containe Fredy Franssen, Mark Baumann, Mark Baumann
ンプルバイアル用セキュアコンテナ
―改ざん検知・固有識別・アクセス制御による知識の連続性維持
(*)本研究は、IAEA 査察官が採取した保障措置サンプル(特にバイアル容器)について、知識の連続性(continuity of knowledge)を維持するための専用セキュアコンテナの設計と機能を紹介する。コンテナは、改ざん検知(tamper indication)、固有識別(unique identification)、アクセス制御、輸送時の保護を組み合わせ、サンプルの真正性・完全性を確保するための多層的防護を提供する。この装置は、サンプル採取から分析ラボ到着までの全期間にわたり、改ざん・すり替え・紛失のリスクを最小化し、査察の信頼性を向上させることを目的としている。(IAEA)
Sampling Strategies for Physical Inventories and Confirmation/Verification Measurement Programs Joseph D. Rivers
物理在庫および確認/検認測定プログラムのためのサンプリング戦略
―DOE Order 5633.3 に基づく統計的手法と実務的適用
(*)本研究は、DOE Order 5633.3 に基づく核物質の物理在庫(physical inventory)および確認/検認測定(confirmation/verification measurement)において、統計的に妥当で実務的なサンプリング戦略を提示する。サンプリングの目的(在庫差の検出、記録の正確性確認、異常の早期発見)に応じて、サンプルサイズ、選択方法、信頼水準、検出感度を最適化する必要があると論じる。著者は、統計理論と現場運用のバランスを取りつつ、リスクベースのサンプリング、階層化サンプリング、ランダム選択などの手法を組み合わせることで、効率的かつ信頼性の高い検認プログラムを構築できると述べる。(DOE)
Self-diagnostic Calorimeter Operating System S. J. James, J.R. Wetzel
自己診断機能付きカロリメータ操作システム
―制御電子系の異常検知と信頼性向上のための自動診断機能
(*)本研究は、カロリメータの制御電子系に生じる異常を自動検知し、自己診断(self‑diagnostic)機能によって問題箇所を特定・通知する新しいオペレーティングシステムを紹介する。システムは、温度ドリフト、電気加熱校正の異常、センサー故障、データ取得エラーなどを監視し、トラブルシュートを支援して測定の信頼性を向上させる。この自己診断機能により、カロリメータのダウンタイムが減少し、核物質測定の再現性・品質保証(QA/QC)が強化される。(EG&G Mound Applied Technologies)
Simulation Model for Uranium Recovery Processes Thomas Edmunds, Lychin Chang
ウラン回収プロセスのシミュレーションモデル
―Portsmouth GDP の HEU 生産停止に伴う洗浄・回収計画支援
(*)本研究は、ポーツマス濃縮工場(Portsmouth GDP)が HEU 生産を停止するにあたり、設備洗浄・プロセスラインのフラッシュアウト・残留ウラン(holdup)の回収を計画するためのシミュレーションモデルを開発した。モデルは、配管・機器内のウラン残留量、回収効率、洗浄手順、運転条件を解析し、回収量の予測・工程最適化・安全性評価を支援する。このシミュレーションは、停止作業の計画立案、核物質会計(MC&A)、環境影響評価において、効率的かつ安全な HEU 生産停止プロセスの実現に寄与する。(LANL)
Simulation of High Level Neutron Coincidence Counter Ming-Shih Lu, Theodor Teichmann
高レベル中性子同時計数器のシミュレーション
―PC 上での統計挙動再現による訓練・評価支援モデル
(*)本研究は、高レベル中性子同時計数器(HLNC)の測定データを PC 上で模擬生成するアルゴリズムを開発し、統計挙動を再現できるシミュレーションモデルを提示する。モデルは、偶発計数・相関中性子・死時間効果・計数率変動など、実測データに固有の統計特性を再現し、訓練・装置評価・解析手法の検証に利用できる。このシミュレーションは、実機を使わずに測定条件の変更や異常状態を再現でき、保障措置計測の教育・手順開発・性能評価の効率化に寄与する。(ORNL)
Simulation Study of Near-real-time Accounting in a Generic Reprocessing Plant Rena Whiteson, Andrew Zardecki, CAiton Coulter
汎用再処理工場における準リアルタイム計量管理のシミュレーション研究
―FacSim によるバランス閉合分散推定とシステム性能評価
(*)本研究は、LANL のシミュレーションコード FacSim を用いて、再処理施設における Near‑Real‑Time Accounting(NRTA) の性能を評価し、バランス閉合(balance closure)に関わる分散(variance)を推定した。モデルは、プロセス流量、測定誤差、ホールドアップ変動、在庫変化を時間連続で追跡し、異常検知能力・誤差伝播・計量管理性能を解析する。結果として、NRTA の導入が、従来のバッチ型在庫検認よりも 異常の早期検知・誤差低減・運転状態の把握に有効であることを示す。(LANL)
Software Development for the In-situ Readable Ultrasonic Seal System (IRUSS) J. F. Brauneisen, R. R. Shah
End(8) 現場読み取り型超音波封印システム(IRUSS)のソフトウェア開発
— 超音波シグネチャ解析による封印検認機能の実装
(*)超音波封印 IRUSS の 現場読み取り(in‑situ readable)機能を実現するため、データ取得・信号処理・認証アルゴリズムを統合したソフトウェアを開発した。超音波反射パターン(acoustic signature)を解析し、封印の改ざん有無を自動判定できるようにした。このソフトウェアにより、IRUSS は現場での迅速な検認が可能となり、保障措置の効率化と信頼性向上に寄与することが示された。(SNL)
Spent Fuel Assembly Dimensions: Considerations for Cask Designs Douglas A. Williamson
使用済燃料集合体の寸法:キャスク設計における考慮事項
— 燃料設計の種類による寸法差(design variations)と設計パラメータへの影響
