INMM米国年次大会論文集(1964年)
メンター部会の活動の一環としてINMM米国年次大会におけるProceedingタイトルリスト(日本語訳付き)の1964年分を作成しました。
タイトル、著者のほかに、タイトルだけではよくわからない専門用語や略号を日本語で補足した備考欄(訳注、補足・コメントなど)を付加しましたので有効活用いただければ幸いです。
| Sub-Volume End-marker | Title/タイトル | Authors | 備考 (訳注、補足・コメントなど) |
| PROSPECTS FOR A SINGLE SYSTEM TO REPLACE THE CURRENT LEASE‑STATION ARRANGEMENT | Douglas E. George | ||
| 現行リース方式に代わる統合核物質計量管理システムの構築 ― 責任体系の一元化による合理的・透明な核物質管理への移行 |
(*)本稿は、複雑化した現行リース方式に代えて、核物質の責任・契約関係を一元化し統合管理する新たな計量管理システムの導入が必要であると提案した。現制度は手続きや責任分担が分散して非効率であり、管理情報の統合と制度の簡素化によってより合理的かつ透明な核物質管理が可能になると論じた。筆者は「良いものをより良いもので置き換える」という積極的姿勢のもと、新しい統合計量管理システム実現のための論理的根拠と導入課題を示した。(GE Hanford) | ||
| AIF ACTIVITIES IN THE DEVELOPMENT OF NUCLEAR STANDARDS | Edwin Wiggin | ||
| 核物質管理標準の策定におけるAIFの取り組み ― 標準化作業の重複回避とINMMとの協調強化に向けた産業界からの提言 |
(*)本稿は、AIF(米国原子力産業会議)が進める核物質管理標準の策定活動を概説し、産業界の視点からINMMに関係する標準化の主要分野を整理した。核物質管理標準の策定には多くの組織・専門家が関与しており、活動が広範であるため、重複作業・調整不足・情報断片化が生じている問題点が指摘された。標準化の複雑さを解消するため、産業界の立場から、INMMが他の標準化団体とより密接に協調し、核物質管理標準の整合化と効率化に貢献すべきだと提案した。(Atomic Industrial Forum(AIF)) | ||
| AEC CONTRACTUAL ARRANGEMENTS FOR HANDLING SPECIAL NUCLEAR MATERIAL | Jarnes P.Gerety | ||
| AECによる特別核物質取扱いに関する契約取り決め ― 混合施設における二重規制の整理と統一的契約方針の確立に向けた課題と対応 |
(*)AECは特別核物質(SNM)の取り扱いに関する契約手続きを、混合施設(Section 53材と非Section 53材が混在)の課題を踏まえて整理・統一してきた。従来、混合施設では健康・安全、物理的防護、財務責任、計量管理、スクラップ回収、返還、使用料など二重の規則体系により運用上大きな問題が生じていた。本論文は、これら問題の「構造(anatomy)」を示し、効率的かつ均一な契約方針を確立するための改善策を提示している。(US AEC) | ||
| ASA ACTIVITY IN THE NUCLEAR STANDARDS FIELD | A. Do Duff | ||
| 原子力分野におけるASAの活動 ― 原子力産業の効率化・品質保証・安全性向上に向けた標準化の役割と課題 |
(*)ASA(American Standards Association)は、原子力分野で求められる標準化の役割を整理し、産業界が共通基準に基づいて効率的に業務を行えるよう標準策定を推進している。標準化は、製造・調達の合理化、品質管理、国内外の共通言語形成、政府規制の基準化に寄与し、原子力産業における運用整合性の確保を支える。特に原子力安全の領域では、標準化が一般公衆への安心感を提供し、安全判断を産業界と政府が共有する基盤として重要であることが強調されている。(ASA) | ||
| CRITERIA FOR NUCLEAR MATERIAL INVENTORY CONTROL | Leonard A.Meierkord | ||
| 核物質在庫管理の基準 ― 核物質を企業資産として扱う経営的視点と、他産業の資産管理原則を応用した合理的管理手法 |
(*)核物質を他の企業資産と同様に、健全なビジネス慣行と経済原則に基づいて管理すべきであるとの視点から、核物質管理を再評価している。法的要求や安全確保といった制約を前提にしつつ、低濃縮ウランなど多くの核物質は資産として過不足なく扱われるべきであると指摘する。有効な資産管理原則を導くため、銀行、酒類委員会、毛皮産業、金属製造業、大規模製造企業など多様な産業の資産管理例を参照し、核物質管理への応用可能性を示す。(WEC) | ||
| lMPORTANCE OF NUCLEAR MATERIALS MANAGEMENT lN THE ASSURANCE OF NUCLEAR SAFETY | Vincent Vespe | ||
| 原子力安全確保における核物質管理の重要性 ― ロッキーフラッツにおける実例を通じた安全性向上への寄与と核物質管理機能の全体像 |
