日本核物質管理学会Institute of Nuclear Materials Management (INMM) Japan Chapter

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INMM米国年次大会論文集(1965年)

メンター部会の活動の一環としてINMM米国年次大会におけるProceedingタイトルリスト(日本語訳付き)の1965年分を作成しました。

タイトル、著者のほかに、タイトルだけではよくわからない専門用語や略号を日本語で補足した備考欄(訳注、補足・コメントなど)を付加しましたので有効活用いただければ幸いです。

 

Sub-Volume End-marker Title/タイトル Authors 備考
(訳注、補足・コメントなど)
AEC DEVELOPMENTS IN MATERIALS MANAGEMENT  Douglas E. George
核物質管理におけるAECの施策動向
― 産業界との商業的関係の確立とサプライ契約を中心とした制度改善の課題
(*)AECおよび核物質管理部門が進めている主要施策について概説し、その中でも産業界とAECの関係をより商業的かつ自立的なものへ移行させるための取り組みが強調された。特に、前日に紹介された「AECサプライ契約(Supply Agreement)」が、産業界とAECの関係を大きく前進させる画期的措置であると位置づけられた一方で、それを補完すべき「標準リース契約(Standard Lease Agreement)」との差異が未解消である点が指摘された。こうした政策的・制度的調整を含め、核物質管理の効率化と産業界の自律性向上に向けたAECの取り組みを紹介し、実務者の業務改善に資する展望が示された。(US AEC)
BRIEF REVIEW OF THE INTERNATIONAL SYMPOSIUM HELD IN ALBUQUERQUE, NEW MEXICO  R.L. Delnay
アルバカーキ国際シンポジウムの概要報告
― 放射性物質の包装・輸送に関する国際的議論と規制動向の共有
(*)本稿は、ニューメキシコ州アルバカーキで開催された「放射性物質の包装と輸送に関する国際シンポジウム」の主要内容を要約したレビューである。シンポジウムで扱われたテーマには、包装基準、輸送安全性、各国規制の動向などが含まれ、参加国間での情報交換が行われた。本レビューは、当該シンポジウムの議論点を簡潔に紹介し、核物質輸送に関する国際的知見をINMM参加者へ共有することを目的としている。
Comments Concerning the AEC Supply Agreement Charles A. Keller
AECサプライ契約に関する所見 ― 契約締結状況・濃縮ウラン供給実績に基づく制度運用の概要 (*)本講演はAECサプライ契約について、講演者が自由に論点を選び解説したもので、まず契約締結・供給実績に関する統計情報が提示された。1965年4月時点で11件のサプライ契約が締結され、17施設を対象としており、93%濃縮ウラン約1716 kg・10%濃縮ウラン約10.5 kgの注文を受け付けていた。発送実績として、93%濃縮ウラン570.9 kgおよび10%濃縮ウラン10 kgが出荷済みであり、この契約制度の運用状況を実務者向けに概説することが本講演の主旨であった。(UA AEC)
ECONOMIC ASPECTS OF NUCLEAR DESALINATION C. C. Burwell
原子力海水淡水化の経済的側面
― 米国西部の水不足と二目的原子力淡水化プラントのコスト競争力評価
(*)米国ではアリゾナ、カリフォルニアで深刻な水不足が進行しており、新規水資源開発のコストが高騰している。原子力を利用した大規模な「電力・淡水の二目的(dual‑purpose)脱塩プラント」は、代替水源として有望な経済性を持つ。 原子力プラントのコスト優位性を最大限に活かせば、将来の世界的な水需要の相当部分を経済的に賄える可能性が高い。(ORNL)
INSTITUTE OF NUCLEAR MATERIALS MANAGEMENT MEETING S. C. T. McDowell
INMM年次会合報告
― 新設分科会による燃料・輸送標準化の進展とASAとの協働強化
(*)当年度のINMM標準委員会(Standards Committee)は、設立以来最も成果の大きい一年となり、新たに二つの重要な分科会が設置された。それらは、GE社Brugge氏が率いる「燃料標準分科会」と、Dow Chemical社Delnay氏が率いる「輸送容器標準分科会」であり、核燃料および輸送技術の標準化が強化された。さらに、INMM標準活動と米国規格協会(ASA)との協働体制が確立し、委員会各部の活動成果について年次レビューが行われた。(US AEC)
NUCLEAR MATERIALS MANAGEMENT RELATIONS FUEL FABRICATOR AND REACTOR OPERATOR H. W. Donovan
燃料製造者と炉運転者の核物質管理上の関係
― 高額濃縮ウランの資産評価と初期燃料データ信頼性がもたらす経済的影響
(*)原子炉の初期炉心には、製造コストを含まない段階でも1,600万ドル相当のリース濃縮ウランが装荷される場合があり、この高額資産を引き受ける炉運転者の負担が増大している点が指摘された。燃焼度課金や使用料金の算定、さらには再処理に回した際の返還価値評価など、核燃料の金銭的取り扱いは、初期受領時に付与された核燃料の基礎データの信頼性に大きく依存することが強調された。初期受領時の新未照射燃料データの信頼性を確保することが、後年の再処理回収量評価や返還価値算定における差異を防ぐ鍵であると述べられた。(GE)
NUCLEAR SHIPBOARD OPERATING EXPERIENCES W. R. Smith
原子力船舶の運航経験 ― N.S.サヴァンナ号における1964年航海で得られた技術的知見と運用上の教訓 (*)本稿は、世界初の原子力客貨船「N.S. サヴァンナ号」の運用経験を対象とし、筆者が核アドバイザーとして乗船した1964年2〜9月の航海期間の事例を中心に報告している。サヴァンナ号の船上運転における技術的・運用的知見が紹介され、原子力船の安全性、乗員訓練、運航管理に関する実務経験が共有された。原子力船の航海運用上の課題や学んだ教訓を示すことで、今後の商船用原子力推進技術の発展に資する視座が提供された。(The Babcock & Wilcox Company)