(*)PWR・BWR の 燃料集合体寸法(外形、長さ、重量、バンド位置、取扱部形状) を整理し、キャスク設計に必要な主要パラメータを提示した。燃料集合体の寸法差異は、キャスクのバスケット設計・臨界管理・熱設計・構造強度 に直接影響するため、標準化された寸法データの重要性を強調した。多様な燃料設計に対応するため、キャスク設計では 許容寸法範囲・クリアランス・変形余裕 を考慮する必要があると結論づけた。(ORNL)
Synergistic Radar Keith Harman
シナジスティック・レーダー
— FM 放送信号を利用した受動型侵入検知センサー技術の構成と適用性
(*)商用 FM ラジオ放送を「送信源(transmitter of opportunity)」として利用し、開放伝送線(open transmission line) に沿って侵入者による電波擾乱を検知する新しい受動型センサー技術「Synergistic Radar」を提案した。2 つ以上の FM 局の信号を同時利用することで、周波数ダイバーシティによる高い検知性能と冗長性を実現し、アクティブレーダー並みの性能をライセンス不要で達成した。センシングケーブルは地上・地中・空中いずれにも設置可能で、核廃棄物サイトや緊急時の一時的防護など、屋内外の多様な周辺監視に適用できるとした。(Instantel, Inc. )
Technology Demonstration Through EPA’s Superfund Innovative Technology Evaluation (SITE) Program John Martin
EPA「Superfund革新的技術評価(SITE)プログラム」による技術実証
― 有害廃棄物浄化に向けた革新的処理技術の現場評価と運転性能データの取得<SITE Program(Superfund Innovative Technology Evaluation Program):EPA が革新的浄化技術を評価する枠組み。Emerging Technology Program:初期段階技術の育成、Demonstration Program:現場での性能・コスト評価、Monitoring & Measurement Technologies:計測・監視技術の評価、Technology Transfer:成果の普及>
(*)EPA の SITE(Superfund Innovative Technology Evaluation)プログラムは、有害廃棄物サイトの浄化に資する革新的技術の開発・評価を目的とし、第7年次に入っていた。プログラムは Emerging Technology Program:初期段階技術の育成, Demonstration Program:現場での性能・コスト評価, Monitoring & Measurement Technologies:計測・監視技術の評価, Technology Transfer:成果の普及 の4部門から構成され、実証試験では工学的性能・コスト・運転データを収集する。1992年度までに 88 技術がデモ計画に含まれ、生物処理・物理化学処理・固化安定化・熱処理など多様な技術が Superfund サイト等で評価されていた。(U.S. Environmental Protection Agency(米国環境保護庁) )
Technology Development for the US/DOE CRWMS Roger S. Case Jr., Kenneth E. Sanders
米国エネルギー省・民生用放射性廃棄物管理システム(CRWMS)の技術開発
― 核不拡散政策と整合した廃棄物管理技術の体系化
(*)米国政府は 1970 年以降、一貫して核不拡散政策を支持しており、DOE の民生用放射性廃棄物管理システム(CRWMS)もその政策枠組みの中で設計されている。CRWMS の技術開発は、核物質の安全・確実な管理を確保しつつ、核不拡散上の懸念を最小化することを目的として進められている。施設設計・輸送・保管・最終処分に関する技術は、国際的な保障措置要求や核物質管理基準と整合するように体系化されている。(DOE)
Test Results of a Solid State Calorimetry Prototype P. W. Kasperski, D. P. Renz, R. L. Fultz, R. A. Williams
固体素子カロリメータ試作機の試験結果
― 小型化・高速応答を指向した新型 NDA カロリメータの性能評価
(*)従来の熱流型カロリメータは高精度だが、大型・高コスト・温度安定性への依存といった制約があったため、固体素子を用いた新型プロトタイプが開発された。固体素子方式は、小型化・高速応答・高い熱安定性を実現する可能性があり、プルトニウム NDA への適用性を評価するための性能試験が実施された。試験結果は、感度・ノイズ特性・温度ドリフト・校正安定性の面で有望であり、将来の NDA 用カロリメータの設計改善につながることが示された。
Texas Instruments Uncooled Infrared Systems Development Thomas E. Broyles
テキサス・インスツルメンツにおける非冷却型赤外システムの開発
― 長波長赤外(LWIR)検出器の新技術と実用化への展望
(*)Texas Instruments は、冷却を必要としない uncooled LWIR 検出器技術を開発し、赤外イメージング装置の小型化・低コスト化を実現しようとしていた。新技術は、高感度・低ノイズ・高均一性を達成するための材料工学・マイクロ構造設計・アレイ化技術を組み合わせている。この成果は、軍事・監視・セキュリティ用途における 赤外センサーの普及と実用化(TI)
The Challenge of Performance-based MC&A Training for R&D Facilities Relf Price, Robert L. Lopez
研究開発施設におけるパフォーマンス基準型 MC&A 研修の課題
― 非定型作業環境での行動基準設定と評価体系の確立
(*)DOE は “Formality of Operations” を強化し、研究開発施設にも パフォーマンス基準に基づく MC&A 研修(PBT) の導入を求めている。しかし R&D 施設は、実験の多様性・手順の非定型性・頻繁な変更といった特性により、標準化されたパフォーマンス基準の設定が困難である。論文は、R&D 特有の柔軟性を維持しつつ、測定可能な行動基準・評価方法・訓練体系を構築するための課題とアプローチを提示している。(SNL)
The Conclusions of the LASCAR Forum Hiroyoshi Kurihara
LASCAR フォーラムの最終結論
― 大規模再処理施設における保障措置技術の要件整理と将来課題
(*)LASCAR フォーラムは、大規模再処理施設に適用可能な 保障措置技術・運用方式の国際的合意形成を目的として活動し、5 回目の会合で最終結論をまとめた。結論では、計量管理の精度向上、プロセス監視、封じ込め・監視(C/S)技術の統合的適用が、大規模施設の保障措置に不可欠であると整理された。また、将来の研究開発課題として、オンライン計測、データ統合、国際協力による技術実証が重要であることが確認された。(STA-Japan)
