日本核物質管理学会Institute of Nuclear Materials Management (INMM) Japan Chapter

会員ページ
MENU

INMM米国年次大会論文集(1967年)

メンター部会の活動の一環としてINMM米国年次大会におけるProceedingタイトルリスト(日本語訳付き)の1967年分を作成しました。

タイトル、著者のほかに、タイトルだけではよくわからない専門用語や略号を日本語で補足した備考欄(訳注、補足・コメントなど)を付加しましたので有効活用いただければ幸いです。

 

Sub-Volume End-marker Title/タイトル Authors 備考
(訳注、補足・コメントなど)
A SIMPLE METHOD FOR RESOLVING MINOR SHIPPER-RECEIVER DIFFERENCES D. T. Farney, K. C. Duffy
小規模な出荷者-受領者差の解消に向けた簡便な手法
― 核物質移転における測定値の差異を折半処理する「split-the-difference」方式の提案
(*)核物質の移転における小規模なshipper-receiver差(SR差)は、経済性から詳細調査に適さないが、累積すると大きな金額となり得る点が問題とされた。論文は、小さな差異を継続的かつ公正に解決する手法として、両者の測定値の中間値を採用する「split-the-difference(差分折半)」方式を提案した。この方式は実務的かつ簡便であり、多くの既存手法より公平性が高く、特に受領者側値が高い場合に双方に受け入れられやすいとされる。(General Dynamics Corporation)
ADDRESS by FRANCIS P. COTTER Vice President,Westinghouse Electric Corporation Francis P. Cotter
フランシス・P・コッター講演(ウェスチングハウス・エレクトリック社副社長)
― 核発電拡大に伴う国際保障措置体制の必要性と核物質管理専門家の役割
(*)講演では、急増する原子力発電導入量に伴い、国際的核物質保障措置システムの必要性が今後さらに高まることが強調された。AECの予測では核発電容量が継続的に上方修正されており、それに伴いプルトニウムおよびU-235が加工事業者の手に増加する状況が示された。核物質管理の専門家が今後果たすべき役割の重要性と、国際的な保障措置体制の構築への貢献が求められることが説かれた。(WEC)
AEC SAFEGUARDS COMMITTEE ACTIVITIES R.F. Lumb
AEC保障措置委員会の活動
― 特別核物質保障措置政策の独立評価パネルによる調査とその背景
(*)1966年8月5日、シーボーグ委員長は特別核物質の保障措置政策と手続を独立評価するため、アドホック諮問パネルをワシントンD.C.に招集した。パネルには保障措置に関わる多様な専門知識を有するメンバーが選定され、国内・国際の双方でAECの保障措置体制を体系的に評価する使命が与えられた。パネルの構成は、保障措置に影響を与える多岐にわたる分野を均衡よくカバーするよう配慮され、その重要性を示していた。(Western New York Nuclear Research Center, Inc.)
AN INDEPENDENT ACCOUNTANT’S EXAMINATION OF NUCLEAR MATERIAL INVENTORIES D. W. Christopher
核物質在庫に対する独立会計士による検証
― 特別核物質向け監査基準・内部統制評価・物理在庫確認手法の適用
(*)特別核物質を扱う施設において、独立した公認会計士が実施する在庫検証の役割と責任に関する基本的考え方が示され、一般に認められた監査基準の適用が説明される。内部統制システムの評価方法や、重要な管理ポイントに対する監査手続き(統計的サンプリングを含む)が、核物質特有のリスクに合わせて詳細に論じられる。監査人が行う物理的在庫確認のプロセスや技術的専門家の利用など、核物質在庫監査に固有の手法が整理されている。(Price Waterhouse & Co.)
BASIC FRAMEWORK OF NUCLEAR INSURANCE J.Y. Paulding
核保険の基本的枠組み
― 原子力法成立後の保険制度整備・核保険プールの形成・物的損害/第三者賠償の二本柱
(*)1954年原子力法により民間産業が政府所有の核物質へアクセスできるようになった一方で、核リスクに対する新たな保険制度の必要性が浮上した。1955年にAECは商業的核保険の可能性を検討する保険研究グループを設置し、核リスクは保険可能だが、非常に大きな賠償限度額が求められるため、個別企業ではなく核保険プール方式が適切であると結論された。核保険は「物的損害」と「第三者賠償」の2区分があり、それぞれNEPIA(株主会社)およびMAERP(相互会社)が設立され、核リスクと非核リスク双方をカバーする契約が提供されている。(Independent Consultant)
CURRENT STATUS OF REGULATIONS AFFECTING THE TRANSPORTATION OF SPECIAL NUCLEAR MATERIALS William F. Black
