日本核物質管理学会Institute of Nuclear Materials Management (INMM) Japan Chapter

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INMM米国年次大会論文集(2000年)

メンター部会の活動の一環としてINMM米国年次大会におけるProceedingタイトルリスト(日本語訳付き)の2000年分を作成しました。

タイトル、著者のほかに、タイトルだけではよくわからない専門用語や略号を日本語で補足した備考欄(訳注、補足・コメントなど)を付加しましたので有効活用いただければ幸いです。

 

Sub-Volume End-marker Title/タイトル Authors 備考
(訳注、補足・コメントなど)
“Cats and Dogs” Disposition at Sandia: Last of the Legacy Materials John L. JACKSON, Warren R. Strong
「Cats and Dogs(雑多残存核物質)」のサンディア研究所における処分
― 用途未定核物質(NDU)への再分類によるレガシー核物質削減の実務とDOE複合施設への教訓
(*)サンディア国立研究所(SNL/NM)は過去12か月間で核物質保有状況を評価し、約46%(質量比36%)を「用途未定(NDU)」として再分類した。この再分類により、長年保管されてきた「レガシー核物質」の最終処分方針を決定できるようになり、DOEや関連部門との広範な調整が進められた。「Cats and Dogs」と呼ばれる雑多な核物質群の識別・再分類プロセスは、DOE複合施設における重要な教訓を提供した。(SNL)
Disposition Pathways: Mixed Oxide Fuel Patrick T. Rhoads
MOX燃料によるプルトニウム処分経路
― 余剰兵器級プルトニウムのMOX化・軽水炉照射による「使用済燃料基準」達成
(*)米国は余剰兵器級プルトニウムの処分方策として、酸化物化したプルトニウムを混合酸化物(MOX)燃料に加工し、商用軽水炉で照射する計画を進めている。この方法により、プルトニウムを「使用済燃料基準」に到達させ、再利用困難な形態にすることを目的としている。ロシアとの相互的措置と連動し、25~33トンのプルトニウムを対象に、兵器からの分離、酸化物化、MOX燃料製造、炉内照射という一連の工程が検討されている。(US DOE)
Operators’ Perspective on Joint Implementation Trial for the Additional Protocol at JNC Oarai Yu Hashimoto, Nobutomo Takahashi
JNC大洗における追加議定書共同実施試験に関する事業者の見解
Technology Cooperation with Russia on Plutonium Disposition Alice K. Caponiti
ロシアとのプルトニウム処分に関する技術協力
― 余剰兵器級プルトニウムの処分に向けた米露共同技術実証(転換・NDA・MOX照射・固化)の進展
(*)米国は余剰兵器級プルトニウムの処分方策として、酸化物化したプルトニウムを混合酸化物(MOX)燃料に加工し、商用軽水炉で照射する計画を進めている。この方法により、プルトニウムを「使用済燃料基準」に到達させ、再利用困難な形態にすることを目的としている。ロシアとの相互的措置と連動し、25~33トンのプルトニウムを対象に、兵器からの分離、酸化物化、MOX燃料製造、炉内照射という一連の工程が検討されている。ロシアとのプルトニウム処分に関する技術協力― 余剰兵器級プルトニウムの処分に向けた米露共同技術実証(転換・NDA・MOX照射・固化)の進展(US DOE)
U.S./Russian Cooperation for Plutonium Disposition-Update Laura S. H. Holgate
米露プルトニウム処分協力 ― 最新動向アップデート
― 34トンずつの兵器級プルトニウム処分に向けた技術実証・協定交渉・施設整備の進展
(*)米露の余剰兵器級プルトニウム処分協力は、米国の大量破壊兵器(WMD)脅威削減政策の中核であり、ロシア側の処分加速を可能にするため、主要技術のデモンストレーションがロシア国内で進められている。両国は、34トンずつ計68トンの兵器級プルトニウムを処分する二国間協定の交渉を進めており、MOX燃料利用などの技術的選択肢を含め、協定実施のための設計・施設建設に向けた準備が進展している。米国議会や各種利害関係者から強い支持を受けつつ、米国内の余剰HEU処分が進むとともに、プルトニウム処分に関する制度・技術双方の基盤整備が最終段階に近づいている。(US-DOE)
232U Content of Sapphire Material P. E. Vanier, W. R. Kane, J. R. Lemley, L. Forman
Project Sapphire the governments of the United States and Kazahkstan arranged for the removal of high-enriched uranium (HEU) material (*)米国とカザフスタンが実施した Project Sapphire により、カザフスタンから米国へ移送された高濃縮ウラン(HEU)について、輸送時の密封容器のまま高分解能ガンマ線スペクトロメトリ(HRGS)測定が行われた。再処理ウランを拡散プラントに供給すると 232UがHEU中に濃縮されやすく、その娘核種が放出する 2614 keV ガンマ線 は検知性が高く、HEUの識別(特に軍縮・管理目的)に有効なシグネチャとなる可能性がある。Sapphire試料20点の平均 232U濃度は総ウラン量あたり 396 ± 140 ppt (1.0E-12)であることが測定され、核物質起源識別(アトリビューション)や保障措置用途への適用性が示唆される。(BNL,  Ion Focus Technology, Inc.)
3-D Simulation for Assessment of Transparent Weapon Disassembly Operations Joseph W. Jackson
透明性のある兵器解体作業の評価のための3Dシミュレーション
A COMPUTERIZED TOOL FOR PREDICTING NUCLEAR MATERIALS USAGE AND RESOURCE UTILIZATION IN PRODUCTION PROCESSES Tresa F. Yarbro, Karen W. Hench, Sammi D. Owens, Sandra E. Wilson
核物質使用量および資源利用の予測に向けた計算支援ツール
― 回収・再利用材を含む生産プロセスフローを反映した “what‑if” 在庫予測と、NDA/分析資源の需要見積り機能の拡張
(*)英国防省とAWE Aldermaston が開発したスプレッドシートは、核物質インベントリの計画に使用され、回収材・リサイクル材・プロセス効率を基に、将来の核物質需要を予測する “what-if” 解析ツールとして機能する。ロスアラモス国立研究所(LANL)はこのツールを生産向け核物質使用量予測に応用し、従来の「兵器複合施設内の物質移動予測ツール」を補完するものとして導入した。LANLはさらに、プロセス間の物質移動や非破壊分析(NDA)・分析化学資源の利用まで予測可能にする機能を追加し、プロセスアカウンタビリティフローダイアグラムを基礎とした拡張ツールとして発展させている。(LANL)
A Data Acquisition System (DAS) For Evaluation of Perimeter Intrusion Detection Systems (PIDS) Graham Leach, Stephen G. Tarr
周界侵入検知システム(PIDS)評価用データ取得システム(DAS)
― 多チャネルアラーム・映像記録および気象・雷・電源変動データ統合による高信頼性性能評価基盤
(*)英国Home OfficeのPolice Scientific Development Branch(PSDB)は、市販PIDS(Perimeter Intrusion Detection Systems)の性能評価を行っており、検知性能・誤報(nuisance alarms)・保守性・信頼性を包括的に評価する必要がある。新たに導入されたDASは、最大64のアラームチャネルと32のビデオチャネルを記録し、気象データ・雷活動・電源変動情報を5年間オンライン保存でき、既存システムより高信頼性・高効率なデータ収集と解析を可能にしている。 DASはWindows NTで動作し、PSDBの安全なネットワークに接続できるほか、遠隔サイトのPIDS監視にも対応し、同一のデータ解析手法を適用することで一貫性のある性能評価が可能となる。(Police Scientific Development Branch)
A Fresh Look at Highly Enriched Uranium for Naval Propulsion and Associated Proliferation Risks Morten Bremer Maerli
海軍推進用高濃縮ウランの再評価
― 兵器級ウラン備蓄と海軍燃料サイクルに内在する核拡散リスクの分析
(*)米露には、兵器および将来の海軍燃料需要を大きく超える大量の高濃縮ウラン(HEU)備蓄が存在する。今後の米国における海軍推進用燃料需要は減少すると見込まれ、海軍燃料サイクルの透明性向上が可能であると論じている。核兵器用分裂性物質の在庫申告および国際的透明性措置が、軍縮の深化や最適な不拡散策の構築に寄与すると提案する。(Stanford University)
A GAMMA-RAY CAMERA FOR INSPECTION CONTROL J. F. Morgan, D. S. Semenov, M. Yu. Chernov, K. N. Danilenko 検査管理用ガンマ線カメラ
検査管理のためのガンマ線カメラ
― DOE兵器解体透明性プログラムに基づく放射性・核分裂性物質の非侵襲可視化技術の開発
(*)パルス技術研究所(ロシア)が、放射性物質(特に核分裂性物質)を可視化するためのガンマ線カメラを開発した。 本開発は、DOE Lab-to-Lab 兵器解体透明性プログラムの一環として、米国ローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)と共同で実施された。検査の「非侵襲性」を維持するため、カメラの空間分解能は仕様上あえて制限されている。(LLNL, Research Institute of Pulse Technique (Russia))
A Germanium Based Coded Aperture Gamma-ray lmager K. P. Ziock, B. Pohl, G. Schmid
ゲルマニウムをベースとした符号化開口ガンマ線イメージング装置
A LONG-TERM STRATEGY FOR RESTRUCTURING AND CONSOLIDATION OF RUSSIA’S NUCLEAR WARHEAD PRODUCTION INFRASTRUCTURE Oleg Bukharin
ロシア核兵器生産インフラの再編・統合に向けた長期戦略
― 施設統合・能力縮退・核拡散リスク低減のための制度的枠組み
(*)本論文は、ロシアの核兵器複合体(nuclear warhead production infrastructure)を、縮小・再配置・統合するための 長期的戦略(Long‑Term Strategy) を概説し、兵器生産から余剰となった施設・人員・能力を、安全・安定・透明性を確保しつつ再構築する計画の必要性を論じている。冷戦後の財政縮小と核削減条約(START、PMDA 等)に伴い、核兵器製造関連の多数の施設・研究所・生産ラインが過剰化しており、ロシア政府はこれらを 施設統合、設備封印、能力縮退、人員転換(再訓練)、民生転用 により再編する必要があると指摘される。さらに、核拡散リスクを軽減するため、再編計画には 国際保障措置(IAEA・米露協力)による透明性の向上、核物質管理(MC&A)インフラ強化、閉鎖都市(ZATO)支援プログラムとの整合 が不可欠であるとし、ロシア核兵器複合体の持続的管理体制構築の方向性を示している。(Ministry for Atomic Energy of the Russian Federation(Minatom), VNIIA, VNIIEF, VNIITF, PNNL, SNL)
A METHOD FOR DETECTION OF CONCEALED MODERATELY ENRICHED URANIUM (MEU) USING NONDESTRUCTIVE ASSAY MEASUREMENT TECHNIQUES B. R. McGinnis, R. L. Mayer
非破壊分析(NDA)技術を用いた隠匿中程度濃縮ウラン(MEU)の検知手法
― 複合放射線シグネチャによる MEU 検出可能性の評価
(*)本論文は、中程度濃縮ウラン(MEU, Moderately Enriched Uranium) が他物体の内部に隠された状態でも検知できるよう、複数の非破壊分析(NDA)技術の組み合わせによる検知手法を体系的に評価したものである。手法としては、受動ガンマ測定(同位体比示唆)・中性子計測(スペクトル・事象同時計測)・X 線透過測定 などの複合適用を想定し、遮蔽条件・試料量・密度分布の違いに対する検知しきい値を解析している。結果として、特定のガンマ線ピーク強度比と複数中性子同時計測シグネチャを組み合わせることで、MEU の特徴的放射線挙動(235U 含有量依存)を抽出し、隠匿された MEU の存在を高信頼で検知できる有効性を示した。(ORNL)
A New Approach to Holdup Measurement in Uranium Enrichment Facilities D. H. Beddingfield, H. O. Menlove
ウラン濃縮施設におけるホールドアップ(滞留量)測定の新手法 — Distributed Source-Term Analysis(DSTA)による中性子計測を用いた迅速・高信頼性の沈着量推定 分散型ソースターム分析(DSTA)技術(*)本論文は、従来のホールドアップ(holdup)測定法とは異なる新手法 Distributed Source-Term Analysis(DSTA) を提案し、濃縮ウランの大きく拡散した沈着量を測定するための統合的アプローチを示している。 自発核分裂中性子と UF₆ の (α,n) 反応由来の中性子を測定し、カスケードホール全体の平均中性子計数率からウラン holdup 総量を推定するため、従来より大幅に迅速で効率的な測定が可能となる。Monte Carlo モデリングによる校正曲線作成・ホール内の計測・総量算出の 3 段階で構成され、γ線法にみられる負バイアスが存在しないなど、誤差評価の信頼性も向上している。(LANL)
A New Look at Metrics for Proliferation Resistance Vladimir Sukhoruchkin, A. N. Rumyantsev, V. M. Shmelev, N. Ponomarev-Stepnoi, James W. Toevs, R. Wagner 核拡散抵抗性指標の新たな考察
Kurchatov Institute (*)ロシア・クルチャトフ研究所と米国・ロスアラモス国立研究所が、先進的原子力技術・燃料サイクルの核拡散抵抗性を評価するための高次指標(high‑level metrics)の共同開発を開始した。両機関は異なる評価アプローチを採用し、それぞれ独自の視点から有望な初期成果を示している。今後の協力に向けて研究計画が共有され、将来の核燃料サイクル設計における評価枠組み強化の方向性が提示されている。(Kurchatov Institute, (LANL))
A NEW METHODOLOGY FOR DETERMINING FISSILE MASS IN INDIVIDUAL ACCOUNTING ITEMS WITH THE USE OF GAMMA-RAY SPECTROMETRY James R. Lemley, Peter E. Vanier, P. B. Zuhoski, Walter R. Kane
核拡散抵抗性指標に関する新たな検討 ― クルチャトフ研究所とロスアラモス国立研究所による先進燃料サイクル評価指標の共同開発 (*)クルチャトフ研究所(ロシア)とロスアラモス国立研究所(米国)が、先進的原子力技術および燃料サイクルの**核拡散抵抗性を評価するための高次指標(high‑level metrics)**の共同開発を開始した。両研究機関は異なるアプローチを採用しつつ、それぞれが有望な成果を示しており、核拡散抵抗性指標の形成に多角的視点を持ち込んでいる。初期研究成果の提示とともに、今後の協力計画を共有し、将来の核燃料サイクル設計に向けた評価枠組み強化の方向性を示している。(Kurchatov Institute(ロシア), LANL)
A Novel Installation of the ReflectoActive™ Seals System at the Y-12 Plant Chris A. Pickett,J.R. Younkin, K. M. Baldwin, A. H. Peters, D. D. Earl
Y‑12 プラントにおける ReflectoActive™ シールシステムの新規導入
― モジュール型保管庫を対象とした連続封印監視の実装と運用結果
(*)Oak Ridge Y‑12 プラントで開発された ReflectoActive™ シールシステムを、モジュール型保管庫に対して新たな形で導入し、ドラム保管物の連続(アクティブ)封印監視を実現した。 この導入事例では、既存技術とは異なる “新規実装” により、システムの柔軟性と適応性が示され、2年間の在庫管理延長が認可された。本論文では、導入構成・性能結果・他の潜在的応用例が示され、ReflectoActive™ 技術が多用途の保障措置・核物質管理ツールとして有望であることが示されている。(Lockheed Martin Energy Systems, Inc., ORNL)
A Practical Guide to Measurement Control Experience on Non-destructive Assay Equipment at the Los Alamos National Laboratory Plutonium Facility M. J. Schanfein, L. A. Bruckner
ロスアラモス国立研究所プルトニウム施設における非破壊検査装置の測定管理経験に関する実用ガイド
A Practical MC&A Inspection Training Approach for Gosatomnadzor of Russia Cathy Key, G. P. Kodman, K. R. Byers, T. Wright, Boris Krupchatnikov, R. Hawkins, K. Coady
End(1) ロシア核規制機関(Gosatomnadzor)向け実践的 MC&A 査察訓練アプローチ
― ANL‑West における実地訓練と査察能力強化のための評価
(*)ロシアの Gosatomnadzor(GAN:国家核規制機関) が民生核物質の計量管理・検認を実施するため、実践的 MC&A(核物質防護・管理・計量管理)査察訓練プログラムを構築する必要性が高まり、その一環として米国の ANL‑W(Argonne National Laboratory‑West)の Category‑I 核物質施設で実地訓練が実施された。訓練では、査察計画の立案、文書審査、現場確認、測定装置の使用、核物質在庫検認、データ評価手順など、GAN の査察官が実際の職務で必要とする一連の MC&A 技能を体系的に実習し、実環境に近い条件での査察活動を体験できる構成とされた。訓練後の評価では、GAN 査察官の技能向上だけでなく、ロシア国内で今後整備される MC&A 規制体系の改善点、追加教育の必要性、訓練カリキュラム拡張に関する教訓が得られ、継続的な国際協力の重要性が示された。(Lockheed Martin Energy Systems, Battelle Memorial Institute, PNNL, ANL‑W, Gosatomnadzor(ロシア国家核規制機関), Consultant to ANL, U.S. DOE)
A STUDY OF LEU FUEL CYCLE ORIENTED SAFEGUARDS APPROACH UNDER INTEGRATED SAFEGUARDS Takeshi Osabe
LEU燃料サイクルの保障措置アプローチ志向に関する研究
― 統合保障措置下での短通知ランダム査察(SNRI)およびリアルタイム核物質追跡システムによる効率的検認手法の検討
(*)統合保障措置下で、LEU燃料サイクル全体に対してコスト効率を維持しつつ保障措置の有効性を確保する手法を検討した研究である。重要手段として短通知ランダム査察(SNRI)と、メールボックスを用いたほぼリアルタイム核物質追跡システムの導入が提案されている。LEU燃料サイクル全体を対象にした包括的アプローチにより、透明性向上と査察効率の大幅な改善が期待される。(Nuclear Material Control Center(核物質管理センター))
A Systematic Approach for Implementing Managed Access at Sensitive Nuclear Facilities George T. Baldwin
機微性の高い原子力施設におけるマネージドアクセス実施の体系的アプローチ
― FMCT検証を念頭に、必要最小限情報の提示と機密保護を両立させる査察準備プロセスの検討
(*)機微情報を含む原子力施設で査察を実施する際、機密保護と査察の実効性を両立するための「マネージドアクセス(managed access)」の体系的な実施手法を示している。FMCT(核兵器用核分裂性物質生産禁止条約)検証を想定し、事前に「合意履行を示すために必要最小限の情報」を明確化することが、検認効率と保護措置の最適化の双方に資すると論じている。 ホスト側の十分な準備が、過剰な防護措置を回避し、査察官との合意形成にも有効に働くという「計画的・体系的準備」の重要性を強調している。(SNL)
ABACC / DOE TECHNICAL COOPERATION 1997-1999 Don Glidewell, Olga Y. Mafra Guidicini, Lilia Palhares, Luis Rovere, Gene Bosler, Susan Hayes, Michael Whitaker, Carlos Feu Alvim, Ruben Nicolas, G. Richard Holdren, J. Busse, M. I. Spaletto
ABACC/DOE技術協力 1997-1999
Achieving Higher Accuracy in the Gamma-Ray Spectroscopic Assay of Holdup P. A. Russo, T. R. Wenz, S. E. Smith
ガンマ線分光分析による滞留量評価の高精度化手法
― 有限線源効果と自己減衰による負バイアスを補正する新規GGH解析の導入と、自動化可能な補正式の提示
(*)従来のガンマ線分光法による滞留量(holdup)測定には、有限幅線源の近似と自己減衰に起因する2つの系統的負バイアスが存在し、それらを補正する新手法を提示している。新しい解析は Generalized Geometry Holdup (GGH) 手法に追加パラメータを導入し、従来未補正だった有限線源効果・自己減衰効果を同時補正し、個々の沈着箇所の誤差低減と総滞留量のバイアス除去を可能にする。補正式は単純かつ自動化が容易であり、DOE施設など複数の現場で適用されていることが示されている。(LANL, Lockheed Martin Energy Systems)
Advances in CdZnTe Detectors for Safeguards T. H. Prettyman, Calvin E. Moss, K. D. lanakiev, T. Marks, M. R. Sweet, S. A. Soldner, M. C. Browne, J. D. Chavez
保障措置に向けたCdZnTe検出器技術の進展
― 高温時性能向上・小型分光電子回路・携帯型検出器向け解析ソフトおよびNaI(Tl) に匹敵する大型携帯プローブの開発
(*)高温環境での性能改善、分光測定用の小型電子回路、携帯型検出器向け解析ソフトなど、CdZnTe(CZT)検出器技術の最新開発が紹介されている。多素子コプレーナーグリッド検出器を用いた大容量携帯型プローブが提示され、その検出効率は滞留量評価で一般に用いられる NaI(Tl) 検出器と同等であることが示されている。 これらの改良により、保障措置分野で要求される携帯性・感度・スペクトロメトリー機能の強化が期待される。(LANL)
ALTERNATIVE HIGH-LEVEL WASTE TREATMENTS AT THE IDAHO NATIONAL ENGINEERING AND ENVIRONMENTAL LABORATORY Thomas Kiess
アイダホ国立工学・環境研究所における高レベル廃棄物処理の代替手法
― 固体カルシンおよびナトリウム系液体廃棄物に対する処理選択肢評価と、固化方針・暫定貯蔵リスク評価に基づく管理
(*)本論文は、米国国立研究会議(NRC)委員会が実施した、INEEL(Idaho National Engineering and Environmental Laboratory)における高レベル廃棄物(HLW)処理代替案の技術的レビュー結果をまとめたものである。対象廃棄物は 4,000 m³ の固体カルシン(calcine) と 5,000 m³ のナトリウム系液体廃棄物であり、委員会は液体廃棄物について「継続的カルシネーション(calcination)を行わず、固化処理を選択してTRU廃棄物としてWIPPへ送るべき」と勧告した。固体カルシンに対しては、将来のHLW処分場の廃棄物受入基準が確定するまで最終処理の判断を保留し、暫定貯蔵のリスク評価を行うこと、また処理・固化工程に対する追加検討を進めることが推奨された。(US DOE)
ALTERNATIVES FOR INCREASING THE COOPERATION WITH RSAC/SSAC Alfredo L. Biaggio, Marco A. Marzo, E. Palacios
地域・国家保障措置制度 RSAC/SSACとの協力強化に向けた選択肢
― INFCIRC/540(追加議定書)下での新保障措置体系における地域・国家保障措置制度の役割と、IAEAが信頼性・技術能力・有効性を確認するための要件整備
(*)地域・国家保障措置制度(RSAC/SSAC)との協力強化は、国際保障措置の有効性向上と効率改善のために不可欠であり、とくに追加議定書(INFCIRC/540)の導入に伴う新しい保障措置システムにおいてその重要性が高まる。IAEAが継続的に信頼性・技術能力・有効性を確認できるよう、RSAC/SSAC側が満たすべき要件・条件を整備することが課題であり、これらの条件に応じた協力レベルの多様な選択肢が提示されている。実践的な国際保障措置枠組みへのRSAC/SSACの統合に向けて、協力の段階的モデルと、それぞれの段階で必要となる技術的・制度的条件が議論されている。(Brazilian–Argentine Agency for Accounting and Control of Nuclear Material(ABACC))
AMERICIUM/CURIUM CALORIMETER Lee Refalo
アメリシウム/キュリウム用カロリメータ
― 約50 W級のガラス固化Am/Cm混合廃棄体を極限放射線・温度環境下で遠隔測定するための新型熱量計の開発とプロトタイプ実証
(*)サバンナ・リバー技術センターにおいて、強放射線場(約22,400 rad/h)と外気温変動にさらされる極限環境で使用可能な新型カロリメータ(熱量計)が開発中である。測定対象は容器あたり約50 W の熱を発生するガラス固化アメリシウム/キュリウム(Am/Cm)混合物であり、リモートセル環境でマニピュレーターを使用して測定する設計となっている。プロトタイプが製作され、実環境条件を模擬した試験により設計コンセプトが実証され、テストデータが提示されている。(Westinghouse Savannah River Company)
AMETHYST: Automatic Alarm Assessment: Operational Experience Graham Leach, Michael Horner, Tristan O’Dwyer
AMETHYST:自動警報評価システムの運用経験
― PIDS誤警報の最大85%削減を実現した映像解析アルゴリズムの実運用評価と商用化に向けた量産用システム開発
(*)AMETHYST(Automatic Event Authentication Systems)は、映像解析を加えることで既存の周界侵入検知システム(PIDS)の誤警報を自動的にふるい分け、侵入の可能性が高い警報のみをオペレーターに提示する高性能検知支援システムである。改良アルゴリズムを組み込んだプロトタイプが政府系施設2か所で実運用され、極端な気象条件に伴う誤警報・不要警報を最大85%削減しつつ高い検知率を維持することが確認された。運用経験を踏まえて商用化向けの前量産システム開発が進められており、省コスト・高信頼性で既存の周界警備設備に付加可能な実用的ソリューションとして位置づけられている。(英国 Home Office(内務省)Police Scientific Development Branch)
AN ESTIMATE OF THE AMOUNTS OF 235U, 239PU AND THE MATERIAL ATTRACTIVENESS IN NAVAL IRRADIATED NUCLEAR FUEL FROM THE FIRST AND SECOND GENERATION OF RUSSIAN SUBMARINES Ole Reistad
ロシア第一・第二世代潜水艦の照射済核燃料に含まれる235U・239Pu量および核拡散上の魅力度評価
― 小型炉心で生成される 239Pu の潜在的リスクと、照射後線量に基づく自己防護効果(self‑protection)消失の評価

<“Self‑protection / Self‑protective” とは;これは IAEA 保障措置・物理的防護で用いられる標準的概念で、特定の放射性物質が 人が近づけないほど強い放射線を放つため、盗取・転用が困難になる状態 を指す。>

