日本核物質管理学会Institute of Nuclear Materials Management (INMM) Japan Chapter

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INMM米国年次大会論文集(1971年)

メンター部会の活動の一環としてINMM米国年次大会におけるProceedingタイトルリスト(日本語訳付き)の1971年分を作成しました。

タイトル、著者のほかに、タイトルだけではよくわからない専門用語や略号を日本語で補足した備考欄(訳注、補足・コメントなど)を付加しましたので有効活用いただければ幸いです。

 

Sub-Volume End-marker Title/タイトル Authors 備考
(訳注、補足・コメントなど)
A REVIEW OF PROCEDURES FOR SAFEGUARDING AND ACCOUNTING FOR SPECIAL NUCLEAR MATERIALS W. C. Meier
特殊核物質の保障措置および計量管理手続きのレビュー
― 公認会計士による独立監査手法と主要監査ステップの概要
(*)特殊核物質(SNM)の管理者が行う手続きに対し、公認会計士が実施するレビュー(監査)の観点と手順を整理した報告である。ある政府契約向け部材製造企業で、核物質管理手続きの独立レビューを依頼され、主要な監査ステップを提示している。目的は、当該施設におけるSNMの保障措置・計量管理手続きが妥当で十分であると結論づけられるかを明らかにすることである。(Price Waterhouse & Co.(米国の会計事務所))
A UNIVERSITY-BASED PSYCHOLOGICAL-SCIENTIFIC-POLITICAL ANALYSIS OF SAFEGUARDS R. B. Leachman, D. W. Brady
心理・科学・政治の学際アプローチによる保障措置分析
― 人間要因に基づく転用リスク評価、監視有効性向上計算、関係者意識の定量調査を統合した大学的学際研究
(*)核物質保障措置の成否には、人間の行動特性や心理的要因など「ヒューマンファクター」の精確な理解が不可欠である。カンザス州立大学のDiversion Safeguards Programでは、関係者の意識・態度を定量的に把握する調査研究や、燃料サイクル全体での監視有効性向上計算を進めている。これら心理・科学・政治学的アプローチを統合し、潜在的な転用者の特徴分析、プルトニウム分析法の改善、国家間核合意形成過程の研究など、人間要因を基軸とした総合的保障措置評価を試みている。(Kansas State University)
ACCIDENTAL LOSSES, WRITE-OFFS, NORMAL OPERATING LOSSES AND MATERIAL UNACCOUNTED-FOR Edwar Owings
事故起因の損耗・除却量・通常運転に伴う不可避損耗および未計上核物質(MUF)
― 核物質量差異の原因分析と再発防止に向けた計量管理上の対応
(*)核物質計量管理において、事故起因の物理的損耗・除却処理量・通常運転に伴う不可避損耗・未計上核物質(MUF)といった量差異が発生した場合、まずは冷静に原因究明に着手すべきである。これらの差異は、物理的減量と帳簿在庫との差異(MUF)が区別される必要があり、それぞれの発生メカニズムを体系的に分析し、どの区分に該当するかを精確に判別することが求められる。原因分類に基づき、運転管理・計量管理手法の改善を行い、再発防止を図ることで核物質管理システムの信頼性を高めることが重要である。(Union Carbide Corporation, Oak Ridge Y‑12 Plant)
AN EVALUATION OF ROCKY FLATS PASSIVE WASTE/SCRAP ASSAY SYSTEMS R. A. Harlan, R. N. Chanda, R. A. Deal
ロッキーフラッツにおけるパッシブ型廃棄物・スクラップ評価(アッセイ)システムの検討 (*)要旨・本文とも非公開
Calculated Inventory Difference – A Potential Safegaurds and Material Control Technique L. T. Hagie, W. Marcuse, D. C. Wadekamper
計算在庫差(CID)による核物質管理・保障措置手法の評価
― 混合酸化物燃料製造工程における工程別物質収支計算と残留量推定による管理精度向上の検証
(*)計算在庫差(Calculated Inventory Difference: CID)を核物質管理・保障措置の新たな管理手法として活用するため、混合酸化物燃料(UO₂–PuO₂)製造ラインの各工程に対し、工程ごとの入出量から物質収支を算定した。燃料製造キャンペーンごとに設備を完全清掃し、各工程に残留すると計算される核物質量を CID として評価する方式により、工程別の核物質滞留・残留の把握精度向上が確認された。酸化物重量基準および SS-weight(酸素・水分補正後の金属量)の二系列で CID を算定することで、計量管理の精度を高め、保障措置強化に応用できる可能性が示された。(GE, BNL)