特殊核物質輸送に影響を与える規制の最新状況
― 連邦・国際規制の動向、Bureau of Explosives の役割、国際機関との協調による輸送安全確保
(*)論文は、放射性物質、特に核分裂性特殊核物質の輸送に関する連邦および国際規制の最新状況を概説し、その変遷と現場への影響をレビューしている。Bureau of Explosives の役割(輸送の安全確保、規制機関・運搬業者・製造者の支援)が説明され、組織構造や機能は大きく変わらず継続している点が示される。 国際原子力機関(IAEA)や国際航空運送協会等での主任検査官の活動にも触れ、輸送安全規制が国際的協調の枠組みに依拠して発展していることが強調される。(Association of American Railroads(全米鉄道協会))
DEVELOPMENT OF PORTABLE GAMMA SPECTROMETERS FOR SAFEGUARDS USE David M. Sheen, E. M. Shee
保障措置用携帯型ガンマ線スペクトロメータの開発
― 未照射燃料中²³⁵U測定に向けた可搬性・低消費電力・モジュール構成の高性能装置設計
(*)米国AEC国際局の保障措置業務(未照射燃料などに含まれる²³⁵Uの査察)向けに、携帯型・高性能のガンマ線スペクトロメータが新規に開発された。装置は高電圧電源・パルス増幅器・ゲイン安定器・単一チャネル波高分析器・計数システムなどをモジュール化し、低消費電力でも高い測定性能を確保するよう設計されている。ニッケルカドミウム電池駆動により長時間運転が可能で、堅牢なトランジットケースとともに現場使用を前提に実用性・可搬性を重視した構成となっている。(PNNL)
EUEATOM -A TEN YEAR EXPERIENCE IN SAFEGUARDS Ugo Miranda
Euratomにおける保障措置の10年の歩み
― 対象施設の拡大、データ管理体制の整備、検認手法の発展を中心とした制度的進化
(*)本論文は、1958年以降の10年間にわたり発展してきたEuratom保障措置制度の概要と、その法的基盤(Euratom条約に基づく規制体系)を説明している。保障措置の対象となる施設・核物質の種類と件数が10年間でどのように増加・変遷したか、その制度的・運用的な発展過程が整理されている。Euratom内部におけるデータ収集・処理システム、ならびに検認(インスペクション)に使用される技術的手法や手続きの整備状況が概説されている。(EURATOM)
NUCLEAR MATERIAL MANAGEMENT TRAFFIC, THAT IS Samuel Edlow
核物質管理における輸送(トラフィック)の意義
― 物質区分ごとの輸送条件、将来の輸送量予測、経済性を踏まえた輸送方式の最適化
(*)核燃料サイクルを通して扱われる複数カテゴリーの核物質について、それぞれ異なる輸送条件が要求される点を整理し、核物質管理における「輸送管理(traffic management)」の重要性を論じている。1970年代初頭および後半に輸送される各種核物質量の将来予測を示し、増加する輸送規模への対応課題を指摘している。輸送手段の選択は、核物質の経済的価値・金利・輸送コストとの関係で最適化が必要であると説明し、実際の輸送例を基に費用構造を比較している。
NUCLEAR MATERIALS AUDITING AS A PROFESSION S. L.Reese
核物質監査という専門職
― 実在庫検認・分析手法評価・工程妥当性確認を含む高度専門領域としての監査制度整備の必要性
(*)核物質監査は帳簿記録の確認だけでなく、未照射燃料や各種形態の核物質在庫の実測検認、分析・測定技術の評価、工程の合理性確認まで含む高度な専門業務であると位置づけられる。有意な核物質損失や計量差の妥当性を判断するため、化学、化学工学、核物理、統計、会計を横断する高度な技術的能力が必要であり、専門監査人の育成が強く望まれている。 米国には核物質監査の資格認定制度がまだ存在せず、INMMがAECの認証を受けた核物質監査人制度の整備を主導すべきであると提案している。(Nuclear Safety Associates)
NUCLEAR MATERIALS CONTROL IN A MULTI-JOB CONVERSION AND FABRICATION PLANT James E. Lovett
マルチジョブ型転換・加工工場における核物質管理
― 多様な受注の並行処理、実在庫検認と精緻な記録体系、廃棄物・スクラップ管理の実務課題
(*)NUMEC(Nuclear Materials and Equipment Corporation)は、ウランおよびプルトニウムを扱う複数の受注(マルチジョブ)型転換・加工施設を運営しており、高濃縮・低濃縮・劣化ウランなど多様な規模・性状のジョブが並列に進行している。数百万ドル規模の核物質在庫を管理するため、専任部門が保管庫の維持、受払・内部移動の計量確認、半期ごとの実在庫検認、ダブルエントリー記帳体系など精緻な核物質管理体制を構築している。燃焼性廃棄物や低回収性スクラップの管理など、実務上しばしば課題となる領域についても具体的な対策と手続きが提示されている。(NUMEC)
NUCLEAR MATERIALS MANAGEMENT AT NUCLEAR FUEL SERVICES, INC. S. C. Suda