(*)ロシア第一・第二世代潜水艦の照射済燃料を解析した結果、完全燃焼炉心には 1~5 kg の239Pu が生成しており、燃料集合体は小型ながら一定の核拡散リスクを持つ。核分裂生成物(137Cs 等)およびアクチニド(241Am 等)の線源強度を基に、照射後線量による自己防護効果(self‑protection)が保持されているかを評価したところ、退役後30年以上では自己防護的とは言えないことが判明した。ただし初期235U濃縮度が比較的低く、燃焼後さらに濃縮度が低下するため、ロシア海軍燃料の中では優先度の高い拡散懸念対象ではないと結論される。(Norwegian Radiation Protection Authority(ノルウェー放射線防護庁))
AN INTEGRATED INVENTORY INFORMATION MANAGEMENT SYSTEM Sharon M. Deland, William Chambers, Grace Thompson, Nicole Andrews
統合インベントリー情報管理システム
ANALYSIS AND DATABASING SOFTWARE FOR INTEGRATED TOMOGRAPHIC GAMMA SCANNER (TGS) AND PASSIVE-ACTIVE NEUTRON (PAN) ASSAY SYSTEMS R. J. Estep,Constance A. Buenafe, Sheila Melton
統合型TGS(トモグラフィックガンマスキャナ)およびPAN(受動・能動中性子)アッセイシステムのための解析・データベース化ソフトウェア
― CTEN中性子データ・TGSガンマ線データ・同位体情報を統合し、自動解析・記録管理を可能とするCTEN_FITシステムの構築
(*)本研究では、CTEN_FITと呼ばれるC++(Windows 9x/NT)製ソフトウェアを開発し、CTEN(thermal/epithermal neutron)受動・能動アッセイデータとTGS(Tomographic Gamma Scanner)によるガンマ線データおよび同位体解析結果を統合的にデータベース化・解析できる仕組みを構築した。 バイナリ形式のデータベースはExcelに反映され、VBA マクロにより柔軟なカスタマイズが可能で、記録管理や解析処理を自動化することで測定オペレーターにとって透明性の高い運用を実現している。レコードブラウザや情報表示機能により、PAN/TGS統合アッセイシステムにおける効率的なデータ管理と自動解析ワークフローを提供し、装置運用の実務性を大きく向上させている。(LANL)
Analysis of Unattended Monitoring System Data Using Knowledge Generation Software J. Brabson, S. Deland, James D. Smith
知識生成ソフトウェアを用いた無人モニタリングシステムデータの分析
ANALYTICAL LABORATORY APPLICATION OF ADVANCED HYBRID DENSITOMETER SOFTWARE Michael Collins
先進型ハイブリッド・デンシトメータ解析ソフトウェアの分析ラボへの適用
― SAL取得スペクトルへの高度HKED解析、32-bit版による装置制御統合、および従来困難であった混合核種溶液への適用性向上の実証
(*)本研究は、IAEA保障措置分析所(SAL)とLANLが共同で、ハイブリッドK-edge/XRF(HKED)デンシトメータの高度解析ソフトウェアを開発し、従来は分析困難だった試料への適用性を実証した。SALで取得されたスペクトルに対し、16-bit版ソフトを用いたオフライン解析機能を構築した後、32-bit版ではハードウェア制御まで統合した新HKEDシステムを実現し、既存装置の性能向上をソフトウェア側の改良のみで実現した。これらの改良により、HKEDシステムの測定能力・適用範囲が拡大し、分析所での混合アクチニド溶液等の難処理サンプルに対しても高精度解析が可能となった。(LANL)
Application of a Virtual Private Network to the Finnish Remote Environmental Monitoring System Susan A. Caskey, Heidi Anne Smartt, Tapani Honkamaa, Robert Martinez
フィンランド遠隔環境モニタリングシステムへの仮想プライベートネットワークの適用
Application of Optical Fiber Scintillator for Unattended Monitoring in Spent Fuel Storage Silo Wan Ki Yoon, Sung Gi Park, Jong Soo Kim, Eun Ho Kwack, Jae-Sung Lee
使用済み燃料貯蔵サイロにおける無人モニタリングへの光ファイバーシンチレータの適用 (*)韓国ウォルソン原子力発電所CANDU燃料乾式貯蔵サイロ
Application of State-Level Integration to Safeguards in Sweden M. Larsson, Goran Dahlin
スウェーデンにおける保障措置への国家レベル統合の適用
APPLICATION OF STOCHASTIC AND ARTIFICIAL INTELLIGENCE METHODS FOR NUCLEAR MATERIAL IDENTIFICATION Sara A. Pozzi, R. J. Segovia
核物質識別に向けた確率的手法および人工知能手法の適用
― モンテカルロ生成の中性子‐光子相関データを用いたニューラルネットワーク/遺伝的プログラミングによるウラン試料属性推定
(*)核物質識別に向け、ORNL等で開発されてきたアクティブNDA技術(中性子・ガンマ線の外部照射による誘起核分裂応答)に対し、得られる確率的(stochastic)中性子‐光子相関データを解析する新たなアプローチとして、AI手法(ニューラルネットワーク/遺伝的プログラミング)が提案された。形状・質量・濃縮度の異なる複数のウラン金属試料を対象に、モンテカルロ計算で時間依存の相関関数を生成し、そこから抽出される特徴量と試料属性(質量・濃縮度)の関係を学習させることで、識別精度の向上を図った。結果として、AIアルゴリズムは従来の校正法よりも柔軟に非線形特性を捉えられる可能性が示され、核物質管理分野へのAI応用の有効性が示唆された。(Politecnico di Milano, Universidad Politécnica de Madrid)
APPLICATION OF THE HARWELL INSTRUMENTS MODEL N95 NEUTRON COINCIDENCE COUNTER TO THE MEASUREMENT OF SMALL WASTE PACKAGES S. Croft, P. M. J. Chard, I. G. Hutchinson
小型廃棄物パッケージの測定におけるハーウェル・インスツルメンツ社製N95型中性子同時計数計の適用
Application of Virtual Private Networks in International Remote Monitoring Systems Robert L. Martinez, Heidi Anne Smartt
End(2) 国際遠隔監視システムにおける仮想私設網(VPN)適用の検討
― STUK–IAEA 間 VPN を用いたデータ伝送実証による、インターネット利用型遠隔監視の安全性・信頼性・コスト評価
(*)IAEA 保障措置における遠隔監視(Remote Monitoring)では国際通信費が高く、従来の PSTN/ISDN/衛星通信などの手段がコスト面の大きな障壁となっている。これに対し、インターネットを利用した Virtual Private Network(VPN) をデータ伝送に応用するフィールド実証が企画され、安全性・信頼性・低コスト性を評価することが目的とされている。実証にはフィンランド STUK の既存環境監視システムが用いられ、STUK(ヘルシンキ)と IAEA 本部(ウィーン)間で SNL が VPN を構築しデータ送信を実際に行うという、国際遠隔監視システムとしての実運用評価が進められている。(SNL)
ASSURING COMPLIANCE WITH MPC&A REQUIREMENTS IN THE RUSSIAN FEDERATION: LICENSING, INSPECTION, AND ENFORCEMENT BY GOSATOMNADZOR OF RUSSIA Fred Morris, Yuri Volodin, Boris Krupchatnikov, Alexander Sanin, Douglas M. Tynan
ロシアにおける MPC&A 要件遵守確保の制度
― Gosatomnadzor(国家核規制監督局)によるライセンス、査察、執行手続
(*)本論文は、ロシアの Gosatomnadzor(GAN:国家核規制監督局) が、連邦法「原子力利用に関する法律」に基づき、核物質防護・管理・計量管理(MPC&A)への適合性を確保するための法的権限と監督機能を詳述したものである。GAN の主要任務として、MPC&A 規則の策定・承認、原子力利用に関する安全関連のライセンス発給、規則遵守状況の監視・査察、国家核物質計量管理システム(SSAC)の監督、違反組織への制裁措置などが挙げられている。さらに GAN は、ロシア連邦が締結している国際協定に基づく 核物質保護および安全利用に関する義務履行を監督し、MPC&A 体系全体の信頼性と国際的整合性を保持する役割を果たしている。(PNNL, Gosatomnadzor(ロシア国家核規制監督局), ANL)
Attribute Measurements Using a Neutron Multiplicity Counter Douglas R. Mayo, Diana Langner
中性子相関計測を用いた属性評価手法
― プルトニウムの閾値判定に向けた受動アッセイの透明性措置適用可能性と取得情報の利用可能性
(*)中性子の事象の同時発生頻度(multiplicity)を利用した受動的非破壊測定法は、プルトニウムの迅速アッセイ手法として国際的に広く運用されており、IAEA 保障措置、米国の余剰兵器プルトニウム管理、国内保障措置などに適用されている。本手法は、プルトニウムを含む物体が指定した閾値より多い質量を持つかどうかを識別する「属性評価(attribute measurement)」に活用できるとして、三者イニシアティブや透明性措置(Transparency Initiatives)での利用が検討されている。この測定法は透明性措置の要件に適している理由(中性子相関に基づく特性把握、分類情報保護との両立可能性など)が論じられ、さらに付随的に得られる情報も透明性確保に有用とされる。(LANL)
Attributes and Thresholds in Measurements for Transparency Initiatives M. William Johnson
透明性措置における属性評価と閾値設定の考察
― 機微情報を含む対象への属性アプローチの適用原理と、判定閾値・情報バリア設計に関する技術的課題
(*)兵器起源プルトニウム等の機微情報を含む対象に対し、定量測定結果を国際的に開示できない状況を踏まえ、「属性(attribute)」に基づく測定アプローチが透明性措置(Transparency Initiatives)で用いられている。属性測定では「アヒルの格言(見た目・振る舞いが一致すればそう判断する)」になぞらえ、測定結果を定量値ではなく閾値(threshold)を超えるか否かで判定するが、この閾値設定と解釈が技術的課題となっている。本論文は、透明性措置における属性選定と閾値設定の考え方を整理し、測定器技術(検出器・情報バリア等)がどのように機密保護を維持しつつ属性判定を支えるかを例示的に論じている。(LANL)
AUTOMATED PLUTONIUM ASSAY SYSTEM (APAS) REDUX M. F. Duff, C. R. Rudy, J. Birden, J. F. Lemming
自動プルトニウム定量システム(APAS)の再評価
― Mound LaboratoryにおけるMOX粉末の長期連続熱量測定データの再解析と、
同位体組成を用いたPu定量精度(0.1%未満偏差)の実証
(*)本論文は、1977 年に Mound Laboratory(DOE)で実施された 自動プルトニウム定量システム(APAS) の実証結果を再整理したもので、MOX 粉末(PuO₂/UO₂)の容器を 24 時間自動運転ロボットで連続測定したデータを初めて体系的に提示している。 56 日間で 1872 回の熱量測定(calorimetry)が行われ、0.5 L 容器中の Pu 量 26–258 g の MOX 6 個および ²³⁸Pu 発熱標準試料 3 個、空容器 1 個を対象に、高精度(最大 0.06% RSD)で熱出力を測定し、同位体組成と比熱(Peff)に基づくプルトニウム量算定を実施した。 得られた Pu 量は、別途実施されたクーロメトリーおよび質量測定と比較して 約100 g以上の試料で偏差0.1%未満で一致し、APAS の熱量測定法が高スループット MOX 生産施設における主要流量の精密計量管理に適用可能であることが示された。(Monsanto Research Corporation、LANL, Mound Laboratory)
Behaviour of Minor Actinides in a Large Reprocessing Plant B. Mitterrand, X. Rincel
大規模再処理工場におけるマイナーアクチニドの挙動評価
― La HagueにおけるNp・Am・Cmの工程内分布、精製ラインからHALWガラス固化工程への移行、
および保障措置向けNp内部トレーサーによる除去有無の定性検認手法
(*)La Hague再処理工場において、ネプツニウム(Np)、アメリシウム(Am)、キュリウム(Cm)などのマイナーアクチニド(MA)の挙動が詳細に調査され、特に Np の分配挙動(主としてウラン精製ラインへ流入)が中心的に評価された。第1抽出サイクルでは、核分裂生成物(FP)、Am・Cm、および一部の Np が U・Pu から分離され、U と Pu も互いに分離される。その後、U/Pu 精製ラインのすべてのラフィネートは混合され、高レベル廃液(HALW)処理施設に送られ、最終的にガラス固化(vitrification)される。保障措置的関心として、MA の不正除去の有無を検証するため、内部トレーサーを用いた定性的検認手法(特に Np 向け)が提案され、1年間のキャンペーンで実証された。(COGEMA)
Calibration of the Crated Waste Assay Monitor for Deployment the Vt -12 Plant Robert J. Estep, Sheila G. Melton, Earl Peterson
Y‑12 プラントへの導入に向けたCrated Waste Assay Monitor(CWAM)の校正
― ²³⁵U汚染廃棄物のDDT測定におけるマトリックス特性評価、複数照射位置による空間応答均質化、並びに g・pCi/g 両基準での感度整定
クレート廃棄物分析モニター(CWAM)システム(*)Crated Waste Assay Monitor(CWAM)は、Oak Ridge Y‑12 プラントの保障措置・廃棄物管理上の課題に対応するため LANL が設計した装置であり、差分ディアウェイ法(DDT)により B‑25 廃棄物箱内部の ²³⁵U 汚染廃棄物を測定する。本装置の性能目標は、(1) 大量の核物質が廃棄物箱を通じて施設外へ流出することを防ぐこと、(2) テネシー州埋立基準 35 pCi/g のレベルまで ²³⁵U を検出できることである。校正試験では、水素系 3 種(B‑25 ×2、SWB ×1)および金属 B‑25 ×1 の計4種マトリックスについて、受動・能動両モードでの特性測定、複数照射位置による空間応答の均質化効果、および質量(g)と pCi/g の両単位での感度評価が示された(LANL)
Calibration of the Lawrence Livermore National Laboratory Passive-Active Neutron Drum Shuffler for Measurement of Highly Enriched Uranium Oxide Mark Mount, David Dearborn, Jeffrey Glosup, Curtis Cochran, Eileen Endres
LLNL 受動・能動中性子ドラムシャフラーによる高濃縮ウラン酸化物の校正
― CRM‑149 を基準とした質量較正、検出器応答の軸・径方向マッピング、および位置依存誤差を含む不確かさモデルの構築
(*)LLNL は DOE の特別核物質(SNM)測定状況評価要求に応じ、保有する高濃縮ウラン(HEU)酸化物の計量管理を再評価したが、トレーサブルな HEU 標準の不足により「十分計測された(well‑measured)」と分類できる項目が存在しなかった。その後、新設計された NBL の認証標準物質 CRM‑149(93%濃縮U酸化物、U₃O₈)が供給され、これを基準として LLNL の受動・能動中性子ドラムシャフラー(PAN shuffler)の校正(mass calibration curve)が実施された。校正作業では、検出器応答の軸方向・径方向マッピングが行われ、位置依存性を含む不確かさのモデル(ランダム+系統誤差)を構築し、未測定・低精度測定の HEU 酸化物ドラムの質量推定精度向上が示された。 (LLNL)
CEA’S CONTROL AND PROTECTION OF NUCLEAR MATERIALS A. Brothier, J. Dudouit
CEA における核物質管理・防護体制
― フランス法規に基づく安全体系、核物質計量管理の中央集約化、MANU‑W/CENTAUREE による記録・管理標準化の実装
(*)本論文は、フランス国内の核物質防護関連法制度と、CEA(Commissariat à l’énergie atomique et aux énergies alternatives)内部の核物質安全規定を概説し、CEA が維持する 核物質安全体系の全体構造を紹介している。CEA 内の各センターにおける核物質管理(管理記録・操作追跡・核物質計量管理)を 中央集約化する方針が説明され、新しい管理ソフトウェアである MANU‑W と、核物質記録・計量の標準化を実現する新システム CENTAUREE の導入目的が示されている。これらの新システム導入により、CEA 全体での核物質情報の一元化、核物質計量管理の信頼性向上、運用効率化が図られ、フランス国家法規との整合性を保ちながら安全性・防護水準を強化する枠組みが構築されている。(CEA サクレー)
Certification of US Instrumentation in Russian Nuclear Processing Facilities Jim Sumner, Bob Vines, Danny Powell, Donald A. Close, Calvin E. Moss, J. A. McEvers, Taner Uckan, Jose March-Leuba, Edward Mastal, W. S. Johnson, Joseph Glaser, Alexandr Saprygin
ロシア核物質処理施設における米国製計測機器の認証取得
― GOST適合性・性能試験・品質保証統合を通じた米露間計測システム相互運用性の確保
(*)ロシアの核物質処理施設に米国製保障措置計測機器を導入する際、ロシア国内の計量規則・認証制度に適合させるための試験・認証プロセスが必要であり、その基準整合化が大きな課題となる。計測機器(中性子・ガンマ検出器等)がロシア国家規格(GOST)や省庁認証を取得するには、技術的性能試験だけでなく、文書体系・品質保証手順の統合も求められる。本論文は、米露協力における計測システムの相互運用性(interoperability)確保のため、技術的適合性評価・試験ベンチマーク・透明性要件など、認証取得に向けた実務的ステップを示している。(LANL)
Characterization of Neutron Detectors in High Gamma-Ray Environments B. Richter, W Rosenstock, J. Tanaka, P. Hilger
高ガンマ線環境における中性子検出器の特性評価
CODE VERIFICATION AND Y2K TESTING, CALIBRATION, TESTING, AND INSTALLATION OF THE RADIONUCLIDE ASSAY SYSTEM-PHOTON (RAS-P) AT MULTIPLE SITES FOR THE SAVANNAH RIVER SITE Chris A. Hodge, Rich Thomason
サバンナリバーサイトにおける RAS‑P(光子測定型放射核種アッセイシステム)のコード検証・Y2K試験・校正および複数拠点への設置
― 独立計算によるコード妥当性確認、透過補正型近接測定装置の性能試験、日付跨ぎ試験によるY2K影響排除と運転信頼性評価
(*)放射性核種分析システム-PHOTON(RAS-P)は、施設運転で発生する均質な放射性廃棄物中のアクチニド量を、近接測定かつ透過補正により評価するために開発された装置で、多核種アッセイ、自動バックグラウンド取得、Go/No‑Go 判定などの機能を備える。サバンナリバーサイト(SRS)へ配備する前に、コード検証(コード独立計算による妥当性確認)・システム性能試験・Y2K 影響排除試験が実施され、RAS‑Pの計算結果と独立スプレッドシート計算との整合性、全作動モードでの反復試験、Y2K境界を跨ぐ日付試験が行われた。ハードウェア(HPGe 検出器、ターンテーブル、遮へい伝送源、PC等)と運用実績から、RAS‑P は高い信頼性(system availability)、柔軟性(assay parameter variability)、および良好な測定管理性能を示し、複数拠点への展開に適していると評価された。(Westinghouse Savannah River Company)
COMPARISON OF HARDWARE AND SOFTWARE APPROACHES TO INFORMATION BARRIER CONSTRUCTION Rena Whiteson, Duncan MacArthur
情報バリア構築におけるハードウェア方式とソフトウェア方式の比較
― 分類情報保護に向けた専用ハード設計とソフトウェア制御型バリアの信頼性・柔軟性評価
(*)情報バリア(Information Barrier, IB)は、兵器級核物質の透明性措置や属性測定において、機微な分類情報を漏らさずに測定結果のみを提示するための技術であり、その構成にはハードウェア型とソフトウェア型の二つのアプローチがある。ハードウェア中心アプローチは、信頼できる固定回路・専用機器を用いて情報処理を行い、改ざん困難性や挙動の可予見性を強みとする一方、柔軟性に欠け、構成更新にも制約がある。ソフトウェア中心アプローチは、アルゴリズム・認証機能・ソフト制御による構成管理が可能で柔軟性に優れるが、ソースコードの検証・暗号化・信頼性確保などの追加措置を要し、IB全体設計における脅威分析がより重要となる。(LANL, PNNL)
CONSIDERATIONS FOR U.S.-RUSSIAN MPCA COOPERATION TO DEVELOP PHYSICAL PROTECTION PERFORMANCE TESTING PROGRAM IN RUSSIA Oleg Bukharin
ロシアにおける物理的防護性能試験プログラムの開発に向けた米露MPCA協力に関する検討事項
CONSIDERATIONS IN IMPLEMENTATION OF INTEGRATED SAFEGUARDS Rodney Martin, Ronald B. Melton, Ned Wagman
統合保障措置の実施における主要検討事項
― 個別ツールの情報特性化、関係データ分析による真正性確認、および強化保障措置手段を統合するシステムアーキテクチャの検討
(*)IAEA は包括的保障措置協定(CSA)と追加議定書(AP)に基づく強化保障措置の統合(Integrated Safeguards)を進めており、新たな検証措置の導入にあたり、各測定ツールおよびデータの役割・特性を個別と統合システムの双方で評価する必要がある。本論文では、個々の検証手段から得られる情報の特性化(characterization of information)と、そのデータを相互参照し真正性を確認するための関係データ分析(relational data analysis)の有効性が論じられる。さらに、強化された各種保障措置ツール(未申告活動検出を強化するAP手段など)を効果的に融合し、機能的な保障措置システムとして統合するためのアーキテクチャについて検討する。(PNNL)
CONTINUOUS SAFEGUARD INVENTORY INSPECTION: ENHANCED SAFEGUARDS WITH REDUCED FACILITY IMPACTS L. O. Ticknor, M. J. Schanfein
連続的インベントリ検認による保障措置強化と施設負荷の低減
― シャットダウン不要の検認運用、DOE基準への適用可能性、およびプルトニウム施設でのデモンストレーション提案
(*)IAEA は20年以上前から、生産施設に対して連続的インベントリ検認(continuous inventory inspection)を用いて、保障措置の確実性を高めつつ、施設運用への影響を最小化してきた。 この方式は、米国DOEの現行保障措置要件とは整合しないが、LANL は次期DOE命令の物理インベントリ基準作成に参加し、連続検認方式の選択肢を盛り込むとともに、LANL プルトニウム施設でのデモンストレーションを提案している。 連続検認方式では、施設全体のシャットダウンや短期間に集中する大規模インベントリ作業が不要となり、運転と並行して検認を進められるため、資源平準化・生産性向上・保障措置確実性の同時達成が可能となる。(LANL)
CONTRIBUTION TO TRACKING ERRORS DOWN IN IDMS DETERMINATIONS B. Mitterrand, A. Vian
IDMS(同位体希釈質量分析)における誤差要因追跡への寄与
― 参照標準物質の最適活用、管理パラメータ選定、および核物質計量における「真値」への接近を目的とした誤差低減手法
(*)近年、商業的要求および環境面の要請から、分析業務では生産性・信頼性の向上、処理時間短縮、廃棄物低減が求められ、同時に核物質計量(accountancy)におけるIDMS(Isotope Dilution Mass Spectrometry)分析の精度向上が強く求められている。しかし品質管理計画(Quality Control Plan)の目的は単なる“良好な分析結果”ではなく、プロセス MBA(Material Balance Area)を通過する核物質量の「真値」にできる限り近づくことである。このため、誤差要因の追跡・低減が中心課題となる。本論文では、参照標準物質の最適利用方法や、最も効果的な管理・制御パラメータの選定など、IDMS 分析の誤差要因を低減するための具体的・実務的方策を提示している。(COGEMA)
CONTROL OF FISSILE MATERIAL SUPPLY FOR PRODUCTION Peter Jeal, Melanie Freeman, Fred Plumb
生産における核分裂性物質供給の管理
― AWE による長期需要予測モデルと SNM 供給・工程能力・政策変動を反映したプルトニウム生産計画ツールの運用
(*)本論文は、英国 AWE(Atomic Weapons Establishment)が1984年以来運用してきた 核分裂性物質(特にプルトニウム)供給計画モデルについて解説し、Excelベースの生産モデルにより、核物質供給量・工程能力・プロセス効率・制約条件を統合的に予測する手法を紹介している。このモデルは、核兵器および推進(原子力潜水艦)プログラム双方における SNM(Special Nuclear Materials)需要の長期予測に用いられ、材料供給・設備可用性・工程ボトルネック・研究需要などの要因に対する感度評価を可能にする。1980年代以降の英国政府の政策変更(運用弾頭数削減・特定核物質の生産停止等)および管理体制の再編(MoD / AWE GOCO 契約)を踏まえ、モデルは改訂を重ね、将来数十年にわたる 核物質在庫の最適管理と供給制御を支援する計画ツールとして機能している。(Atomic Weapons Establishment (AWE), UK Ministry of Defence (MoD))
Convention on the Physical Protection of Nuclear Material Michael S. Warren, Patricia A. Comella, Russell Hibbs
核物質防護条約(CPPNM)の課題と改正に向けた国際的取組
― 米国提案による条約強化方針、IAEA による専門家会合、および国際物理的防護体制の現代化に向けた合意形成の状況
(*)核物質防護条約(CPPNM)は、核物質が不正な経路で流通し、非平和利用へ転用されることを防ぐための国際的防護体制の中心的条約であり、20年間の運用を通じてその長所と限界が明らかになってきた。米国は1998年に条約改正を提案し、国際的な物理的防護基準(INFCIRC/225 など)の実態に合わせて条約を現代化・強化する方向を示したが、加盟国による見解の相違があり、公式の改正会議開催には至らなかった。その後、IAEA が1999年11月の「オープンエンド専門家会合」を実施し、作業部会を設置。合意形成に向けた各国の立場調整と、国際的な物理的防護体制強化に向けた議論が進行している。(US_NRC/DOE))
CONVERSION OF A WEAPONS LAB: THE GENERAL PHYSICS INSTITUTE, MOSCOW AND ITS USE OF LASER TECHNOLOGY IN SAFEGUARDS APPLICATIONS J. S. Kraus, M. Ondrik, S. Kadner, W. Doyle, A. Nadezhdinskii, A. Berezin
兵器研究所からの転換:モスクワ一般物理研究所におけるレーザー分光技術の保障措置応用 (*)本論文は、ソ連時代に軍事・兵器関連研究を担ってきた ロシア科学アカデミー・一般物理研究所(GPI) が、その研究能力を平和利用へ転換し、可変波長半導体レーザー分光(Tunable Diode Laser Spectroscopy: TDLS) を保障措置用途に応用する取り組みを紹介している。GPI の Diode Laser Spectroscopy Lab(DLS) は高分解能赤外分光・分子同定技術の分野で国際的に先駆的役割を果たしており、大気汚染、メタン、爆発物、アルコールなどの極微量成分を分子レベルで検知可能なレーザー分析モデルを開発している。さらに GPI は、IAEA を含む国際機関のために脆弱性評価(vulnerability assessment)を実施した歴史を持ち、これらレーザー技術は将来的に化学・生物兵器関連物質、またはその前駆体の検知にも応用可能であることが示されている。(Aquila Technologies Group, Inc., General Physics Institute, Russian Academy of Sciences(ロシア科学アカデミー一般物理研究所))
CONVERTING RUSSIAN HEU TO LEU: U.S.-RUSSIAN MONITORING AND VALIDATION EXPERIENCES N. R. Zack, R. Johns
End(3) ロシアHEUのLEU転換における米露の監視・検証経験
― 希釈工程の透明性確保、計測アクセス手順、および兵器機密保護と検証の両立に関する実務的教訓
(*)本論文は、米露HEU–LEU転換計画(“Megatons to Megawatts” Program)における米国とロシア双方の監視(monitoring)および検証(validation)経験を総括し、武器級HEUの希釈(downblending)プロセスにおける透明性確保の実務的課題と成果を議論している。同計画では、ロシア側の希釈施設におけるHEU処理工程を、米露間の相互合意された計測方法・アクセス手順によって監視し、核拡散防止上の信頼醸成措置として継続的に評価した。その中で技術的条件、機微情報の保護、サンプリング・モニタリング手法などが実務上の焦点となった。検証努力は、HEU が正しく LEU に転換され、最終的に民生燃料市場へ投入されることの確証を提供し、同時に国家機密・兵器関連情報を露出させない情報バリア措置の確立に寄与した。本論文はこれまでの経験から得られた教訓を取りまとめ、将来の核軍縮・透明性措置における基盤的知見として位置づけている。(DOE( NNSA / HEU Transparency Program)、State Department、PNNL / ORNL / LANL)
COOPERATION UNDER THE U.S.-RUSSIAN INTERGOVERNMENTAL AGREEMENT ON THE DISPOSITION OF HIGHLY ENRICHED URANIUM FROM NUCLEAR WEAPONS AND TRANSPARENCY ARRANGEMENTS UNDER THE HEU PURCHASE AGREEMENT Andrew J. Bieniawski, Yuri Bussurin
米露政府間高濃縮ウラン処分協定に基づく協力とHEU購入協定下の透明性措置
― 500トン兵器級HEUの希釈・LEU化、施設アクセス手順、16附属書に基づく透明性検認の実施状況
(*)1993年の米露HEU購入協定に基づき、ロシアの核兵器由来高濃縮ウラン(HEU)500 t を20年間で希釈(downblend)し、低濃縮ウラン(LEU)として米国が購入する枠組みが稼働しており、1999年までに80 t 以上のHEU がLEUへ転換された。 米国側(USEC)はすでに 11億ドル以上を支払い、米国原子力発電所では60 t 以上に相当する希釈済みHEUが実際に燃料として使用されている。これは核兵器解体材を民生エネルギーへ転換する非拡散上の重要成果である。透明性措置(Transparency Measures)は、ロシア国内4つのHEU–LEU加工施設と米国側6施設で実施され、合意された16の実施附属書(Annexes)に基づき、貯蔵区画や処理工程へのアクセス、処理プロセスの検証などが体系化されており、両国は継続的に透明性措置の実装を進めている。(US_DOE, Ministry of the Russian Federation for Atomic Energy)
Cooperative Development Between DoD & DOE, Between US & RF Carolyn Pura
DoD・DOE間および米露間の協調的技術開発
― 透明性措置のための属性測定・情報バリア技術の共同開発と、技術交換・デモンストレーションに基づく協力モデルの構築
(*)本論文は、核兵器削減・透明性措置(Transparency Initiatives)の進展に伴い、米国防総省(DoD)と米国エネルギー省(DOE)、さらに米露両国の関係機関が技術開発で協力するための新たな枠組みが形成されつつあることを論じている。高い信頼性の検認(monitoring)を実現しつつ機微情報・機密情報を保護する必要性が、DoD・DOE・ロシア側機関の情報バリア(Information Barriers)や属性測定技術(Attribute Measurement)の共同研究を促進している。技術交換会、ワークショップ、米露共同デモンストレーション準備などを通じ、両国の機関が共同開発モデルを構築しつつあるが、最終的に米露双方のセンシティブ施設で使用するための認証(Certification)には依然として課題が残る。(U.S. DoD)
COOPERATIVE TECHNOLOGY INITIATIVE – “TECHNOLOGY DEVELOPMENT OF SAFETY AND SECURITY CONTROLS FOR HAZARDOUS ITEMS, INCLUDING RADIOACTIVE OR EXPLOSIVE MATERIALS (HIREM), DURING THEIR STORAGE, TRANSPORTATION AND DESTRUCTION” Tom Dunham, Thomas Lockner, Boris Barkanov, Konstantin N. Zimovets, Greg Mann
協調技術開発イニシアティブ(CTI)
― 危険物(放射性物質・爆発物)の保管・輸送・廃棄における安全・セキュリティ管理(HIREM)技術の米露共同開発
(*)本研究は、将来の戦略軍備管理条約を想定し、米国国防総省(OUSD(A&T))の要請により、米露間で危険物(放射性物質・爆発物など)に対する安全・セキュリティ管理技術を共同開発する「Cooperative Technology Initiative(CTI)」として開始された。初期プロジェクトとしてロシア側の VNIIEF(実験物理研究所) と VNIIA(自動化研究所)が選定され、ロシアにおけるHIREM(Hazardous Items, Including Radioactive or Explosive Materials)解体ライフサイクル解析を行い、管理(control)技術候補の特定が進められた。プロジェクトは ISTC(国際科学技術センター)の枠組みで実施され、Sandia National Laboratories(SNL)が技術支援、DynMeridianがSET A(Scientific, Engineering and Technical Advisor)として協力し、HIREM管理技術の多段階的評価の初期成果が報告されている。(DoD,SNL,VIIEF,CIIA,SNL)
Coordination Between the HEU Transparency Program and the Material Protection, Control and Accountability Program David Dougherty, Andrew J. Bieniawski, Edward Mastal, P. T. Cahalane, Joseph Glaser, J.
Hernandez
HEU透明性プログラムとMPC&Aプログラムの連携
― ロシア核施設における米国要員活動の調整、ワーキンググループ設立による訪問競合解消と情報共有体制の強化
(*)DOE の HEU Transparency Program と MPC&A(Material Protection, Control and Accountability)プログラムは、ともに米国要員をロシアの核施設へ派遣するが、両プログラム間で情報共有の正式な枠組みは存在していなかった。この問題に対応するため、両プログラムは MPC&A/HEU ワーキンググループを設立し、ロシア側(MinAtomおよび施設)から寄せられた「訪問スケジュールの競合」「重複調整」「情報伝達の不整合」といった懸念に共同で対処する体制を構築した。ワーキンググループは、訪問計画・情報共有の調整を改善することで、ロシア側施設に対する米国プログラムの負荷低減と、両プログラムの効率的な運用(operational efficiency)を実際に向上させている。(BNL, U.S.DOE, LLNL)
Cost Benefit Analysis for Remote Monitoring Implementation in Light Water Reactors N. Khlebnikov, M. Aparo, J. Whichello
軽水炉における遠隔監視導入のための費用便益分析
COST-BENEFIT ESTIMATOR AS AN AID FOR DECISION MAKING IN RADIOACTIVE WASTE MANAGEMENT, DECOMMISSIONING AND REHABILITATION OF LAND I. L. Petr
放射性廃棄物管理・廃止措置および土地再生における意思決定支援のための費用便益推定ツール
― 技術的・経済的要因と社会的受容性を統合した管理オプション比較手法
(*)本論文は、放射性廃棄物管理・廃止措置・土地再生における複数の管理オプションを比較するための補助ツール Cost-Benefit Estimator (CBE) を紹介している。CBEは技術的・経済的要因に加え、失敗時の影響や社会的受容性など 不確実性を伴う主観的要因 を統計的変数として取り込み、各オプションの分布として評価する。これにより「どれだけ安全/清浄であれば十分か」という社会的問いに対し、技術・経済・社会面を統合した 最適な意思決定の支援 を可能にする。(Council for Nuclear Safety(National Nuclear Regulator, 南アフリカ))
Current and Future Directions for the Implementation of the U.S./Russian Intergovernmental Agreement: Transparency and the Natural Feed Component Edward Masta|, Joseph Glaser, Ed Rutkowski, Yuri Bussurin
米露政府間協定の実施に向けた現在および将来の方向性:透明性確保と天然ウラン成分の取り扱い
― HEUダウンブレンド再開と透明性措置強化に向けた制度的進展
(*)1999年、米露間の高濃縮ウラン(HEU)協定に関連する透明性措置の実施が進展し、特にロシアによる低濃縮ウラン(LEU)供給に含まれる天然ウラン成分の販売合意が成立した。この合意により、約6か月間停止していたHEUのダウンブレンド作業が再開され、協定履行に不可欠な供給の継続性が確立した。また、ウラル電気化学統合企業(UEIE)におけるHEU→LEUの連続監視を行う米国装置の設置に最終合意が成立し、透明性向上に向けた将来の枠組みが整備された。(U.S.DOE, LLNL, MINATOM(ロシア原子力省))
Data Acquisition and Review Strategy for the Medium Term P. Schwalbach, M. Swinhoe, W. Kloeckner, Peter Chare, Thierry Girard
中期的視野におけるデータ取得およびレビュー戦略
― 携帯型NDA機器の老朽化対応とEuratomによる新計測ソフト・ハード体系の更新方針
(*)1990年代末、Euratomが使用していたWindows 3.1/DOSベースの携帯型NDA(核物質分析)システムの老朽化に直面し、ソフトウェア方針の全面的見直しとWindows NT対応パッケージへの更新が進められた。ハードウェアのモジュール統合・近代化も同時に実施され、プルトニウム査定用の新パッケージ(INCC、WinSPEC、およびEuratom独自開発のTARGA)が導入された。本論文は、中性子・ガンマ線測定に用いる携帯型計測機器向けのデータ取得・解析手法のEuratom方式と、その最新のハード・ソフト構成を整理して提示している。(EC-EURATOM)
DESIGNING SAFEGUARDS PERFORMANCE ANALYSIS TO DETERMINE AND VALIDATE DETECTION PROBABILITIES Pamela Dawson, Jerome Morzinski
検知確率の算定と妥当性確認に向けた保障措置性能解析の設計
― 内部脅威者を想定した試験設計と二人ルールに基づく検知能力の統計的評価手法
(*)従来のリスク評価では、核物質管理・計量管理(MC&A)要素など一部の保障措置要素の有効性が十分に定量化されず、場合によっては過大に仮定されてきた点が問題とされる。本論文は、内部脅威者による盗取・転用を想定し、その検知確率を現実的かつ統計的に検証可能とするための試験設計・性能評価手法を提示する。 特に最も難易度の高い保障措置要素とされる「二人ルール」をケーススタディとして扱い、試験結果から信頼区間や検知能力を評価する方法論を示している。(LANL)
DESTRUCTIVE ANALYSIS CRMS: DEVELOPING A HIERARCHICAL STRUCTURE OF TRACEABILITY IN THE RUSSIAN FEDERATION Robert Marshall, Gennady Titov
破壊分析(DA)用認証標準物質(CRM)におけるロシア連邦のトレーサビリティ体系構築に向けた階層化の取り組み (*)本論文は、ロシアの破壊分析(DA)向け 認証標準物質(CRMs) の体系が、米国や欧州のような縦方向(トップダウン型)ではなく、“水平型ヒエラルキー” に基づく構造となっている点を説明し、核施設の分析室が独自に DA 参照物質を調達・準備する実情を述べている。一部の核施設では、適切な DA 用標準物質が国内供給されないため、分析室自らが純化試料を作製したり、代替(surrogate)試料を使用する必要があり、計量管理(MC&A)・保障措置の観点で縦方向のトレーサビリティが欠落している点が課題として指摘されている。これを改善するため、VNIINM(ロシア無機材料研究所)は、米国の NBL・LANL と協力して、UO₂・PuO₂ の新しい DA 用認証標準物質の開発と認証制度の確立を開始しており、これにより Minatom 管轄下での垂直トレーサビリティ体系の構築が可能になると述べてい。(LANL, All‑Russian Institute of Inorganic Materials (VNIINM), Russia)
Detecting Undeclared Reprocessing Activities through Sampling Analysis Hui Zhang
未申告再処理活動の検知に向けたサンプリング分析手法
― 高レベル廃液中の核分裂生成物・アクチニド同位体比による燃焼度・Pu組成推定とFMCT検証での有効性
(*)本論文は、FMCT(兵器用核分裂性物質生産禁止条約)の検証において重要となる未申告再処理の有無を高レベル廃液(HLW)の同位体比分析から判定する手法を検討している。生成物・アクチニド核種比を測定することで、燃焼度、プルトニウム同位体組成、照射期間・取り出し時期といった最近のプルトニウム生産活動に関する主要パラメータを十分な精度で推定可能であることを示している。一方、古いHLW貯槽の分析では軍用プルトニウム生産に関する機微情報は露呈せず、検証に用いても安全保障上の過度な情報開示を避けつつFMCT検証に有効であると結論する。( Kennedy School of Government, Harvard University)
DETECTION OF UNDECLARED ACTIVITIES IN RESEARCH REACTORS U. Filges, J. Knorr, A. Ellinger, W. Hansen
研究炉における未申告活動の検知
― 炉心在庫変化に起因する中性子スペクトル差異の測定とCIVRによる間接検認手法
(*)本論文は、研究炉における申告外活動の検知を目的として、炉心在庫を間接的に検証する装置 Core Inventory Verifier (CIVR) の開発と適用性を検討している。追加の増殖材(U‑238, Th‑232)などの未申告配置を含む構成変化は、中性子エネルギースペクトルに影響を与えるため、高速中性子スペクトル測定(プロトン反跳法) により識別可能であることを示している。ドレスデン工科大学の零出力炉AKRで得られた測定データとMCNP‑4B計算の比較から、CIVRが検知手段として有効であり、短時間測定・簡易解析で検認者が扱える実用性を備えることを確認している。(Dresden University of Technology)
DEVELOPMENT AND IMPLEMENTATION OF THE Kl-MACS COMPUTERIZED MATERIAL ACCOUNTING SYSTEM IN RUSSIA A. N. Rumyantsev, V. M. Shmelev, S. Peter Gary, Mac Forehand, Alexey V. Yevstropov, Vladimir Y. Ostroumov, V. Sukhoruchkin
ロシアにおける KI‑MACS 核物質計量管理電算システムの開発と導入
― クルチャトフ研究所から全国展開への取り組み
(*)本論文は、ロシア・クルチャトフ研究所で開発された KI‑MACS(Computerized Material Accounting and Control System) の構築・導入の経緯と設計概要を示し、核物質の在庫管理・移転・計量管理情報を一元化する 施設横断型 MC&A 電算化システムとしての機能を紹介する。KI‑MACS は、バーコード機器、電子天秤、NDA 装置と統合されたデータ処理基盤であり、核物質のアイテム管理・バルク物質管理、測定データ解析、IAEA 形式への報告書出力を支援する仕組みを備えている。情報セキュリティ認証を経て、1998 年以降クルチャトフ研究所の 14 施設で本格運用され、1999 年末までに ロシア海軍・ムルマンスク海運会社・ジェレズノゴルスク複合体など全国 6 施設へ展開され、将来的にはロシア核施設の標準 MC&A システムとしての拡張が想定されている(Russian Research Center “Kurchatov Institute”, LANL)
Development and installation of Solution Measurement and Monitoring System (SMMS) at TRP Takehiko Satoh, Tsuyoshi HAYAKAWA, Kentaro KOBAYASHI
TRPにおける溶液測定・監視システム(SMMS)の開発と設置
Development of a Cavity Source for Enhanced Ionization Efficiency of U and Pu Using Thermal Ionization Mass Spectrometry K.B. lngeneri, J. M. Whitaker, C. M. Barshick
ウランおよびプルトニウムの熱イオン化質量分析におけるイオン化効率向上のためのキャビティ型イオン源の開発
― ピコグラム以下領域での分析感度強化とTIMS検出限界の改善に向けた設計・試験結果
(*)本論文は、ウランおよびプルトニウムの極微量分析において、従来のTIMS(熱イオン化質量分析)の検出限界(数ピコグラム)を改善するため、高効率キャビティ型イオン源(cavity ion source) の設計・試験を目的としている。従来の高温フィラメントではイオン化効率が約0.2%と頭打ちであるのに対し、本キャビティ構造(直径0.5 mmのタングステン管内に試料を装填)では、限定空間と大きな表面積により10〜100倍のイオン化効率向上が期待され、IAEAが求める極低量域の分析ニーズに応える。LANLでの四重極質量分析装置による予備データでは高効率が示され、磁場セクタ型装置(高電圧7000 V以上)への実装課題も議論されつつ、希土類元素での検証結果から保障措置分野への有効性が示されている。(ORNL, Lockheed Martin Energy Systems)
DEVELOPMENT OF AN ACTIVE EPITHERMAL NEUTRON MULTIPLICITY COUNTER (ENMC) J. E. Stewart, W. H. Geist, H.O. Menlove, N. Ensslin, C. Shonrock
中性子源を用いた熱外中性子による核分裂増倍中性子同時計数装置(ENMC)の開発
― MCNP設計によるアクティブエンドプラグ導入と計数効率・ダイアウェイタイム改善による高速アッセイ化
(*)本研究は、ENMC(Epithermal Neutron Multiplicity Counter)にアクティブ計測機能を付加するためのエンドプラグをMCNP(Monte Carlo N‑Particle)コードで設計し、AmLi中性子源を挿入可能な構造として最適化した。高圧3He計数管により、従来装置より高効率(約50%)・短いダイアウェイタイム(約20 μs)が達成され、偶発同時計数の低減と計数精度向上が確認された。ENMCをアクティブモードで運用することで、ウラン試料の分析時間は既存のAWCC(Active Well Coincidence Counter)の約1/10に短縮可能であり、初期校正試験でも実用性が示された。(LANL)
Development of Design Basis Threat and its Future Perspective for Establishment of Domestic System of Physical Protection Seung Sik Park, Jin-Soo An, Jong-Uk Lee, Hyun-Chui Lee, Eun-Ho Kwack
設計基準脅威の開発と国内核物質防護システム構築に向けた将来展望
Development of NDA Methods for Neptunium Metal Donald A. Close, R.J. Estep, Calvin E. Moss, C. Goulding, Charles L. Hallas, Brian D. Rooney,
W. L. Myers
ネプツニウム金属に対する非破壊分析(NDA)手法の開発
― ガンマ線スペクトル解析・遅発中性子照射・トモグラフィ解析を用いた物質識別および質量推定手法の検証
(*)従来Pu・Uには確立したNDA(非破壊分析)手法がある一方、Np(金属)のバルク試料に対する標準手法が存在しないことを問題として、複数のNDAアプローチを比較・検証した研究である。受動ガンマ線分析により、Np金属の固有スペクトルから物質同定・汚染核種(例:243Am)の同位体比、遮へい状況、処理後経過時間などを推定できる可能性が示された。遅発中性子を利用したアクティブ中性子照射、トモグラフィ方式のガンマスキャナ、10 MeVリナックパルスを用いたアクティブ・フォトン照射などにより、遮へい下でもNpの存在確認と質量推定が可能であることが示された。(LANL)
DEVELOPMENT PLAN OF A VULNERABILITY ASSESSMENT PROGRAM IN KORA Jin-Soo An, Jong-Uk Lee, Hyun-Chui Lee, Eun-Ho Kwack
韓国における脆弱性評価プログラムの開発計画
DIGITAL MULTI-CAMERA OPTICAL SURVEILLANCE SYSTEM DMOS K. Schoop, G. Neumann, K. Gaertner, B. Richter
End(4) デジタル多眼光学監視システム(DMOS)の開発
― DCM‑14を中核とした多カメラ遠隔監視・無人監視向けデジタル保障措置機器の機能と適用性
(*)DMOS(Digital Multi-Camera Optical Surveillance System)は、EuratomおよびIAEAの保障措置で使用されてきたアナログ多眼監視システム(MXTV・MOSS)を置き換えるため、デジタルカメラモジュール DCM‑14 を基盤として開発された次世代多カメラ監視装置である。最大32台のカメラに対応し、無人監視(unattended surveillance)および遠隔監視(remote monitoring)に用いるために、認証・暗号化・ローカルストレージなどの保障措置要件を満たしつつ、C/S機器やNDA装置との統合運用を可能とする。デジタルストレージやサーバ技術の進展に対応できるモジュール構成を採用し、2000年上半期に評価が完了する計画とされ、デジタル監視装置標準化の一環として導入が期待された。(EURATOM, Dr. Neumann Consultants(ドイツ), IAEA, Forschungszentrum Jülich)
Disposition Pathways: Immobilization Bill Danker
余剰プルトニウム処分経路:固定化
― 缶‐イン‐キャニスター方式による武器級プルトニウムのセラミック固化と高レベル廃棄物中への封入プロセス
(*)米国の余剰兵器級プルトニウムの約3分の1は不純物を含む金属・酸化物・燃料形態であり、MOX燃料化には大規模な精製が必要なため、固定化(immobilization)処分が選択肢として検討されている。固定化には「缶‐イン‐キャニスター(can‑in‑canister)方式」が採用され、プルトニウムを酸化物化しセラミックと混合して小型缶に封入し、さらに高レベル廃棄物を充填した大型キャニスター内部に配置することで、放射線障壁による高い核拡散抵抗性を確保する。高レベル廃棄物のガラス固化および地層処分の知見は既に蓄積されているが、武器級プルトニウムを産業規模で固定化するための技術課題は依然として残されている。(U.S.DOE)
Dynamic IR Imaging of Nuclear Weapon Platforms for Treaty Verification Marc L. Simpson, Ralph B. Dinwiddie
核兵器プラットフォームに対する動的赤外線イメージングの条約検証への応用
― 表面温度変化を利用した内部構造および埋設熱源の非破壊識別手法の可能性
(*)米国DTRA(米国国防脅威削減機関)の委託により、ORNLは核兵器プラットフォームの分類を目的として、静的IRとは異なる動的赤外(Dynamic IR)イメージングの有効性を検証した。BG61-11兵器ケーシングに対し、簡易冷却源(ボルテックスクーラー)を用いた動的IR測定を行い、表面温度変化から内部構造や埋設熱源の情報を抽出できることを示した。この手法は、X線や静的IRでは得られない内部構造情報と熱源出力という2つの独立パラメータを提供し、条約検証技術の補完となる可能性を示す。(ORNL)
ELECTRONICS FOR A NEUTRON FIBER DETECTOR M. C. Browne, Martin R. Sweet, K. lanakiev
中性子ファイバー検出器用電子回路
― 6LiF/ZnS–WLS多層構造を用いた高計数率下での中性子・ガンマ線識別電子システム
(*)本研究は、短いダイアウェイタイムを持つ新型中性子ファイバー検出器を駆動するための専用設計の電子回路の開発を目的としている。検出器は6LiF/ZnS シンチレータと波長シフトファイバー(WLS)を多数層配置した四面ウェル型構造で、WLS ファイバーが光輸送・波長変換・熱化に寄与する。光減衰時間の違いに基づく中性子・ガンマ線識別を可能とし、従来のゲート積分方式に比べて高計数率下での事象識別性能を向上させた。(LANL)
ENDA – ESARDA DATABASE FOR NDA INSTRUMENTS AND METHODS Matti Tarvainen, S. Guardini, Marko Hamalainen
ENDA:NDA機器・手法に関するESARDAデータベース
― 核燃料サイクル後段の保障措置NDA機器/手法情報を統合管理する国際データ基盤の構築
(*)ESARDA NDA作業部会により、核燃料サイクルバックエンドにおける保障措置用途の非破壊測定(NDA)機器・手法の詳細情報を体系化したデータベース(ENDA)が構築された。ENDAはMicrosoft Access 97で設計され、Instrument/Methodを中心に、開発者、適用データ、写真、報告書などへリンクする構造を持ち、ユーザーが測定点・測定条件に基づく検索を容易に行えるよう設計されている。今後はバックエンド以外の燃料サイクル部分にも拡張され、ESARDAのWebページを介して最新情報を一元的に更新・提供する国際共有型NDA情報基盤として発展する計画である。(Radiation and Nuclear Safety Authority of Finland(フィンランド放射線・原子力安全局), EC-JRC)
Enhanced Cooperation between Korean SSAC and  IAEA Seung Sik Park, Sung Gi Park, Wan Sou Park, Yeo-Chang Yoon
韓国核物質安全委員会(SSAC)とIAEAの協力強化
ENRICHMENT AND URANIUM MASS FROM NMIS FOR HEU METAL T. E. Valentine, J. T.  Mihalczo, R. B. Perez, J. K. Mattingly, L. G. Chiang
NMISを用いたHEU金属の濃縮度およびウラン質量の評価
― アクティブ中性子照射応答のモーメント解析による非線形校正サーフェス構築と検証精度の実証
(*)NMIS(Nuclear Materials Identification System)は、Y-12プラントに保管されていた複数のHEU金属アイテムについて、アクティブ中性子照射に基づき質量と濃縮度を同時に検証した。アイテム形状をモデル化したモンテカルロ計算によって質量・濃縮度のパラメータ空間を生成し、得られた検出器応答分布をモーメント展開し、非線形の校正サーフェス(質量×濃縮度)を構築した。実測値と申告値の偏差は5%以内であり、質量誤差は1.6%、濃縮度誤差は1.5%と小さく、当該保管区に対するDOE-ORO指摘事項の解消につながった。(ORNL)
ENTNEA: A Concept for Enhancing Nuclear Transparency for Confidence Building in Northeast Asia John N. Olsen, Sung-Tack Shin
ENTNEA:北東アジアにおける信頼醸成に向けた核透明性強化の概念
Environmental Sampling for Safeguards Purposes Analfa D. Saavedra, Laura B. Castro, Marfa L. Mairal, Elena Maceiras, Sonia Fernandez Moreno, Lucfa L Valentino, Hugo Vicens