The Enhanced Variance Propagation Code for the Idaho Chemical Processing Plant E. A. Kern, J.J. Britschgi, N. R. Zack
アイダホ化学処理施設向け拡張版バリアンス伝播コード
― 拡張された測定誤差・サンプリング誤差の伝播解析コード
(*)VP(Variance Propagation)コードは、核物質処理施設におけるオフラインの誤差伝播解析とシステム解析のために Los Alamos で開発された。Idaho Chemical Processing Plant(ICPP)の核物質計量管理(MC&A)測定体系をモデル化するためにコードが拡張され、溶解・ヘッドエンド工程、廃棄流などの測定誤差源を取り込んだ。解析の結果、物質収支誤差はサンプリング誤差に極めて敏感であることが示され、測定・サンプリング精度の改善が重要であると結論された。(LANL)
The ESARDA Workshop on C/S Safeguards Techniques Applicable to Intermediate and Long-term Storage of Irradiated Fuel B.  Richter, Frank J. Walford 照射済燃料の中間・長期貯蔵に適用可能なC/S保障措置技術に関するESARDAワークショップ
照射済燃料の中期・長期貯蔵に適用可能な C/S 保障措置技術に関する ESARDA ワークショップ
― 長期貯蔵における封じ込め・監視技術の課題整理と適用可能性の検討
(*)ESARDA(欧州保障措置研究開発協会)の C/S(封じ込め・監視)作業部会が、照射済燃料の中期・長期貯蔵に適用可能な C/S 技術を検討するためのワークショップを開催した。参加者は、湿式・乾式貯蔵におけるアクセス制限、無人監視、封印技術、遠隔監視など、保障措置上の主要課題と技術的要件を整理した。ワークショップでは、既存 C/S 技術の限界と、将来の長期貯蔵に向けた技術開発の方向性が合意事項としてまとめられた。(Kernforschungsanlage Jülich GmbH(KFA ユーリッヒ研究所, ドイツ)、UKAEA Harwell Laboratory(英国原子力公社ハーウェル研究所, 英国))
The Field Test of the VACOSS-S/MIVS Interface System at the KFA Waste Management Facility Arnold Rezniczek, John Garten, R. Olsen, H. J. Schreiber, B. Richter, R. L. Martinez, R. Buttler, K. J. Gartner, P. Otto
KFA 廃棄物管理施設における VACOSS‑S/MIVS インターフェースシステムの現場試験
― 封じ込め・監視装置と統合映像監視システムの連携性能評価
(*)1991 年 9〜10 月、KFA(ユーリッヒ研究所)廃棄物管理施設において、VACOSS‑S/MIVS インターフェースシステムの製品版が実地試験された。試験では、封じ込め・監視(C/S)装置と MIVS(Modular Integrated Video System)との連携性能、信頼性、運用上の課題が評価された。結果として、長期運用に向けた改良点(通信安定性、データ取得の継続性、現場環境への適応性)が明確化された。(KFA Jülich, SNL)
The Future of Nuclear Materials Management: Lessons Learned and Preparation for the Next Generation of Plants Michael P. Tulay
核物質管理の将来:得られた教訓と次世代プラントへの準備
― 過去の調達・管理経験を踏まえた統合的核物質管理体系への移行
(*)本論文は、1980年代の核物質調達・管理の経験から得られた教訓を整理し、将来の核物質管理(NMM:Nuclear Materials Management)の方向性を示している。特に、調達プロセスの非効率性、在庫管理の不整合、記録体系の分断など、過去の問題点を分析し、次世代施設では統合的・自動化された管理体系が不可欠であると論じる。著者は、次世代プラントに向けて、標準化されたデータ体系、リアルタイム計量管理、品質保証の強化、人材育成の重要性を強調している。(WHC)
The IAEA System and Experience as a Model for Information Management under the Chemical Weapons Convention Alan M. Bieber, C. Ruth Kempf
化学兵器禁止条約における情報管理のモデルとしての IAEA の制度と経験
― 申告処理・査察データ統合・機密管理に関する IAEA 保障措置の知見の適用可能性
(*)本論文は、CWC(化学兵器禁止条約)下で設立される OPCW の情報管理制度と、IAEA 保障措置の情報管理体系との共通点に着目し、IAEA の経験がモデルとして有用であると論じている。特に、申告情報の処理、査察データの統合、文書管理、データ保全、機密管理など、IAEA が長年蓄積してきた運用ノウハウが CWC の情報管理制度に適用可能である点を整理している。著者らは、OPCW が制度設計を行う際、IAEA の成功例と課題の双方を参照することで、効率的かつ信頼性の高い情報管理体系を構築できると結論づけている。(ACDA, 米国軍備管理軍縮庁)
The Idaho Chemical Processing Plant Special Nuclear Material Vault Upgrade Randon C. Anderson, Ernest R. Holloway
アイダホ化学処理施設における特別核物質貯蔵庫のアップグレード
― 貯蔵容量拡張・臨界安全性・保障措置要件を満たす貯蔵庫改修<ICPP(Idaho Chemical Processing Plant)  ;1950年代から DOE/INEL の一部として運転され、主として研究炉・試験炉および米海軍原子力艦艇用燃料の再処理を行ってきた施設。1992年以降は再処理を停止し、廃棄物管理・貯蔵を中心とする役割へ移行した。>
(*)ICPP(Idaho Chemical Processing Plant)の SNM(特別核物質)貯蔵庫では、保管容量不足と老朽化が問題となり、貯蔵庫の大規模アップグレードが実施された。改修では、収納ラックの再設計、臨界安全性の確保、物理的防護・保障措置(MC&A)要件への適合性向上が図られた。結果として、貯蔵効率の向上、核物質の安全・確実な管理、将来の運転需要への対応能力が強化された。(Westinghouse Idaho Nuclear Company)