CONTRIBUTIONS TO NATIONAL AND INTERNATIONAL SAFEGUARDS PROGRAMS BY INDEPENDENT TECHNICAL AUDITORS Douglas E. George
独立技術監査者による国内・国際保障措置プログラムへの貢献
― 保障措置(政治的要求)と計量管理(経済的要求)の橋渡しによる制度信頼性向上の役割
(*)保障措置(Safeguards)と核物質計量管理(Materials Accountability)には性質の違いがあり、前者は政治的要請、後者は経済的要請によって動機付けられる、と一部専門家が指摘している。独立した技術監査者(Independent Technical Auditors)は、この二つの要求領域に橋渡し役として関与し、国内および国際保障措置に対する信頼性向上に寄与できる。技術監査の導入により、透明性・客観性・制度的信頼性が強化され、国家および国際レベルでの保障措置プログラムの健全性確保に資する。(Nuclear Surveillance & Auditing Corp.(Rockville, Maryland))
ESTABLISHING A FAVORABLE SAFEGUARDS CLIMATE WITHIN A NUCLEAR FACILITY Curtis A. Colvin, Donald F. Shepard
原子力施設における良好な保障措置環境(Safeguards Climate)の確立
― 職員の意識醸成・統計専門性の活用・データ取得の信頼性向上による実効的な保障措置運用
(*)保障措置プログラムの有効性は、技術開発だけでなく、現場職員が保障措置の価値と重要性を理解し、主体的に協力する“良好な環境づくり”に大きく依存する。統計解析やデータ取得に関する専門性をもつ技術者(例:統計担当者)の適切な役割設定と能力確保が、実効性のある保障措置運用の鍵となる。ラボ標準やレフェリー試験によるデータ取得の正確性・一貫性の保証を通じて、施設内での保障措置文化(Safeguards Climate)の確立が促進される。(Atlantic Richfield Hanford Co., Separations Chemistry Laboratory)
EXPERIENCE IN INDUSTRIAL APPLICATION OF ALPHA DECAY HEAT MEASUREMENT FOR SAFEGUARDING PLUTONIUM P. Kurz
プルトニウムの保障措置に向けたアルファ崩壊熱測定の産業的応用経験 (*)要旨(Abstract)・本文ともに非公開。(Alpha‑Chemie und Metallurgie GmbH )
FEASIBILITY TESTS OF A COMMERCIAL RADIOGRAPHIC LINAC FOR NUCLEAR MATERIALS ASSAY L. A. Kull, G. M. Reynolds
核物質非破壊アッセイに向けた市販放射線撮影用直線加速器(linac)の実用性評価
― 電子エネルギー安定性・再現性など NDA 要求性能に対する市販加速器の適合性検証
(*)市販の可変エネルギー型スタンディングウェーブ電子直線加速器(radiographic linac)を用いて、特殊核物質の非破壊測定(NDA)に適用可能かどうかを評価するため、制動輻射による光核反応を用いたアッセイ手法の実験テストを実施した。測定では、電子エネルギースペクトルの安定性、エネルギー変更後の再現性、電源停止後のスペクトル再現性など、NDA の性能を左右する加速器パラメータの適合性を重点的に検証した。テストの結果、市販 linac が NDA 用途に必要な性能要求を十分に満たす可能性が示され、Safeguards 技術への応用の実現性が支持された。(JRB Associates, Inc.、BNL他)
FIELD EXPERIENCE IN NUCLEAR MATERIAL ASSAY USING THE GULF TRANSPORTABLE ASSAY SYSTEM R. O. Ginaven, V. D. Naliboff, G. D. Trimble
Gulf 移動型アッセイシステムを用いた核物質評価の現場経験 (*)要旨・本文ともに非公開。(Gulf Radiation Technology; 関連する Gulf Radiation Technology の公式技術報告(GAMAS システムの現場運用報告) が複数公開されている。)
GENERATION OF A MEASUREMENT CATALOG FOR SAFEGUARDS S. C. Suda, W. Marcuse, L. A. Kull
保障措置のための計測技術カタログの作成
― 化学分析・NDA手法の適用性・測定精度・制約条件を体系化した計測手法選定支援
(*)特殊核物質の保障措置では、化学分析や非破壊測定(NDA)など多数の計測手法が乱立し、材料形状・容器サイズ・化学形態など多様化により、技術者が最新技術を把握する負担が増大している。燃料製造事業者などの現場では、各計測法の適用性・精度・限界(自己吸収、試料配置、補正法、干渉元素、前処理など)を迅速に評価し、合理的に計測手段を選択できる基盤が必要である。 そこで、保障措置に使用可能な計測技術の性能・特性・制約条件を体系的に整理した「計測カタログ」を作成し、計測法評価と技術選択の判断を支援することが目的とされる。(BNL, JRB Associates, Inc.)