保障措置目的のための環境サンプリング
― 未申告核活動の検知を支援する質的手法としての導入経験およびアルゼンチンSSACにおける分析体制
(*)IAEAの「プログラム93+2」により、保障措置の有効性・効率向上のために環境サンプリングが新たな強化措置として導入され、未申告活動の不存在を質的に判定する有力手法となった。アルゼンチン原子力規制庁(ARN)は国家核物質計量管理システム(SSAC)の一環として環境サンプリングを導入し、国内施設での運用経験やサンプル採取手順、分析体制の整備を進めている。 これにより、国内研究機関と国際保障措置機関との間で分析能力の共有や協力体制構築の可能性が生まれており、SSACの役割強化にも寄与している。(Autoridad Regulatoria Nuclear, ARN(アルゼンチン原子力規制庁))
EPITHERMAL NEUTRON MULTIPLICITY COUNTER (ENMC): CURRENT DEVELOPMENTS AND APPLICATIONS J. E. Stewart, W. H. Geist, H. O. Menlove, N. Ensslin, D. R. Mayo
熱外中性子多重度計数器(ENMC):最新の開発動向と応用
— 240Pu 実効量測定を高精度化する高効率・短ディーアウェイ中性子同時計測技術
(*)ENMC は、従来の TNMC が担ってきた 240Pu 実効量(240Pu‑effective mass)の中性子同時計測技術において、(α,n) 中性子背景や不純物の影響を受けにくい構造を採用し、高圧 ³He 管と最適化モデレーションにより測定精度を向上させた。ENMC は 65% の検出効率と 22 μs という短いディーアウェイタイムを実現し、50–875 g の 240Pu 実効量を含む試料に対する測定時間を TNMC 比で 5〜21倍短縮し、とくに不純物の多い試料で精度改善が顕著である。小試料向けの 80% 効率化 insert および 37 ns の低デッドタイムにより、ENMC は核セキュリティ・核物質管理分野における 240Pu 実効量の高精度計量管理に対応し、標準試料検証や核物質会計において calorimetry に匹敵する性能を示す。(LANL)
Equipment Assessment Project For MPC&A Cooperation With Russia D. Miller, Kathleen Mccann, Kara L. Decastro, Ronald B. Melton, Yves Dardenne, C. Ringler
ロシアとの MPC&A 協力における装置評価プロジェクト
― 機器選定・供給者評価能力の構築と長期サステナビリティ確保の取り組み
(*)本論文は、DOE の MPC&A(核物質防護・管理・計量管理)協力プログラムにおける「プログラム横断的サステナビリティ(PWS)」の中核として位置づけられた Equipment Assessment Project(装置評価プロジェクト) の役割と目的を述べている。同プロジェクトの主要目的は、ロシア側に MPC&A 機器および供給業者を評価する能力を構築し、プロジェクト・サイトが「持続可能で信頼性の高い商用機器」を選定できるよう、評価プロセス・ツール・年次評価レポートを整備することである。さらに、ロシア側ビジネス・インフラの形成促進、国内機器メーカーの性能改善、ISO9000 等の国際基準に基づく認証プロセスの構築を通じて、MPC&A 機器の長期運用性を確保し、核物質の逸脱・盗取リスク低減を支援する枠組みを示している。(Aquila Technologies Group, DOE, SNL, BNL, PNNL))
ESTABLISHMENT OF IAEA GUIDELINES FOR DESIGN INFORMATION EXAMINATION AND VERIFICATION Dean Neal, M. Hosoya, S.  J. Johnson, T. Kikuchi
IAEA による設計情報審査・設計情報検認の指針整備
― 施設ライフサイクル全体を対象とした DIE/DIV 活動の体系化と重要機器リストの導入
(*)IAEA は包括的保障措置協定(INFCIRC/153)に基づく権限として、設計情報の審査(DIE)および検認(DIV)を施設のライフサイクル全体にわたり実施する権利を持ち、その強化が理事会でも再確認された。これを受けて保障措置局は、DIE/DIV の計画・実施・報告を一貫化するための IAEA内部ガイドライン作成タスクグループを設置し、施設タイプ・ライフサイクル段階ごとに体系化された指針を整備した。ガイドラインは、Essential Equipment List(重要機器リスト)の策定と、DIE/DIV 活動の 体系的な分類・コード化を中核とし、これらを基盤にした DIV計画、手順書、コンピュータ化された報告手法、そして国家向け通知文の整備が可能となる。(IAEA)
EVALUATION OF 3HE NEUTRON DETECTORS AND ASSOCIATED ELECTRONIC David H. Beddingfield, Martin R. Sweet, K. lanakiev
³He中性子検出器および付随電子回路の評価
— 不感時間短縮とγ線識別性向上を実現する信号処理方式(ゲーテッドインテグレーター)の提案
(*)本研究は、³He比例計数管に不可欠な付随電子回路(信号整形・プリアンプ・識別回路など)の性能を総合的に評価し、パルス高さ特性、空間電荷起因のゲインシフト、γ線重畳など従来手法の課題を明らかにした。従来の rise‑time 式識別では、整形時間短縮の限界が電流パルス幅(1–3 ms)により規定され、不感時間(dead time)を物理的に削減できない本質的制約が示された。新たに提案されたゲーテッドインテグレーター方式は、不感時間の大幅短縮と中性子パルス高さの上端集中により γ線との識別性を向上させ、同時計測(prompt coincidence)にも対応できる優れた信号処理アプローチであることが示された。(LANL)
EVALUATION OF ENVIRONMENTAL SAMPLING FOR SAFEGUARDS BY ABACC Doyle Hembree, Susan Hayes, Olga Y. M. Guidicini, Michael Whitaker, David H. Smith
ABACCによる保障措置にむけた環境サンプリングの評価
Evaluation of Perimeter Intrusion Detection Systems (PIDS) by PSDB Langhurst Graham Leach, Stephen G. Tarr
PSDB Langhurst における外周侵入検知システム(PIDS)の評価
― 15ゾーン試験施設と新規データ収集システム(DAS)による性能・誤警報・環境条件の総合検証
(*)英国 PSDB(Police Scientific Development Branch)は、市販 PIDS の性能評価を実施し、政府が調達判断に必要な 検知性能・誤警報率・保守性・信頼性に関するデータを体系的に取得している。Langhurst の 15ゾーン試験施設に新たに導入されたデータ収集システム(DAS)は、64 アラームチャンネル/32 映像チャンネル、電源変動・気象・雷活動などの情報を最大 5 年間オンラインで記録・参照できる高機能環境を提供する。新DASにより、研究者は PIDS データの 公平で効率的な可視化・分析を行えるようになり、旧システムに比べ信頼性・作業効率が大幅に向上し、遠隔地 PIDS の性能監視にも対応する。 (英国内務省(Home Office)Police Scientific Development Branch)
Evaluation of the Induced to Spontaneous Fission Neutron Multiplicity Distribution Coefficients for Passive Neutron Multiplicity Counting of Plutonium and MOX L. C. A. Bourva, S. Croft
プルトニウムおよびMOXの受動的中性子同時計測技術における誘起核分裂/自発核分裂中性子放出分布係数(α係数)の評価
― 係数導出モデル・階乗モーメント推定・PuO₂/MOX適用の比較検証
(*)受動的中性子同時計測技術による PuO₂ や MOX の定量には、モデル内で 自発核分裂と誘起核分裂の中性子放出特性の違いを補正する必要があり、そのために「誘起/自発 比係数(α係数)」を導入する。α係数は、試料の同位体組成、誘起・自発核分裂の一次〜三次階乗モーメント(I₁,I₂,I₃ / S₁,S₂,S₃)、誘起核分裂断面積、誘起中性子エネルギースペクトルなどの重なり積分として定義される。実測データが ²³⁹Pu 以外で不足しているため、²³⁹Pu・²³⁵U・²³⁸U のデータと正規分布近似を用い、誘起核分裂モーメントを推定する手法が採用された。係数導出の不確かさを体系的に伝播させた上で、PuO₂(高同位体富化品・炉級Pu・MOX)でのダブル/トリプル同時計測に適用し、モデルの精度向上に資する α係数の比較検証を行っている。(University of Birmingham, Edgbaston, Canberra Industries Inc.)
EVOLUTION OF SPENT FUEL STORAGE PHYSICAL PROTECTION AT THE U.S. NUCLEAR REGULATORY COMMISSION Charles E. Gaskin
米国原子力規制委員会(NRC)における使用済燃料貯蔵の物理的防護の変遷
― SNM 盗取から破壊工作対策への脅威想定転換と 5 レム基準導入による保護目標の再編
(*)米国NRCにおける使用済燃料の物理的防護は、当初は 特殊核物質(SNM)の盗取防止に重点が置かれていたが、後に「使用済燃料からSNMを分離することはサブナショナル集団には不可能」と判断され、主要な脅威想定が 破壊工作(sabotage) へ移行した。10 CFR Part 72 の制定により、サイト境界で5レム(5 rem)以下という新たな放射線防護目標が確立し、NRCの物理的防護要件もこの「5レム基準」を達成するための破壊工作対策へ再編された。しかし 実スケール試験が未実施であることから、規制側(NRC/DOE)と産業側のアプローチには隔たりがあり、特に 10 CFR 73.51 の適用に関して “spent fuel standard” の解釈の違いが残ることが指摘されている。(GFX Technologies, LLC)
Evolution of the Russian Methodological and Training Center: Results and Plans G. Pshakin, B. Ryazanov, Debbie Dickman, S. Guardini
ロシア核物質管理・訓練センター(RMTC)の発展:成果と今後の計画 (*)Russian Methodological and Training Center:ロシア核物質管理・研修センター(RMTC)。本論文は、ロシア・オブニンスク(RMTC) が設立後 5 年間にわたり、核物質防護・管理・計量管理(MPC&A)訓練の中核拠点として発展し続けてきた実績をまとめたものである。 RMTC の公式な開所式(1999 年 11 月)は、ロシア・欧州委員会・米国の代表が参加する国際的節目となり、その後は 新規訓練コースの整備、実習用実験室の拡張、教育技術(装置・教材)の近代化を進め、国家 NMC&A(核物質管理)システムにおける RMTC の重要性が強調された。RMTC の発展は DOE MPC&A プログラムおよび TACIS/EC 支援と連動し、持続可能な訓練インフラの確立、規制機関・施設職員への訓練強化、実践的演習の拡大を目標に、今後の能力拡張計画が示されている。(Institute of Physics and Power Engineering (IPPE), Russia, PNNL, EC-JRC,Ispra)
EVOLUTION OF WASTE-PACKAGE DESIGN AT THE POTENTIAL U.S. GEOLOGIC REPOSITORY Hugh A. Benton, B. Harkins
米国地層処分施設(候補地)における廃棄物パッケージ設計の進化
― Yucca Mountain 計画における人工バリア要件、放射能閉じ込め、熱管理を踏まえた反復的設計アプローチ
(*)ネバダ州 Yucca Mountain における地層処分施設の設計は、世界初の商業用地層処分という特性上、継続的な科学的知見・性能基準の更新に応じて進化できる柔軟性を要求されている。廃棄物パッケージ(WP)は人工バリアの主要構成要素であり、臨界防止・放射性物質閉じ込め・熱管理・化学安定性・取り扱い性・外部環境耐性など多面的要求を満たすため、反復的な設計最適化が行われてきた。設計進化の成果として、SNF(使用済燃料)および高レベル廃棄物(HLW)を安全に収納し、規制上の性能要件(放射能閉じ込め・識別性・健全性・高温下での熱伝導管理)を満たす robust なパッケージ構成が確立されつつある。(Framatome Cogema Fuels)
EXPORT CONTROL ISSUES: VARYING REQUIREMENTS AMONG VENDORS AND NATIONAL LABORATORIES S. Kraus, S. Kadner, W. Doyle, M. White, M. Parisi
輸出管理における課題:ベンダーと国立研究所間で異なる要求事項
― EAR該当判定・NLR/正式許可・ICL適用条件の違いが国際保障措置機器の供給に及ぼす影響
(*)米国の 輸出管理規制(Export Administration Regulations, EAR) の下で、軍事・商業・核用途に使用可能な機器を輸出する際、メーカーは NLR(No License Required)か、DOC(商務省)による正式な輸出ライセンスが必要かを判断する必要がある。正式な輸出ライセンスが必要な場合、数か月のリードタイムが発生し、国際保障措置向け機器の供給に大きな影響が出る。一方、DOE の International Cooperative License(ICL) に該当する場合は、旧ソ連地域(FSU)向け MPC&A(核物質防護・管理・計量管理)機器が 数週間で輸出承認される。 ベンダー(民間メーカー)と米国国立研究所では、適用する輸出管理要件・手続き・解釈に違いがあり、国際保障措置向け機器の迅速な提供に不整合が生じることが課題として示されている。(Aquila Technologies Group,  Canberra Industries Inc.)
FMCT VERIFICATION – PRECEDENTS FROM OTHER REGIMES  John Carlson, Victor Bragin
End(5) FMCT 検証:他の国際検証レジームからの先例
― IAEA 保障措置とCWC検証を踏まえた新検証体系の構築課題
(*)FMCT(核分裂性物質生産禁止条約)の目的は 核兵器用核分裂性物質の生産停止であり、これを担保するためには、参加国が約束を履行していることを示す 信頼性の高い検証措置が不可欠である。既存の包括的IAEA保障措置と類似点は多いが、そのまま置き換えられるわけではない。 保障措置モデルを核兵器国や大規模未申告核計画国に適用すると コストが膨大になり、またFMCTでは国家安全保障上の機微情報保護がより重要となるため、包括的保障措置とは異なる検証体系が求められる。FMCTの検証枠組み構築には、IAEA保障措置だけではなく 化学兵器禁止条約(CWC)の検証制度など他レジームの手法を参照し、通常・非通常検証、チャレンジ査察、マネージドアクセス、情報収集分析機能を組み合わせた新たな検証体制を設計することが提案されている。(Australian Safeguards and Non-Proliferation Office(ASNO))
From KEDO to WEDO: Expanding Nuclear Power Worldwide Without Proliferation William C. Sailor
KEDOからWEDOへ:核拡散を伴わない世界規模の原子力発電拡大 (*)原子力エネルギーを用いた地球温暖化問題の解決
Full Range MGA Plutonium Isotopic Analysis Using Single Ge Detector Wayne Ruhter, William M. Buckley, Tzu-Fang Wang, T. R. Twomey, Winifred Parker, Allen Friensehner, Steven A. Kreek, R. G. Lanier
単一Ge検出器を用いた広範囲MGAプルトニウム同位体分析
― ― 100 keV帯の複雑なX線・γ線領域を“分離復元(逆畳み込み)”し、内部効率決定により同位体比を算出する
ガンマ線マルチグループ解析コード MGA の適用と最適化HPGe検出器の統合利用
(*)従来の Pu 同位体分析では、100 keV 領域の高分解能計測と 1 MeV 領域の高効率計測を両立させるため、 planar(低エネルギー用)+ coaxial(高エネルギー用)の2検出器構成が必要だった。 ORTEC が開発した 最適化ジオメトリ単一 HPGe 検出器は、100 keV 領域の十分なエネルギー分解能と 1 MeV 近傍の実用的効率を兼ね備え、単一検出器で「two-detector mode」解析に必要な広範囲スペクトル取得を可能にした。 校正済みPu標準源を用いた試験により、この単一検出器によるMGAによる同位体比算出は従来法と同等の精度を達成し、取得手順や装置構成の簡素化が可能であることが示された。(LLNL, PerkinElmer Instruments / ORTEC Division)
Future of Verification Activities in the IAEA Hiroyoshi Kurihara
IAEAにおける検証活動の将来
Future Safeguards Effectiveness: Concepts and Issues G. Eccleston, Joseph F. Pilat, William D. Stanbro, Kory W. Budlong Sylvester
将来の保障措置の有効性:概念と課題
Gadolinium-Loaded Plastic and Rubber Scintillators Zane W. Bell, Gilbert M. Brown
ガドリニウム添加プラスチックおよびラバーシンチレータ
― 熱中性子捕獲に伴う29 keV 転換電子・Gd特性X線応答の計測と核物質検知への応用
(*)本研究では、ポリビニルトルエン(PVT)およびシリコーンゴムを基材とし、十分な濃度のガドリニウム(Gd)を添加した固体シンチレータを開発し、紫外~緑色領域発光の各種組成について試作が行われた。熱中性子捕獲後に生じる 29 keV の内部転換電子とGd特性X線を特徴とするパルス高さスペクトルが取得され、試料の熱中性子応答特性およびγ線応答が計測・評価された。プルトニウムおよびウランからの放射線計測への応用可能性が検討され、新規Gd添加シンチレータが核物質検知用途として有望であることが示された。(Lockheed Martin Energy Systems, ORNL)
Gamma Attribute Measurements – Pu-300, Pu600, Pu900 S. John Luke, D. E. Archer
ガンマ線によるプルトニウム試料の属性測定
― 年齢・同位体組成・酸化物存在の非破壊評価(Pu‑300・Pu‑600・Pu‑900 技術)
(*)本論文は、プルトニウム試料の属性評価に用いる3種類のガンマ計測技術(Pu-300、Pu-600、Pu-900)を開発し、その物理的根拠と測定結果を示している。Pu-300は330-350 keV領域の241Am/241Pu比を利用して試料の「最後の241Am分離からの経過時間(年齢)」を推定する手法である。Pu-600およびPu-900は、630-670 keV領域での240Pu/239Pu比による同位体組成判定、ならびに870.7 keVピークの有無によるPuO2存在確認をそれぞれ可能にする。(LLNL)
Gamma Ray Imaging for Qualitative Uranium Material Holdup Position Determination and Improved Quantitative Mass Determination Brent McGinnis, Jeff Gross, D. E. Cordle
ウラン滞留物の位置推定と質量定量精度向上のためのガンマ線イメージング
― 配管内堆積の可視化と非破壊測定評価の精緻化
(*)本論文は、Portsmouth濃縮施設においてガンマ線イメージングシステム(GRIS)を用い、ウラン滞留物の位置推定と質量推定精度の改善を試みた研究である。GRISはCsI検出器とデジタルカメラを組み合わせ、配管内部の放射線イメージを機械図面と統合することで滞留位置と堆積範囲を可視化する。 得られた画像情報は、他の受動中性子・ガンマ計測と併用され、ウラン滞留量のより精度の高い定量推定および核物質管理・臨界安全評価の補強に利用できる。(United States Enrichment Corporation(USEC))
Gamma spectroscopy modelization intercomparison of the modelization results using three different codes Laurence LUNEVILLE, Herve TOUBON, Martial HUVER, Stephane Denis
ガンマ線スペクトロスコピーにおけるモデル化結果の比較
― 3種の計算コード(MCNP・Mercure・MicroShield)によるグローバル測定効率評価
(*)本研究は、CEA・COGEMA・Eurisys Mesures が共同で開発したガンマ線スペクトロスコピー用モデル化ツールの性能を検証するため、三つの計算コード(MCNP、Mercure、MicroShield)によるモデル化結果を比較したものである。比較対象は「グローバル測定効率」であり、高線量環境や複雑形状において実験的効率評価が困難となる状況に対し、計算コード選択が測定精度を左右することが示されている。MCNP は最も高精度だが計算負荷が大きく、現場適用に非現実的である一方、Mercure や MicroShield は現場利用に適した実用的精度を持つ妥協解であることが明らかにされた。(CEA, COGEMA, Eurisys Mesures)
GAMMA-ISOTOPIC/CALORIMETRIC VS CHEMISTRY ASSAY OF HIGHPURITY ELECTROREFINED PLUTONIUM METAL Tom Burr, Victoria L. Longmire, Lynn A. Foster, Devin W. Gray
高純度電解精製プルトニウム金属に対するガンマ線同位体分析・カロリメトリ法と化学分析法の比較
― 測定不確かさ評価とプルトニウム量推定精度の検証
(*)本研究は、高純度電解精製プルトニウム金属に対して、ガンマ線同位体分析およびカロリメトリによる測定結果の不確かさを、電量滴定によるプルトニウム量と質量分析による同位体比と比較して評価している。試料が酸素雰囲気とアルゴン雰囲気で封入された場合のカロリメトリ値の差異を調査し、雰囲気条件が熱出力測定へ及ぼす影響を検証している。 電解精製工程で暫定的に用いられてきた“プルトニウム・ファクター”を、電量滴定から得られた精密値と比較することで、その妥当性と偏差を明らかにしている。(LANL)
GAMMA-RAY IMAGING WITH A SEGMENTED HPGE DETECTOR K. P. Ziock, Judith E. Kammeraadt, Dean Beckedahl, Greg J. Schmidt, Jerry J. Blair, K. M. Vetter
多分割型HPGe(高純度ゲルマニウム)検出器を用いたガンマ線イメージング
― 単一結晶によるコンプトンカメラ応用の性能評価
(*)本研究は、単一の同軸型HPGe検出器を多分割(segmented)構造とし、パルス形状解析を併用することで、コンプトンカメラとして機能するガンマ線イメージャの性能を評価している。核不拡散分野での利用を想定し、各種シナリオに対して感度・空間分解能・運用可能性をシミュレーションにより解析している。単一HPGe結晶による広立体角イメージングの潜在性能を示し、核物質探知における新たな非破壊測定アプローチの有効性を示している。(LLNL)
GAMMA-RAY SPECTROSCOPIC IMAGING OF DYNAMICALLY DISTRIBUTED PLUTONIUM D. H. Beddingfield, P. A. Russo, Mitchell Woodring, T. E. Ricketts, Kevin D. Veal
動的に分布するプルトニウムのガンマ線スペクトロスコピー画像化
― 溶解工程における核物質分布の可視化と定量評価
(*)本研究は、硝酸溶解工程などで時間的に分布が変化するプルトニウムの量・分布を把握するため、市販のガンマ線スペクトロスコピー画像化装置を定量測定用に適用したものである。装置はタングステン開口部、シンチレータ、位置敏感型光電子増倍管、ビデオカメラで構成され、視覚画像とγ線強度画像(例:239Pu の 414 keV)を空間的に一致させて取得する。 得られた2次元γ線画像から加工設備ごとの正味計数を統合し、逐次測定が困難な動的工程における核物質の定量化を補助する手法を示している。(LANL, Radiation Monitoring Devices, Inc.(RMD))
Government Oversight of Implementation of IAEA Safeguards in the United States Brian G. Horn, Stuart Altman, Robert Newman
米国におけるIAEA保障措置の実施に対する政府監視 (*)米国政府は、IAEAとの間の「米国における保障措置適用協定」の履行状況を監視する責任を、関連省庁で構成される SISUS(Subgroup on IAEA Safeguards in the United States) に付与している。SISUSは、NRCが規制する施設およびDOEが管理する免許不要施設におけるIAEA保障措置の適用を統括し、米国における国際保障措置政策の国内実施を担っている。さらにSISUSは、IAEA追加議定書実施のための国内ガイドライン策定にも取り組んでおり、米国の保障措置関連法制度とIAEA保障措置要求との整合に向けた調整役となっている。(US-NRC, US-DoD)
Hardware and Software for Preventing Unauthorized Disclosure of Sensitive Information during Monitoring of Nuclear Materials A. S. Sviridov, Yu. A. Vorobyev
核物質監視における機微情報の不正開示防止に向けたハードウェア・ソフトウェア情報バリア ― 侵襲的測定技術に対する多層的保護設計と米露アプローチの比較 (*)本論文は、核兵器由来の分類情報を含む可能性のある「侵襲的」測定技術を使用する際、機密データの漏えいを防ぐためのハードウェアおよびソフトウェアによる情報バリアの設計原則を検討している。情報バリアは、測定装置内部で取得されるセンシティブ情報から、外部に表示される非機密情報へ至るまでのデータ流れ全体を多層構造で保護する概念として整理されている。ロシアおよび米国で開発された装置の比較を通じ、研究室レベルの実験から市販機器・専用機器への展開など、情報バリア技術の発展傾向と将来の実装アプローチが議論されている。(VNIIA (Russia))
High Explosive Detection and Destruction A. P. Pokatashkin, B. G. Loboiko, E. T. Antoshin, A. M. Ryabinin
高性能爆薬の検知および破壊
― 弾頭解体における透明性措置と中性子計測技術・切断技術の適用
(*)弾頭解体における高性能爆薬(HE)の除去・破壊プロセスに適用可能な透明性措置と技術手順を特定した。ガス分析、中性子–中性子、中性子–ガンマ、中性子放射化、ハイドロジェット切断など複数の検知・破壊技術が米露合同技術チームにより分析・実証された。実際の解体条件を模擬するHEモデルアセンブリが設計され、安定性・リサイクル適応性・物性要件を満たすよう検討された。(Zababakhin Russian Federal Nuclear Center(ザババヒン・ロシア連邦核センター) )
HIGH PERFORMANCE MASS SPECTROMETERS FOR NUCLEAR SAFEGUARDS MEASUREMENTS Steven A. Goldberg, Stephan Richter
核保障措置測定のための高性能質量分析計
― 新世代TIMSの導入と核物質計量管理・不拡散検証における高精度同位体分析の要件
(*)New Brunswick Laboratory(NBL)は、新世代の熱イオン化質量分析計(TIMS)を導入し、核物質の同位体測定能力向上を図っている。 この新型機器の特性および核物質計量管理、不拡散検証、環境分析、核燃料生産、核鑑識といった保障措置活動で求められる性能要件が整理されている。高性能同位体比測定装置は、ウランの高再現性測定など、保障措置上の信頼性確保に不可欠であることが示されている。(NBL)
IAEA DEVELOPMENT OF INTEGRATED SAFEGUARDS Jill N. Cooley
IAEAにおける統合保障措置の開発
― 包括的保障措置協定と追加議定書を統合した国家レベルの保障措置アプローチ構築に向けた概念整理と実施指針の策定
(*)IAEAは1998年に「統合保障措置(Integrated Safeguards)」の開発と実施に向けた計画を開始し、包括的保障措置協定と追加議定書の双方を最適に組み合わせる枠組みを検討している。統合保障措置は、宣言された核物質の転用を防ぐだけでなく、未申告の核物質・活動の不存在に対する信頼性を高める仕組みであり、国家単位のアプローチと施設タイプ別アプローチを統合する概念として整理されている。IAEA事務局はガイドライン整備や未申告核物質不存在の判断プロセスの明確化などを進めており、SAGSIや加盟国支援プログラムの助言を得ながら実施要件の策定を進めている。(IAEA)
IAEA IMPLEMENTATION OF THE BOARD OF GOVERNORS DECISION ON NEPTUNIUM AND AMERICIUM Laura Rockwood, Viatcheslav Pouchkarev, Jill N. Cooley, Zunqi Liu
IAEA理事会によるネプツニウムおよびアメリシウムに関する決定の実施 ― 分離Npの国際移転・生産監視に向けたモニタリング措置(フローシート検証を含む)の導入と拡散リスク評価 (*)1998年以降、ネプツニウム(Np)およびアメリシウム(Am)の核兵器利用可能性に対する懸念の高まりを受け、IAEA事務局は当該物質に関する技術的背景とリスク評価を理事会へ提出した。理事会は1999年の審議を経て、Npに関しては国際移転および分離を伴う活動を監視するモニタリング措置(フローシート・ベリフィケーションを含む)を導入する決定を行い、Amについては現時点で拡散リスクが低いとの判断を示した。1999年末までにIAEAは関連国との情報交換とモニタリング協力要請を開始し、NpおよびAmの分離状況に関する報告体制の整備を進めている。(IAEA)
IAEA SAFEGUARDS: EVOLUTION OR REVOLUTION? Pierre Goldschmidt
IAEA保障措置:進化か革命か ― 40年以上にわたる国際検認体制の発展と国家主権・世界安全保障のバランスに関する考察 (*)IAEA保障措置は1962年の最初の研究炉査察以来40年以上にわたり発展し、現在では約140か国・900施設・約11万SQ(Significant Quantities)が対象となる国際的な検認体制に成熟している。この国際検証制度は、国家が主権の一部を国際社会の安全保障のために委ねるという意味で“革命的”とも言える変化をもたらした一方、その実施と制度整備は必ずしも迅速ではなかった。長期的な視点では、IAEA保障措置は世界の核不拡散体制と核セキュリティ強化に大きく貢献してきたと評価されている。(IAEA)
Image Processing for Arms Control Monitoring at Nuclear Facilities James E. Doyle, Sharon L. Seitz, Angela M. Mielke, Constance A. Buenafe, Alexei N. Skourikhine, Vladimir A. Bychkov
核兵器解体における管理されたアクセス(チェーン・オブ・カストディ)監視
― 米露共同のチェーン・オブ・カストディ監視技術(IFMSプロトタイプ)と画像解析アルゴリズム改良による検証能力向上
(*)米ロ共同で、核兵器解体におけるチェーン・オブ・カストディ監視(管理されたアクセス)を目的とした画像処理システム(ハードウェア・ソフトウェア)のモデルプロトコルおよび技術試験が進められている。プロトタイプの統合施設監視システム(IFMS)は、核兵器分解工程における動的監視の有効性を実証し、認可済み活動の検証能力向上を目指してカメラ改良・アルゴリズム高度化(変化検出・画像分割・対象抽出など)が行われている。画像処理の改良は核物質の安全・セキュリティ・計量管理を強化し、将来の二国間・多国間の軍備管理合意における監視技術導入可能性を高める。(LANL)
Impact of Bias-Correction on Measurement Uncertainties in the Statistical Evaluation of Material Balances Denny Weier
End(6) 物質収支の統計評価におけるバイアス補正が測定不確かさに与える影響
― 複数測定法間の系統誤差の補正と不確かさ統合処理の課題
(*)核物質は複数の物質収支区域(MBA)間を移動する際に繰り返し測定されるが、測定手法間のわずかな系統誤差(バイアス)が蓄積し、在庫差(ID)やその不確かさに大きな影響を与える可能性がある。バイアス補正は測定間の系統的差異を低減するために用いられるが、その補正操作が測定不確かさに与える影響を適切に統計評価へ反映する必要がある。 高性能だが高コストの測定法を基準に、低コスト・低性能測定法のバイアス推定と補正を行うケースを中心に、両者の不確かさを統合した評価手順が検討されている。(PNNL)
IMPLEMENTATION OF THE FEDERAL INFORMATION SYSTEM AT THE SITUATION AND CRISIS CENTER IN THE YEAR 2000 V. P. Berchik
2000 年における状況・危機対処センターでの連邦情報システム(FIS)導入と運用の開始 (*)ロシア連邦原子力省(Minatom)の状況・危機管理センター(SCC)は、全国レベルの核物質計量管理システムである FIS(Federal Information System)の設計・開発・試験・段階的導入を進めている。5つのパイロットサイトで実データに基づく試験を完了し、2000年には4つの施設群から段階的に在庫リスト報告が開始され、その後ルーチン化に応じて在庫変動報告の運用に進む予定となっている。SCCは経済・計画局と連携し、軍事用途を除くロシア国内の全核物質を計量管理するため、FIS導入スケジュール、段階的報告方式、企業ごとの導入状況を統括している。(MinAtom’s Situation and Crisis Center(ロシア連邦原子力省・状況/危機管理センター))
Implementation of Uncertainty Estimation according to the ISO Guide in an Analytical Laboratory K. Casteleyn, K. Mayer, O. Cromboom
分析ラボにおけるISOガイド(GUM)に基づく測定不確かさ評価の実装
― 滴定法およびIDMSに対する品質保証とSIトレーサビリティ確保に向けた不確かさ算出手順
(*)核物質分析を行う分析化学ラボは、最小限の反復測定で多数の試料を処理しつつ、SI国際計量体系にトレーサブルな測定不確かさを付与した精度の高い分析結果を求められている。破壊分析法である滴定法および同位体希釈質量分析(IDMS)を対象に、ITU(欧州委員会JRC)の品質保証体制により ISO測定不確かさガイド(GUM)に適合した不確かさ算出が可能であることが示されている。導出された測定不確かさは分析値の比較可能性を確保し、核物質管理における計量管理データの信頼性向上につながる。(EC-JRC)
Implementation Trial of the Model Additional Protocol in Japan Shoko lso, Kenichi Shimizu, 0. Heinonen, T. Renis, Keiichiro Hori, Hiroshi Tsuboi, Yu Hashimoto
日本におけるモデル追加議定書の導入試験
IMPROVED SAFEGUARDS USING TRUE DUAL USE TECHNOLOGY David Bot
真のデュアルユース技術を活用した保障措置強化
― 経済・治安機能と統合したリアルタイム監視インフラによる自立型保障措置システムの構築
(*)新興国の複数地域において、真のデュアルユース技術(商用・経済用途と保障措置用途を同時に成立させる技術)を活用し、リアルタイム遠隔監視・環境監視を可能とする新たな保障措置インフラの構築が進められている。これらの技術基盤は、不正取引・密輸の監視、貨物追跡、輸出入品の転用検知といった経済・治安機能を併せ持ち、その付加価値によって保障措置インフラ自身の運用維持を自立的に支えるという構造が特徴である。この「自立的・相互利益型」の導入アプローチは、IAEAが掲げる「ワンハウス・アプローチ」(技術・安全・保障措置の連携)とも整合し、国際機関・支援国・ホスト国すべてに利益を提供する点で注目されている。(BOT Engineering)
IMPROVING DATA QUALITY SUBMITTED TO THE U.S. NUCLEAR MATERIALS MANAGEMENT AND SAFEGUARDS SYSTEM Tina M. Barnett
米国核物質管理・保障措置システム(NMMSS)に提出されるデータ品質向上に向けた取り組み (*)本論文は、米国国家核物質計量管理システム NMMSS(Nuclear Materials Management and Safeguards System) に報告されるデータの品質向上を目的として、DOE 施設および NRC ライセンシーから提出される核物質会計データに存在する典型的なエラーの種類とその改善策を分析したものである。年間提出記録の約 20% に何らかのエラーが含まれており、主な要因には 必須項目の欠落、不要データの入力、コード誤用、計算ミス、入力ミス がある。DOE はエラー削減を目標とする改善計画の提出を各サイトに求め、教育訓練、継続的な対話、エラー追跡 を推進した。DOE は無料ツール SAMS(Safeguards Management Software) を提供し、サイト側で NMMSS と同じ編集機能による事前チェックを可能にした結果、多くの施設でデータ品質が向上し、ある主要施設では月間エラー率が 1%未満 に低減した。(NAC International)
INEEL NUCLEAR NON-DESTRUCTIVE ASSAY CAPABILITIES Clemence Noakes
INEEL における核非破壊分析(NDA)能力
― 多検出器解析システムによる同位体識別・体積特性評価と誤差解析技術の応用可能性
(*)INEEL(アイダホ国立工学・環境研究所)の核非破壊分析(NDA)プログラムは、高度な同時計数法と数学・計算技術を用いて、核物質の同位体識別や体積特性評価を可能にし、核物質管理のあらゆる分野に寄与している。多検出器解析システム(Multiple Detector Analysis System)による直接測定は、原子炉技術の安全な応用、使用済燃料管理、貯蔵、最終処分準備に重要な基盤を提供する。NDA で開発された情報処理・誤差解析技術は、税務・金融・通販システムなど民生分野にも応用可能であり、さらには違法薬物や化学・生物兵器などのテロ関連物質の検出にも利用できる潜在性が示されている。(INEEL)
Information Analysis and Integrated Safeguards Joseph F. Pilat, Kory W. Budlong Sylvester
情報解析と統合保障措置
― 取得経路分析・国家評価・未申告活動検知に向けた情報活用の将来役割
(*)本論文は、将来のIAEA保障措置における情報解析(Information Analysis)の役割を検討し、特に国家評価(State Evaluations)を含む情報活用の能力強化の重要性と、実装上の課題を整理している。情報解析は、国が取り得る核取得経路(acquisition paths)の特定・優先順位付けに大きく貢献し、欺瞞や秘匿戦略を考慮した検認設計に資する可能性があると論じられている。特に統合保障措置(Integrated Safeguards)において、情報解析が未申告施設・未申告活動に関わる検知確率設定や保障措置の有効性評価に寄与し得る点を中心に、将来の役割が分析されている。(LANL)
Information Barrier Technology Keith Talk, Dr. R. I. Voznyuk, M. Charles, N. I. Zharikov
情報バリア技術
― 機微情報を保護しつつ核物質属性のみを開示する検証用技術の構築
(*)本論文は、核兵器由来核物質の検証において、機微情報(核兵器設計情報や詳細同位体組成)を保護しつつ、査察で必要な属性だけを開示する技術=Information Barrier(情報バリア) の概念と、その実装技術を総合的に解説している。情報バリアは、測定データの内部解析(スペクトル→属性評価)を行い、結果として “Yes/No” または “Pass/Fail” のみを外部に出力する安全機構を備える。ハードウェア封じ込め、ソフトウェア検証、暗号的確証など多層構造の安全技術が含まれる。本論文では、この技術が透明性措置(Transparency Measures)・核軍縮検証・プルトニウム処分監視などの国際協力枠組みにおいて重要であり、米露協力の中で運用試験が進められていることを示している。(U.S. DOE, General Physics Institute(ロシア科学アカデミー), Aquila Technologies Group)
Infrastructure – An Essential Longer-Term Investment in Institutionalizing Upgraded Russian MPC&A Systems Fred Morris, C. Mathews, Ronald B. Melton, Douglas M. Tynan, John M. Boyd
ロシアにおける改良 MPC&A システムの定着に向けたインフラ整備の重要性
― 長期的自立運用を支える制度・教育・装置維持基盤への投資
(*)本論文は、ロシアの核物質防護・管理・計量管理(MPC&A)システムの近代化を長期的に定着させるには、技術導入だけでなく、制度・人材・教育・規制・装置維持管理といったインフラ(infrastructure)への継続的投資が不可欠であるという視点を示している。DOE の Program-Wide Sustainability(PWS) の一環として、米露協力は物理的セキュリティ機器や計量管理ソフトの設置だけでなく、ロシア国内の訓練センター(RMTC)、評価能力、保守体制、供給者ネットワーク、規制当局の監督枠組みといった制度基盤の強化を進めており、その取り組みと課題が整理される。ロシア側が将来にわたり自律的に MPC&A を運用するためには、長期保守可能な装置選定、ロシア産業界の参入促進、規制文書整備、施設職員・査察官の継続教育、国家レベル情報システム(FIS)との接続などが不可欠であり、これらを総合的に支える“インフラ投資”の重要性が強調されている。(PNNL, ANL)
INSIDER ASSESSMENT METHODOLOGY Pamela Dawson, Bruce Layman
インサイダー脅威評価手法
― 核物質防護における情報源分類・アクセス分析・特権評価に基づく脆弱性モデル
(*)本論文は核物質防護におけるインサイダー脅威評価のため、施設およびプログラムの脆弱性を分析する汎用モデルを提示し、内部者および内部者・外部者協働が利用可能な重要情報を体系的に分類している。施設固有・プログラム固有の情報源を特定し、それらが保持する情報の種類と保護状況を行列表で評価する方法を示し、アクセス制御記録・手動ログを用いた侵入者プロファイリングの手法も論じている。個人・集団が保有する特権や出入り頻度を業務必要性やシナリオ別情報取得所要時間と比較し、インサイダーリスクを分析する枠組みを提供している。(LANL)
INTERNATIONAL PHYSICAL PROTECTION ADVISORY SERVICE: OBSERVATIONS AND RECOMMENDATIONS FOR IMPROVEMENT Axel Hagemann, Mark S. Soo Hoo, David Ek, Terry Jenkin, Cris Price, Bernard Weiss
国際物理的防護アドバイザリーサービス(IPPAS):観察結果と改善提言
― INFCIRC/225 の適用状況評価、施設別改善点、DBT・破壊工作対策を踏まえた将来ミッションの強化
(*)IPPAS(国際物理的防護アドバイザリーサービス)は、IAEA 加盟国の核物質・原子力施設の物理的防護システムについて、国際的なピアレビューにより助言と支援を提供する取り組みであり、1996 年以来 10 か国で任務が実施されている。各国による INFCIRC/225「核物質および原子力施設の物理的防護」ガイドラインの採用状況には大きな差があり、国家規制に盛り込まれつつある国もあれば、すでに完全採用している国もある。施設レベルでは多くの改善推奨が示されている。2000 年の専門家会合では、IPPAS プログラムの一層の普及、フォローアップ活動の強化、設計基準脅威(DBT)や破壊工作対策を含む最新 INFCIRC/225 改訂への対応など、将来のミッション改善に向けた勧告がまとめられた。
International repositories for radioactive waste and spent nuclear fuel Charles Mccombie, Bruno Pellaud
放射性廃棄物および使用済燃料の国際処分場
― 核不拡散強化と将来世代への負担軽減を両立する深地層処分の国際的枠組みの可能性
(*)高レベル放射性廃棄物および使用済燃料の地層処分について、いくつかの国が実証プロジェクトを成功させることで、国際社会が「実現可能な解決策が存在する」と公的に示すことが不可欠であると述べている。その基盤が整った後は、未使用の核分裂性物質や未再処理燃料の転用リスクを低減し、世界の核不拡散体制を強化する手段として、地域・国際レベルの地層処分場の設立を検討する時期が到来するとしている。 長寿命放射性廃棄物を将来世代に負担を残さず安全に隔離するという観点からも、国際的な処分場は安全性・経済性・社会受容性など多方面で利点を有し、IAEA が中心的役割を担うべきと論じている。(Arius Association, Nuclear Consultant)
INTERNATIONAL SAFEGUARDS IN USA PAST, CURRENT AND FUTURE ACTIVITIES Dirk Schriefer, P. lkonomou
米国における国際保障措置の過去・現在・将来
― 余剰核物質への保障措置移行、HEU希釈、プルトニウム安定化への適用と基準見直し
(*)本論文は、米国の核燃料サイクル施設に対する IAEA 保障措置の過去の適用状況を概説し、米国における施設選定基準の一部にも触れている。米国が「国家安全保障上の余剰核物質(excess to national security needs)」として申告した核物質への保障措置移行、新たな高濃縮ウラン(HEU)希釈(ダウンブレンド)活動、およびプルトニウムの安定化・再梱包プロセスと新たな貯蔵施設への移転に対して、IAEA 保障措置が適用される新時代に入ったことが示されている。これらの変化に伴い、保障措置の目的や基準の見直しが進み、検認手法・封じ込め/監視技術の概要、必要な査察リソース、そして「教訓(lessons learned)」が議論されている。(IAEA)
INTERNATIONAL SAF’EGUARDS FOR THE NEW MILLENNIUM James A. Lammore
新世紀に向けた国際保障措置
― INFCIRC/540 に基づく強化・統合保障措置の課題と将来目標の体系化
(*)NPT の無期限延長から 5 年、追加議定書 INFCIRC/540 採択から 3 年を迎え、IAEA 保障措置の強化と最適化に向けた課題と基本要素を再整理し、次世代に向けた国際保障措置の方向性を検討している。各国が IAEA 保障措置に期待する役割と、各国自身が負うべき支援・協力のバランスが重要であり、IAEA はコスト抑制を伴いながらも強化された保障措置システム(Strengthened Safeguards System)の実効的運用を図る必要がある。統合保障措置(Integrated Safeguards)の導入を含め、将来の保障措置目標を体系的に整理し、多様化する各国の保障措置義務を包括的に扱う枠組みの構築の必要性が提示されている。(Consultant)
INTRANET APPLIANCES FOR THE SAFEGUARDS COMMUNITY – THE VIRTUAL INSTRUMENT PLATFORM David Bot, P. Button, Reinhard Messner
保障措置コミュニティ向けイントラネット対応計測装置 ― 仮想計測プラットフォーム(VIP)
― TCP/IP 対応による遠隔操作・データ収集機能と国際間ネットワーク実証
(*)IAEA 保障措置機器の技術要件変更を受け、TCP/IP に完全対応し標準ブラウザで制御可能な「仮想計測プラットフォーム(VIP)」と呼ばれるイントラネット対応型保障措置機器群が開発された。VIP 機器は Ethernet や電話回線モデムを介したネットワーク化に対応し、ネットワーク断時でも自律動作でき、欧州‐カナダ間での低コスト遠隔データ伝送試験を含む実証が行われた。システムは複数機器のデータ収集と制御を行う支援インフラを備え、将来的には衛星通信や無線接続を用いた世界的なリアルタイム監視環境への発展を視野に入れている。(BOT Engineering, Canadian Nuclear Safety Commission (CNSC))
Introduction of Designated Organization to Safeguards Implementation in Japan Hiroyoshi Kurihara, Mitsunori Akiba, Shoko lso, S. Okazaki, Hiromi Terada, Hisataka Ando, lsao Kobayashi, Yuji Sato, Masayuki Watanabe
日本における保障措置実施のための指定機関の導入
IPANTM/GEA ACTIVE NEUTRON ASSAY: FINDING THE PLUTONIUM LUMP Stephanie A. Jones, George Auchampaugh
 IPAN™/GEA アクティブ中性子アッセイ:プルトニウム“塊状粒子”の検出
― 自己遮蔽を伴う大粒径Pu粒子に対する補正アルゴリズムの開発とPDP試験での性能検証
(*)大粒径のプルトニウム粒子(“lumps”)は自己遮蔽により中性子・ガンマ測定で実質質量を過小評価させる課題があり、従来のアクティブ中性子計測・GEA(ガンマエネルギー解析)に困難をもたらしていた。BNFL Instruments は粒径の大きい Pu 粒子の存在を検知・定量できる新アルゴリズムを開発し、 IPAN™(イメージング受動・能動中性子)および GEA を組み込んだモバイルアッセイシステム(MAS)に搭載した。この手法は WIPP の Performance Demonstration Program (PDP) Cycle 5A で初めて試験され、活性中性子計測単独の値より 4 倍大きい真の Pu 質量を示す修正係数を導出し、精度・正確度基準を満たす結果を得た。(BNFL Instruments Inc.)
ISSUES IN SPENT FUEL VERIFICATION AT CANDU REACTOR Park Sung Gi, Park Wan Sou, Cha Hong RyuI
CANDU炉における使用済燃料の検認に関する課題
― トレイ設計変更が項目計数およびNDA検認方式へ与える影響と検認有効性向上のための改善措置
(*)韓国では 1997 年以降、オンロード型 CANDU 炉に対する国家保障措置検認が行われており、TCNC はそのための NDA 機器を開発・運用してきた。新炉では安全改良のために使用済燃料バンドル用トレイ設計が変更され、項目計数や NDA 測定など既存の保障措置アプローチに影響が生じている。この論文は、変更されたトレイ設計への対応を含め、保障措置検認の有効性を改善するために進められている措置を示している。(KAERI)
Item Certification for Arms Reduction Agreements: Technological and Procedural Approaches Vitaliy Dubinin
核軍縮合意におけるアイテム認証
― 技術的・手続き的アプローチによる真正性確認と情報保護の両立
(*)本論文は、核軍縮合意(Arms Reduction Agreements)における“アイテム認証(Item Certification)” の技術的・手続き的アプローチを体系的に整理し、核兵器や武器級核物質の検証において 国家機密を守りつつ真正性を確認するための原理と要件を示している。認証方式として、属性測定(Attribute Measurement)+情報バリア(Information Barrier)、タグ・シール(Tamper‑Indicating Devices)、再測定可能性、装置・データの真性保証(Authentication)などが議論され、技術的信頼性と手続き的透明性を両立させるための枠組みを提示している。米露透明性協力における実演試験を踏まえ、アイテム認証を“協定運用可能な検証制度”として制度化する際の課題(相互信頼、機微情報保護、装置検証、運用プロトコルの標準化) が述べられ、軍縮検証技術の将来像が議論されている。(Aquila Technologies Group/DOE, General Physics Institute(ロシア科学アカデミー) )
JOINT MEASUREMENTS WITH NUCLEAR MATERIALS IDENTIFICATION SYSTEM (NMIS) John K. Mattingly, Vitaliy Dubinin, Vladimir Popov
End(7) NMIS(核物質識別システム)による共同測定
― 米露ラボ協力によるアクティブ中性子照射法の検証
(*)本論文は、米露のラボ・トゥ・ラボ(Lab‑to‑Lab)協力の一環として、ORNL が開発した NMIS(Nuclear Materials Identification System) をロシア・VNIIEF で共同製造し、共同で核物質測定を行った取組を報告している。NMIS は アクティブ中性子照射方式の非破壊分析システムであり、米露共同チームはロシア側での組立後、36% 濃縮ウランおよびプルトニウム部材を対象に最初の共同測定シリーズを実施し、その性能と運用性を検証した。今後は、未合金 HEU・プルトニウムを含む追加の未分類試料を対象にさらなる測定を行い、最終的に VNIIEF が NMIS の評価報告と改良提案をまとめ、米露透明性協力(核兵器解体検証)への応用可能性を検討する計画が示されている。(ORNL, VNIIEF)
Joint United States/lAEA Proposed Approach for Safeguards During Plutonium Stabilization, Packaging, and Shipment R. Lemaire, Brian W. Smith, Lawrence K. Kwei, P. lkonomou, Robert N. Whitesel
プルトニウムの安定化・包装・輸送における保障措置適用のための米国・IAEA共同提案
― 安定化工程・包装工程およびRFETSからSavannah Riverへの輸送過程を通じた保障措置の確実な適用手法の構築
(*)米国DOEは、IAEA保障措置下にあるプルトニウム酸化物の安定化・包装を2001年からRocky Flats(RFETS)およびHanfordで実施する計画を進めていた。これに伴い、米国とIAEAは1996年から、安定化および包装工程に保障措置を適用する手法について共同で協議を続けてきた。RFETSのプルトニウムをSavannah Riverへ輸送する計画が追加されたため、輸送時の保障措置も含めた共同提案方式として整理された。(DOE,PNNL,DICHROMA Corp.,IAEA,LANL)
LASER SURVEILLANCE SYSTEMS AND SAFEGUARDS Julian Whichello, J. Goncalves, Mikael Lundqvist
レーザー監視システムと保障措置
ー距離プロファイル計測による環境変化検知と監視機能の強化
(*)本論文は、保障措置の実効性向上のため、従来のビデオ監視とは異なる物理原理に基づくレーザー監視技術を導入することで、独立した監視証拠を追加し、相互補完性を高めることを提案している。レーザー距離計(LRF)は、自ら光を照射し、反射信号から距離を測定する装置で、周囲環境の三次元距離プロファイルを短時間で取得し、基準プロファイルとの比較により、環境の微小な変化をリアルタイムに検出できることが示される。LRF の特徴 ― 自己照明・照明条件非依存・高精度・高速データ取得・容易なインタフェース化 ― により、既存の監視システムに自然に補完的に組み込める新しい保障措置監視ツールとして有望であると結論づけている。(IAEA, JCR-Ispra, EC)
LESSONS-LEARNED IN NONPROLIFERATION COMMERCIALIZATION EFFORTS: A SOUTH AFRICA CASE STUDY Elizabeth Turpen, S. Kraus, R. Southward, S. Kadner, W. Doyle
不拡散を目的とした商業化支援の教訓
―― 南アフリカにおける核兵器製造施設転換の事例研究
(*)本論文は、旧ソ連核都市向けの防衛転換・商業化支援プログラム(NCI、IPP、Swords-to-Plowshares 等)と、南アフリカの核兵器放棄後に行われたケントロン・サークル施設(元核兵器製造施設)の商業化経験を比較し、教訓を抽出している。南アのケントロン施設は、アドヴェナ中央研究所(Advena Central Laboratories)として航空宇宙・鉱業・医療向けのハイテク製品を開発する民生企業へ転換したが、商業化は失敗し、熟練人材は流出した。失敗要因として、市場開拓力不足、ビジネス経験の欠如、パートナー不足、需要予測の不正確さなどが挙げられ、旧ソ連地域の現行プログラムに対しても、技術移転企業とのパートナーシップ形成・メンタリングの重要性が示唆されている。(U.S. Senate, Aquila Technologies Group)
LIFE CYCLE SUPPORT OF SAFEGUARDS EQUIPMENT D. Miller, K. Brown, C. Martinez, James A. Coffing
保障措置機器のライフサイクル支援
―― 要求定義から導入・保守・長期運用までの継続的サポート体制の確立
(*)本論文は、国際保障措置(IAEA・Euratom)のための監視・計測機器について、導入初期段階から廃止までを見据えたライフサイクル支援(Life-Cycle Support)を組織的に確立する重要性を論じている。新規開発装置だけでなく、市販品(COTS)を導入する場合にも、保守性・補修部品確保・長期運用性を開発初期から考慮することが不可欠であると指摘する。保障措置機器の要求(国際協定・検認要求)を踏まえて技術選定を行い、運用要求 → 技術選択 → 開発 → 運用支援の一体化したロジスティクス体制が、持続可能な保障措置システムには不可欠であると結論する。(Aquila Technologies Group)
Local Area Network Material Accountability System Update 2000 Carol R. Raeder, Ed T. Sadowski, Philip Gibbs, Thomas L. Williams, Jerry O’Leary, Marybeth Westmoreland
ローカルエリアネットワーク物質管理システム(LANM)アップデート2000
LOW RESOLUTION GAMMA SPECTROMETER FOR THE MONITORING OF SPENT FUEL DEBRIS C. G. Wilkins
使用済燃料デブリ監視用の低分解能ガンマ分光計
― 廃止措置環境における燃料片検知と核種フィンガープリント評価のためのシステム設計