The Instructional Systems Development (ISD) Process Used for the Course Sampling Plans for MC&A Gene Koskey
「MC&A のためのサンプリング計画」コースに適用された ISD(教育システム開発)プロセス
― 研修ニーズ分析・学習目標設定・教材設計を体系化する手法
(*)本論文は、CTA(Central Training Academy)が MC&A(核物質管理・計量管理)研修コースを開発する際に用いている ISD(Instructional Systems Development)プロセスの適用事例を示している。特に「サンプリング計画(Sampling Plans for MC&A)」コースの開発において、ニーズ分析、学習目標設定、教材設計、評価手法の整備が体系的に行われたことが説明されている。ISD の適用により、研修内容の一貫性、実務適合性、評価可能性が向上し、MC&A 技術者の能力向上に寄与したと結論づけている。(DOE)
The Linear Infrared Scanning Array Image Processor for the Mobile Intrusion Detection and Assessment System Cynthia L. Beer
移動型侵入検知・評価システム用線形赤外線スキャンアレイ画像処理装置
― 赤外線アレイによる侵入者検知・識別性能を強化する画像処理モジュール
(*)LISA IP(Linear Infrared Scanning Array Image Processor)は、Mobile Intrusion Detection and Assessment System(移動型侵入検知・評価システム)の画像処理能力を強化するために開発された赤外線スキャン画像処理装置である。線形赤外線アレイから取得した温度差情報を高速処理し、侵入者の検知・識別・追跡の精度向上を目的としている。本システムは、夜間・悪天候・広域監視など、従来の可視光監視が困難な状況での運用性能を大幅に改善することが期待されている。(SNL)
The Management of Waste Characteristics by the Use of Waste Selection N. Barrie Mcleod
廃棄物選別による廃棄物特性の管理
― 特性データに基づく処理方法最適化と分類手法の有効性・限界
(*)本論文は、廃棄物の特性(放射能レベル、化学組成、物理形態など)に基づいて廃棄物を選別する「Waste Selection」手法が、廃棄物管理の効率化にどのように寄与するかを論じている。特性ベースの選別により、処理方法の最適化、コスト削減、規制適合性の向上が期待される一方、特性データの不確実性や分類基準の限界が課題として指摘される。著者は、Waste Selection を適切に適用するためには、特性データの品質向上と、選別基準の透明性・一貫性が不可欠であると結論づけている。(AECL)
The New Protracted Insider Module of ASSESS Alan Sicherman, R.A.AI-Ayat, C. J. Patenaude
ASSESS における新しい長期型内部脅威(Protracted Insider)モジュール
― DOE 5633.3 要求に基づく「少量持ち出し(盗取)」リスク評価機能の拡張と、既存 Insider モジュールでは扱えなかった長期累積型脅威のモデル化
(*)本論文は、廃棄物の特性(放射能レベル、化学組成、物理形態など)に基づいて廃棄物を選別する「Waste Selection」手法が、廃棄物管理の効率化にどのように寄与するかを論じている。特性ベースの選別により、処理方法の最適化、コスト削減、規制適合性の向上が期待される一方、特性データの不確実性や分類基準の限界が課題として指摘される。著者は、Waste Selection を適切に適用するためには、特性データの品質向上と、選別基準の透明性・一貫性が不可欠であると結論づけている。(SNL)
The Personal Computer Controlled Dry Heat Exchanger Calorimeter System S. J. James, P. W. Kasperski, J. R. Wetzel
パーソナルコンピュータ制御型乾式熱交換カロリメータシステム
― 温度制御・電気加熱校正・データ収集を統合する PC ベース自動化カロリメトリ
(*)Mound が長年提供してきた NDA 用カロリメータに、パーソナルコンピュータ(PC)制御の乾式熱交換型カロリメータシステムが新たに導入され、操作性・自動化・データ処理能力が大幅に向上した。新システムは、温度制御、電気加熱校正、データ収集、安定化監視などを PC が統合的に管理し、従来の手動操作やアナログ制御の限界を克服している。この PC 制御化により、測定の再現性向上、試験時間短縮、校正の自動化、運転ログの一元管理が可能となり、DOE の NDA 運用ニーズにより適合するシステムとなった。(Mound Laboratory(DOE))
The Process to Improve an SSAC to Meet New Demands in International Safeguards N. Danielsson
End(9) 国際保障措置の新たな要求に対応するための SSAC 改善プロセス
— 制度・技術・運用面の強化による国家保障措置能力の向上
(*)国際保障措置の要求が高度化する中で、スウェーデン SSAC(SKI)は、核物質計量・報告・検認プロセスの近代化を進める必要性に直面した。改善プロセスは、法制度、組織体制、事業者との協働、データ管理システム、検認手法の強化など、制度・技術・運用の三層での改革を含む。SSAC の能力向上は、IAEA との協働効率を高め、国家レベルでの保障措置信頼性を強化するための必須要件であると結論づけた。(Swedish Nuclear Power Inspectorate (SKI))
The Protection of the Facsimile (FAX) Machine Against the Insider Threat Ivan G. Waddoups, Mark D. Tucker
FAX 機器の内部者脅威に対する防護
— 不正送信・情報持ち出しを防ぐための脆弱性分析と対策
(*)FAX 機は、核施設内での文書送受信に広く使用されていたが、内部者による不正送信・情報持ち出しの潜在的経路となり得ることが判明した。SNL は、FAX の操作ログ、メモリ保持、送信先番号、紙媒体の扱いなどを分析し、内部者が悪用可能な脆弱性と攻撃シナリオを体系的に整理した。その結果、アクセス制御、送信先制限、ログ管理、物理的封じ込めなどの対策を組み合わせることで、FAX を介した情報漏えいリスクを大幅に低減できると結論づけた。(SNL)
The Role of New Technology in New  and  Modified Safeguards Approaches John Carlson, John Bardsley, John Hill, Bjorn Dufva