Nuclear Fuel Services社における核物質管理
― 再処理工程の計量管理体系・初期運転実績・ロット処理特性に基づく管理手法
(*)本論文は、民間運営の使用済燃料再処理施設における核物質管理の範囲を概説し、再処理工程の特徴と計量管理(測定)体系の構成を説明している。稼働初期3キャンペーンの実績から測定体系の信頼性が評価され、1966年の操業開始後1年間で126トンの低濃縮ウランを回収した実例が示されている。再処理施設特有の核物質管理上の特徴として、事前指定ロット単位の処理、大量の工程内ホールドアップ、遠隔計測主体のバッチ測定、頻繁なロット末実在庫検認が挙げられている。(Nuclear Fuel Services, Inc.)
PLUTONIUM HANDLING FACILITIES AND PHILOSOPHY AT ATOMICS INTERNATIONAL L. J. Jones
Atomics International におけるプルトニウム取扱施設と運用理念
― 安全機能(空気処理・監視・封じ込め)と多様なPu材料への柔軟対応性を備えた専用施設設計
(*)Atomics International は、約12,500平方フィート規模のプルトニウム取扱施設を私費で建設し、核燃料加工能力の重要な拡充を達成した。同施設は一般的な商業用研究施設の要求に加え、プルトニウム特有の空気処理・連続監視・封じ込めといった高度な安全要件を満たすよう設計されている。設計方針として、多様なPu合金や化合物の加工ニーズに柔軟に対応できる「組み込みの可変性(flexibility)」が重視されている。(Atomic International)
PROCEDURES FOR SAFEGUARDS INSPECTION OF REACTOR FACILITIES C. Buchler
原子炉施設における保障措置査察の手順
― 報告情報の正確性確認とIAEA査察官による適合性判断・離散査察の運用要件
(*)保障措置における「査察」は最重要要素とされるが、制御システム全体の一部であり、報告情報が実際の核物質・施設の状態を正しく反映しているかを確認する手段である。IAEA査察官は協定で定められた保障措置条件への適合性を判断し、必要に応じて全ての関連資料・施設・担当者へのアクセスが求められる。査察は「常駐査察」と「離散的査察」に区別され、本稿では主に離散的査察に焦点を当てつつ、両者の基本的な違いにも触れている。(IAEA)
PROCESS VESSEL CALIBRATION, A TOOL FOR CONTROLLING MATERIAL UNACCOUNTED FOR (MUF) Louis W. Doher
プロセス容器校正によるMUF管理手法
― 容器体積データ比較による未回収核物質の推定と固形物蓄積量評価の迅速化
(*)核燃料処理施設のプロセス容器内に蓄積する未回収核物質を特定・定量するため、容器体積のコンピュータ化校正データを比較する手法が提示されている。時間推移と処理量に伴う容積差を分析し、固形物の堆積量を推定できるため、未計上物質(MUF)の原因究明と回収可能性の迅速判断に資する。 今後の改善として、リアルタイムの計測データ処理を可能にする計算機利用の高度化が提案されている。(Rocky Flats Plant, Rockwell International)
Remarks by John V. Vinciguerra Assistant General Manager for Administration U.S. Atomic Energy Commission Before the Institute ofNuclear Materials Management John V. Vinciguerra
INMM年次会合におけるJohn V. Vinciguerra氏の所感
― 核物質管理から保障措置への移行とAEC内部組織再編に伴う役割変化
(*)講演では、核物質管理(Materials Management)から「保障措置(Safeguards)」への呼称転換など、核物質管理の位置付けが変化しつつある状況が述べられている。 1966年に核物質管理部門を所掌した著者は、この1年間で制度の複雑さと重要性を理解し、同部門の責任が新たな組織へ移管されることを説明している。核物質管理は地味で困難な職務だが、近年その社会的評価が向上しており、AECとしてもその役割を高く評価している点を強調している。(US AEC)
REPORT OF JNMM AD HOC COMMITTEE ON SAFEGUARDS E. R.Johnson
INMM臨時保障措置委員会報告
― 民生用核施設の保障措置基準・手続き整備に向けた課題認識と制度化への提言
(*)1966年のINMM年次会合を受けて設置された特別委員会(Ad Hoc Committee on Safeguards)が、特に「民生用核施設および特殊核物質の保障措置に必要な具体的基準と手続き」の策定に向けた検討状況を報告している。当時の議論の中心となったのは、国際保障措置の一般論を越えて、より実践的・技術的な標準化の必要性であり、この課題は議会側(例:John T. Conway氏)からも強調されていた。委員会は、核不拡散体制を支えるために、保障措置の手続きや基準を国際的に調和させる必要性を明確にし、今後の制度構築に向けた方向性を提示している。(INMM)