<燃料デブリ中に混在する部材をガンマ線で識別するという目的があり、ニモニック(Ni-rich alloy)が持つ核種生成特性・残留放射能(主に Co-60)が識別上の重要ポイント>

(*)本論文は、ウェールズの Trawsfynydd 原子力発電所の廃止措置に伴い発生する中レベル放射性廃棄物(ILW)中の燃料デブリを監視するために開発された低分解能ガンマ分光システムの設計と運用評価について述べている。装置は、仕分けトレイ中に存在しうる 燃料片やニモニック製スプリングを検知する目的で、Cs-137 と Co-60 のガンマ線測定を利用し、廃棄物特性の「フィンガープリント(既知の核種比関係)」から燃料量を推定する。背景線量の変動が大きい廃止措置環境に対応するため、異なる計数率領域に最適化された 2 台の検出器と、視野をトレイに限定する専用コリメータ/遮へい構造を採用し、広範な放射能レベルへの適応性を確保している。(Harwell Instruments Ltd.(英国))
LSS (Laboratoire Sur Site) – A New Laboratory for Safeguards Analysis at La Hague Site G. Decobert, X. Rincel, Peter Chare
LSS(オンサイト研究所):ラ・アーグ再処理施設における保障措置分析のための新たな現場分析ラボ (*)EURATOM 条約第 77 条に基づき、欧州委員会(ESO)は、La Hague の再処理施設からの核物質が申告通りであることを独立して確認するため、再処理工程で採取されるサンプルの現場分析を行うオンサイト研究所(LSS)を建設することを 1992 年に決定した。 オフサイト分析に比べ、輸送の不要化・迅速分析(数時間以内)・コスト削減といった利点があり、大量のサンプルを対象とする再処理施設における効率的な保障措置検認の実施に寄与する。LSS は UP3 に設置され、UP2 とも接続されており、高放射能溶液を扱うホットセル群・手袋箱群・高精度分析装置を備え、年間 1600 サンプルに対応できる能力を持ち、EURATOM 自身の専門家により運用される。(COGEMA, EC)
MEASUREMENTS OF THE NEUTRON FLUX FOR CORE INVENTORY VERIFICATION U. Filges, J. Knorr, A. Ellinger, B. Richter, M. Ravnik
炉心内燃料装荷量の検認に向けた中性子束測定
― 研究炉を対象とした Core Inventory Verifier(CIVR)手法の検証
(*)本研究では、研究炉の炉心内燃料装荷量在庫(Core Inventory)を間接的に確認するための手法として開発中の Core Inventory Verifier(CIVR) の概念実証を目的とし、炉心外部からの中性子束測定に基づく炉心内燃料装荷量確認法を検討した。初期検証はドレスデンの訓練用原子炉 AKR で実施し、その後の第 2 段階として、ルブリャナ TRIGA 研究炉において能動(active)・受動(passive)の両検出器を用いた検証実験が行われた。これら一連の試験結果から、CIVR 手法が 宣言された炉心運転・燃料装填状態の妥当性を非侵襲的に確認できる間接測定手法として有望であることが示された。(Dresden University of Technology, Forschungszentrum Jülich, Jožef Stefan Institute (Slovenia))
MEASUREMENTS ON MATERIAL TO BE STORED AT THE MAYAK FISSILE MATERIAL STORAGE FACILITY Thomas R. Rutherford, John H. McNeilly
マヤーク核分裂性物質貯蔵施設に保管予定の核物質に対する測定
― 核兵器由来であることを確認するための属性測定と情報バリアの適用