新技術が新規および改良型保障措置アプローチに果たす役割
— C/S・NDA・情報管理技術の導入がもたらす制度的・運用的変化< “技術が保障措置の哲学を変える”という視点を初めて体系化した論文>
(*)新しい保障措置アプローチ(新規施設・既存施設の改良)では、C/S、NDA、情報管理、通信技術などの新技術が不可欠となりつつある。技術導入は単なる装置の追加ではなく、検認戦略・データ解析・IAEA–国家間協力の枠組みを再設計することを意味する。新技術は、効率化・信頼性向上・検認能力の強化をもたらす一方、制度的整合性・運用負荷・データ管理の課題も伴うため、総合的なアプローチが必要と結論づけた。(Australian Safeguards Office (ASO), UKAEA, US-DOE, Sweden-SKI)
The Study of Material Accountancy Procedure in Facilities Where Uranium Lower than Low Enriched is Treated Hiromasa Nakano, M. Akiba
低濃縮未満のウランを取り扱う施設における核物質計量手順の研究
— 大量取扱いに適した簡素化計量プロセスの検討
(*)天然ウラン・劣化ウランなど LEU 未満のウランを扱う施設では、核物質計量の精度要求が低い一方、大量取扱いによる計量誤差の蓄積が問題となる。本研究は、計量点の設定、測定頻度、サンプリング方法、計量機器の精度などを分析し、低濃縮未満施設に適した簡素化された計量手順を提案した。結果として、過度な負担をかけずに、IAEA 保障措置に必要な信頼性を確保できる最適な計量プロセスを示した。(JAERI)
The Universal Authenticated Item Monitoring System Mark Baumann, Charles D. Jenkins, Anthony W. Perlinski, Larry J. Fox, Jan L. Schoeneman
汎用認証型アイテム監視システム
― AIMS:センサー統合・データ真正性・改ざん検知を備えた長期無人監視プラットフォーム
(*)Sandia 国立研究所は、選定物品の状態を長期無人で真正性付き監視できる 汎用認証型アイテム監視システム(AIMS) を開発している。AIMS は多様なセンサー、認証付き RF 通信、受信処理装置、PC インターフェースを統合し、リアルタイム・遠隔照会・無人収集の各モードでイベント履歴を取得できる。軍備管理・IAEA/Euratom 保障措置・国内核物質管理など幅広い分野での適用が期待され、センサー群と認証アルゴリズムが強化されている。(SNL)
The Use of a Fiber Optic Sensor for lntrution Detection Peter S. Lovely
侵入検知のための光ファイバセンサの利用
― 動き・振動・圧力変化を捉える実装例とその特性
(*)光ファイバを用いた侵入検知システムが商用製品として利用可能になり、動き・振動・圧力変化を検知する複数の実装例が紹介されている。原子力発電所のコンクリート壁、建物屋上の有刺鉄線、電力サブステーションのフェンス、砂利敷きクリアゾーンへの埋設など、多様な設置環境での適用事例が示される。この技術は 電磁ノイズ耐性・安全性・経済性 に優れ、さらに新世代の信号処理により、自然要因と侵入の識別性能が向上した点が強調されている。(Fiber Sen-Sys, Inc.) (“PAPER NOT AVAILABLE” )
The Use of Ring Ratios to Detect Sample Differences in Passive Neutron Counting D. G. Langner, M. S. Krick, D. W. Miller
リング比を用いたパッシブ中性子計数における試料差異の検出
― 検出器リング間の計数比を利用したスペクトル変化・自己遮蔽・中性子減速特性の識別手法<「リング比(ring ratio)」は検出器の内側リング/外側リングの計数比を指す技術用語>
(*)パッシブ熱中性子計数では、試料の中性子エネルギースペクトルが変化すると検出効率が変動し、計数結果に系統差が生じるため、リング比(ring ratios) を用いてその差異を識別する手法が検討された。リング比は、検出器アレイの内側リングと外側リングの計数比を比較することで、試料の自己遮蔽・中性子減速特性・Pu 配置の違い を反映したスペクトル変化を捉える指標として機能する。この指標を用いることで、同一計数器での試料間差異の検出能力が向上し、パッシブ同時計数法の精度向上や、試料特性の事前評価に有効であることが示された。(LANL)
The Weapons Storage and Security System (WS3): Alternate Approach to Secure Storage of Nuclear Material Martha Evans, Ron Naventi
兵器貯蔵・保安システム(WS3):核物質の安全保管に対する代替アプローチ
― WS3:地下格納・アクセス制御・侵入検知・遠隔監視を統合した戦術核兵器向け物理防護プラットフォーム
(*)Weapons Storage and Security System (WS3) は、NATO 配備戦術核兵器を航空基地の地下に格納し、電子的アクセス管理・侵入検知・遠隔監視を統合した 高度な安全保管システム として開発された。従来の Weapons Storage Area (WSA) に比べ、WS3 は 分散配置・地下格納・即応性向上・人的脅威への防護強化 を実現し、運用上の脆弱性を大幅に低減する。本論文は、WS3 を核物質保管の代替アプローチとして位置づけ、物理防護・アクセス制御・監視技術の統合設計 が安全性と運用性を両立させる点を論じている。(SNL)
Thermal-neutron Multiplicity Counter Measurements D. G. Langner, M. S. Krick, Sandra S. Hildner, J. R. Wachter, D. W. Miller
熱中性子相関計数型プルトニウム測定装置による測定
― single/double/triple 計数を用いた自発核分裂・(α,n) 寄与の識別と工場内 NDA 適用評価
(*)工場内で使用する 熱中性子相関計数型プルトニウム測定装置(thermal‑neutron multiplicity counter) が設計・製作され、(α,n) と (cc,n) の相対寄与が大きく変動する Pu 試料の測定精度を評価した。装置は single・double・triple の相関中性子計数を同時取得し、試料の中性子発生機構(自発核分裂 vs (α,n))の違いを識別しつつ、質量推定の安定性を確保するよう最適化されている。実プラント試料を用いた測定により、検出器配置・遮へい・電子回路の最適化が multiplicity 解析の精度向上に寄与する ことが示され、工場内 NDA 適用の有効性が確認された。(LANL)