Identification and Handling of Some Simple Covariance Effects in Material Balance Accounting R. J. Parsick
核物質バランス計量における単純な共分散効果の識別と取扱い
― 静的在庫などの共分散要因が MUF 不確かさに与える影響の整理と IEMUF低減に向けた評価
(*)核物質計量管理で用いられる MUF(Material Unaccounted For)の不確かさ(Limit of Error of MUF)は、通常は各項目が統計的に独立であると仮定して計算されるが、実際には在庫項目が複数の計量値に重複して現れるため、共分散が発生する場合がある。論文では最も基本的な共分散の発生源(例:期首・期末在庫に同一物品が含まれる静的在庫)を取り上げ、これが MUF 計算に与える影響を数値例で示し、共分散を考慮することで IEMUF(MUF 不確かさ限界)が有意に減少しうることを示している。共分散効果の完全解明は複雑であるが、短期間のマテリアルバランスでも共分散の無視は成立せず、施設規模・在庫方針・測定頻度に応じて MUF 不確かさを過大評価または過小評価し得るため、適切な取扱いが必要であると指摘している。(BNL)
Impact of NPT on Private Industry David J. Haymon
NPT(核不拡散条約)が民間核燃料産業に与える影響
― 国際保障措置による戦略核物質管理強化と民間燃料加工企業への運用上の負担増大
(*)民間核燃料加工企業にとって、NPT(核不拡散条約)の影響は当時「付加的混乱(added confusion)」として認識され、条約の意図と民間産業の業務との関係が直感的に理解しにくかった。産業界は核兵器そのものを製造しないが、核兵器開発を抑止するために戦略核物質へのアクセスを制限する国際的枠組みとしての国際保障措置(International Safeguards)が稼働し、これが民間燃料加工企業の運用に直接的な影響を与えるようになった。その結果、加工施設は国際的検証・管理手続きへの対応が必須となり、核物質管理の要件が厳格化し、民間企業の運用負荷が増大することが産業側の主要な関心・課題となった。(WEC)
INTERNATIONAL SAFEGUARDS AND DOMESTIC SAFEGUARDS UNDER THE PRESIDENT’S OFFER John F. Mahy
大統領提案における国際保障措置と米国内保障措置
― IAEA 保障措置と米国国内制度の重複回避と独立性確保に向けた運用上の課題整理
(*)「大統領オファー(President’s Offer)」により、IAEA が米国国内で国際保障措置を適用する可能性が現実的となり、その背景・制度的位置づけ・準備状況を理解することが重要であると指摘している。産業界と政府との非公式協議では、国際保障措置(IAEA)と米国内保障措置(AEC)の位置関係が主要論点となり、重複を避けつつも双方の独立性を維持する必要があるとの認識が共有された。論文は、両者がどのようにインターフェースし、米国内の核施設に適用される際にどのような制度調整・運用面の工夫が必要になるかを検討している。(US AEC)
INVENTORY CONTROL – THE FINANCIAL SIDE OF THE PROBLEM D. C.Samuelson
核物質在庫管理 ― 財務面から見た課題
― SNM の資産計上・資本拘束コストを含む新たな在庫管理要件の浮上
(*)民間による特殊核物質(SNM)所有が始まったことで、SNM 在庫を財務資産として評価し、企業の貸借対照表に計上する必要が生まれ、従来の「量管理中心」の会計とは異なる新たな次元が加わった。SNM 在庫に結びつく資本拘束(time-value of money)が企業財務に影響を与えるため、在庫価値の管理と資金効率性が核物質管理の重要な課題として浮上した。これらの変化は、従来の契約ベースのコスト集計方式から、財務会計・資産管理も含めたより包括的な SNM 在庫管理体系への移行を求めるものである。(Price Waterhouse & Co.)