<「核兵器由来」であることを確認する必要性:HEU 購入協定や CTR 文脈では、ロシア側の余剰兵器級核分裂性物質が 実際に核兵器から取り出されたものであることを米国側が確認する必要がある。>

(*)本論文は、米国の 協力的脅威削減(CTR)計画の一環である「核分裂性物質管理プログラム(FMCP)」において、マヤーク核分裂性物質貯蔵施設(FMSF)に保管される Pu が“核兵器由来であること”を検証するための透明性測定の要件を整理したものである。 米露技術専門家の協議を通じ、米側は6つの測定属性(例:同位体比、一定質量以上の存在、金属状態であること、Pu の存在、年代、対称性)と、それぞれに対する機微情報を漏洩させない“非機密閾値”および測定法を提案した。しかしロシア側は、核兵器機微情報が露呈する懸念から透明性措置への同意を保留。米側は 情報バリア付き属性測定システム(AMS/IB) により機微情報を隠蔽したまま属性確認が可能であることを示すため、米国の機密兵器部品を用いた実証試験をロシアに提示する計画を進めている。(Defense Threat Reduction Agency (DTRA), SAIC)
MOBILE HIGH EFFICIENCY MULTIPLICITY COUNTER FOR URANIUM MEASUREMENTS Markku Koskela, R.D. McElroy, M. Ondrik, S. Kadner, M. White
ウラン測定のための移動型高効率中性子同時計測装置
― 現場での核物質量推定に向けた多中性子同時検出方式の適用
(*)本研究では、ウラン中の自発核分裂および誘発核分裂に伴う複数中性子の同時計測を高効率で行うための、移動可能な中性子計測装置を開発し、現場で迅速に核物質量を評価することを目指した。この装置は、計数された中性子の総数だけでなく、2個同時・3個同時に検出される事象の比率(従来「multiplicity」と呼ばれる要素)を利用して、ウランの核分裂起因中性子の強度と核物質量を非破壊で推定する。高効率中性子検出器アレイと遮へい設計により、固定式の高性能計測機器に匹敵する精度を移動型で実現し、保障措置現場・保管庫・加工施設でのウラン量確認に即応的に使用可能であることが示された。(Canberra Industries Inc., Aquila Technologies Group, Inc.)
MOBILE INSTRUMENTATION FOR NUCLEAR MATERIAL CHARACTERIZATION Markku Koskela, R.D. McElroy, N.R. Zack, M. Ondrik, S. Kadner
核物質特性評価のための移動型計測システム
― HEU 輸送・変換プロセスを対象とした現場測定手法の実装

<移動型システムが必要とされた理由:ロシアの HEU は形状・密度・化学形態が多様で、固定計測装置では校正が困難、輸送中の混入・転用のリスク、受入施設での受託拒否リスクを回避する必要、→ “送る側”と“受け取る側”双方が同じ装置で測定することが最適という判断。>

(*)本論文は、ロシアにおける HEU から LEU への変換プロセスや核物質集約(MCC)に関連し、輸送時・受入時に即時の核物質特性評価を行うための移動型計測装置を開発した取り組みを紹介する。HEU の化学形態・物理形態の多様性によって測定誤差が大きくなる問題を解決するため、ISO コンテナ内に自立型の計測システム(ガンマ測定+中性子計測)を搭載し、輸送車両とともに移動可能な“計測バン”を構築した。この移動型計測により、U-235 濃縮度と総ウラン量のその場評価、下方混合(down‑blending)への適合性判断、そして核物質の不正転用(diversion)の早期検知が可能となる。(Canberra Industries Inc., Aquila Technologies Group, Inc.)
Monitoring and Accountability Technologies Developed for the SNL/VNIIEF Facility Monitoring Collaborations Sergei Blagin, Thomas Lockner, Boris Barkanov
SNL–VNIIEF 共同施設監視に向けた「監視および核物質管理技術」の開発
― スマートボルト封印の改良と危険物状態監視装置の新たな展開
(*)本論文は、Sandia National Laboratories(SNL)とロシア連邦核センター VNIIEF(Sarov)による共同研究の一環として開発された、核物質監視およびアカウンタビリティ向上のための先進監視技術を解説する。既報の“Smart Bolt(スマートボルト)”TID(改ざん防止封印)技術の改良に加え、新しい派生型スマートボルトおよび、過酷環境下で危険物の状態を遠隔監視できるセンサー装置が紹介される。これら技術は、盗取防止(tamper indication)・状態監視(status monitoring)・核物質管理の信頼性向上を目的としており、米露共同の施設監視協力(Facility Monitoring Collaboration)の実装基盤を形成する。(RFNC-VNIIEF, SNL)
MONTE CARLO EVALUATION OF PASSIVE NMIS FOR ASSAY OF PU IN SHIELDED CONTAINERS T. E. Valentine, J. T. Mihalczo, L. G. Chiang
遮へい容器内プルトニウムの評価に向けた受動NMISのモンテカルロ解析
― AT400‑R 収納条件でのPu質量推定に対する中性子・ガンマ応答特性の検証
(*)予備的な モンテカルロ(MCNP-DSP) シミュレーションにより、受動NMIS(Nuclear Materials Identification System) を用いた測定が、AT400‑Rシールド容器内の Pu 質量を数分以内に推定可能であることが示された。NMIS 検出器は ガンマ線感度が高く、シールドを貫通しにくい中性子よりも、核分裂起源ガンマ線の方が容器外に出やすいため、測定精度向上に寄与することが分かった。計算では 0.5–2 kg、240Pu 約 6 wt% の Pu 球体をモデル化し、Pu 質量に伴う受動NMISシグネチャの変化を解析して、Pu 量推定が可能であることを確認した。(ORNL)
MPC&A INFRASTRUCTURE ORGANIZATION AT THE SIBERIAN CHEMICAL COMBINE Victor L. Petrushev, Igor Goloskokov, Viktor Petrushev, Cheryl Rodriquez
シベリア化学コンビナートにおける MPC&A インフラ整備の組織化
― 物理的防護・管理・計量管理の統合実装に向けた現場運用体制の構築

<米露協力プログラム:CTR(Cooperative Threat Reduction)、MPC&A Program(Material Protection, Control & Accounting)、Minatom–DOE 技術ワーキンググループ。 この論文は、ロシア核施設に米露協力で MPC&A が制度化されていく初期の代表的ケースとして重要>

(*)本論文は、ロシア・シベリア化学コンビナート(SChK/旧トムスク‑7)における MPC&A(核物質防護・管理・計量管理)インフラの組織化と運用体制を詳細に紹介するものであり、ロシア側現場組織による初期実装事例を示している。SChK は核兵器用核分裂性物質の大規模生産拠点であったが、1990年代の米露協力により 物理的防護システム、核物質計量管理システム、アクセス管理、監視装置、倉庫管理、検認手順などの統合的インフラ整備が進められた。本稿は、組織構造・責任分担・設備改修・人的訓練の面から MPC&A が現場でどのように制度化されたかを述べ、今後のロシア核施設における全社的導入のモデルケースとして位置づけられる。(Siberian Chemical Combine (SChK), DOE/NNSA 連携)
MULTI-PURPOSE CRATE COUNTER FOR THE RFETS Alan Simpson, RandyF. Lucero, Johnna Franco
RFETS向け多目的クレートカウンター
―― IPAN/GEA統合による大型クレート(容器・木箱)中の核物質定量とTRU/LLW区分機能を備えた非破壊測定システム
(*)ロッキーフラッツ環境技術サイト(RFETS) では D&D(解体・除染)加速のため、従来のNDA能力を拡張する必要が生じ、BNFL Instruments により Imaging Passive Active Neutron(IPAN)+Gamma Energy Analysis(GEA)を統合した“多目的クレートカウンター(MPCC)”が導入された。MPCC は プルトニウム・ウラン・アメリシウムなど多核種を、木製・金属製のさまざまなクレート中の低〜高密度マトリクスで定量可能 であり、WIPPおよびNMS(Safeguards)要求に55ガロンドラム基準で適合する精度を確保している。SWB・B‑25 の2種クレートと4種マトリクスで校正され、最大 11,000 ポンドまでの大型クレートの測定を可能にすることで、RFETS の廃棄物検認能力を大幅に拡張し、TRU/LLW の区分(60 nCi/g)も可能とする重要装置となっている。(BIL Solutions, Inc., BNFL Instruments)
MultiCal – Software System for Calorimeter Control R. Biddle, C.M. Schneider
MultiCal – カロリメータ制御用ソフトウェアシステム
NEUTRON ALGORITHM VERIFICATION TESTING Melvyn Cowgill, Willliam Mosby
HEU同時計数測定に基づく質量推定解析の比較検証
― リアル/トータル計数の統計的解釈に基づく従来法とBNL手法の線形性・較正特性の評価
(*)235U 高濃縮ウラン(HEU)金属を対象に、アクティブ井戸同時計数(AWCC)法による中性子測定データを取得し、従来アルゴリズムとBNL独自アルゴリズムの双方で解析が行われた。標準的手法では、測定リアル(reals)と235U質量の関係が線形の場合と二次式の場合があり一定しなかったが、BNLアルゴリズムでは「トータル補正リアル」と質量が常に線形関係となる結果が得られた。BNLアルゴリズムは、幾何配置や濃縮度ごとに係数は変動するものの、較正曲線の作成に必要なデータ点数を削減できる可能性が示され、ただし背景中性子レベルの安定性に敏感であることも確認された。(BNL, ANL-W)
New categories of nuclear materials for safeguards Bruno Pellaud, Andre PETIT
保障措置のための新しい核物質カテゴリー
― 代替可能性・等価性の再定義とウラン・プルトニウム分類体系の再構築に向けた提案
(*)保障措置における核物質カテゴリーは、その物質が「代替可能(fungible)」かどうかを判断する基礎であり、分類が広すぎると集計管理の妥当性が損なわれる。等価性(equivalence)は、異なるカテゴリー間で核物質を「交換可能」と見なす概念だが、単にU‑235 含有量だけで高濃縮ウランを劣化ウランと等価と判断するような扱いは不適切であり、明確な区分が必要である。論文は、自然ウランの 0.711% という「人工的な境界」の柔軟運用や、低濃縮・高濃縮ウランやプルトニウムについて新たな分類カテゴリーを設定する利点を指摘し、より実態に即した保障措置体系を提案している。(IAEA)
New Directions for MPC&A at Chelyabinsk-70 K. Ystesund, Lev Neymotin, James R. Griggs, Jack Blasy, Kenneth E. Apt, P.T. Cahalane, Dimitry Bukin, Vitaliy Zuev, Alevtin M. Karpov, Fred Schultz, J. Hernandez, Gennady Tsygankov, Yuri Churikov
チェリャビンスク‑70におけるMPC&Aの新たな方向性
― PRR・建屋726における物理防護強化と、DOE新指針に基づく「持続可能な」MPC&A体制への転換
(*)チェリャビンスク‑70(VNIITF)における米露協力のMPC&A(核物質防護・管理・計量管理)は1995年に開始され、初期3年間はパルス研究炉施設(PRR)の物理防護強化が中心で、1998年にアップグレードが完了した。続いて建屋726(パルス炉および臨界施設)の防護整備が最優先となり、同施設のMPC&A強化も完了した。1999年の米DOEガイドライン改訂と全米研究評議会(NRC)の勧告により、核物質カテゴリーの確実な把握、在庫完了の徹底、「持続可能な(inherently sustainable)」対策の重視、施設単位でのMPC&A優先実施など、MPC&Aの方向性が大幅に見直された。(SNL, BNL, PNNL,LLNL, DOE, ORNL, RFNC-VNIITF)
NMC&A and Nuclear Criticality Safety System Integration: a prospective way for enhancement of the nuclear industry facilities safety B. Ryazanov, Yuri N. Frolov, V. Sviridov
End(8) NMC&A(核物質管理・計量管理)と核臨界安全システムの統合
― 原子力施設の安全性向上に向けた有望なアプローチ
(核臨界事故22件の教訓に基づく、核物質管理と臨界安全確保の相互強化)
(*)米英日露の原子力産業で発生した22件の核臨界事故の要因分析から、核物質の移動・変換管理の不足が重大事故の主要因であると特定され、NMC&A(核物質管理・計量管理)の重要性が再確認された。NMC&A システムは、工程管理・定期在庫・核物質測定などを通じて物質バランス区域の核物質状況を把握するが、在庫調査は通常運転とは異なる操作を伴うため、核臨界安全上の特別な配慮が必要である。本論文は、NMC&A と核臨界安全システムを統合することで、核物質の所在把握と核臨界リスク低減を同時に実現でき、施設全体の安全性を強化できることを示す。(RMTC-IPPE(Institute of Physics and Power Engineering, Obninsk, Russia,  VNIIEF(Russian Federal Nuclear Center, Sarov, Russia))
Non-destructive Assay Reference Materials – Facilitating Their Implementation through Training Courses and Topical Workshops S. Guardini, Robert Marshall, C. Mathews, Andrey V. Mozhayev
非破壊測定(NDA)用標準試料の整備と導入促進
― 研修コースとトピカルワークショップによるロシア核物質管理体制への実装支援
(*)非破壊測定(NDA)用標準試料の定義、設計、優先順位付け、製造、認証、適用のプロセスは複雑であり、特にロシアでは NDA 用参照物質の利用経験が浅く、導入が新しい課題となっていた。この課題に対応するため、ロシア方法論・研修センター(RMTC)は 1999 年に 「NDA Standards」研修コースを開発し、同年に実施された 2つのNDA標準に関するトピカルワークショップと連携して、NDA標準活用能力の向上を図った。研修参加者には新設の「ロシアNDA参照物質ワーキンググループ」が含まれ、初回コースの経験と新たに収集された規制・手順・教訓を踏まえ、2000 年の第2回コースに向けて内容を全面的に改訂する計画が示された。(EC-JRC, LANL, PNNL, Russian Methodological and Training Center(RMTC, Russia))
NON-NUCLEAR TECHNOLOGIES: POTENTIAL APPLICATION TO SUPPORT FISSILE MATERIAL SAFETY AND SECURITY John Smoot, Dr. Gordon B. Dudder, Dr. Alexander N. Vereshchaga, Andrey A. Sushko, Sergey G. Ermitchev
核分裂性物質の安全確保に向けた非核技術の応用可能性
―― 熱画像・振動応答・ガスセンサー等による容器状態監視と改ざん検知手法の評価
(*)核分裂性物質を収納する容器の「安全性・保全性(safety & security)」を高めるために、非核(non-nuclear)計測技術の応用可能性を評価した研究であり、これら技術は情報バリアを必ずしも必要としない利点がある。将来適用が期待される非核技術として、熱画像(thermography)、振動音響法、磁気振動法、強制ねじり振動法、熱場計測、ガスセンサーなどが示され、これらを組み合わせたシステム化も可能とされた。タンパーインジケータ(封印・タグ)と組み合わせることで、輸送・貯蔵容器内部の状態把握、改ざん検知、運搬中および長期保管中の安全確保を強化でき、適用評価には「透明性」「侵襲性」「精度」「誤判別確率」「成熟度」「安全性」「有効性」が基準として必要とされる。(PNNL, VNIIEF)
NON-PROLIFERATION ASPECTS OF NUCLEAR FUSION Bernd Richter, G. Stein, W. D. Lauppe, G. Stein
核融合研究における核拡散防止上の論点
―― 核融合方式の特徴が将来の非拡散制度に与える影響と必要な管理要素
(*)世界的な人口増加とエネルギー需要拡大の中で核融合エネルギーが議論される一方、将来の核融合利用において新たな不拡散上の懸念が生じ得ることを指摘している。磁場閉じ込め型・慣性閉じ込め型の各核融合方式について、核兵器用途への知識転用や中性子利用による核分裂性物質生成の可能性など、不拡散上の論点となる特性を整理している。核分裂の国際保障措置に類似した枠組みを参考に、将来の核融合研究・施設・活動に適用可能な不拡散制度の要素を検討・提案している。( Jülich Research Center)
Nondestructive Techniques Applicable to ANM Sin-Tao Hsue, M. Collins, Takeshi Tsujino, Mitsuhiro Midorikawa
ANM(α線発生核物質)に適用可能な非破壊測定技術
― 保障措置・管理目的における中性子・ガンマ計測手法の適用性評価
(*)本論文は、ANM(Alpha‑emitting Nuclear Materials=α線放出核物質、主として Pu 系・HEU 系材料)に適用可能な非破壊測定(NDA)手法の体系化を目的としており、各手法の適用領域・測定精度・運用条件を比較している。ガンマ線計測・中性子同時計測・中性子源励起法・パッシブ測定・アクティブ測定など、放射線相互作用に基づく代表的 NDA 技術の特性と制約(遮へい、形状依存性、核種依存性)が示され、ANM の測定上の課題を整理している。保障措置・物質管理の観点から、ANM の特性(α崩壊→中性子生成、核種密度、同位体組成)に応じた最適 NDA 技法の選択指針を提示し、今後の施設現場における運用可能性を評価している。(LANL, Nuclear Material Control Center (NMCC), Tokai, Japan)
Nuclear Cities Initiative Program Status William J. Desmond
Nuclear Cities Initiative(核都市支援イニシアティブ)の進捗状況
― 旧ソ連核都市における専門家再雇用と地域経済支援を通じた不拡散への取り組み

<NCI(Nuclear Cities Initiative)はロシアの「核都市」(旧・秘密都市、例:サロフ、スネジンスク、ジェレズノゴルスクなど)が財政難、専門家の失職、核知識の拡散リスク(brain drain)といった課題を抱えていた1990年代後半に創設された計画。
米露協力により 技術者の平和的再雇用、インフラ整備、産業育成 を支援し、核拡散リスク低減(特に「専門知識の流出防止」)に寄与することを目的としていた>

(*)Nuclear Cities Initiative(NCI)は、ロシアの核兵器研究・生産に従事してきた専門家を、平和利用の商業分野へ転換させることを目的に米露が協力して実施している計画である。NCI はロシアの核兵器複合体の縮小(downsizing)を支援しつつ、米政府・民間・非政府プログラムと連携して雇用創出・地域開発を促す仕組みを構築している。プログラムは、核兵器専門家の再雇用、地域経済支援、民生転換プロジェクトなどを進めることで、核関連知識の拡散(不拡散上の懸念)を抑制しつつ、閉鎖都市の持続的経済基盤の確立を目指している。(U.S.DOE)
NUCLEAR MATERIAL MANAGEMENT IN THE RUSSIAN FEDERATION V. A. Pitel
ロシア連邦における核物質管理制度
―― 所有権の法的枠組みと不拡散義務履行に向けた管理手続きの現状と課題
(*)核物質の所有権およびその利用・処分手続きの明確化は、原子力を保有する国家における核法体系の中核的制度であり、原子力の安全かつ効率的利用を左右する要素である。ロシア連邦が国際社会に対し、核兵器およびその構成品の不拡散義務を確実に履行できるかどうかは、核物質の保有・管理を規定する法規の成熟度に大きく依存している。本論文は、ロシア連邦における核物質の法的地位・管理手続き・現状の課題を整理し、今後必要となる法整備・制度強化の方向性について論じている。(Ministry of the Russian Federation for Atomic Energy(ロシア連邦原子力省 / MinAtom))
Nuclear Materials Management at Los Alamos National Laboratory Tresa Yarbro, Diana J. Sena, Susan A. ones, Roberta Simpson
ロスアラモス国立研究所における核物質管理の実務
―― 出荷調整・在庫管理・需要予測を中心とした管理プロセスの概要
(*)DOE 複合体における核物質管理は多岐にわたり、ロスアラモス国立研究所(LANL)では核物質管理室が核物質の出荷計画、在庫管理、報告、需要予測(forecasting)などを担っている。LANL における各活動は、核物質の取扱い・移動・保管に関する重要な情報を生成し、施設運転や計画策定における基礎データとして利用されている。本論文は、LANL の核物質管理業務の主要構成要素を整理し、DOE 複合体全体の核物質管理(MC&A)活動における LANL の実務的役割を概説している。(LANL, PNNL)
Nuclear Weapons Material and Expertise at Vinca: Coping with Yugoslavia’s Past and Potential Nuclear Weapons Programs William C. Potter
ヴィンチャ研究所に残る核物質と専門家
―― 旧ユーゴの核兵器計画の遺産と潜在的核兵器開発リスクへの対応
(*)旧ユーゴスラビアは歴史上 2 度核兵器開発計画を進めた国であり、その主要研究拠点であるベオグラード郊外の ヴィンチャ(Vinca)研究所には現在も核兵器関連経験をもつ物理・化学・工学の専門家が残っている。研究炉は停止され、プルトニウム再処理計画も休止状態にあるが、48.2 kg の兵器級ウラン(HEU)が IAEA 保障措置下で保管されており、潜在的な核拡散リスクは過小評価すべきでないと指摘される。旧ユーゴの核兵器計画は完全には解明されておらず、NPT 加盟後も密かに継続された秘密計画の実態把握が不十分なまま西側はリスクを低めに評価している可能性があると論じている。(Monterey Institute of International Studies)
NUMATIC, a Nuclear Material Data Error Analysis Code Steven Holloway, Marek Onoszko
NUMATIC:核物質在庫データ誤差解析コード
― MC&A における在庫・在庫差の不確かさ評価のためのモンテカルロ解析ツール
(*)NUMATIC は 核物質在庫データの誤差解析を行うために開発された、核物質管理向けの汎用モンテカルロシミュレーションコードであり、施設ごとの MC&A プロセスを統計的にモデル化できる。測定誤差・工程誤差・記録誤差など、核物質在庫および在庫差(Inventory Difference)に影響する多様な不確かさを評価し、在庫量の信頼度とデータ品質を検証するために用いられる。NUMATIC は、施設運転者が核物質管理・計量管理の改善案を検討するための 意思決定支援ツールとして機能し、誤差源の特定と MC&A 最適化に寄与する。(LLNL)
On Attributes and Templates for Identification of Nuclear Weapons in Arms Control P. E. Vanier, W. R. Kane, J. R. Lemley, L. Forman
核兵器識別のための属性方式とテンプレート方式
― 軍備管理検認における透明性手法の比較と併用可能性
(*)核軍備管理における実物検認(warhead verification)の透明性手法として、**「属性(attributes)方式」と「テンプレート(templates)方式」**の2アプローチがあることを整理し、両者の原理的な違いを比較した。属性方式は、単一品目の「核分裂性物質量」「放射線スペクトル」など特定項目が基準値の範囲内にあるかを確認するが、安全保障上の配慮から属性の選択肢が狭く、許容範囲が広くなりがちで識別能力に限界がある。一方テンプレート方式は、参照品(真正な核弾頭)の詳細な計測データと被検査品を比較するため、より厳密で高精度の識別が可能である。ただし、参照データの保存と厳格な情報バリアが不可欠である。両方式の併用が実務上最適となり得ると論じる。(BNL, Ion Focus Technology, Inc.)
Openness and Transparency, Cornerstones of Canada’s Approach to Integrated Safeguards Leo A. Gourgon
カナダの統合保障措置アプローチの基盤:公開性と透明性
OPERATOR DATA AUTHENTICATOR J. Whichello, M. Ondrik, S. Kadner, M. White
事業者提出データ認証システム
―― 核物質管理申告の真正性確保に向けた電子認証手法
(*)ODA(Operator Data Authenticator)は、核物質管理のために事業者が提出するデータの真正性を電子的に認証する仕組みで、申告データの改ざん防止を目的とする。事業者提出データにデジタル署名を付与することで、IAEA・国家当局によるデータ検認の効率化と信頼性向上に寄与する。 ODA は既存の MC&A システムに統合することで、申告データの一貫性確保と査察準備の迅速化を可能にする。(IAEA)
Optimization for Enrichment Monitor Operations Donald A. Close, David Loaiza, Calvin E. Moss, W. S. Johnson
濃縮度監視装置の運用最適化
― 線源選択・検出器構成・測定方式の改良による UF₆ 濃縮度モニタの性能向上検討
(*)1980年代以降、複数の UF₆(六フッ化ウラン)処理施設に設置されてきた濃縮度監視装置(Enrichment Monitor)の運用特性改善を目的として、線源、検出器、測定方式の最適化オプションを比較検討した研究である。現行の 57Co(122 keV)線源に代えて、より長寿命でガス減衰が大きい 241Am(60 keV)線源を用いる案や、NaI(Tl) 検出器を CdZnTe へ置換する案などを評価し、それぞれの利点(解析容易化・寿命延長)と欠点(配管鋼材での過大減衰など)を分析した。 モンテカルロ計算により、用途に応じた線源強度・エネルギーの最適化を行い、ガス圧が 30 Torr 以下になる場合には、ウランの X 線蛍光方式を用いた代替設計が有効であることを示した。(LANL)
OVERSIGHT BY MEANS OF FLOWSHEET VERIFICATION Mike Beaman, Graham Andrew, P. D. Wilson
フローシート検証による監督手法
―― Np・Am 未申告分離の有無を確認するための工程フロー監視アプローチ
(*)IAEA 理事会は、ネプツニウム(Np)およびアメリシウム(Am)が非核兵器国で分離形態として相当量取得される場合、IAEA 事務局が理事会へ報告する義務を事務局に与えており、その監視手法として「フローシート検証(FSV)」が検討された。FSV は、再処理施設や MOX 製造工程のように Np・Am が副生成する工程に対し、未申告の回収・分離が行われていないことを工程フロー(物質バランスと工程条件)から間接的に確認するための、コスト効果の高い監督手法として開発された。大規模再処理施設やプルトニウム燃料工場を対象に FSV 適用を試行した結果、既存の Pu・U 保障措置に若干の追加措置を加えるだけで、Np・Am の未申告分離がないとの結論を十分な信頼度で得られることが示された。(Department of Trade and Industry (UK), BNFL)
Overview of Ambient Field Testing Program at Yucca Mountain Alan J. Mitchell, Denise Parsons
ユッカマウンテンにおける環境場フィールド試験計画の概要
― 地層処分安全評価に向けた自然環境下での岩盤・水理挙動の観測
(*)Yucca Mountain(米国ネバダ州)における放射性廃棄物地層処分の適地性評価の一環として、自然環境条件(ambient field)下での岩盤・水理・熱力学的挙動のフィールド試験プログラムの全体概要を説明した論文である。本プログラムでは、坑道周辺の湿度・温度・透水性・水移動などの自然挙動を観測し、長期安全評価モデル(TSPA など)を支持する基礎データを収集することを目的としていた。得られた観測値は後続の加熱試験(TH/THM Drift Scale Test)や換気試験などのデータ補強に利用され、Yucca Mountain の地層処分候補サイトとしての理解深化に寄与するものと位置付けられている。(U.S.DOE)
OVERVIEW OF HEU TRANSPARENCY PROGRAM IMPLEMENTATION AT THE ELECTROCHEMICAL PLANT Gennady Skorynin
エレクトロケミカル・プラントにおける HEU 透明性プログラムの実施概要
― HEU 受入・転換・減損工程に対する米国監視活動の現場運用