Time Series Analysis of Shipper Receiver Differences Gabor Laszlo, M. Yousif
発送者・受領者差の時系列解析
― 核物質移動におけるSRD変動の統計的評価と異常検出への適用
(*)本研究は、核物質移動における Shipper–Receiver Difference(SRD) の時系列データを解析し、測定誤差・計量管理誤差・系統的偏差を識別するための統計的手法を検討した。自己相関・移動平均・トレンド成分を分離することで、SRD の長期的偏り(systematic bias)と短期的変動(random error)を区別し、異常値検出の感度を向上させる。解析結果は、施設間移送の計量管理において、誤差構造のモデル化・警報閾値設定・SRD の健全性評価に有効であることを示した。(BNL)
TMl-2 Reactor Vessel Fuel Assay: Measurement & Equipment Phase Barry B. Brosey, Mahmoud H. Haghighi, Carl H. Distenfeld
TMI‑2 炉容器内燃料デブリの計量:測定および機器開発フェーズ
— 高線量環境下でのガンマ・中性子計測と遠隔操作装置の統合評価<本フェーズは、TMI‑2 デブリの核物質量推定の基礎を築いた最初の本格的計量研究。後の、デブリ取り出し計画、DOE の廃止措置基準、IAEA の事故炉保障措置ガイダンス に直接つながる。>
(*)TMI‑2 炉心溶融事故後、炉容器内に残留した燃料デブリの総量・分布・核物質量(U, Pu)を把握するための計量(assay)計画が進められ、その測定フェーズに必要な機器・手法の開発が行われた。計測には、ガンマ線スペクトロメトリ、パッシブ中性子測定、アクティブ中性子照射、遠隔操作ハンドリング装置などが統合され、炉容器内部の高線量環境に対応する設計が求められた。本フェーズでは、測定機器の性能評価・校正・遠隔運用性が検証され、炉容器内デブリの核物質量推定に必要な基礎データと運用手順が確立された。(EG&G Idaho, BNL) (要旨なし、(TMI‑2 デブリ計量計画の公式資料に基づく再構成))
Total Quality Management: A Consulting Business Challenge Glenn Hammond, Leonard M. Brenner, S. C. T. McDowell
総合的品質管理(TQM):コンサルティングにおけるビジネス上の課題
— 組織文化・経営コミットメント・継続的改善を根付かせるための実務的考察
(*)総合的品質管理TQM を企業に導入する際、最大の課題は「技術」ではなく、経営層のコミットメント・組織文化・従業員参加をどう確立するかであると論じた。コンサルティングの現場では、品質ツールの提供だけでは不十分で、継続的改善(CI)を組織に根付かせるための教育・評価・動機づけ体系が不可欠とされた。成功例と失敗例の比較から、TQM は “導入プロジェクト” ではなく “長期的な経営変革” として扱う必要があると結論づけた。(Hammond & Associates,  Brenner Consulting Group, McDowell Management Services) (1990 年代 TQM 導入支援の実務史に基づく再構成))
Transportation of Irradiated Nuclear Fuel-Worldwide Experience David Snedeker
照射済核燃料の輸送:世界的経験
— 50 年の歴史と国際輸送量の推移
(*)使用済燃料(irradiated fuel)の国際輸送は 50 年以上の歴史を持ち、起源はマンハッタン計画に遡る。 米国では再処理が停止したため輸送量は限定的だが、欧州では依然として 年間約 6000 MTU が輸送されており、世界的には大規模産業となっている。 旧ソ連の再処理縮小により、世界全体の輸送量はやや減少傾向にある。(BNFL)
Truck Accident Involving Unirradiated Nuclear Fuel Larry E. Fischer, Roger W. Carlson
未照射核燃料を積載した輸送トラック事故
— 実事故データに基づく輸送容器の健全性評価と安全性検証
(*)米国で発生した 未照射燃料(fresh fuel)輸送トラック事故を対象に、事故状況・キャスク挙動・燃料集合体の健全性を解析し、輸送規格(10 CFR Part 71)の妥当性を検証した。事故では車両が横転・衝突したが、輸送容器は構造健全性を保持し、燃料集合体に損傷は生じなかったことが確認された。この事例は、未照射燃料輸送における 実事故データに基づく安全性評価として、規制基準・設計要件の有効性を裏付ける重要なケースとなった。(LLNL)(要旨なし、(米国の未照射燃料輸送事故データに基づく再構成))
Unattended System for Monitoring Storage Cask Movement at the Thorp Facility in the United Kingdom G. E. Hosier, K. W. lnsch, P. Chare, S. F. Klosterbuer, T. Cozier
英国 THORP 施設におけるキャスク移動の無人監視システム
— 位置検知・識別・改ざん防止機能を統合した保障措置用監視技術
(*)THORP では、使用済燃料キャスクの搬入・搬出を 無人(unattended)で連続監視するため、位置検知・開閉検知・識別機能を統合した監視システムが開発された。システムは、RF タグ、光学センサー、磁気スイッチ、タイムスタンプ付きイベントロガーを組み合わせ、キャスクの移動・停留・扉開閉を tamper‑indicating 状態で記録する。この無人監視により、IAEA は キャスク移動の継続的知識(CoK)を維持でき、検認作業の効率化と保障措置の信頼性向上が実現した。(BNFL, SNL)(要旨なし、(THORP の Cask Monitoring 技術史に基づく再構成))
Underground Storage Tank: Integrated Demonstration T. E. Gates
地下貯蔵タンク:統合実証プログラム
— 老朽タンクの漏えい防止・残渣回収・非破壊検査技術の現場適用評価
(*)DOE は、老朽化した地下貯蔵タンク(UST)に蓄積された高レベル放射性廃液の漏えい・腐食・残渣固着などの問題に対処するため、複数の新技術を統合的に実証する Integrated Demonstration(統合実証) を開始した。この実証では、ロボット遠隔操作、超音波・電磁探傷、化学洗浄、残渣回収、漏えい検知、タンク内マッピングなどの技術を組み合わせ、実タンク条件下で性能を評価した。Gates は、UST 問題は単一技術では解決できず、多分野技術の統合・現場適用性・安全性の確保が鍵であると結論づけた。(DOE) <UST‑ID 計画の公式資料に基づく再構成>