LIMIT OF ERROR CALCULATIONS USED IN INTEGRATED SAFEGUARDS EXPERIMENT Charles N. Smith
統合保障措置実験に用いられた限界誤差(LE)計算
― MOX 製造工程の物質収支確立に向けたNDA・化学分析データの不確かさ評価と統合
(*)統合保障措置実験(Integrated Safeguards Experiment: ISE)は、混合酸化物燃料(MOX)製造ラインでの物質収支を確立するため、非破壊測定(NDA)と化学分析を組み合わせた多様な測定データを用いて「限界誤差(Limit of Error: LE)」を算定した。LE 計算では、供給材・製品・スクラップ・廃棄物の四つの主要物質フローに対し、試料採取、前処理、溶解、分析過程のばらつきおよび重量測定誤差など、測定系が抱える不確かさを統合して評価した。LE を精密に算出することで、ISE における測定ベースの物質収支(Measured Material Balance)の信頼性が大きく向上し、NDA 技術(カロリメトリ・中性子同時計数法など)の保障措置適用における有効性を示す結果となった。(National Bureau of Standards(米国国立標準局))
NEUTRON INTERROGATION OF LOW-SPECIFIC-ACTIVITY WASTES WITH A REACTOR R. A. Harlan, D. R. Carwright
低比放射能(LSA)廃棄物の炉中性子照射による核物質評価
― 研究炉を用いた 1~10 mg レベルの微量プルトニウム検出の可能性評価
(*)Rocky Flats で発生する低比放射能(LSA)廃棄物ドラム中に、数 mg レベル(1~10 mg)のプルトニウムが混入していないことを確認するため、研究炉の中性子場を用いた中性子照射(interrogation)による検出可能性を評価した。LSA 廃棄物は核物質計量管理上は重要量ではないが、誤投入や秘匿配置を防ぐ保障措置上、また廃棄時の環境安全上、微量プルトニウムの確実な検知が必要であり、従来の廃棄物向け NDA では対応できない領域が存在していた。炉中性子を用いた活性化反応(主に核種 239Pu の中性子捕獲 → 誘導放射線測定)により、1~10 mg の極微量プルトニウムでも検出可能であることを計算により示し、初期の実証試験結果も報告された。(Rocky Flats Division(Dow Chemical Co.))
NUCLEAR MATERIALS CONTROL SYSTEM IN A MULTI-ENRICHMENT PROCESSING PLANT T. J. Collopy
多濃縮度ウラン加工施設における核物質管理システム
― Hematite 工場のUF₆転換・ウラン化合物生産工程を対象とした在庫計量管理モデル
(*)本論文は、United Nuclear Corporation の Hematite(ミズーリ州)多濃度ウラン加工施設で運用されていた核物質管理システムを紹介し、UF₆ の転換工程から各種ウラン化合物製造までの全量管理体制を詳細に説明している。同施設は月間約 2,700 kg U‑235(約 3,000 万ドル相当) を扱い、週あたり約 140 kg U‑235 が移動するため、在庫の計量管理・記録・報告を統合した管理機構が不可欠であり、品質管理部門の下で核物質管理・製品管理・統計管理を一元化していた。管理の中心は、在庫差異の最小化と取引・在庫移動の即時把握にあり、未照射ウラン(高濃縮・低濃縮)の多工程処理施設に適用可能な汎用的核物質管理モデルとしての有用性が示されている。(United Nuclear Corporation)
NUCLEAR MATERIALS SAFEGUARDS – A UTILITY VIEWPOINT R. R. Dlesk
核物質保障措置 ― 電力事業者の視点
― 原子力発電所の運転効率を損なわず、実効的かつ経済的な保障措置を実現するための課題と提言