(*)AECロッキーフラッツ工場における安全確保の課題を例に、適切な核物質管理が安全性向上を直接支援する仕組みを説明している。核物質管理とは、記録・報告・分析・評価・調整・規制などを含む総合的管理であり、資産価値の保全、損失防止、財務・生産・安全管理の基盤となる内部統制を含む広範な活動である。アルバカーキAECオフィスは、兵器関連施設(ロッキーフラッツ、組立プラント)やRover 計画、研究炉・臨界実験施設など多様な核物質需要を抱えており、それらの規模と複雑性が核物質管理業務の重要性を高めている。(Albuquerque AEC Office) | ||
| NUCLEAR MATERIALS MANAGEMENtt PRINCIPLES USED BY ATOMIC ENERGY OF CANADA LTD. | W.G.Jenkinson | ||
| カナダ原子力公社(AECL)における核物質管理の基本原則 ― カナダ原子力行政三機関の役割分担と、規制遵守に基づく核物質管理体系の特徴 |
(*)カナダの原子力行政では、**原子力管理三機関(AECB・Eldorado・AECL)**が役割を分担し、特に AECB が原子炉運転許可、放射性同位体利用許可、核物質の輸送・輸出入規制などを包括的に監督している。AECL による核物質管理は、この国家規制体系のもとで、法規制遵守を基盤とした管理原則に沿って運用されており、カナダ原子力産業に特有の安全確保・計量管理体制が整備されている点を解説している。講演者は AECL の代表として INMM 年次大会に参加し、カナダの核物質管理の実務的特徴を紹介しつつ、国際的な知識共有の重要性を強調している。(AECL) | ||
| PROSPECTS FOR A SINGLE SYSTEM TO REPLACE THE CURRENT LEASE‐STATION ARRANGEMENT | Vincent D. Donihee | ||
| 現行リース‐ステーション方式に代わる単一制度の展望 ― “良いものをより良いものへ” とする継続的改善アプローチに基づく核物質管理制度の再構築 |
(*)現行のリース‐ステーション方式は改良の余地があるという前提に立ち、既存制度は常に進化の途上にあり、より優れた仕組みへ置き換えるためには積極的な行動が必要だと論じている。「ポジティブ・アプローチ」と呼ぶ見方に基づき、“良いものをより良いものへ置き換える” という継続的改善の思想が、核物質管理の制度設計にも当てはまると指摘する。新しい単一制度への移行は、核物質管理の効率化・合理化の観点から有望であり、現行システムを漸進的に再構築する視点が重要であるとまとめている。(GE, Hanford) | ||
| SOME REASONS FOR THE DESIRABILITY OF STANDARDIZATION IN THE NUCLEAR FIELD | Dr. WIIIlam O’Leary | ||
| 原子力分野における標準化の必要性について ― 標準化の歴史的・経済的背景と、原子力産業における複製可能な基準整備の重要性 |
(*)原子力分野における標準化は、広く合意され多数が複製可能な基準を設けることで、産業界全体の効率性と信頼性を高める仕組みであることを強調している。歴史的に、長さ・質量などの基準(標準尺、標準メートル、標準ポンド)は、国家研究機関によって精密に維持され、商取引コスト削減という経済的要請によって発展してきた。標準化の本質は、技術的・学術的理想ではなく、経済合理性(大量生産・コスト削減)が原動力であり、原子力産業にも同様の標準化ニーズが存在する点を指摘している。(Allis-Chalmers Mfg. Co.) | ||
| STANDARDS ACTIVITIES OF THE DIVISION OF NUCLEAR MATERIALS MANAGEMENT | Ralph J.Jones | ||
| 核物質管理部の標準化活動 | (*)確認できず。 | ||
| STATUS OF PROPOSED TRANSPORTATION REGULATIONS | Robert Barker | ||
| 提案輸送規制の現状 ― 放射線安全と臨界安全の要件を踏まえた放射性物質・核分裂性物質輸送規則の検討状況 |
(*)放射性物質の輸送における基本課題として、放射線安全(外部・内部被ばくの防止) と 臨界安全(臨界事故防止) の双方が不可欠であることを示している。臨界安全の観点では、輸送される核分裂性物質の量・形状・サイズの制限および適切な管理措置によって、偶発的な連鎖反応を防止する必要があると強調している。本講演は、当時検討中であった放射性物質輸送規制案の最新状況を概説し、とくに核分裂性物質輸送における核安全要件を中心に現行規則との関係を説明している。(US AEC) | ||
| SUMMATION | S.C. T. McDowell | ||
| INMM 1964年 年次大会のセッション総括 ― ウラン・プルトニウム標準化、INMM 内部基準整備、ASA・AIF との協調領域など核物質管理標準化活動の要点まとめ |