<このプログラムは、1993年 米露 HEU購入協定(HEU Purchase Agreement / “Megatons to Megawatts”)核兵器由来の 500 t HEU を 20年以上かけ LEU に転換し、商用燃料として利用する協定に基づいて実施される 相互監視・透明性措置であり、米国側透明性目的は:
HEU が核兵器から確実に取り出されたこと, HEU が酸化物に変換されたこと, HEU が LEU へ減損されたこと、であることが別文献でも述べられている>

(*)本論文は、ロシア・ゼレノゴルスクの エレクトロケミカル・プラント(ECP) における、米露 HEU 透明性実施プログラム(HEU Transparency Implementation Program) の実施状況を、事業者側の視点から概説している。2000年6月までに米国監視官は ECP を 計17回訪問し、HEU 酸化物の受入、UF₆ への転換(フッ素化)、および HEU→LEU の減損工程(downblending)を監視し、最終 LEU 製品が 30B シリンダへ移送される作業も立会いで確認している。本稿は、ECP 事業者の立場から、米国監視チームが現場で行う活動内容を整理し、透明性措置がどの工程でどのように実施されているかを構造的に示したものである。(The Electrochemical Plant(ECP, Zelenogorsk, Russia))
OVERVIEW OF HEU TRANSPARENCY PROGRAM IMPLEMENTATION AT THE MAYAK PRODUCTION ASSOCIATION Valeri Yemelyanov
マヤーク生産連合における HEU 透明性プログラムの実施概要
― 兵器級 HEU の LEU 化プロセスに対する透明性措置の運用
(*)1993 年の 米露 HEU 購入協定(HEU Purchase Agreement) に基づき、ロシア兵器由来の 500 t の HEU を 20 年間で LEU に減損し米国が購入する枠組みが開始され、1999 年時点で 80 t 超の HEU が LEU へ転換済と報告されている。マヤーク(Mayak)を含むロシア側 HEU→LEU 処理施設 4 か所と、米側 LEU 受入施設 6 か所において、透明性措置(transparency measures) が導入され、貯蔵エリアおよび処理エリアへのアクセス権を通じて、協定の不拡散目的が達成されていることを双方が確認している。透明性措置は、16 の実施附属書(Implementing Annexes)に基づき運用されており、米露双方は継続的に透明性措置の実装改善を進めている。(Mayak Production Association(マヤーク生産連合))
OVERVIEW OF HEU TRANSPARENCY PROGRAM IMPLEMENTATION AT THE SIBERIAN CHEMICAL ENTERPRISE V. I. Sinaevsky, Vladimir Sinaevsky
シベリア化学コンビナートにおける HEU 透明性プログラムの実施概要
― 兵器級 HEU の LEU 化工程に対する透明性措置の運用

<シベリア化学コンビナート(SChE, Seversk)は、兵器級 HEU の化学処理(酸化・UF₆ 化)downblending の一部工程を担うロシア側主要処理拠点であり、透明性措置対象施設のひとつ。透明性措置の目的は以下の通り:HEU が実際に核兵器から取り出されたこと、HEU が宣言量どおりに処理され、未申告の濃縮活動が存在しないこと、HEU → LEU の downblending が適切に実施されていること、これらは HEU Purchase Agreement の不拡散要件を満たすための中核的監視要素となる。>

(*)本論文は、1993 年の 米露 HEU 購入協定(HEU Purchase Agreement) に基づき、シベリア化学コンビナート(SChE, Seversk)における HEU→LEU 透明性措置の実施状況を概観するものである。HEU の酸化・UF₆ 転換・downblending などの工程に対し、米国側透明性監視官が処理区域および貯蔵区域へのアクセスを確保し、未申告 HEU の混入・新規生産が行われていないことを現場で確認している。透明性措置は、計 16 の実施附属書(Implementing Annexes) に沿って運用されており、SChE を含むロシアの 4 主要 HEU-LEU 施設における措置は、協定の不拡散目的の達成に寄与していると総括されている。(Siberian Chemical Enterprise(SChE, Seversk))
OVERVIEW OF LAB-TO-LAB WARHEAD DISMANTLEMENT ACTIVITIES: A RUSSIAN PERSPECTIVE Dr. R. I. Voznyuk
ラボ間弾頭解体活動の概要:ロシアの視点
― 米露協力による透明性技術の共同開発と、将来の軍備管理適用に向けたロシア側からの評価
(*)米露ラボ間弾頭解体透明性プログラムは、機密情報を守りながら技術対話を継続し、将来の軍備管理や不拡散イニシアティブに適用可能な技術・手順を共同開発する目的で実施されている。“Lab-to-Lab”協力の下、ロシア核兵器研究所と米国国立研究所の間で40件以上の契約が締結され、透明性向上に資する技術的検討や試験が進められている。本論文は、これら共同プロジェクトの現状と将来計画、およびロシア側の視点から見た協力の成果と課題を概観している。(Zababakhin Russian Federal Nuclear Center(ロシア連邦核センター・ザババヒン))
Overview of the U.S. – Russian Laboratory-to-Laboratory Warhead Dismantlement Transparency Program: A U.S. Perspective Andrew J. Bieniawski, Paul B. Irwin
End(9) 米露ラボ間・弾頭解体透明性プログラムの概要:米国の視点
― 監視付き弾頭解体に向けた技術対話・共同開発・透明性強化のためのLab-to-Lab協力の実態
(*)米露ラボ間・弾頭解体透明性プログラムは、弾頭解体の透明性に関する非機密の技術対話を継続し、両国核兵器施設内に透明性の支持者を育成することを目的とする取り組みである。米国の国立研究所はロシアの研究所と契約し、監視付き解体シナリオに利用可能な概念・技術の共同開発を進めており、50件以上のLab-to-Lab契約が締結されている。 最終目標は、両国の政策担当者・交渉担当者に向けて、透明性向上のための技術的論点を明確にし、将来の軍備管理および不拡散協定に資する技術群を共同で提示することである。(U.S.DOE)
Particle Analysis and Safeguards – To See a World in a Grain of Sand D. L. DONOHUE, A. Ciurapinski, Stephan Vogt, Jozef Parus
粒子分析と保障措置 ― 一粒の砂に世界を見る
― 微粒子中の核物質同位体分析による未申告活動の検知と保障措置適用強化の役割
(*)要旨・本文ともにオンライン非公開。
PASSIVE AND ACTIVE DETECTION OF LEU BENEATH HYDROGENATED ABSORBERS: SIMULATION AND VALIDATION Juan Cruzate, Susana Papadopulos
水素化減速材下に隠れた低濃縮ウラン(LEU)の受動・能動検知 ― シミュレーションと実証
― UF₆シリンダを対象とした非破壊中性子計測法の開発とモデル検証
(*)アルゼンチン規制当局は、UF₆シリンダ内の核物質転用を検知するため、受動・能動中性子計測を組み合わせた非破壊検知法を開発し、その性能をシミュレーションと実測により検証した。シミュレーションでは、19F(α,n)²⁴Na 反応、²³⁸U 自発核分裂中性子、AmBe源など複数の寄与を考慮した中性子輸送モデルを構築し、ポリエチレン厚やSLAB検出器応答などの諸条件を段階的に評価した。自然ウランと20%濃縮ウランによる実測データとモデル結果を比較し、他の濃縮度および核物質組成への適用可能性を示すためにシミュレーションの妥当性を評価した。(Nuclear Regulatory Authority of Argentina(アルゼンチン原子力規制庁))
Performance of the Skid-Mounted Tomographic Gamma Scanner for Assays of Plutonium Residues at R T. H. Prettyman, J. P. Lestone, J.D. Chavez
RFETS プルトニウム残渣の測定に対するスキッド搭載型トモグラフィー・ガンマスキャナの性能評価
― Pu 凝集塊を含む残渣ドラムの非破壊測定における精度検証

<R;  Rocky Flats Environmental Technology Site>

(*)R;ロッキーフラッツ環境技術サイト。本研究は、ロッキーフラッツ環境技術サイト(RFETS)に保管されていたプルトニウム含有残渣(大きな Pu 凝集塊を含む)を対象に、移動可能なスキッド搭載型 TGS(Tomographic Gamma Scanner)の測定性能を評価したものである。TGS と FRAM(高分解能ガンマ線スペクトル解析コード)を組み合わせ、Pu 全量と 239Pu 比の推定精度を検証した結果、ランダム誤差 6.3%、バイアス誤差 7.3%、総合測定不確かさ(TMU)約 9.6% が得られた。さらに 55 ガロンドラムに対する 133Ba 源のスキャンを用いて空間応答マップの影響を評価し、空間応答を 1 cm 精度で把握できれば、軸方向密度 50 g/cm² まで TMU 約 7.5% を達成可能であることを示した。(LANL)
Physical Protection Systems: Integration of Training and Testing/Evaluation at the Interdepartmental Special Training Center (ISTC), Obninsk, Russia James Farmer, Vladimir Serikov, Egor Bologov, Vladimir Kotelnikov, C. Mathews
物理的防護システムにおける訓練と試験・評価の統合
―― ロシア・オブニンスク ISTC における実践的教育と機器性能評価
(*)本論文は、ロシア・オブニンスクの Interdepartmental Special Training Center(ISTC) が、物理的防護システム(PPS)の訓練・試験・評価を一体化した教育拠点として機能している実態を解説している。ISTC は、専門インストラクター、実物のロシア製物理防護機器、専用実験施設(屋内試験室、屋外試験フィールド、アラーム監視センター)を備え、PPS の評価・性能試験・機器認証・システム解析を統合的に実施している。米露 MPC&A 協力の一環として、ISTC はロシアの原子力関連施設の運転員・管理者・物理防護専門家を訓練し、物理的防護の知識習得・技能向上・将来の専門家育成を支え、さらに防護要員(警備隊)訓練への拡大も可能としている。(PNNL, Interdepartmental Special Training Center (ISTC), Obninsk)
PLUTONIUM DISPOSAL AND INTERNATIONAL SAFEGUARDS Gotthard Stein, Bernd Richter, Hans Hermann Remagen
プルトニウム処分と国際保障措置
― MOX 化・固化・核変換・長期貯蔵に関する検証性と制度的課題の評価
(*)本論文は、商業用原子力活動および核兵器解体により発生するプルトニウムの処理・処分方法について、国際保障措置(IAEA)上の課題と要件から総合的に検討するものである。特に、核兵器級 Pu を含む分離プルトニウムは、同位体組成に関わらず保障措置上「極めて重要な核物質」として扱われる。Pu の管理・処分オプションとして、(1) MOX 燃料として原子炉で照射し、使用済燃料として処分、(2) MOX 形式の専用貯蔵アセンブリとして直接処分、(3) 専用炉での核変換(transmutation)、(4) ガラス固化・セラミック固化によるimmobilizationなどが挙げられ、それぞれの概念にかかる保障措置上の論点を評価している。また、未照射の高速炉用燃料(FBR fuel assemblies)など今後使用される見込みのない Pu 含有物の管理が課題であり、ドイツで検討されたCASTOR キャスクによる長期地上貯蔵や、地層処分における埋設形態の選択(即時閉鎖 vs 可逆性保持)が、保障措置上の検証性・制度面の観点から比較されている。(Forschungszentrum Jülich GmbH, Federal Ministry of Economics and Technology(ドイツ連邦経済・技術省))
Plutonium Metal Standards for Neutron Counters  S. T. Hsue, J. E. Stewart, M. S. Krick
中性子計測装置校正用プルトニウム金属基準試料の作製
―― 複数中性子の同時計測における校正精度向上のための薄膜 Pu 標準体の設計と評価
(*)本論文は、プルトニウムを対象とする中性子同時計測装置の校正に用いるため、薄膜状の小型プルトニウム金属基準試料を設計・製作し、その特性を評価したものである。従来の金属試料では、内部での核分裂連鎖(multiplication)や不純物起源の(α,n)中性子が測定偏差の要因となるため、本研究では直径 2 cm の薄い金属箔形状とし、質量(1.4g, 3.6g, 7.2g)を精密管理した純度の高い試料を製作することで、これらの影響を最小化している。本基準試料は、中性子同時計測に加えて、ガンマ線分光やカロリメトリでも利用可能であり、DOE の複数施設に配備される予定で、今後の非破壊分析(NDA)校正における標準化の基礎となる。(LANL)
PLUTONIUM SOURCE ISOTOPIC ANALYSIS WITH UP TO 25-MM LEAD SHIELDING USING THE FRAM ISOTOPIC ANALYSIS CODE Philip Hypes
FRAM 同位体解析コードを用いた25 mm 鉛遮へい下におけるプルトニウム同位体分析の性能評価
― 線減衰補正を含む遮へい補正手法の検証
(*)本論文は、FRAM 同位体解析コードを用いて、最大 25 mm の鉛遮へい越しにおけるプルトニウム同位体比分析の性能を評価した研究であり、遮へいに伴うスペクトル減衰と歪みへの補正手法を検証している。分厚い鉛遮へいでは γ 線ピークの減衰と低エネルギー側の著しい損失が生じるが、線減衰補正(line attenuation correction)および効率補正を適切に適用することで、²³⁹Pu・²⁴⁰Pu・²⁴¹Pu など主要同位体比の実用的な精度が確保できることを示した。実測データと FRAM の計算モデルとの比較により、25 mm 鉛遮へい下でも同位体分析が成立する条件と限界が示され、遮へいされた Pu ソースに対する NDA 解析の適用可能性が示唆されている。(LANL)
Potential Applications of Commercial Observation Satellite Imagery for the Verification of Declared and Undeclared Nuclear Production Facilities Hui Zhang
商用観測衛星画像の核関連施設検証への応用可能性
―― 申告施設および未申告活動の確認に向けた画像情報の利用評価
(*)本論文は、商用衛星画像(commercial observation satellites) が、申告済み・未申告を含む 核関連施設(核物質生産・加工・貯蔵施設) の検証に応用可能であるかを技術的に評価したものである。特に、1999–2000 年当時に急速に広がりつつあった 高分解能民間衛星(1 m 級) の具体的利用可能性が論じられる。分析対象は、核燃料施設・再処理施設・ガス遠心分離工場・重水工場・研究炉などで、構造物配置、影、排気塔・冷却塔パターン、道路接続形態、車両活動 といったイメージ・シグネチャに基づき、申告内容と整合するか(verification)/未申告活動の兆候がないか(detection)を評価する枠組みを示している。また商用衛星画像は、従来の国家情報源(空中偵察・軍事衛星)と異なり、オープンソースで入手可能・透明性が高いため、IAEA や地域保障措置機関が、非侵襲の補完情報源として活用可能であり、追加議定書(INFCIRC/540)下の補完的アクセスにも資することが示唆されている(Nautilus Institute / Harvard University, Kennedy School (ISP/BCSIA))
Preparation and Characterisation of NDA Reference Materials for the Russian Methodology and Training Centre (RMTC) S. Guardini, B. Ryazanov,, A. Mozhayev, P. Schillebeeckx, V. Shapsha, V. Kudryavtsev, B. Belyaev
ロシア核物質計量管理・保障措置訓練センター(RMTC)向けNDA 参照試料の作製と特性評価
― 訓練用核物質基準試料の設計・品質保証プロセス
(*)本論文は、ロシア核物質計量管理・保障措置訓練センター(RMTC)で使用するための非破壊分析(NDA)用参照試料の設計、作製、特性評価の取り組みを解説しており、保障措置訓練の基盤となる高品質な標準材料の整備状況を報告している。試料の準備には、核種特性の既知化、γ・中性子計測、均質性評価、安定性確認など、認証基準を満たすための多段階の品質保証プロセスが必要であると述べている。これらの参照試料は、RMTC が実施する 保障措置・核物質計量管理者向け NDA 訓練において、校正・検証・技能評価に不可欠であり、欧州委員会 JRC とロシア側機関の協力の成果である。(EC-JRC, RMTC)
Preparation of the ITVs 2000 for Nuclear Material Measurements Stein Deron, D. L. DONOHUE, E. Kuhn, R. Binner, H. Aigner
核物質測定のための ITVs 2000 作成の進捗
― 国際測定不確かさ基準値(International Target Values)の改訂作業
(*)本論文は、IAEA が 1979 年以来更新してきた 国際標準測定不確かさ値(ITVs:International Target Values) の第 5 回改訂版「ITVs 2000」作成の進捗を述べ、核物質測定における不確かさ評価の“国際的基準値”を整備する取り組みを報告している。ITV は、Safeguards・核物質計量管理(NMAC)に用いられる分析技術が 日常運用条件下で達成可能な測定精度の水準(state‑of‑practice) を示す指標であり、プラント運転者・査察機関・国際機関が、計測品質の妥当性判断や計量管理設計を行う際の基準として利用される。ITVs 2000 は、最新の不確かさ表記法(GUM との整合)を取り込みつつ、従来の版と比較可能な形式を保持しており、2000 年 4 月には草案が完成し、EURATOM、ESARDA、ANSI/INMM、ABACC、日本の技術グループ等にレビュー送付済みである。(IAEA)
Present Status on the Development of Environmental Nuclear Analysis Program in JAERI Hideo Nishimura, S. Usuda, K. Watanabe, M. Magara, F. Esaka, K. Yasuda, H. Gunji, T. Sakakibara, Y. Miyamoto, T. Adachi, S. Tsuda
日本原子力研究所における環境核種分析プログラムの開発状況
PROGRESS AT IRMM IN THE PREPARATION OF IRMS AND EXTERNAL QC PROGRAMMES R. Wellum, F. Kehoe, A. Verbruggen, A. Alonso, W. De Bolle, R. Eykens
IRMM における同位体基準物質の整備と外部品質管理(QC)プログラムの進展
―― Safeguards・核物質計量管理に向けた IRM/スパイクおよび REIMEP 試料の開発
(*)本論文は、欧州委員会 JRC‑IRMM が Safeguards および核物質計量管理(NMAC)向けに実施してきた 同位体基準物質(IRMs)および量基準物質(スパイク)の準備プログラムの進捗をまとめたもので、U・Pu の測定用途向けにほぼ全範囲の IRM を整備したことを報告している。とくに 環境試料分析向けの低濃度 IRM の開発が重大課題であり、長期安定性・均質性の確保など、将来的利用に必要な技術開発が継続されている。さらに IRMM は、国際外部品質管理(External QC)プログラム REIMEP(Round‑Robin Exercise for International MEasurement Proficiency)向けの材料も準備しており、これらは IRM と同等の手順で認証されつつ、参加研究機関に対しては「ブラインド試料」として配布される。(EC-JRC, IRMM Laboratories)
PROGRESS IN GAMMA RAY MEASUREMENT INFORMATION BARRIERS FOR NUCLEAR MATERIAL TRANSPARENCY MONITORING James K. Wolford, Jr., Gregory K. White
核物質透明性監視に向けたガンマ線計測情報バリア技術の開発進展
― 属性判定を目的とした AMS/IB システムによる機微情報保護の実証
(*)本論文は、核兵器由来核物質の透明性監視において、機微情報(同位体比・質量等)を秘匿しながらプルトニウムの属性を判定するための 情報バリア付きガンマ線計測システム(AMS/IB) の開発進展を報告する。情報バリアは、測定装置・計算機・データ処理系を封じ込め、生スペクトルや計算途中値を外部へ出さず、「属性を満たすか否か(Yes/No)」のみを出力することで、ロシアが懸念する核兵器機密の漏洩を防止する。米露協力の一環として、核兵器ピットを用いた実試験を実施し、情報バリアが機微情報を完全に遮蔽しつつ、武器級 Pu の属性(同位体比・金属状態・年代・Pu 存在等)を正しく判定できることが実証された。(LLNL)
PROGRESS IN NONPROLIFERATION: INITIATIVES FOR PROLIFERATION PREVENTION, THE U.S. INDUSTRY COALITION, AND OTHER INTERNATIONAL PROGRAMS J. S. Kraus, R. Southward, S. Kadner, W. Doyle, D. Bell, W. Horak
不拡散に向けた進展:拡散防止イニシアティブ(IPP)、米国産業連合、およびその他国際協力プログラム
― 旧ソ連科学者の民生転換支援と商業化プロジェクトによる国際的拡散防止協力の実績と今後の展望
(*)1994年に開始された「拡散防止イニシアティブ(IPP)」は、旧ソ連の大量破壊兵器開発に関与した失業・半失業状態の科学者を商業的な平和利用プロジェクトへ誘導し、機微情報の流出を防ぐことを目的としている。IPPではDOE研究所・米国企業・旧ソ連(FSU)の研究機関が協力し、民生化可能な技術開発を通じて自立型ビジネス創出とFSU地域での長期雇用確保を図っている。1998年時点でロシア・ウクライナ・ベラルーシ・カザフスタンにおいて400件超のプロジェクトが実施された。 本論文は、米国産業連合(U.S. Industry Coalition)およびその他の国際協力プログラムがIPPを支援し、ロシア連邦(RF)との協力を通じて拡散防止と国際協調にどのように寄与してきたかを概観する。(Aquila Technologies Group, U.S. Industry Coalition, BNL)
Progress in the Implementation of Strengthened Safeguards System in Japan Hiroyoshi Kurihara, Tsuyoshi Ogawa, Hiromi Terada
日本における強化保障措置システムの実施状況
Progress towards Complimentary Cooperative Monitoring Facilities at the Savannah River Site, USA and VNIIEF, RF Thomas Lockner, Larry Desonier, Berry Crain, Jr., Jason Coombs, C. Dennis Croessmann
米国サバンナリバーサイトとロシア・VNIIEF における相互補完的協力監視施設の整備状況
― 核物質監視技術の共同実証に向けた “Facility‑to‑Facility” フェーズの進展
(*)本論文は、サバンナリバーサイト(SRS, USA)とロシア・サロフの VNIIEF に、米露が相互に補完的な核物質監視(Cooperative Monitoring)を行うための並行設置施設(“Facility‑to‑Facility”)を整備する進展状況を報告する。本取組は、これに先立つ “Container‑to‑Container”(1997) および “Magazine‑to‑Magazine”(1998) の遠隔監視実証結果を踏まえたもので、双方向で同一設計の監視システムを用い、アクセス監視・データ共有・侵入検知などを相互に比較・評価できる仕組みを構築している。最終段階である “Facility‑to‑Facility” は、両国が核兵器関連核物質を保持する実際の施設に監視設備を導入する最も難易度の高いフェーズであり、SRS での運用開始状況と、VNIIEF 施設の整備・接続準備の進展が報告されている。(SNL, Technical Solutions, Inc., VNIIEF,Sarov)
PROGRESS TOWARDS CRITERIA FOR A SECOND-GENERATION PROTOTYPE INSPECTION SYSTEM WITH INFORMATION BARRIER FOR THE TRILATERAL INITIATIVE D. W MacArthur, D. G. Langner, R. Whiteson, J. WOLFORD, N.  J. Nicholas
三者イニシアティブに向けた第二世代情報バリア付き検査システムの基準策定に関する進展
― プルトニウム属性検証における非機密出力の実現と、初代ISIBの実証経験を踏まえたAVNG設計検討の要点
(*)米・露・IAEA三者によるTrilateral Initiativeの下で、IAEAが機微情報を守りつつ余剰核分裂性物質を検認するための情報バリア付き検査システムの基準作成が進められている。プルトニウム含有物の受入れに必要な属性(存在確認、質量や同位体組成の閾値)を非機密出力で検証するため、初期プロトタイプ(ISIB)がロスアラモスで構築・実証された。本論文は、初代プロトタイプの経験を踏まえ、三者協力のもとで改良型の第二世代プロトタイプ(AVNG)の設計に向けた技術的検討状況を米側専門家の視点から整理したものである。(LANL, LLNL)
PROTOCOLS AND PROCEDURES DEVELOPMENT FOR CLEAN LABORATORY OPERATIONS TO DETECT TRACE QUANTITIES OF NUCLEAR MATERIAL S. Usuda, Y. Hanzawa, T. Adachi, Richard E. Perrin, David W. Swindle, Jr., B. C. Vickers
微量核物質検出のためのクリーンラボ運用に関するプロトコルおよび手順の策定
― 環境試料分析に不可欠なClass 100ラボ整備、品質保証、運用手順(約250プロトコル)構築の体系的アプローチ
(*)環境試料中の微量核物質分析は、未申告活動の検知や申告内容の検証に有力な手段として認識され、Class 100クリーンラボのような専用施設と厳格な品質保証が不可欠である。日本原子力研究所(JAERI)は国際的トップレベルのクリーン施設 CLEAR を建設中であり、DOEと共同で施設設計・運用・分析手順の策定(約250件のプロトコル)を進めている。本論文は、クリーンラボに必要なプロトコルの種類、設計時の留意点、構築プロセスを体系的に示し、CLEAR施設の成功における手順管理の中心的役割を解説している。(JAERI, EG&G, URS Corporation)
Prototype Neutron-Capture Counter for Fast-Coincidence Assay of Plutonium in Residues W. H. Geist, K. D. lanakiev, M. R. Sweet, M. C. Browne, N. Ensslin, D. R. Mayo, P. A. Russo, M. R. Kusner
End(10) プルトニウム残渣の高速同時計数評価に向けた
中性子捕獲方式プロトタイプ計数器の開発
(*)本研究は、プルトニウム残渣の高速同時計数測定に向けた 新型中性子捕獲型同時計数器(neutron‑capture counter) を試作し、従来の 3He 検出器よりも格段に短い中性子ダイアウェイタイム(τ < 5 µs)を実現することで、高偶発同時計数が問題となる残渣材料でも高感度測定が可能であることを示した。検出器は 6LiF/ZnS(Ag) シンチレータと光学リボン層の積層構造を採用し、γ 線との弁別にはパルス形状解析(Pulse‑Shape Analysis: PSA)を用いることで、従来のパルス高さ解析(PHA)より優れた n/γ 分離性能を達成している。プルトニウム残渣のように α,n 反応による高いバックグラウンドを伴う材料に対しても、PSA と高速応答回路設計により高計数率性能を確保し、効率の高い同時計数測定が可能であることが報告されている。(LANL, Bicron Corporation)
Radio Frequency Tamper Indicating Devices and RTG Power Source for Storage Monitoring Applications Sergei Blagin, Boris Barkanov
貯蔵監視用途における無線式改ざん検知装置(RFTID)と RTG 電源の開発
― 長期連続監視を可能とする核物質保管システム向け電源・センサー統合技術
(*)本研究では、繊維光学ループによるアクセス検知、動作センサーなどを備え、核物質保管容器の状態監視を行える RF タグ型改ざん検知装置(Radio Frequency Tamper-Indicating Device, RFTID) を開発した。電源として Pu-238 を用いたラジオアイソトープ熱電発電機(RTG) の試作機も構築し、化学電池を必要とせず長期間にわたって RF タグを動作させる設計となっており、交換作業による放射線被ばくと保管エリアへのアクセス回数を低減できる。実証用 RF タグと RTG の試作を通じ、貯蔵監視システムへの応用可能性が示され、長期的かつ非侵襲的な核物質監視の実用化に向けた基盤が整備された。(All-Russian Scientific Research Institute of Experimental Physics)
RADIOLOGICAL SABOTAGE AT NUCLEAR POWER PLANTS: A MOVING TARGET SET Edwin S. Lyman, Paul Leventhal
原子力発電所における放射線サボタージュ:変動する“標的集合”に対する防護評価 (*)米国 NRC の Operational Safeguards Response Evaluation(OSRE) は、原子力発電所に対する 強制侵入・破壊行為への防護性能を実戦的に評価するプログラムであり、実施された試験の約半数で重大な防護不備を発見した。しかし OSRE は 1998 年に NRC スタッフにより一時中断され、その後内部告発を受けて再開されたが、NEI(米国原子力エネルギー協会)による規制緩和の働きかけにより、検証の妥当性と厳格性が損なわれる懸念が生じていた。 NEI の提案は「炉心溶融や格納破壊さえ防げれば、主要安全機器への深刻損傷は容認可能」とする危険な方針であり、著者らは、重要安全機能に対するいかなる損傷も許容すべきではなく、攻撃者の“アクセス阻止”こそが絶対的防護目標であると強く主張する。(Nuclear Control Institute)
RAISING GLOBAL PHYSICAL PROTECTION STANDARDS FOR WEAPON-USABLE NUCLEAR MATERIAL George Bunn
兵器転用可能核物質の物理的防護水準向上に向けた国際的取り組み
― “核兵器並み防護基準” をめぐる各国の脅威認識・制度的制約と IAEA 基準強化の動向
(*)プルトニウムおよび高濃縮ウラン(HEU)といった「兵器転用可能核物質」の物理的防護レベルには国ごとの大きなばらつきがあり、その背景には 脅威認識・予算能力・法律制度・文化(武装警備の可否等) の違いがあると分析される。米国エネルギー省(DOE)は 1997 年に、兵器級核物質を守る基準として 「核兵器と同等の防護(stored weapons standard)」 を最終目標とすべきであると結論づけたが、実際には米国を含む多くの国でこの基準を満たす施設はほとんど存在しない。1998–1999 年の IAEA 会合では物理防護の強化勧告の策定が進められ、1999 年末には CPPNM 改正に向けた議論も行われたが、各国の法制度や実施能力の差異により、国際的拘束力をもつ要求水準の統一には至らず、引き続き多様な実践が残存している。
REDUCTION OF BACKGROUND BY HIGHER ORDER STATISTICS WITH NMIS J. A. Mullens, J. T.  Mihalczo, J. K. Mattingly
NMISにおける高次統計処理によるバックグラウンド低減
― 自己相関を含む背景イベントの分離とアクティブ測定の精度向上手法
(*)多重イベント(multiplets)間の実同時計数率を蓄積する測定では、バックグラウンド自体が相関を持つ場合(自発核分裂・スパレーション中性子等)に誤判定を招き得るため、背景が時間・場所で大きく変動する運転中施設では特に深刻となる。核兵器施設のように放射性物質の位置・量が頻繁に変化する環境では、背景由来の相関イベントが測定者の管理外で生じ、NMIS(Nuclear Materials Identification System)の過去の多数の測定でも、核分裂源が存在しない状況下で自己相関した背景イベントが確認されている。本研究で提案される手法は、こうした自己相関背景をNMISアクティブ測定から分離・除去するものであり、他のアクティブ放射線測定にも応用可能である。(ORNL)
RELEVANT DESTRUCTIVE ASSAY TECHNIQUES FOR ANM William D. Stanbro, Michael Brown
保障措置目的に照らした実効的破壊分析技術(ANM(アクチニド核物質)用)
― Np/Am測定に向けた既存手法(樹脂分離・ICP-MS・クーロメトリー等)の適用可能性と標準試料に関する課題
(*)IAEA理事会の決定により、ネプツニウム(Np)およびアメリシウム(Am)が保障措置の監視対象に組み込まれ、再処理施設の各工程流(process streams)におけるNp/Am濃度測定が必要となった。既に多くの実用的破壊分析法が存在し、TEVA/TRU-Spec樹脂を用いた前処理、クーロメトリー、ICP-MS、アルファ線スペクトロメトリーなどが即時適用可能な手法として挙げられる。一方で、標準試料(standards)の扱いや技術的課題が残されており、今後さらなる改良・開発が期待されている。(LANL, UKAEA)
Remote Monitoring in International Safeguards William O’Connor
国際保障措置における遠隔監視
― 映像・センサー監視を用いたIAEAの非駐在監視強化と、運用コスト削減を目指す取り組み
(*)IAEAは世界の原子力施設を監視し核物質の転用を検知する責務を持ち、遠隔監視(remote monitoring)はビデオカメラ・動体・線量センサー等により、施設で何が起きているかを継続的に把握する技術である。遠隔監視は、IAEAの現地検査頻度の低減、IAEA不在時の監視補完、事業者への負担軽減といった利点をもつ一方、データ量の増大に対応するため、新しい統合レビューソフトウェアの開発が進められている。アルゼンチンのEmbalse、日本、カナダ、韓国のWolsongなど世界各地で導入事例があり、信頼性や実際に検査コスト削減につながるかといった課題が残るものの、将来的には品質向上・低コスト化が期待されている。(US-DOE)
Remote Monitoring-based LWR Safeguards Experience and Perspective in Korea Jung-Soo Kim, Sung Gi Park, Jong-Uk Lee, Jae-Sung Lee, Seung- Sik Park
韓国における遠隔モニタリングに基づく軽水炉保障措置の経験と展望
Repository Surface Facilities Design Status Update Gary W. Griffith, C. G. (Gus) Mattsson
処分場地上施設設計の最新状況
― 1998年時点の設計構成(ATS/CTSライン構成・湿式貯蔵)と、2001〜2010年に向けた許認可・建設スケジュールの整理
<1998年の Viability Assessment(VA) ;米国エネルギー省(DOE)がネバダ州ユッカマウンテン(Yucca Mountain)を高レベル放射性廃棄物地層処分場として建設できるかどうか、その「成立性(viability)」を初めて包括的に評価した公式報告書。1997年の米国議会の指示により作成され、1998年12月に公表されました。>
(*)1998年のViability Assessmentは、処分場地上施設設計の当時の「スナップショット」として、3 ATSライン、2 CTSライン、少量の湿式貯蔵を含む構成を提示した。スケジュール上は、2001年中頃のサイト推奨(特に閉鎖後性能評価に重点)、2002年後半の申請、2005年後半の建設認可、2010年後半の初回処分開始が計画された。本稿は、当時の処分場地上施設設計の到達点と、今後の許認可プロセスに向けた計画上の節目を整理したものである。  (Fluor Federal Services)
Requiem for a Heavy Metal: The Spent Fuel Database Richard P. Barna, John M. Buchheit
重金属へのレクイエム:使用済燃料データベース
― ISFSI設計・許認可、NRC/DOE要件への適合に向けた燃料アセンブリ情報の体系的収集・管理