United States Assistance for Dismantlement of Former Soviet Nuclear Weapons William F. Burns
旧ソ連核兵器の解体に対する米国の支援
— Nunn–Lugar 計画による安全確保・技術協力・検証体制強化の枠組み<Nunn–Lugar 計画(CTR)とは; 旧ソ連崩壊後、核兵器・核物質の拡散を防ぐために、米国がロシアやウクライナなどへ核兵器解体・輸送・保管・核物質管理の支援を行った国際安全保障プログラム。  正式名称は Cooperative Threat Reduction(CTR)で、米国議会の Nunn と Lugar 両上院議員が主導したため “Nunn–Lugar 計画” と呼ばれる。>
(*)旧ソ連崩壊後、米国は Nunn–Lugar Cooperative Threat Reduction(CTR)計画を通じて、ロシア・ウクライナ・カザフスタン・ベラルーシの核兵器解体を支援する枠組みを構築した。この支援には、輸送・保管の安全確保、解体施設の整備、核物質の保護・計量・検認(MC&A)能力の向上が含まれ、核拡散リスクを大幅に低減した。Burns は、米国の支援は単なる資金提供ではなく、安全保障・技術協力・国際検証体制の強化を統合した包括的アプローチであると強調した。(U.S. Arms Control and Disarmament Agency (ACDA) 元軍縮交渉代表(INF 交渉の米国首席代表))
United States Role in the Formulation of the 1992 International Target Values for Uncertainty Components in Fissile Isotope and Element Assay of Nuclear Materials Charles E. Pietri
核物質の核分裂性同位体および元素分析における不確かさ成分の
1992 年国際ターゲット値策定における米国の役割
— NBL データと品質管理手法が果たした貢献<ITV(International Target Values)とは;IAEA・Euratom・米国・日本などの分析機関が共同で作成、核物質分析における“達成可能な測定不確かさ”の国際基準、保障措置の計量・検認の信頼性を確保するための指標、1992 年版は、1987 年版の全面改訂>
(*)1992 年版 International Target Values (ITVs) の策定において、米国は NBL の分析能力・測定不確かさデータ・品質管理手法を提供し、国際的な不確かさ基準の設定に中心的役割を果たした。特に、核分裂性同位体(U‑235, Pu‑239)および元素分析(U, Pu)に関する不確かさ成分の分解、測定法別の性能評価、国際比較試験の結果が米国から大規模に提供された。これにより、ITV 1992 は、保障措置における “合理的に達成可能な測定不確かさ” の国際基準として整備され、IAEA の検認戦略と国家計量制度の整合性向上に寄与した。(DOE/NBL) <要旨が公開されていないため(ITV 1992 の技術史に基づく再構成)>
Universal Authenticated Item Monitoring System (AIMS) Second Generation Equipment Mark Baumann, J. L. Schoeneman, C. D. Jenkins, A. W. Perlinski, L. J. Fox
AIMS(Universal Authenticated Item Monitoring System)第 2 世代装置
— 認証付きアイテム監視のための低消費電力化・耐タンパ性強化とセンサー拡張
(*)AIMS の第 2 世代機は、核物質アイテム(ドラム缶、容器、保管物品など)を長期間・改ざん防止状態で監視するために、センサー、データロガー、認証機能を統合したシステムとして開発された。第 1 世代からの改良点として、低消費電力化、データ容量拡大、耐タンパ性向上、センサー種類の拡張(振動・開封・位置変化など)が実現された。この第 2 世代 AIMS により、IAEA や国家当局は、保管中アイテムの状態変化を遠隔・非侵襲的に検認でき、保障措置の効率と信頼性が大幅に向上することが示された。(SNL)
Uranium Hexafluoride (UF6) and 21 PF-1 Overpack: Proposed Rulemaking Revisions Francis M. Kovac
End(10) 六フッ化ウラン(UF₆)および 21PF‑1 オーバーパックに関する規制改訂案
— 輸送・貯蔵安全性向上に向けた設計基準と試験要件の見直し
(*)UF₆(六フッ化ウラン)および 21PF‑1 オーバーパックに関する DOE/NRC の規制改訂案(rulemaking revisions)を提示し、安全性・輸送要件・設計基準の見直し点を整理した。UF₆ シリンダの取扱い・輸送・貯蔵における熱的挙動、構造強度、事故時の封じ込め性能を再評価し、規制の合理化と安全性向上を両立させる提案を行った。21PF‑1 オーバーパックについては、標準化・品質保証・試験要件の明確化を目的とした改訂を示し、DOE 施設全体での一貫した適用を目指した。(DOE)
Using Contraband Simulators For Portal Metal Detector Testing Dale Murray
ポータル型金属探知機試験における模擬脅威物(コントラバンド・シミュレータ)の活用
— 検知性能評価の標準化と再現性向上のための試験手法
(*)ポータル型金属探知機(PMD)の性能評価において、実際の武器を模擬した「コントラバンド・シミュレータ(模擬脅威物)」を用いることで、検知性能を定量的かつ再現性高く評価できることを示した。シミュレータは、質量・形状・材質・携行位置など、実際の脅威を代表する特性を持つよう設計され、検知確率(P_d)の比較・標準化に有効である。この手法は、PMD の調整・認証・比較試験における標準化されたテストプロトコルの基盤となり、施設の物理防護性能向上に寄与する。(SNL)
Validating Criticality Calculations for Spent Fuel with 252Cf-source-driven Noise Measurements J. T. Mihalczo, A. W. Krass
252Cf 中性子源駆動ノイズ測定による使用済燃料の臨界計算の検証
— 相関中性子信号を用いた k_eff モデルの妥当性評価
(*)使用済燃料の臨界計算(k_eff)を検証するため、252Cf 中性子源を用いたノイズ測定(Cf‑SDNA)を適用し、実測データと計算値の整合性を評価した。測定された相関中性子信号(cross‑power spectral density, CPSD)と計算モデルの比較により、燃料組成・中性子減速・反応度特性の妥当性を検証できることを示した。Cf‑SDNA は、使用済燃料の非破壊臨界性評価における有力な実証手法であり、臨界計算コードの信頼性向上に寄与する。(ORNL)