PLANS FOR NEW YORK STATE John D. Anderson
ニューヨーク州における原子力行政計画
― 州の役割確立に向けた制度整備と6年間の取り組みの進展
(*)ニューヨーク州は原子力分野における州の役割を重視し、州が適切に関与することで州および国全体に利益をもたらすとの立場から、独自の原子力行政の枠組みを早期に構築してきた。論文では、過去6年以上にわたり進められてきた原子力分野における州の関与・制度整備の取り組みと、それに基づく「ニューヨーク州の計画」の進展状況が紹介された。各種プログラムの形成過程を踏まえ、州レベルでの原子力エネルギー政策や核物質管理体制を強化するための今後の方向性が示された。(INMM)
QUALITY EVALUATION OF CP-5 REACTOR FUEL Norman S. Beyer
CP-5研究炉燃料の品質評価
― 非破壊検査手法(X線・超音波・ガンマ分光)を用いた燃料特性検証と核物質管理への適用
(*)CP-5研究炉用燃料の品質検証を目的として、透過X線、超音波、ガンマ線シンチレーション分光といった3 種類の非破壊検査が実施された。これらの手法は、それぞれ固有の検査特性を持ち、燃料の視認できない欠陥や仕様遵守性を検証するために組み合わせて用いられた。非破壊検査による包括的評価により、核物質管理上のアカウンタビリティ向上に寄与し、契約仕様に基づく燃料品質の適合性が確認できることが示された。(ANL)
STATUS OF PROPOSED CHANGES IN TRANSPORT REGULATIONS William F. Black
放射性物質輸送規則改訂案の現状
― ICC規制との整合化と輸送安全・簡素化に向けたAAR提案の動向
(*)本稿は、米国鉄道協会(AAR)傘下のBureau of Explosives が進めてきた「放射性物質輸送に関する州間通商委員会(ICC)規則改訂案」の最新状況を概説した。提案されている改訂は、各種輸送規制間の整合性と簡素化を図りつつ、放射性物質を安全かつ効率的に輸送できる体系の実現を目的としている。AAR・Bureau of Explosives は、複数年にわたり改訂案の策定に注力しており、本講演では規則調和化への取り組みと今後の方向性が示された。(Association of American Railroads(米国鉄道協会))
STATUS OF REGULATORY PROGRAM Robert Barker
核物質規制プログラムの最新動向
― 特別核物質・核分裂性物質を対象とした輸送規制改訂と運用上の影響
(*)本稿は、特別核物質および核分裂性物質に適用される規制の最新動向を概説し、AECが進める関連法規・基準の改訂状況を整理した。特に輸送分野において規制体系の大幅な見直しが進んでおり、その背景には安全確保の要請や国際的調和への対応があることが示された。これらの規制改訂は、核物質取扱者に対し新たな遵守要件と管理体制の強化を求めるものであり、今後の運用への影響が大きい点が指摘された。(US AEC)
USE OF ISOTOPES IN INDUSTRY* Oscar M. Bizzell
工業分野における同位体利用 ― 放射性同位体の計測・検査・工程監視への応用とその発展 (*)1946年8月2日にオークリッジ国立研究所から最初の放射性同位体(炭素14)が医療研究用として出荷された出来事を起点に、工業分野における同位体利用の歴史的広がりが紹介された。放射性同位体は、その透過性や放射線計測特性を利用し、厚さ計測、密度測定、材料検査、流量追跡など多様な工業プロセスの解析・品質管理に重要な役割を果たしている。これらの応用は、非接触計測、高い経済性、装置の低メンテナンス性などの利点を有し、産業界における効率向上や工程管理の高度化へ寄与している。(USAEC)
VOLUMETRIC CALIBRATION OF PROCESS VESSELS USING DIGITAL COMPUTER TECHNIQUES Louis W. Doher、Jack A. Schulz
デジタル計算機技術を用いたプロセスタンクの容量校正
― 標準器・寸法測定・自動曲線適合を組み合わせた高精度校正手法
(*)核物質の化学処理に使用されるプロセスタンクの容量を、迅速かつ高精度に校正するための独自手法が示され、事前校正された標準容器・線寸法測定器・デジタル計算機の組合せ活用が特徴とされた。使用する標準器は一次標準にトレーサブルであり、計算機プログラムには曲線適合や受入・却下判定(統計的・経験的・報告要件に基づく)が組み込まれ、自動的に校正結果を生成できるよう設計されていた。これらの論理構造を備えた計算機システムにより、従来よりも効率的で信頼性の高いタンク容量校正が実現できる点が本手法の独自性として強調された。(Rocky Flats Plant, Rockwell International)
WHAT PRICE LOSS OF CONTROL C. C. Thomas
End(1) 核物質管理逸脱事案がもたらす代償
― 特別核物質の戦略的価値と分裂特性を踏まえた管理姿勢への示唆
(*)論文は匿名化された実例をもとに、核物質管理の基本原則である「核物質はその経済的価値に見合う管理が必要」という前提が、現実には不十分な場合があることを指摘した。特に特別核物質(SNM)は金銭的価値だけでなく、核兵器開発に利用可能であるという戦略的価値、そして核分裂能力という特有の危険性があり、従来以上の管理が求められると述べられた。最近の核兵器拡散懸念の高まりを踏まえ、核物質管理における「不備・不全」は重大な結果を招き得ることを強調し、より厳格で多面的な管理姿勢の必要性を示した。(Western New York Nuclear Research Center)

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