<中間貯蔵設備 Interim Spent Fuel Storage Installation (ISFSI)>

(*)中間貯蔵設備(ISFSI)を建設する発電所にとって、長期貯蔵・最終処分に備え、各燃料集合体の詳細データを整理・収集することは極めて重要であり、NRC許認可・DOE引取り要件を満たすための前提となる。必要とされるデータ要件は変動し得るうえ、古いプラントでは記録の欠落や品質保証上の問題もあり、退役プラントではインフラや人の記憶が失われる前に一括収集することが望ましい。米国北東部の乾式貯蔵ISFSI建設プラントでは、寸法・燃焼度・同位体組成・運転履歴などの詳細情報を体系的に収集するためのデータベースが構築され、その設計・構成が論文で示されている。 (Duke Engineering and Services)
Response to the Challenges of Technological Change on a Safeguards Equipment Support Organization: Design of a Performance-Based Training Program Michael Farnitano, M. Stein, Colin Carroll, Varis Smiltnieks
保障措置機器サポート組織における技術革新への対応
― デジタル化・遠隔監視技術の導入に伴う技能要求の変化と、パフォーマンス基盤型訓練プログラム設計
(*)IAEAの保障措置機器サポート組織(TIM)は、デジタル化・遠隔監視など急速な技術革新への対応が迫られており、技術者・検査官の新たな知識・技能の習得が必要になっている。米国支援計画(USSP)は、TIM技術者向けに長期的なパフォーマンス基盤型トレーニングプログラムを整備し、最新技術を扱う上での能力強化を支援している。本論文は、強化された保障措置に伴う技術変化の課題を整理し、IAEA技術支援体制が持続的に対応するための訓練計画設計を提示している。(BNL, Sonalysts, Inc., IAEA)
REVISION OF DOE DIRECTIVES TO IMPLEMENT THE US/IAEA SAFEGUARDS PROTOCOL Cynthia Heinberg, Mark Killinger, Paul Hendrickson, Amy Whitworth
米国・IAEA追加議定書の実施に向けたDOE指令類の改訂
― 新たな申告義務・査察要件への対応と、改訂命令および新マニュアル策定の概要
(*)米国とIAEAの追加議定書(Additional Protocol)が発効すると、米国内の民間のみならずDOE(米国エネルギー省)の核関連活動も申告やIAEA査察対象となり、既存の米国-IAEA保障措置協定を超える範囲に拡大する。新たな報告義務・査察要件に対応するため、DOE命令1270.2B(Safeguards Agreement with the IAEA)が改訂され、新たなDOEマニュアルも策定中である。本論文は、改訂命令および新マニュアルの主要内容案、策定プロセス、現時点での進捗状況を示している。(PNNL, US-DOE)
REVISION OF THE FUEL CYCLE FACILITY OVERSIGHT PROGRAM Michael Weber, William Troskoski
燃料サイクル施設監督プログラムの改訂
― リスク・性能指標に基づく監督枠組みへの再構築と、東海臨界事故の教訓を踏まえた安全性維持の取り組み
(*)米国原子力規制委員会(NRC)は1999年から燃料サイクル施設の監督プログラムを全面的に見直し、よりリスク・性能指標に基づく枠組みへ移行する方針を開始した。 新制度は、施設の是正措置能力の強化、客観的な安全・保障措置パフォーマンス指標の導入、基盤検査の実施により、性能低下の早期把握と規制判断の明確化を目指す。東海臨界事故を含む過去の教訓を反映し、既存制度と同等以上の安全性を維持しつつ、効率的で予測可能な監督プロセスへの再設計が図られている。(US NRC)
Russian NDA Reference Materials Working Group (RWG) Its Creation, Mission, Goals, and Status G. Pshakin, Hiroshi Hoida, Robert Marshall, G. Titov, B. Gavrilov, A. Mozhayev, A. Savlov, N. Melnichenko
ロシア NDA 参照標準物質ワーキンググループ(RWG)
― 設立の背景、使命、目標、および活動状況
(*)本論文は、ロシアにおける NDA(非破壊分析)参照標準物質(Reference Materials, RMs) の欠如という深刻な問題を解決するため、ロシア側研究機関と米国(LANL 等)が共同で設立した Russian NDA Reference Materials Working Group(RWG) の創設背景とミッションを説明している。当時ロシアの多くの施設で使用されていた米国製 NDA 機器は Gosstandart(ロシア国家計量認証機関)で未認証であり、さらに NDA 校正・品質管理の基盤となる 認証済み標準物質(CRM/RM)が国内に存在しないため、計量管理・保障措置業務で合法的に使用できないという致命的な課題があった。RWG は、ロシア国内で使用可能な UO₂・PuO₂ などの NDA 用標準物質の設計・製造・特性評価・認証を行い、ロシア SSAC(国家核物質計量管理システム)の技術的基盤となる 計量トレーサビリティ体系の確立を目指す取り組みとその進捗状況を報告している。(IPPE, LANL, VNIINM)
SAFEGUARDING TRANSFERS OF SPENT FUEL TO DRY STORAGES M. Zendel, V. Bytchkov, J. Arenas-Carrasco, Kenji Murakami, Jorge Vallejo-Luna, R. Olsen, G. Zuccaro-Labellarte, Carlos Olivieri, A. Monticone, J. Janov, B. Wilt
使用済燃料の乾式貯蔵への移送に対する保障措置
― 計量管理確認・封じ込め/監視の連続性確保と統合保障措置適用に向けた実務的アプローチ
(*)使用済燃料を原子炉サイトから乾式貯蔵へ移送する際、IAEA 保障措置の実施には多大なリソースが必要であり、その需要は世界的な乾式貯蔵の増加に伴って上昇している。保障措置の中心課題には、移送前の計量管理確認、移送中の封じ込め・監視(C/S)による連続性保持、検認基準(verification criteria)、および検認作業のコスト低減が挙げられ、これらに対する実務的解決策が示されている。将来的には統合保障措置(Integrated Safeguards)の適用により、移送監視方式の最適化や、未申告活動の不存在評価に基づく検認頻度の低減など、保障措置実施の合理化が見込まれると論じられている。(IAEA)
Safeguards after the 2000 NPT Review Conference Bruno Pellaud
2000 年 NPT 再検討会議後の保障措置
― 追加議定書普及と国家レベル評価(State‑level concept)確立への展開
(*)2000 年 NPT 再検討会議では、IAEA 保障措置の強化、核兵器国の核軍縮義務の再確認、そして包括的保障措置協定(CSA)と追加議定書(AP)の普遍化を推進する方向性が確認され、NPT 体制の継続的強化が主要テーマとなった。 会議は、国際的信頼性の要である IAEA 保障措置制度を支持し、その有効性向上に向けて国際協力を優先事項とするとともに、核不拡散・核軍縮・平和利用の 3 本柱の均衡を維持する姿勢を再確認した。2000 年以降の保障措置運用は、追加議定書の導入拡大、強化された情報分析、未申告活動の検知能力向上など、国家レベルでの包括的評価(State‑level concept)に舵を切る基盤を形成することとなった。(US DOS(国務省))
Safeguards Approach for Detecting the Diversion of Nuclear Material at Dry Storage of CANDU Reactor Jung Soo Kim, Jong-Uk Lee, Jae-Sung Lee, B-K Kim
CANDU原子炉の乾式貯蔵施設における核物質の転用を検知するための保障措置アプローチ
Safeguards at the level of the State as a whole: the use of broad-based information analysis as a tool to reach conclusions Jill Cooley, Dirk Schriefer, K. Chitumbo, O. Heinonen, Kenji Murakami, A. Nilsson
国家全体レベルの保障措置
― 包括的情報分析を用いた申告の正確性・完全性評価手法
(*)包括的保障措置協定と追加議定書が発効している国では、IAEA は「国家全体レベル」で保障措置結論を導出し、核物質の非転用および未申告活動の不存在について信頼できる保証を提供できる。この国家レベル評価では、追加議定書による追加情報(核関連産業能力、研究活動、核関連設備の所在など)と拡大されたアクセス権を活用し、あらゆる入手可能情報を総合的に分析して、国家の核計画を全体的に把握する。情報分析で得られた疑問点や不整合は補完的アクセスなどの追跡活動につながり、国家の申告が正確かつ完全であるとの結論に至るまで、継続的かつ長期的に評価が行われる。(IAEA)
Safeguards Experience on the DUPIC Fuel Cycle Process Howard Menlove, Ho-Dong Kim, Jongsook Hong, Myung Seung Yang, Hyun Soo Park, Ahmed Abou-Zahra, Winston Alston
DUPIC燃料サイクルプロセスにおける保障措置経験
― 使用済PWR燃料の直接再利用と材料流れの計量管理・封じ込め/監視の実装課題
(*)DUPIC(Direct Use of PWR spent fuel In CANDU)の燃料製造 R&D では、PWR 使用済燃料を直接 CANDU 燃料として再加工するプロセスに対し、国際原産地材料の取り扱い、バルク取扱工程における操業者測定システム、IAEA による独立的な封じ込め/監視(C/S)手段の整備など固有の保障措置課題が明確になった。DUPIC プロセスは強い放射線場下で全工程を遠隔操作で行う特性をもち、材料流れを継続的に把握する計量管理、ならびに未照合・未検認状態を生じさせないための C/S 情報確保が必須であった。これらの技術的・運用的課題は最終的に解決され、PWR 使用済燃料の初回バッチが DUPIC 研究施設へ導入され、現在は Routine プロセス開発と保障措置運用が継続されている。(LANL, KAERI, IAEA)
SAFEGUARDS FOR UNIQUE SHIPMENTS OF SPENT NUCLEAR FUEL Thomas A. Shelton, Greg Phillips
使用済燃料の特殊輸送に対する保障措置
― 特殊輸送条件下における計量管理・封じ込め/監視および同一性保証の課題
(*)要旨・本文はオンライン非公開
Safeguards Material Attractiveness Level Criteria-History and Prognosis Kenneth Thomas, David D. Wilkey, Don Jewell, H. Rod Martin
End(11) 核物質アトラクティブネスレベル基準の歴史と展望
― 保障措置・物理防護の段階化を支える評価概念の発展と国際的拡がり
(*)核物質の「アトラクティブネスレベル(Material Attractiveness Level)」は、盗取・転用の標的としての魅力度に応じて保障措置・物理防護要求を段階化する概念であり、DOE 5630シリーズ(1979–80)から DOE O 474.1(1999)まで制度的に発展してきた。
材料処分(disposition)や保障措置終了(safeguards termination)をめぐる議論がこの概念に新たな影響を与えており、核兵器級から低戦略重要性材料までの取扱い基準の見直しが進んでいる。アトラクティブネス概念は米露協力による MPC&A(核物質防護・管理・計量管理)プログラムを通じてロシアにも輸出され、国際的にも適用が拡大しており、今後さらに進展する可能性が示されている。(LANL, Proxemy Scientific Research, Inc.、PNNL)
SAFEGUARDS REGIME FOR THE K-AREA MATERIAL STORAGE FACILITY AT THE SAVANNAH RIVER SITE Nancy Jo Nicholas, Kenneth Thomas, Diana G. Langner, Barry Schoeneman, Thomas L. Williams, John Puckett, Douglas Smathers, Brian W. Smith, Jean Aragon, Thomas L. Williams
サバンナリバーサイト K 領域貯蔵施設における保障措置レジーム
― 余剰プルトニウムの長期保管と IAEA 検認に向けた新たな監視・非破壊検証アプローチ
兵器転用可能核物質の物理的防護水準向上に向けた国際的取り組み
― “核兵器並み防護基準” をめぐる各国の脅威認識・制度的制約と IAEA 基準強化の動向
(*)DOE はロッキーフラッツ環境技術サイト(RFETS)の余剰プルトニウムをサバンナリバーサイト(SRS)へ移送し、元 K-Reactor 建屋を改修した K-Area Material Storage(KAMS)施設で 10 年以上の長期保管を行う方針を採用した。KAMS は米国の自主的申出協定(Voluntary Offer)に基づき IAEA 保障措置対象施設に追加され、将来的には三者イニシアティブ(Trilateral Initiative)に対応した新協定下で国際検認を受ける予定である。KAMS は「アイテム施設」のため保管中の直接アクセスが制限され、非破壊測定・輸送容器監視など新たな検認・監視アプローチが必要となり、その技術的課題と暫定的検討内容が示されている。(LANL)
Sarov, Russia: Accelerated Job Creation and the Open Computing Center James W. Toevs
ロシア・サロフにおける雇用創出加速プログラムとオープン・コンピューティング・センター
― 核都市の産業転換と高度技術人材活用のための新たな地域モデル
(*)本発表は、ロシアの核都市サロフ(Sarov)において、核兵器関連人材の雇用転換を目的とする「加速型雇用創出プログラム」と、その中核となる Open Computing Center(OCC)の取り組みを紹介した。OCC は高度技術者の再雇用先として、計算科学・解析業務・国際共同研究の基盤を提供し、核兵器産業依存を低減する新産業創出モデルとして位置づけられている。セッションでは、核都市における雇用多様化・技術移転・国際協力の重要性が議論され、OCC の成功例が他地域モデルとしても有効である点が指摘された。 (New Brunswick Laboratory)
SESSION OVERVIEW: APPLICATION OF UNCERTAINTY PRINCIPLES TO THE FIELD OF SAFEGUARDS Margaret E. M. Tolbert
セッション概要:保障措置分野における不確かさ原理の適用
― 各国研究機関による測定不確かさ評価・トレーサビリティ・NDA精度向上に関する議論の総括
(*)本セッションは「保障措置における不確かさ(Uncertainty)原理の適用」をテーマに、午前は各国(オーストリア・ベルギー・フランス・ドイツ・ロシア・米国)の保障措置分析研究所の専門家による講演、午後は議論形式で実務的課題を深掘りした。講演内容は非破壊検査(NDA)の不確かさ評価、トレーサビリティおよび不確かさの取り扱い、測定評価プログラム(MEP)情報を用いた不確かさ算定など、保障措置測定の信頼性に関わる多様なサブテーマを含んでいた。セッション終了時には指定参加者によりホワイトペーパーが作成され、各国研究機関間の協力・継続的対話の促進に資する成果となった。(New Brunswick Laboratory)
SIMULATION MODELING OF MIXED OXIDE LEAD TEST ASSEMBLY PELLET FABRICATION Robert Y. Parker, Richard F. Farman, Nelson S. DeMuth
MOX リードテスト集合体ペレット製造のシミュレーションモデル
― 製造工程全体を対象とした離散事象モデルによる設備要件・ボトルネック・生産性評価
(*)LANL は DOE の余剰プルトニウム処分計画を支援するため、MOX 燃料テスト集合体(Lead Test Assembly, LTA)用ペレット製造ラインの離散事象シミュレーションモデルを構築した。モデルは全主要工程(試料投入・混合・粉砕・成形・焼結など)を含み、設備数、資源負荷、工程間バッファ、ボトルネック、運転条件の違いによる生産スケジュールへの影響を評価できる。初期検討では、投入条件や工程設定の違いがペレット生産スケジュールに与える影響が分析され、MOX 製造プロセス設計に有用な傾向と知見が得られた。(LANL)
Simulation of Nuclear Analytical Chemistry Operations Nelson S. DeMuth, Drew E. Kornreich, Robert Burnside
核分析化学業務のシミュレーション
― 試料流れ・分析工程・データ管理を統合的に模擬する離散事象モデルの構築
(*)本研究は、LANL が開発した「核分析化学(Analytical Chemistry)業務のオブジェクト指向・離散事象シミュレーションモデル」について紹介し、試料受領から分析・データ処理・結果返却までの全工程を模擬する仕組みを説明している。 分析化学は核物質および廃棄物の特性評価、品質管理、プロセス管理を支える中核機能であり、金属製造、核材料回収、製造、廃棄物管理など多数の部門から要求が寄せられる。本モデルは核物質検認や核物質計量管理における重要要素である分析業務のボトルネック把握と最適化に寄与し、核物質管理コミュニティにとって不可欠な評価ツールであると述べている。(LANL)
SNL Material Monitoring System: Sensor Configurations and Latest Applications Lawrence M. Desonier
SNL物質モニタリングシステム:センサー構成と最新アプリケーション
Solid-State Calorimeter Phillip A. Hypes, David S. Bracken
固体(ソリッドステート)型カロリメータ
― サーモパイル熱流センサーによる高精度・可搬型熱出力測定システムの開発
(*)LANL(ロスアラモス国立研究所)は高感度サーモパイル熱流センサーを利用した固体(ソリッドステート)型カロリメータを開発し、市販部品のみを用いながら大型標準カロリメータに匹敵する高精度の熱測定を可能にした。36 L の恒温水槽を熱シンクとして用い、装置全体の可搬性と基線安定性を両立しており、別施設への移動後も 24 時間以内に再び高精度測定が可能であることが実証された。熱出力 10 mW(低燃焼プルトニウム約 4 g 相当)で相対標準偏差 0.11% を達成し、サブミリワット領域の熱出力でも線形応答と低ノイズ(0.1–0.2 μV)により高精度 NDA 測定が可能であると示された。(LANL)
START Ill and a Safer World Pragmatic initiatives to deal with emerging surplus of weapon-grade plutonium. Francois Gere
START III とより安全な世界
― 余剰化する武器級プルトニウムへの実務的対応策(MOX 化と民生利用への段階的統合)
(*)START II の批准、CTBT の成立、2000年6月の米露間における武器級プルトニウム34トン削減合意によって軍縮プロセスは再活性化したが、START III ではさらに 15~20トンの武器級 Pu が追加的に余剰化し、2008年頃には総余剰量が 35 トンに達する可能性があると指摘される。 この余剰の拡大は、軍縮交渉の停滞、ロシア軍での約 70 トンの武器級 Pu 維持、さらには違法移転・拡散リスクの増大につながるため、新たな「実務的(pragmatic)」方策を講じる必要性が論じられている。 ロシアが武器級 Pu を「廃棄物」ではなく潜在的商業資源とみなしている点を踏まえ、MOX 化など民生核産業への段階的統合を促す産業・資金スキームが、米国・EU 協調のもとで現実的な解決策になり得ると結論づけている。(Fondation pour la recherche stratégique(戦略研究財団・フランス))
Status and Perspectives of the Korean Nuclear Export Control System Seung Sik Park, Byung-Koo Kim, Jong Soo Kim, Jong-Uk Lee, Jae-Sung Lee
韓国の核輸出管理体制の現状と展望
STEPS LEADING TO IAEA OVERSIGHT OF ANM William M. Murphey, James M. Davidson
IAEA による代替核物質(ANM)監視導入への歩み
― Np・Am を国際保障措置対象に追加するまでの技術的・政策的経緯
(*)IAEA 創設当初(1957年)はプルトニウム・高濃縮ウランなど主要核爆発性物質のみが対象であったが、1980年代以降の燃料サイクル高度化により、軽水炉使用済燃料中でのマイナーアクチニド(特に Np, Am)生成量が大幅に増加した。フランス・日本などでクローズド燃料サイクルの導入と、再処理におけるアクチニド核の分離(actinide partitioning)の検討が進んだことで、さらに世界的な再処理能力の拡大や潜在的流出リスクが認識され、ANM に対する国際的な監視強化の必要性が高まった。これらの経緯を踏まえ、IAEA 事務局は新たに Np と Am を監視対象に加えることを提案し、理事会はこれを採択、NPT 保障措置開始以来初の「新規監視対象核物質」の追加となった。(US NRC, LANL)
Strengthening Non-Proliferation Efforts in Asia Hiroyoshi Kurihara
アジアにおける核不拡散努力の強化
STRENGTHENING SAFEGUARDS AND PHYSICAL PROTECTION TO DETER THE THREAT OF NEW RADIOLOGICAL WEAPONS Edwin Lyman, Masa Takubo
新型放射線兵器の脅威を抑止するための保障措置・物理防護の強化
― 東海村臨界事故の教訓に基づく低戦略重要性核物質カテゴリーの再評価
(*)1999年の東海村JCO臨界事故は、比較的少量の核物質でも重大な放射線被害を引き起こし得ることを示し、この知見は核物質防護と保障措置双方に深刻な含意を与える。論文は、少量の核物質を用いた意図的な「臨界性放射線兵器」作成の可能性を指摘し、現行制度で低戦略的重要性とされる核物質カテゴリ(Category III 等)でも深刻な脅威になり得ると論じる。そのため「低戦略重要性」と分類される核物質に対しても、物理防護・保障措置の要件を再評価し、放射線兵器化を抑止する強化策が必要と結論づける。(Nuclear Control Institute)
STRENGTHENING THE INTERNATIONAL PHYSICAL PROTECTION REGIME: IMPLEMENTATION OF INFCIRC/225/Rev.4 Bernard Weiss, A. Nilsson
国際物理的防護レジームの強化:INFCIRC/225/Rev.4の実施
STUDY ON INVENTORY ESTIMATION METHOD OF PLUTONIUM EVAPORATOR Seiji Uchikoshi, Kazushi lgari, Noboru Ozeki
プルトニウム蒸発器のインベントリー推定手法に関する研究

<六ヶ所再処理工場(RRP)>

SUMMARY OF THE CLOSING PLENARY SESSION OF THE 41ST INMM ANNUAL MEETING James Lemley, Amy B. Whitworth
第41回 INMM 年次大会・閉会プレナリーセッションの総括
― 情報セキュリティ強化と NPT 再検討会議の動向を踏まえた核物質管理・不拡散課題の整理
(*)第41回 INMM 年次大会の閉会プレナリーでは、通常の技術セッションでは扱われない観点から、核物質管理・保障措置・不拡散に関する重要課題を取り上げた。特に、DOE 研究所における情報セキュリティを含む安全保障強化の取り組み、これが国際協力プログラムへ与える影響が議題となった。さらに、同年5月に終了した NPT 再検討会議(Review Conference)の成果とその波及的意味が総括的観点から論じられた。(BNL, National Nuclear Security Administration)
Sustaining MPC&A Systems in the Newly Independent/Baltic States G. A. Sheppard, J. R. Mason
新独立国/バルト三国におけるMPC&Aシステムの維持
System Audit and Fraud Detection in Integrated Safeguards Mike Beaman, Stephen Francis
統合保障措置におけるシステム監査と不正検知
― R/SSAC の信頼性評価と計量管理記録改ざん対策を組み込んだ IAEA 検認アプローチ