(*)本論文は電力会社(Commonwealth Edison)の立場から、保障措置の実効性と経済性を両立させるために必要な考え方や改善提案を示しており、特に運転側が感じる実務的課題と要望が整理されている。Commonwealth Edison の長期的な原子力導入の経緯(Dresden 1〜3)を踏まえ、民間電力会社の視点から「安全で信頼性の高い運転を妨げず、それでいて保障措置上十分な透明性を確保する仕組み」が必要と強調している。ユーティリティ側は過度な負担・重複を避けつつ効率的な核物質管理を望んでおり、産業界と保障措置当局の継続的な協調が不可欠であると結論付けている。(Commonwealth Edison Company)
REMARKS AT INSTITUTE OF NUCLEAR MATRIALS MANAGEMENT C. D. W. Thornton
End(1) 核物質管理への警鐘 ― 測定の量・質・コストを再設計し、研究成果の現場適用と標準化で実効性を取り戻す(INMM会合での所感) (*)米国における核物質保障措置は測定件数が少なく、測定品質も不十分で、しかも高コストであり、国民に対して「核物質が適切に管理されている」という信頼を与えられていないと指摘している。産業界も含めて測定技術の研究開発を強化すべきであり、AEC が実施する研究開発もより的確に企画され、実効性を持った現場適用が求められると述べている。保障措置コストを電力価格に適切に反映させ、管理者に対して「保障措置義務を果たすインセンティブ」をもたせるため、トップマネジメント評価基準や標準設定の強化などを提案している。(US AEC)<NPTを受けた国際保障措置の国内受入れ設計(President’s Offer)、“測定に基づく物質収支”の全施設実装、民間側の負担増への配慮――これらが“測定の量・質・コスト”、標準化、R&Dの現場適用というThorntonの提言を必然化した。>
Remarks of Delmar L.Crowson Director, Office of Safeguards and Materials Management, USAEC at the 12th Annual Meeting Delmar L.Crowson
核物質保障措置の再構築 (INMM第12回年次大会におけるCrowson局長の講演)
― 脅威の変化に対応する“動的制度”への転換と全施設での測定主導管理の確立
(*)Crowson は、保障措置の目的は“不正転用の防止”であり、制度は脅威の変化に対応した“動的システム”でなければならないと強調した。
昨今は国家レベルの核兵器取得だけでなく、国内の過激派による破壊・武力攻撃の脅威が現実化しており、物理的防護と監視強化を急務と位置づけた。AEC は すべての施設で“測定に基づく物質収支(Measured Material Balance)”の達成を目標に掲げ、これを米国国内保障措置の新たな基盤とすべきだと述べた。(US AEC)
SAFEGUARDS PERSONNEL MONITOR G. J. Cunningham, J. L. Martines
保障措置人員モニタの開発
― プルトニウム取扱施設における高速・高感度な携行核物質検知システム
(*)Rocky Flats では、作業員がプルトニウムを意図的または偶発的に携行して施設外へ持ち出す事態を防止するため、高速応答・高感度の放射線スキャンを行う人員用保障措置モニタ(Personnel Safeguards Monitor)を開発した。システムは 大型プラスチックシンチレータ(γ・中性子両応答) と、時間平均バックグラウンドとの統計比較を行う積分型アラーム判定器を組み合わせ、作業員が走って通過しても検知可能な高速性を備えている。実験では 0.5 g 未満の Pu-239 を薄い真鍮で遮蔽した状態でも検知可能であり、プルトニウム取扱施設における「出口管理(exfiltration detection)」のための実用的な保障措置装置として成立することが示された。(Dow Chemical Company, Rocky Flats Division)
SOURCES OF ERROR IN THE ANALYSIS OF PLUTONIUM Robert P. Larsen
プルトニウム分析における誤差要因
― 保障措置・核物質管理の信頼性を揺るがす構造的課題
(*)要旨・本文ともに非公開。
THE ARGONNE SAFEGUARDS TRAINING PROGRAM A THREE YEAR HISTORY* Manuel Kanter
アルゴンヌ保障措置訓練プログラムの3年間
― 核物質管理・計量管理を支える人材育成基盤の確立