(*)当日のパネル講演で扱われた核物質管理上の主要論点を総括し、ウラン・プルトニウムの化学・同位体標準や天然ウラン 0.711% の採用、測定法の標準化など各組織が示した重要事項を整理している。INMM による用語定義、ウランスクラップ標準等級案、SS 材料色コード、工業的計量管理手順案など、標準化への内部取り組みが要点としてまとめられている。American Standards Association(ASA)、Atomic Industrial Forum(AIF)など外部組織が進める核物質管理・標準化活動(色コード、核用語標準、使用済燃料再処理段階でのアカウンタビリティ標準化)も俯瞰され、相互協調領域が示されている。(INMM) | ||
| THE ATOMIC ENERGY COMMISS10N’S FEDERAL-STATE PROGRAM AND ITS IMPACT ON THE UTILIZAT10N OF NUCLEAR MATERIALS IN KENTUCKY | James N. Neel | ||
| 原子力委員会(AEC)の連邦‐州協定プログラムとケンタッキー州における核物質利用への影響 ― 原子力法セクション274に基づく州規制権限移譲の進展と放射線源管理体制の変化 |
(*)本論文は、原子力法(Atomic Energy Act)1954年改正で追加された Public Law 86‑373(セクション274) の内容を解説し、州が放射線源規制を引き継ぐための AEC‑州協定の枠組みと交渉プロセスを整理している。セクション274に基づき、米国の複数州がすでに AEC と協定を締結、または交渉中であり、各州の規制権限移譲の進展状況を分析している。同法の施行(1959年)以降、州レベルでの放射線源管理体制の確立が、核物質の利用・規制にどのような影響を与えたかを、特に ケンタッキー州 の状況を踏まえて考察している。 | ||
| THE ECONOMICS OF SHIPPING IRRADIATED FUELS | Steven H.Brown | ||
| 照射済燃料輸送の経済性 ― 安全要件・遮へい・発熱管理など輸送設計要因を踏まえた総合的経済評価の重要性 |
(*)使用済燃料(照射済燃料)の輸送は、原子炉運転や再処理そのものには直接関わらないが、安全かつ経済的な核物質利用の観点から重要であると位置付けられている。経済評価では、具体的な輸送費よりも、輸送効率に影響する主要因(遮へい、発熱、規制、安全要件、事故時の強度など)を包括的に考慮する必要性が強調されている。輸送コストは状況・条件により大きく変動するため、最終的には確定見積(firm-price quotations)が得られるまでは正確なコストは確定できないと指摘されている。(INMM) | ||
| THE PROSPECT OF A SINGLE ACCOUNTABILITY SYSTEM | Barry Devine | ||
| 統合的アカウンタビリティ制度の展望 ― AEC・産業界・研究機関における異なる管理アプローチを踏まえた、核物質管理制度の統一化に向けた提言 |
(*)AEC(米国原子力委員会)のプライムコントラクター、産業界、AEC本体では、核物質管理(アカウンタビリティ)に対する考え方やアプローチが互いに異なることを指摘している。著者は Argonne National Laboratory に所属しているが、本講演で述べる見解は研究所の公式意見ではなく、独自の考え方として提示されている。著者は、立場の異なる組織間で核物質管理の考え方が分かれる現状を踏まえ、統合的・統一的なアカウンタビリティ制度の可能性を探るため、従来の枠組みにとらわれない提案を示している。(ANL) | ||
| THE TOTAL, COST OF QUALITY | David S.Bennett | ||
| 品質のコスト全体 | (*)品質要求が過去15年間で大幅に高まった結果、企業は「品質の総コスト」を把握しなければ競争市場で生き残れないことが強調される。 不良品質は企業に深刻な損失を与え、軍需分野での品質管理組織の導入がコスト増の要因と見られる中、その背景と現状を再検討する必要性が指摘される。核燃料コアの納入管理を担う立場から、品質要求・コスト・供給確保の三要素をいかに両立させるべきか、管理者としての実務的視点から論じている。(Knolls Atomic Power Laboratory (KAPL)) | ||
| TWO-HOUR PANEL AND WORKSHOP ON STANDARDS IN THE NUCLEAR FIELD | S. C. T. McDowell | ||
| End(1) | 原子力分野における標準化に関する2時間パネルおよびワークショップ ― 他組織との標準化活動の共有、INMM標準化小委員会の成果、未整備分野の抽出と協調領域の検討 |
(*)第1部は「原子力分野の標準化」をテーマとするパネル討論で、ASA(American Standards Association)やAtomic Industrial Forumなど他組織の取り組みを共有し、INMMの標準化活動との共通課題を明らかにする。第2部はINMM標準化小委員会によるワークショップで、用語集、ウランスクラップ標準等級案、特殊核物質(SS material)色分けコード案、核物質管理の工業的計量管理手順案(ドラフト)などの活動成果・課題を扱う。標準化領域では未認識の課題や未整備の分野が多く、INMMとして他組織との協調領域を探索し、自らが貢献できる標準化ニーズを見出すことが本セッションの目的である。(INMM) |