SINB INTERESTS IN TRAFFIC OF RADIOACTIVE MATERIALS Robert H. Gifford
放射性物質輸送に対する南部州間原子力委員会SINBの関心
― 規制・交通課題・市場動向とSINE(SINB)地域における原子力発電拡大に伴う輸送管理の重要性
(*)南部州間原子力委員会(Southern Interstate Nuclear Board:SINB)は、規制・手続き・市場動向・交通課題・補償制度・保健物理を含む放射性物質輸送への地域的関心を強調している。 SINE(SINB)地域では原子力発電の導入が急増し、その結果、核燃料サイクル全般における責任・需要・輸送管理の重要性が高まっている。 SINBはAECとの協力や会議開催などを通じ、電力会社や地域産業に向けた情報提供・支援を行い、放射性物質輸送問題への体制整備を進めている。(Southern Interstate Nuclear Board(南部州間原子力委員会))
THE PREREQUISITES FOR EFFECTIVE INTERNATIONAL SAFEGUARDS Fernand Spaak
End(1) 効果的な国際保障措置の前提条件
― 欧州6か国における多国間保障措置の10年経験からみる成功要因と協力体制
(*)著者はEuratom委員会による10年間の保障措置経験を基に、多国間保障措置が成功した要因を振り返っている。かつて戦争状態にあった欧州6か国(フランス、西独、イタリア、ベネルクス3国)が共同で保障措置制度を構築し、運用に成功したことを強調している。その成功を支えた条件(参加国間の信頼、制度的枠組み、国際協力の姿勢)が、効果的な国際保障措置に不可欠な要素であると述べている。(Euratom)
THE ROLE OF NUCLEAR MATERIALS MANAGEMENT IN NUCLEAR SAFETY AT THE BATTELLE COLUMBUS LABORATORIES Harley L.Toy
バッテル社コロンバス研究所における核安全に対する核物質管理の役割
― 特殊核物質の計量・管理と核安全プログラムの整合性および研究組織としての運用体制
(*)Battelle Columbus Laboratories における核安全プログラムの実施に、核物質管理(NMM)がどのように貢献しているかを説明している。核物質管理の主要目的である「特殊核物質の正確で効果的な計量・管理」と核安全との整合性・両立性が強調される。Battelle Memorial Institute の成り立ちや研究活動の広がりを紹介し、それらが核安全と核物質管理の枠組みにどのように関与しているかを位置づけている。(Battelle Memorial Institute)
THE USE OF GAMMA SPECTROMETRY IN INTERNATIONAL SAFEGUABDS D.C.Tubbs
国際保障措置におけるガンマ線分光法の利用
― 単一チャネル分光計による燃料形態別の非破壊定量・定性評価と在庫検認への適用
(*)USAEC は約3年間、国際保障措置検認のために単一チャネル型ガンマ線スペクトロメータを使用してきた。これらの装置は、燃料板・粉末・燃料要素などに対して定量的な非破壊測定データを提供し、在庫確認に有効であった。スクラップや混合物(例:IX-ThO₂、UF₆-HF溶液)など多様な形態について、定性的評価にも利用され、保障措置検認の実務に貢献した。(US DOE)
TRANSPORTATION EXPERIENCE AT BATTELLE-NORTHWEST UNDER REVISED USAEC AND DOT REGULATIONS C. L. Brown
改訂USAEC・DOT規制下におけるBattelle-Northwestの輸送経験
― 新規制適合のための輸送容器承認取得・設計更新および核分裂性物質輸送体制の整備
(*)Battelle-Northwest は、新しいUSAECおよびDOT規則に適合するため、核分裂性物質輸送の審査制度を整備し、2年以上運用してきた。既存のBureau of Explosives(B.E.)認可容器の使用期限が迫る中、DOT認可取得のための適合性証明や新型容器の設計・試験が喫緊の課題となった。BNWは複数のDOT認可済み輸送容器の設計・評価を進め、今後の核分裂性物質および照射済燃料輸送に備える計画を提示している。(Battelle Memorial Institute(Battelle-Northwest))
U.S. INTERNATIONAL SAFEGUARDS SYSTEM J. J. Downing
End(2) 米国の国際保障措置システム
― IAEA・ユーロアトムとの制度的役割分担と米国二国間保障措置の位置付け
(*)国際保障措置に携わる専門家として、これまでの成果と今後の課題を紹介している。当時、保障措置を実施していた三つの主要国際機関(IAEA、Euratom、米国の二国間保障措置)の枠組みを整理している。著者は、米国が実施してきた二国間保障措置制度の特徴と国際機関との関係性を説明している。(USAEC)

資料集