(*)アルゴンヌ保障措置訓練プログラムは 1968〜1971 の 3 年間で 国内外の政府・産業界から 200 名以上を育成し、基礎教育から高度専門ワークショップまで体系的な人材育成を構築した。重点は、新規参入者の教育から、既に現場で働く実務家が最新技術を習得し協働的に問題解決する実践的訓練へと発展し、核物質管理の水準向上に寄与した。さらに、大学・教育機関への 保障措置教育の導入 も開始し、将来の専門家育成に向けた教育基盤拡大という“制度的変化”に踏み出した。(ANL)
THE IMPACT OF THE NPT SAFEGUARDS AGREEMENT ON THE SAFEGUARDS OPERATIONS OF THE IAEA Slobdan Nakicenovic
NPT 保障措置協定が IAEA の保障措置運用に与える影響
― 包括的保障措置体制への移行がもたらす技術的・制度的課題
(*)NPT の発効により、IAEA 保障措置は国際的適用範囲の拡大と、より厳密な核物質管理を必要とする新たな制度段階に入り、従来の部分的保障措置から包括的保障措置へと大きく転換することになった。原子力利用の拡大に伴い、核物質の流通量が増大する一方で、その危険性も高まっており、NPT 保障措置の実施は新たな技術的・運用的課題を生み、締約国の協力なしには実効性が確保できないと指摘されている。NPT は保障措置義務だけでなく、平和利用分野での国際協力促進という二本柱を持ち、IAEA の保障措置運用は今後、これら両立目標に対応する体制強化を求められると論じられている。(IAEA)
The Need for Experimental Data for LEMUF Calculations Raymond J. Parsick, L. Green, S. Suda, Cesar Sastre
LEMUF(MUF 誤差限界)計算に必要な実験データ
― 核物質収支の誤差伝播評価を支える測定精度の要件
(*)LEMUF(Limit of Error of MUF)の計算は、物質収支を構成するすべての SNM 測定値の誤差を実験データに基づいて評価しなければならず、測定誤差の体系的・偶然的要素が誤差伝播の主要因となる。著者らは典型的な燃料加工施設を例に、測定項目、測定誤差(assay error)、誤差伝播の計算結果を示し、施設全体の LEMUF が個々の測定技術の精度に大きく依存することを定量的に示した。正確な LEMUF 評価には、試料採取、計量、分析、校正などすべての測定工程での実験的誤差データの蓄積が不可欠であり、保障措置上の MUF 評価の信頼性を左右する。(BNL)
THE NUCLEAR RADIATION MOLEHILL John W. Landis
放射能に対して”大げさに騒ぎすぎ”
― 過剰な恐怖と科学的リスク評価のギャップをめぐる所感
(*)Landis は、核放射線のリスクが世間で過度に誇張されており、本来はもっと冷静に扱われるべき“小さな問題”が巨大な不安として膨らんでしまっていると指摘する。社会の恐怖感や誤解は、科学的事実の理解不足や情報の歪曲によって助長されており、核技術の専門家は正確な知識を伝え、過剰反応を是正する役割を担うべきであると述べる。講演全体を通じて、放射線の問題を必要以上に“山”のように扱う風潮を戒め、科学に基づく合理的判断が原子力産業の健全な発展と社会的理解の基盤であると強調している。(Gulf General Atomic Company)
THE SAFEGUARDS VALUE OF ISOTOPIC CORRELATIONS R. A. Schneider, D. E. Christensen
End(2) 同位体相関がもたらす保障措置上の価値
― 使用済燃料の特性推定・申告情報検証に向けた相関分析の応用
(*)著者らは、燃焼度・同位体組成・Pu/U 比などの重元素同位体間の相関を利用すれば、燃料の履歴・組成・宣言情報を検証し、保障措置の信頼性を高められることを示した。同位体相関は、分析結果のクロスチェック、燃料特性の推定、宣言値の矛盾検出(例えば燃料のすり替えや誤申告)に有効であり、Hanford など既存施設での応用実績も紹介されている。これらの技術は燃料製造後から再処理投入までの工程に特に有用で、計測誤差の独立検証や補完的確認手法として国際保障措置へ適用可能であると結論づけている。(PNL)

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