<SSAC(State System of Accounting for and Control)= 国内計量管理制度>

(*)保障措置の統合的運用(Integrated Safeguards)では、IAEA が信頼できる地域・国家レベルの計量管理システム(R/SSAC)が既に行う活動を活用するため、まず「システム監査(system audit)」によってその技術的妥当性を確認する必要がある。その際、R/SSAC 側による会計記録の意図的な改ざん(cheating)の可能性に備え、監査に「不正検知(fraud detection)」を組み込むことが不可欠とされる。ターゲット化した・またはランダムな IAEA 検認と会計データ解析を組み合わせることで、特に拡散リスクの低い核物質については、費用効率を高めつつ十分な信頼度で非転用結論を導けると結論づけている。(UK Department of Trade and Industry, British Nuclear Fuels)
Tags and Seals in a Transparency Regime John Smoot, James R. Griggs, Jennifer Tanner, Nickolai Rubanenko
透明性レジームにおけるタグおよびシール
― 核物質・核兵器関連物品の識別と改ざん検知(Tamper Indication)による透明性確保技術
(*)透明性レジームでは、核物質容器や核兵器コンポーネントなどの条約管理対象物を識別し保全するため、高度なタグおよびシール(Tamper Indicating Devices)が不可欠である。これら TID は「偽造困難な一意識別」と「不正アクセスの痕跡を確実に示す tamper‑indicating 機能」を併せ持ち、未検知のアクセスを防ぐ役割を担う。START、START III 検討、マヤーク貯蔵施設透明性、三者(米・露・IAEA)イニシアティブなど、核兵器・核物質管理の透明性向上の一環として、TID 技術が導入候補として注目されている。(PNNL)
Target Elimination by Inventory Configuration Management Steven Croney, Pamela Dawson, Dennis Wilkey, Dennis Brandt
在庫構成管理による「ロールアップ盗取目標量」の排除
― 複数 MBA からの少量持ち出し(removal)による Category I 量形成を未然に防ぐ管理手法
(*)複数のカテゴリ III・IV の核物質計量管理区域(MBA)を持つ施設において、内部関係者による複数 MBA からのロールアップ盗取を防止するには、在庫量・アイテム区分・スループットの正確な把握が不可欠である。複数 MBA に分散する核物質を少量ずつ“寄せ集めて(roll‑up)” Category I 量へ到達する内部者盗取シナリオを防ぐには、在庫量・アイテム区分・スループットの継続的把握が必須となる。Los Alamos の ICM システムは、核物質が roll‑up によって「盗取可能量(removal target)」へ達しないよう、施設内の在庫構成をリアルタイムで監視・管理する仕組みを提供する。この管理により、提案される作業変更によって新たに roll‑up 脆弱性が生じるかどうかを判断し、既存の核物質防護・セキュリティ体系との整合を維持できる。(LANL)
Technical Cooperation and Stability in the Caucasus Helen M. Bird, Reynolds Salerno
End(12) カフカス(コーカサス)地域における技術協力と安定化
― 国境監視・資源管理・環境監視による地域安全保障協力の可能性
(*)カフカス(コーカサス)地域では領土紛争・民族対立・密輸・テロ・犯罪・環境悪化など多様な不安定要因が存在する。技術協力は政治色の薄い形で地域協力を促し、持続的な平和の基盤構築に寄与する。国境監視、水資源管理、生態・疫学監視などの協調型モニタリング技術は、地域の安全保障と安定を強化し得る。(US DOC, SNL)
TECHNICAL VIEW REGARDING THE OVERSIGHT OF ANM IN JAPAN Hiroyoshi Kurihara, Takeshi Tsujino, Toshihide SUGIYAMA, T. Sugiyama
日本における核物質・核物質監視に関する技術的見解
Technology Development on the DUPIC Safeguards System Howard Menlove, Hong Ryul Cha, Ho-Dong Kim, Myung Seung Yang, Dae-Yong Song, Hee Young Kang, Jong-Sook Hong
DUPIC保障措置システムの技術開発
The 2000 NPT Review Conference: An Assessment Michael D. Rosenthal
2000年NPT再検討会議の評価
― 最終文書が示した核軍縮「明確な約束」と保障措置強化、ならびに残された制度的課題
(*)論文では、2000年NPT再検討会議の成果として採択された最終文書(Final Document)を中心に、核不拡散・核軍縮・平和利用の3本柱に関する主要合意の意義と、1995年決定(無期限延長)の下で強化されたレビュー制度の評価を行っている。特に、核兵器国が初めて「核軍縮における明確な約束(unequivocal undertaking)」を明文化した点や、IAEA保障措置強化(Additional Protocol)への支持など、不拡散体制の信頼性向上に寄与した要素が分析されている。一方で、中東非核兵器地帯問題、核軍縮の透明性、核兵器国の履行進捗など、依然として残る政治的・制度的課題も指摘され、今後のNPT運用プロセスにおける展望と政策的含意が述べられている。(US DOE)
The Active Well Coincidence Counter (AWCC) Cross Calibration Workshop at the Institute of Physics and Power Engineering (IPPE) Wayne Ruhter, Hiroshi Hoida, R. Marshall, N. Ensslin, A. Mozhayev, V. S. Fedorov
IPPE におけるアクティブ井戸型同時計数装置(AWCC)の交差校正ワークショップ
— Pu 標準体を用いた国際的なAWCC計数効率・多重度解析の比較検証と校正手順の標準化
(*)本文・要旨はオンライン非公開。(LNL・LANL ,  IPPE)
The Computer Modeling System for Arms Control and Nonproliferation Dr. R. I. Voznyuk, A. N. Bezsonny, M. Charles, J. Brabson, S. Deland
軍備管理・不拡散のためのコンピュータ・モデリングシステム
― 検証技術・シナリオ分析を統合した評価ツールの構築
(*)本プロジェクト(CMSAC)は、核軍縮・不拡散に関する条約・合意の複雑なデータを統合管理し、可視化・分析可能なコンピュータモデルを構築することを目的として開発された。特に、ロシアにおける核弾頭解体シナリオの検証・透明性措置(transparency measures)評価するため、査察条件・工程情報・施設データなどを結びつけてシミュレーション可能な設計となっている。CMSAC は Sandia と VNIITF の Lab‑to‑Lab 共同研究として開発され、将来の二国間検証制度に向けて、透明性措置の効果評価や代替検証方法の比較が行える初のモデル化ツールとして位置付けられている。(VNIIF, SNL)
THE CONCEPT OF PHYSICAL PROTECTION OF NUCLEAR FACILITIES IN SWEDEN Stig lsaksson
スウェーデンにおける核施設の物理的防護の概念
The Critical Role of Central MPC&A Training and Educational Resources for Effective and Sustainable National and Site-Wide MPC&A Systems Hastings Smith, Carrie Mathews, James Farmer, Whit Creer, Debbie Dickman
国家および施設レベルで効果的かつ持続可能なMPC&A システムを確立するための中央訓練・教育資源の重要性 (*)米露協力による MPC&A(核物質防護・管理・計量管理)改善プログラムの成果として、ロシア国内に多数のアップグレード済みシステムが導入されたが、長期的運用の鍵は現場運用者・管理者・核物質取扱者の教育訓練にあることが指摘されている。中央 MPC&A トレーニング機関は、専門家育成・現場演習・規制理解・教材配布・指導者養成など、国家レベルでの能力維持に不可欠な役割を担い、サイト固有の研修開発を支援する中核として機能する必要がある。持続可能な MPC&A システム構築のためには、ロシア側専門家が中央訓練施設との継続的な交流(コース受講、インターン受入れ、準教員としての参加)を維持し、国家監督制度と連動した運用文化を醸成することが重要とされる。(LANL,PNNL)
The Development of a Multi-Exponential Prediction Algorithm for Calorimetry David S. Bracken, Morag K. Smith
熱量計測のための多指数関数予測アルゴリズムの開発
― 過渡応答の高精度モデル化による平衡熱量推定の安定化と測定時間短縮
(*)本論文では、熱量計測(calorimetry)の時間応答をより正確に再現するため、複数の指数関数による応答関数(multi‑exponential response function)を解析・予測するアルゴリズムを開発した。従来の単一指数関数フィットでは測定時定数の変動や熱伝導経路の複雑性に対応できないため、多指数モデルを適用して過渡応答(transient response)を高精度で予測し、安定した平衡値(equilibrium heat output)の取得を可能にした。アルゴリズムは実測データへの適合性向上と測定時間短縮に寄与し、保障措置・核物質計量管理における Pu 含有量評価精度の改善が期待される技術として位置づけられている。(LANL)
The Impact of a Variety of Reprocessing Options on the Purity, Waste Generation, and Personnel Exposure William A. Averill, Stephen T. Boerigter, Thomas L. Rising
多様な再処理オプションが製品純度・廃棄物発生量・作業者被ばくに与える影響
― 湿式/乾式プロセスの組合せによるプルトニウム精製工程の比較評価とシミュレーション分析
(*)本研究は、金属インゴット製造に向けた不純プルトニウムの再処理・精製に適用可能な複数の選択肢(硝酸系・塩化物系湿式法、溶融塩抽出、溶融塩電解精製、直接酸化物還元(DOR)、多段DOR)について性能を比較した。流れ図(flow sheet)評価の結果、実用的な選択肢として 湿式法と乾式法を組み合わせたハイブリッド工程、または 主に湿式工程に依存するプロセスの2案が有望とされた。Los Alamos の ProMoS シミュレータを用い、1000 kg の不純プルトニウムを投入して各プロセスの製品純度、廃棄物発生量、作業者被ばく、プルトニウム利用効率を比較し、それぞれの技術選択が燃料サイクルの安全性・効率に与える影響が定量的に示された。(LANL)
THE INFLUENCE OF FIELD ENGINEERING ON SAFEGUARDS EQUIPMENT DESIGN R. Michael White, G. Martelle, S. Kadner, K. Brown, C. Martinez
保障措置機器設計における現場エンジニアリングの影響
The IP3 Project: A Common Safeguards Inspection Management Application for the IAEA, Euratom and SSACs W. D. Sellinschegg, Roeland Mertens, V. Canadell
IP3 プロジェクト:IAEA・Euratom・各国SSAC向け共通査察管理アプリケーション
― 保障措置査察の計画・実施・データ管理を統合する情報基盤の構築と運用評価

<SSAC: State System of Accounting for and Control of Nuclear Material 国家核物質計量管理システム>

(*)IP3 プロジェクトは、IAEA・Euratom・各国SSACの査察業務を統合的に支援するための共通査察管理アプリケーションの開発を目的としており、施設情報・検認・C/Sデータ・核物質計量管理などを統合する枠組みを構築した。各機関の査察プロセス(ルール、検査項目、結果管理)が異なる点を分析し、共通データモデルと統合ユーザーインターフェースによって相互運用性を確保する仕組みが設計されている。プロトタイプ版では、査察計画、現地活動、サンプル管理、所見記録、報告書作成などの機能が試験され、査察効率向上・二重入力削減・データ整合性の向上が実証された。(Euratom)
THE IRES ELECTRONIC SEAL P. Gourlez, P. Funk, J. F. Moreau, J. M. Martin
IRES 電子封印
― 独立検証対応・遠隔照会機能を備えた再使用型電子シールの設計と試験運用
(*)フランスの IAEA 保障措置支援計画の一環として IPSN が開発した IRES 電子封印は、IAEA・Euratom・国家査察官による独立検証を可能とする再使用型電子シールである。シールは RFによる遠隔照会と RS‑485 による監視システム連携が可能で、改ざんイベントを不揮発メモリに記録し、データ認証も行う構造を持つ。SAPHYMO 製プロトタイプが 1999 年に試験され、遠隔地(ウィーン)へのデータ送信も含む実運用試験が成功した。(IPSN/DSMR/SATE(フランス原子力防護・安全研究所), SAPHYMO(仏・計測機器メーカー))
The Lifecycle of HIREM and Potential Technologies for Improvement of its Safety and Security Boris Barkanov, Sergei Blagin, Alexi Sokovitian
HIREM のライフサイクルと安全・セキュリティ向上に向けた技術
― 撤去・輸送・保管・解体各段階における監視・識別・封印技術の適用可能性

<Hazardous Items including Radioactive or Explosive Materials (HIREM) >

放射性物質または爆発性物質を含む危険物(HIREM)(*)ロシア国内における HIREM のライフサイクル(撤去・輸送・短期/長期保管・解体・最終処分)を分析し、各段階で必要となる安全・セキュリティ要求を整理した。解体前段階での識別・監視技術として、VNIIA が開発した 監視・識別デモンストレーション施設を紹介し、実際に利用可能な技術要素(センサ、識別装置、通信手段)が提示された。VNIIEF の 監視・封印(TID)技術を含む複数の技術が、HIREM の複数段階で安全性・セキュリティを向上させ得る候補として示され、今後の研究開発の方向性が示された。(RFNC–VNIIEF(全ロシア核科学研究センター・実験物理研究所), VNIIA(全ロシア自動化研究所))
THE ROLE OF CONTAINMENT AND SURVEILLANCE IN INTEGRATED SAFEGUARDS James A. Larrimore
統合保障措置における封じ込めと監視の役割
THE ROLE OF SECURITY AND CLASSIFICATION IN ARMS CONTROL AND NON PROLIFERATION Richard Comerford
軍備管理・不拡散におけるセキュリティと機密区分の役割
― 核兵器関連情報の秘匿を維持しつつ属性検証を可能にする情報バリア運用と機密境界設定
(*)米ロ首脳会談(ヘルシンキ、1997年)以降、米国は核危険の低減と戦略的安定性を強化するため、余剰核分裂性物質の国際保障措置下への移行など、複数の軍備管理・不拡散施策を推進している。兵器・兵器部品・兵器級核物質の属性(attributes)の多くは核兵器設計情報に該当し、機微情報(Restricted Data / Formerly Restricted Data)のため、透明性の確保と機密保持の両立が常に課題となる。そのため、安全保障・機密区分(security & classification)担当部門が、検証における情報バリアや境界設定の指針を提供し、非開示を維持しつつ属性検証を成立させる要となっていると論じられている。(U.S. Department of Energy)
THE SAFEGUARDS APPROACH AT THE MOX FACILITY OF COGEMA IN CADARACHE M. Boella, Roeland Mertens, K. Papageorgopoulos
COGEMAカダラッシュMOX燃料製造施設における保障措置アプローチ
― 既設設備への後付け導入に伴う監視手段・計量ポイントの最適化と初期運用経験
(*)フランス・カダラッシュのCOGEMA MOX燃料製造工場に対し、Euratom が 既設・稼働中設備に後付けで適用する新たな保障措置アプローチを実装し、運用を開始した。設備設計段階から保障措置を組み込めた他MOX施設とは異なり、本施設では 既存レイアウトに合わせた機器配置・配線・測定点設定の調整が必要となり、その制約下で最適化された手法が導入された。新アプローチの要素(監視手段、計量ポイント、データ取得方法など)と、実装時に直面した課題および運用初期のフィールド経験が報告されている。(EURATOM)
THE SCOPE AND VERIFICATION OF A FISSILE MATERIAL CUT-OFF TREATY Andrew Barlow, Graham Andrew, G. Andrew, W. McCarthy
核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の適用範囲と検証
― プルトニウムおよび高濃縮ウランを対象とする集中型検証枠組みの構築と、既存ストック問題への実務的対応
(*)英国を含む多くの国家は、核兵器・核爆発装置用の核分裂性物質(fissile material)生産を禁止する 核分裂性物質生産禁止条約(FMCT) の早期交渉開始を重視しており、特に「対象物質の範囲」と「検証制度」が主要論点として想定されている。条約の焦点は 全種類のプルトニウム と、U‑235 または U‑233 の20%以上に濃縮されたウランに置くべきとする立場が示され、既存ストックを含めるか否かについては、ストック対処の実効性を確保するための実践的アプローチが必要と論じられている。「集中型(focused)検証」を提案し、宣言対象施設の申告、稼働・閉鎖・廃止措置施設での検証手順、検証終了条件、未申告施設の可能性を検出する仕組みなど、FMCT 検証制度の骨格となる要素を提示している。(UK Foreign and Commonwealth Office(英国外務省),  UK Department of Trade and Industry(英国通商産業省))
THE STRENGTHENED SAFEGUARDS SYSTEM – IMPLEMENTATION STATUS Jill Cooley, Dirk Schriefer, Dirk Schriefer, Dirk Schriefer
強化された保障措置システム – 実施状況
The Strengthening Trend of Physical Protection Convention and its Countermeasures on Domestic System of Physical Protection Byung-Koo Kim, Gyungsik Min, Jong Soo Kim, Jong-Uk Lee, Jae-Sung Lee
核物質防護条約の強化傾向と国内核物質防護システムへの対応策
THE SWEDISH EXPORT CONTROL OF NUCLEAR MATERIAL AND EQUIPMENT lngegard Rehn
End(13) スウェーデンの核物質および核機器の輸出管理
The U.S. Support Program to IAEA Safeguards S. Pepper
米国のIAEA保障措置支援プログラム
THE USE OF MATERIAL PROTECTION, CONTROL AND ACCOUNTING (MPC&A) TECHNOLOGIES FOR CONTROL OF EXCESS NUCLEAR MATERIAL: ANALYSIS, SYNTHESIS, AND DEMONSTRATION James E. Doyle, Susan Voss, N. V. lsaev, A. S. Sviridov
余剰核物質管理における物質防護・管理・計量管理(MPC&A)技術の適用 ― 分析・統合・デモンストレーション
― 核兵器解体後の核物質管理シナリオに基づくMPC&A技術選定と効果評価指標の整理、およびVNIIAにおける統合デモ計画 ―
(*)ロシア・VNIIA は、余剰核兵器解体後の核物質を管理するために、米露欧のMPC&A技術の適用可能性、管理シナリオ、評価基準を体系的に分析した。その結果、余剰核物質の各管理段階で利用すべきMPC&A要素(物理防護・計量管理・監視技術など)が抽出され、効果評価のための指標群(effectiveness criteria)が提示された。分析を基に、主要監視・管理技術を統合したデモンストレーション計画が策定され、モスクワのVNIIAデモセンターで実証が進められている((LANL),  All-Russian Research Institute of Automatics(VNIIA))
Implementation of the Additional Protocol at DOE facilities Amy Whitworth
エネルギー省施設における追加議定書の実施
TOWARDS A PROLIFERATION-RESISTANT NUCLEAR FUEL CYCLE Victor Bragin, John Carlson
核拡散抵抗性の高い核燃料サイクルへの展望
― プルトニウム分離を伴わない再処理法・トリウム燃料など新サイクル概念における 技術的不拡散性 の確保
(*)核不拡散体制(NPT+IAEA 保障措置)の成功には、国家の政策的選択に加え、濃縮・再処理といった拡散感受性の高い技術の限定的な拡散が寄与してきたが、今後の原子力需要増大に伴いプルトニウム増殖サイクル等の新燃料サイクルの確立は不可避と見込まれる。将来の増殖サイクルでは、現在の民生用プルトニウムよりも兵器利用により適した組成のプルトニウムが生成され得るため、その開発段階から 分離プルトニウムを生じさせない再処理方式など、技術的な不拡散性を高める設計配慮が不可欠となる。各国が提案する「非分離再処理(non-separative reprocessing)」「トリウム利用」等の概念を踏まえ、IAEA や不拡散コミュニティが設計初期から不拡散要件を明示的に組み込む枠組みを整備することが重要とされる。(Australian Safeguards and Non-Proliferation Office(ASNO))
TRACEABILITY AND UNCERTAINTY: ESSENTIAL CHARACTERISTICS OF MEASUREMENT RESULTS R. Wellum, P. De Bievre
測定結果におけるトレーサビリティと不確かさ
― 測定値の信頼性を規定する比較連鎖(トレーサビリティ)とその強度指標としての不確かさの役割
(*)測定結果は、それに付随する不確かさ評価が適切に示されていなければ意味を持たず、ISO/BIPM「不確かさの表現ガイド(GUM)」に基づく体系的評価が不可欠である。“トレーサビリティ(traceability)”は測定値が基準値へと連なる比較の連鎖を示す性質であり、不確かさはそのトレーサビリティ・チェーンの強度を示す定量指標と位置づけられる。トレーサビリティと不確かさは本質的に結びついた概念であり、測定結果の信頼性を示す“良さ(goodness)”を評価する鍵となると論じられている。(European Commission, Joint Research Centre(欧州委員会 共同研究センター))
Tracking and Position Recognition Applied to Remote Monitoring to be used in Integrated Safeguards A. D. Bonino, A. C. Perez, R. Teira, L. Valentino
統合保障措置に向けた遠隔監視への追跡・位置認識技術の適用
― GPS・RFID を用いた使用済燃料移送の所在把握と、自動・連続運転型 RMS の実証
(*)追加議定書による「未申告核物質・活動の不存在の信頼性向上」を前提として、既存の保障措置アプローチを再検討する必要が生じ、特にオンロード炉(OLR)向けに無人化システムと遠隔モニタリングの活用が重視されている。アルゼンチン・エンバルセ原子力発電所では、使用済燃料の池から乾式貯蔵施設への移送を監視する遠隔モニタリングシステム(RMS)が試験されており、その一部として GPS と RFID を用いた位置認識・追跡技術が導入されている。核物質移送の所在を確実に把握するため、システムは自動・連続運転が要求され、アルゼンチン規制当局が策定した統合保障措置(Integrated Safeguards)の仕様に基づき開発が進められている。(Nuclear Regulatory Authority, Argentina(アルゼンチン原子力規制庁))
TRAINING COURSES ON THE APPLICATION OF THE CRITICALITY TESTER R. Schneider, U. Filges, J. Knorr, A. Ellinger, B. Richter, D. Reilly
臨界試験装置の応用に関する研修コース
TRANSITION TO DIGITAL IMAGE SURVEILLANCE TECHNOLOGY FOR SAFEGUARDS APPLICATIONS N. Khlebnikov, Massimo Aparo, Varis Smiltnieks
保障措置アプリケーションにおけるデジタル画像監視技術への移行
TRANSPARENCY QUESTIONS LOOKING FOR TECHNOLOGY ANSWERS Andrew Bieniawski, T. R. Koncher
透明性の要請に対する技術的解決策の探究
― 核弾頭・核物質属性測定、情報バリアの確立、および軍備管理枠組みに対応した統合技術計画の優先課題
(*)米国DOE・DoDが共同で策定した統合技術計画(Integrated Technology Plan)は、START III、ロシア・マヤーク再処理透明性、PPIA、三者協力イニシアティブ、PPRA 等の各種軍備管理・不拡散枠組みの技術的要求に対応するため、優先度整理・重複回避・相乗効果活用を目的とする包括的計画である。核弾頭や分解部品、核物質の透明性措置の基礎となる「属性(attributes)」— 例えば「Pu 質量しきい値」や「240Pu/239Pu 比」「兵器級であることの確認」— を非機微な形で測定する技術の開発が最優先課題とされる。計測から公開可能な情報だけを抽出するには、機微情報の漏洩を防ぐ情報バリアの開発が不可欠であり、計測装置とその運用プロセスの安全性・脆弱性評価を重視するとともに、国際協力への技術移転も計画されている。 (US-DOE, Office of the Secretary of Defense)
Trusted Radiation Attribute Demonstration System Keith Tolk, D. J. Mitchell
信頼性放射線属性デモンストレーション・システム(TRADS)
― 高純度Ge検出器によるPu属性確認と情報バリアに適合したTrusted Processor構成
(*)TRADS は高純度ゲルマニウム検出器(HPGe)単体で核兵器・核兵器部品の属性(Pu 質量しきい値、240Pu/239Pu 比)を確認するために設計された「信頼された計測系(trusted system)」である。ガンマ線ピーク強度や低角散乱連続成分のスペクトル解析によって、Pu を含むすべての放射性同位体の質量と、遮蔽材を含む介在物質の影響を推定する。情報バリアの要件を満たすため、システム内部には区分化されたハード・ソフト構成の「Trusted Processor(TP)」を搭載し、改ざん検知筐体・ROM格納ソフト・ハッシュ認証により機微情報を保護しつつ検査官への非機微出力を保証する。(SNL)
TWENTY YEARS OF NUCLEAR SAFEGUARDS COOPERATION BETWEEN EURATOM AND THE U.S. DEPARTMENT OF ENERGY J. Busse
EURATOMと米国エネルギー省の20年間にわたる核保障措置協力
Uncertainty Estimation for Destructive Analysis Techniques D. T. Baran, Michael Soriano, S. A. Goldberg, Usha I. Narayanan, Robert D. Oldham
破壊分析法における不確かさ評価
― 滴定・クーロメトリー・質量分析の測定モデルに基づく不確かさ要因の特定と合成不確かさ算出手法
(*)核物質計量管理(MC&A)における正確でトレーサブルな測定値を確保するため、破壊分析法(滴定、クーロメトリー、質量分析)に含まれる不確かさを体系的に評価し、合成不確かさを算出する手法が示されている。不確かさ要因を個別に特定し、その寄与を定量化したうえで「不確かさ予算」として記録することにより、主要な寄与要因の把握と測定品質向上につながると説明されている。NBL は SI トレーサビリティに基づく測定モデルとコンピュータアプリケーションを活用し、認証標準物質(CRM)の測定値の不確かさをより正確に推定・文書化する枠組みを構築している。(New Brunswick Laboratory(NBL))
Upgrading the system for physical protection, control, and accounting of nuclear materials at the plutonium dioxide storage facility at the Mining and Chemical Combine, Zheleznogorsk, Russia Sara Scott, James Lee, K. V. Dorofeyev
ロシア・ジェレズノゴルスク鉱化学コンビナート(MCC)のプルトニウム二酸化物貯蔵施設における物理的防護・管理・計量管理(MPC&A)システムのアップグレード (*)本論文は、ロシア・ジェレズノゴルスクの 鉱化学コンビナート(MCC)におけるプルトニウム二酸化物(PuO₂)貯蔵施設を対象として、米露協力の下で実施された 物理的防護・管理・計量管理(MPC&A)システムの包括的アップグレードについて報告している。1996 年以降、MCC と米国 DOE 系 6 研究所(Brookhaven, LLNL, LANL, ORNL, PNNL, SNL)が協力し、バーコード、電子 MC&A システム、封印、NDA 装置、金属探知機、ポータルモニター、X 線装置、通信システム、アクセス制御、ビデオ監視といった一連の近代的システムが導入された。本論文は、これらのアップグレードの成果を整理し、PuO₂ 貯蔵施設における核物質防護・計量管理の信頼性向上と、MCC がロシア国内での 持続可能な MPC&A 運用能力を確立する基盤構築に寄与したことを示している。(LANL, SNL, Mining and Chemical Combine (MCC), Zheleznogorsk, Russia)
Uranium Holdup Measurements at Building 9206 Robert N. Ceo, N. B. Harold
オークリッジY-12プラント9206号棟におけるウランホールドアップ測定
Uranium Measurements and Attributes Thomas B. Gosnell
ウラン属性の測定
― 透明性措置に向けた非機微属性の取得要件と、受動ガンマ線検出を用いる測定技術の課題
(*)透明性措置(transparency initiatives)において、核兵器またはその部品に含まれるウランの“非機微(unclassified)な属性(attributes)”を測定する必要性が指摘されている。そのために求められる属性測定システムには、情報秘匿を確保しながら検証可能性を提供する特性が必要とされる。特に、受動ガンマ線計測によるウラン属性の判別は難易度が高く、将来の透明性枠組みで実運用するには技術的課題が多いと述べられている。(LLNL)
USE OF NMMSS DATA TO IDENTIFY POSSIBLE FACILITY MC&A PERFORMANCE WEAKNESSES David Crawford, Garland Proco
NMMSSデータを用いた施設MC&A業務の潜在的弱点の抽出
― 申告データと期待値の比較による問題兆候の把握と、NMMSS拡張データ要素を活用した評価精度の向上
(*)NMMSS(Nuclear Materials Management and Safeguards System)の既存データを、核物質管理・計量管理(MC&A)業務の品質評価に活用する新たな方法が DOE SO‑23 と NAC International により検討された。施設が提出する核物質データを“期待されるデータ”と比較することで、MC&A のパフォーマンス上の潜在的問題を早期に示唆することが可能となる。さらに、今後の NMMSS アップグレードで導入される新しいデータ項目は、施設の MC&A 体制の健全性をより詳細に評価する材料となる。(U.S. DOE,  NAC)
Use of Quality Control Measurements to Determine Measurement Uncertainties according to ISO and EURACHEM Guides Stein Deron, D. L. DONOHUE, Yusuke Kuno, H. Aigner
ISOおよびEURACHEMガイドに従った測定の不確実性を特定するための品質管理測定の使用
USE OF THE NUCLEAR MATERIALS IDENTIFICATION SYSTEM (NMIS) FOR ENHANCED RECEIPT CONFIRMATION MEASUREMENTS AT THE OAK RIDGE Y-12 PLANT T. E. Valentine, J. T. Mihalczo, J. K. Mattingly
核物質識別システム(NMIS)を用いたオークリッジ Y-12 プラントにおける受入確認測定の強化運用
― Cf 中性子源を用いた能動相関測定による低質量 HEU の迅速・高精度な質量推定手法の導入
(*)NMIS を能動中性子照射モード(Cf中性子源+対向検出器)で使用し、Y-12 プラントに到着した低質量 HEU 金属品の受入確認として質量推定を行う手法を開発した。校正標準体を用いた二次相関測定により HEU 質量を算定し、従来困難だった輸送容器越しの迅速・高信頼な受入検認が可能となった。この方法は Y-12 における初の NMIS 受入検認適用であり、1日64個の測定が可能な低コスト・高スループットの実運用手法として有効性が実証された。(ORNL)
USG PREPARATIONS FOR THE IMPLEMENTATION OF THE ADDITIONAL PROTOCOL IN THE UNITED STATES Robert Newman, Karen Wright, Amy Whitworth, Bruce Moran
米国政府による追加議定書の米国における実施準備
Using digital signal processing to significantly enhance the resolution of cadmium-zinc-telluride detectors G. Schmid, Allen Friensehner, Steven A. Kreek, Judith E. Kammeraadt, Dean Beckedahl, Jerry J. Blair, Yves Dardenne
End(14) カドミウム-亜鉛-テルル化物検出器の分解能の大幅な向上のためのデジタル信号処理の適用
Using Nuclear Materials To Prevent Nuclear Proliferation G. P. Gilfoyle, J. A. Parmentola
核物質を活用した核拡散防止手法
― HEUへの232U・233UおよびPuへの244Pu混合による検知性向上と原産地特定(アトリビューション)技術
(*)HEU やプルトニウムなどの兵器級核物質は盗難・密輸リスクが高く、とくにロシアでの管理脆弱性が国際的不拡散努力を脅かしている。HEU の検知性を高めるために232U を混入して放射線シグネチャを強化するとともに、盗難 HEU の出所特定(attribution)を可能にするため、貯蔵施設に固有の同位体組成を与える 233U を意図的に混入することで、回収された HEU の“由来(source)”を追跡できるようにする手法が提案されている。これらの“タグ付け核物質”は、余剰核物質処分プログラム(米露の核兵器解体等)と連動して大規模に適用でき、民生再処理分野にも応用可能である。(Defense Threat Reduction Agency(DTRA))
Validation of a Safeguards Monitoring System Simulation Vaughn Standley, Reinhard Viertl
保障措置監視システム・シミュレーションの妥当性評価
― 実システムとの整合度を示すfitness指標による統計的検証と、異常挙動判別への応用
(*)( Vienna University of Technology)
Verification of CANDU Spent Fuel in Sealed Storage Casks Howard O. Menlove, Mark E. Abhold, Kevin D. Veal
密封貯蔵キャスク内のCANDU使用済燃料の検認
― 3He中性子カウンタとモンテカルロ解析による低コスト・高可視性のIAEA長期保障措置向け計測手法
(*)IAEA が長期貯蔵燃料に対する保障措置を効率的に実施するため、密封されたCANDU使用済燃料貯蔵キャスクの検認を可能にする低コスト計測システムを開発した。検出系はキャスク内のIAEA再検認チューブに挿入される3本の^3He中性子カウンタで構成され、鉛遮蔽により高いγ線場でも有効な中性子信号を取得できる。モンテカルロ輸送計算により、1本の検出器列でキャスク全体の90%以上を5%検出レベルで可視化可能であることが示され、IAEA向け長期監視の実用性が確認された。(LANL)
Verification of Uranium Mass and Enrichments of Highly Enriched Uranium (HEU) Using the Nuclear Materials Identification System (NMIS) J. T.  Mihalczo, J. A. Ramsey, J. K. Mattingly, L. G. Chiang
核物質識別システム(NMIS)を用いた高濃縮ウラン(HEU)の質量および濃縮度の検認
― 貯蔵HEU金属アイテムに対する高精度計量検認とNMC&A要件達成に向けた効率的な測定手法
(*)NMIS(核物質識別システム)を用いて、Y-12 プラントに保管されていた多数の高濃縮ウラン(HEU)金属アイテムの質量と濃縮度を高精度に検認した。 測定結果は宣言値に対し、質量で +0.2%、濃縮度で -0.2% の平均偏差に収まり、3σ幅も 5% と、核物質計量管理(NMC&A)要件を満たす精度を示した。1シフトで最大 55件の検認が可能となるなど、貯蔵庫内で時間・コスト効率の高い検認作業を実現した。(ORNL)
Weapon Storage Technology Demonstration Facility A. S. Sviridov, Dr. Konstantin N. Zimovets, Greg Mann
武器貯蔵技術実証施設
― 無断アクセス検知・在庫管理・軍縮関連技術の統合評価を行う模擬貯蔵環境による安全・セキュリティ強化の実証
(*)武器貯蔵の安全性・セキュリティ向上を目的に、無断アクセス検知や在庫管理精度の改善を図るための実証施設(STDF)がVNIIAとSNLの協力で構築された。模擬貯蔵施設と15km離れた遠隔監視拠点により、多様なセンサー・タグ・封印・核・非核測定技術の統合評価を実施できる試験環境が整備されている。施設は将来の軍縮・解体透明性技術(例:弾頭認証、ガンマ分光、安全な情報管理)の実証にも利用可能で、多様な危険物貯蔵シナリオに適用できる柔軟性を持つ。(All-Russian Research Institute of Automatics (VNIIA, Moscow)、SNL)
Web Reporting System for the U.S. Department of Energy Extended Network of Analytical Laboratories Supporting IAEA Environmental Monitoring Craig Hanzelka, Doyle Hembree, Jr., Michael Whitaker, Linda Rose
DOE環境分析ネットワーク(NWAL)によるIAEA環境サンプリング業務支援のためのWebベース報告システムの構築
―環境 サンプル識別・発送情報・分析データを統合管理し、IAEAとDOE間のリアルタイム共有を実現する情報基盤
(*)DOE の環境分析ネットワーク(NWAL)が、IAEA の強化保障措置(環境サンプリング)を支援するために、Web ベースのデータ報告システムを新規構築した。同システムはサンプルの識別・発送情報・放射能スクリーニング・分析依頼・データ報告をすべてリアルタイムで安全に管理でき、IAEA と DOE 間の情報共有を即時化した。単一のリレーショナルデータベースによる統合管理により、データの正確性、利便性、可用性、通知機能が大幅に向上し、サンプル処理サイクル全体の効率化を実現した。(Lockheed Martin Energy Systems, Inc.)
Zheleznogorsk, Russia: Creating a Business Environment with the International Development Center Kenneth R. Ames
End(15) ロシア・ジェレズノゴルスクにおける国際開発センター(IDC)を活用したビジネス環境整備の取組
―― 核都市の経済自立支援と保障措置関連協力の展開
(*)本論文は、ロシアの閉鎖都市 Zheleznogorsk(旧 Krasnoyarsk‑26) において、核兵器関連産業から民生・商業分野への移行を促進するために設置された International Development Center(IDC) の役割と成果を報告している。IDC は、米露協力による MPC&A(核物質防護・管理・計量管理)支援プログラムの周辺事業として、地元企業向けの技術移転・ビジネス支援・企業育成インフラを整備し、核関連施設への依存を低減しつつ地域経済の自立性を高める枠組みを提供している。IDC の活動には、企業トレーニング、国際市場参入支援、中小企業インキュベーション、米露共同事業化支援が含まれ、核都市の社会経済安定を確保することで、間接的に 核不拡散・保障措置の信頼性向上にも寄与している。(PNNL, SNL, DOE, International Development Center, Zheleznogorsk)

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