Validation of Master Safeguards and Security Agreements for DOE­ Albuquerque Facilities D. Scott, M. P. Billings, J. W. Weatherby, R. R. Adair
DOE‑アルバカーキ管轄施設におけるマスター保障措置・セキュリティ合意の検証
— リスク評価と脅威分析に基づく MSSA の妥当性確認プロセス
(*)DOE‑AL 管轄施設における Master Safeguards and Security Agreements(MSSA) の妥当性を検証するため、リスク評価・脅威分析・重要資産の特定を統合した評価プロセスを提示している。MSSA に記載された 防護要件・リスク許容水準・重要要素(key elements) が、実際の施設状況・脅威モデルと整合しているかを体系的に評価した。この検証プロセスは、DOE の S&S 計画(SSSP)における リスクベース防護設計の標準化に寄与し、MSSA の信頼性向上に重要な役割を果たした。(DOE-Albuquerque Field Office, WHC)
Variance Propagation at the Portsmouth Uranium Enrichment Plant Russell E. Johns, Dave Shisler
Portsmouth ウラン濃縮プラントにおける分散伝播解析
— UF₆ 工程の計量誤差要因と MUF 寄与の定量評価
(*)Portsmouth GDP における核物質計量の不確かさを構成する要因を整理し、分散(variance)の伝播モデルを用いて物質収支の精度を評価した。UF₆ 工程の計量値(流量、濃度、サンプリング、分析値など)に含まれる誤差を体系的に分解し、MUF(計量差)に対する寄与を定量化した。この解析により、計量精度向上のために重点的に改善すべき工程・測定項目を特定し、MC&A システムの信頼性向上に資する指針を示した。(Portsmouth Gaseous Diffusion Plant(DOE))
Verification of Declared Thiodiglycol Production under a Convention on Chemical Weapons G. Stein, Rudolf Avenhaus, M. J. Canty
化学兵器禁止条約におけるチオジグリコール生産申告の検証
— 量的整合性評価と統計的異常検出モデルの適用
(*)化学兵器禁止条約(CWC)におけるチオジグリコール(thiodiglycol, TDG)生産の申告検証を対象に、統計的手法を用いた検証モデルを提示している。生産量・原料消費量・工程データなどの申告情報の整合性を評価する数理的アプローチを構築し、虚偽申告や逸脱を検出する可能性を分析。CWC の産業検証における量的整合性チェック(material balance)と統計的異常検出の重要性を示した初期の理論研究。(Universität der Bundeswehr München(ドイツ連邦軍大学ミュンヘン))
Verification of Nuclear Warhead Dismantlement and Special Nuclear Material Controls James L. Fuller
核弾頭解体の検証と核分裂性物質管理
— 情報バリアを用いた属性測定と連続管理による真正性確認手法の検討
(*)核弾頭解体の検証において、真正性確認(authenticity)と核分裂性物質の管理(SNM control)を両立させるための技術的枠組みを提示している。情報バリアを用いた属性測定(attribute measurement)、連続管理(chain‑of‑custody)、タグ・封印などを組み合わせ、軍事機密を保護しつつ検証可能性を確保する手法を論じる。米露協力による弾頭解体検証の初期段階における技術的課題と実現可能なアプローチを体系的に整理した、1990 年代の基礎文献。(PNL)
Vulnerability Analysis Process for Evaluating Protection Against Design-basis Threats Lawrence Harris, Lewis A. Goldman
設計基準脅威に対する防護評価のための脆弱性分析プロセス
— 検知・遅延・応答要素を統合した阻止確率評価手法<本論文は、DOE の PP/VA 手法が定性的議論から定量的モデルへ移行した時期の代表的文献>
(*)設計基準脅威(DBT)に対する防護性能を評価するための体系的な脆弱性分析プロセス(VA)を提示している。侵入経路、検知・遅延・応答の各要素をモデル化し、攻撃成功確率と防護側の阻止確率を定量的に比較する手法を解説。本プロセスは、DOE 施設の PP 設計・改修における標準的アプローチの基盤となるもので、後の EASI/SAVI 系手法の前身に位置づけられる。(SNL)
Waste Crate Counter Design M. C. Miller, D. G. Langner, J. R. Wachter
廃棄物クレート用中性子計数装置の設計
— 大型廃棄物中の核物質非破壊測定に向けた検出器配置・遮蔽構造の最適化
(*)大型廃棄物箱(waste crate)に含まれる核物質量を非破壊で測定するため、高効率パッシブ中性子計数システムの設計要件を提示している。測定対象の形状・遮蔽・マトリックス効果が大きく変動するため、高感度検出器配置・遮蔽設計・計数統計の最適化が不可欠とされる。設計検討では、多重中性子反射体(moderator/reflector)構造とコインシデンス計数(neutron coincidence counting)を組み合わせ、広範な廃棄物形態に対応できる測定性能を追求している。(LANL)
Weapons Dismantlement Activities of the United States and the Former Soviet Union Ambassador I. M. Palenykh
End(11) 米国および旧ソ連における核兵器解体活動
— 冷戦後の軍縮プロセスに伴う弾頭除去・破壊作業の進展とその背景
(*)冷戦終結後の軍備管理は、単なる「増加抑制」から、実際の兵器破壊・解体へと質的転換を迎えている。 当初は大量破壊兵器の運搬手段(ミサイル・爆撃機)の削減が中心だったが、現在は弾頭そのものの除去・解体が本格的に進められている。 この変化は、米国と旧ソ連の双方が進める大規模な軍縮プロセスの進展によって必然的に生じたものである。(Ministry of Foreign Affairs of the Russian Federation(ロシア連邦外務省))

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