INMM米国年次大会論文集(1963年)
メンター部会の活動の一環としてINMM米国年次大会におけるProceedingタイトルリスト(日本語訳付き)の1963年分を作成しました。
タイトル、著者のほかに、タイトルだけではよくわからない専門用語や略号を日本語で補足した備考欄(訳注、補足・コメントなど)を付加しましたので有効活用いただければ幸いです。
| Sub-Volume End-marker | Title/タイトル | Authors | 備考 (訳注、補足・コメントなど) |
| A Management Approach to Reducing Shipper Receiver Differences | Edwin Wiggin | ||
| 出荷者—受領者差異低減のための管理アプローチ ― 責任分担の明確化と手続き改善によるS/R差異縮小のための組織的対応 |
(*)筆者は、Forum 委員会での検討作業を背景に、出荷者—受領者(S/R)差異問題に対し、単なる技術的改善ではなく、管理体制の強化が不可欠であることを強調している。S/R差異を縮小するには、組織としての責任分担の明確化、手続きの体系化、データ検証プロセスの改善など、管理面のアプローチが重要であると論じている。本稿は、委員会活動の一環として作業の停滞を打破する意図も込めてまとめられた経緯が述べられており、運用改善への実務的動機が示唆されている。(Atomic Industrial Forum) |
| DISCUSSION OF THE NEW SPECIAL NUCLEAR MATERIAL LEASE AGREEMENT | H. J. McAlduff | ||
| 新たな特殊核物質リース契約に関する討議 ― AEC貸与制度の見直しに伴う契約条項・管理責任・計量管理要件の再整理 |
(*)オンライン上で要旨・本文が未公開。 | ||
| DISCUSSIONS ON CHANGES IN TITLE 10 CODE OF FEDERAL REGULATIONS(Part 70・71) | Edwin Wiggin | ||
| 連邦規則集 Title 10(Part 70・71)改訂に関する討議 ― 特殊核物質の許認可・輸送規制改訂に対する産業界コメントの集約とAECへの意見提出 |
(*)AEC が 1963 年 3 月 5 日付で公表した 10 CFR Part 70・71(特殊核物質の許認可および輸送)に関する大幅改訂案について、Atomic Industrial Forum が会員組織内で意見集約を行い、関心の高さから特別セミナー(4月17日)を開催した。セミナーで得られた技術的・実務的コメントを取りまとめ、同年 5 月 14 日に AEC へ書面提出した内容が、本発表の中心的テーマとして紹介されている。討議参加者には Westinghouse、NUMEC、General Atomic、Dow、B&W など主要核関連企業が名を連ね、規制改訂が産業界全体に与える影響の大きさが示されている。(Atomic Industrial Forum | ||
| EFFECT OF THE STANFORD RESEARCH INSTITUTE STUDY AND OF PRIVATE OWNERSHIP UPON NUCLEAR MATERIALS MANAGEMENT | Douglas E. George | ||
| スタンフォード研究所調査および民間所有化が核物質管理に与えた影響 ― 政府所有・請負会社運転(GOCO方式)から民間責任方式への転換と特殊核物質計量管理強化の背景 |
(*)本稿は、1946年以降における 米国原子力委員会(AEC)の核物質管理プログラムの発展過程を整理し、制度が政府所有・請負運転方式から民間所有方式へと移行した歴史的文脈を概説している。初期の核施設は政府所有・請負会社運転(GOCO方式)および コストプラス固定報酬契約方式に基づいていたが、民間所有の原子力施設では 特殊核物質の損失に対する全責任を事業者が負う仕組みへと変化した点が強調されている。スタンフォード研究所(SRI)による調査研究は、この民間所有化の流れと核物質管理制度の再構築に影響を与え、より厳格な核物質計量管理を求める方向へと政策的議論を促したと示唆されている。(Nuclear Surveillance & Auditing Corp, United States Atomic Energy Commission) | ||
| Excerpt From the Institute Lecture | Mr. George White | ||
| 核物質管理に求められる経営視点 ― コスト最適化と管理効率に関する講演要旨 | (*)本講演では、核物質管理において経営側が求めるものとして 「コスト」と「性能(パフォーマンス)」の最適化 が最重要であると指摘し、過度の管理コストは逆効果になると述べている。核物質管理活動はコスト削減に直接資するものであるべきで、管理を実施することでの節約額を上回る管理費用は許容されないという 実務的・経営的基準が強調されている。講演者は実例を挙げながら、核物質管理が企業経営の中で果たすべき役割を整理し、より効果的な管理体制を求める経営視点の重要性を提示している。(GE) | ||
| NONDESTRUCTIVE TESTING IN THE CONTROL OF NUCLEAR MATERIALS | R.W. Mcclung | ||
| 核物質管理における非破壊試験の利用 ― 燃料装荷量の評価・ホットスポット防止・計量管理精度向上のための非破壊測定手法 |
(*)核燃料要素内の燃料量を正確に把握するニーズが高まる中、自己放出ガンマ線や外部照射を利用した非破壊試験(NDT)手法の活用が増加している背景が説明されている。製造工程および完成品に対し、燃料装荷量の過不足や局所的過濃縮(ホットスポット)を防ぐことが、原子炉の安全運転・性能確保のために不可欠であると述べられている。破壊分析では一部サンプルしか検査できずコストも高くなるが、非破壊手法ならすべての燃料要素を評価しつつ核物質の計量管理精度と在庫管理効率を大幅に高められることが強調されている。(ORNL) | ||
| REVIEW OF ACTIVITIES OF N-2 COMMITTEE OF AMERICAN STANDARDS ASSOCIATION | Henry Lamb | ||
| 米国規格協会 N-2委員会の活動概要 ― 標準化の基本的意義と産業基盤を支える規格整備の役割 |
(*)講演者は、N-2委員会の活動紹介に入る前に、まず 標準化の基本的役割と意義を強調し、米国では電源プラグ規格のような日常的な例が当然視されていることを指摘している。標準化が十分に統一されていない欧州の例(電圧・周波数・AC/DCの違い、変換プラグの必要性など)を挙げ、標準化がもたらす利便性と産業的価値を示している。これらの導入的説明を踏まえ、N-2委員会が担う標準化活動の重要性を理解するための背景として、標準制定が産業基盤を支え、相互互換性や安全性を確保する根幹であることを強調している。(American Standards Association(米国規格協会)) | ||
| REVIEW OF DATA SOURCES FOR NUCLEAR MATERIALS MANAGEMENT | Matthew N. Kuehn | ||
| 核物質管理におけるデータ源のレビュー ― 既存業務データの活用による効率的な核物質計量管理体系の構築 |
(*)核物質管理システムは、企業が通常業務の中で本来必要として収集している測定データ(操業目的のデータ)を基礎に構築されるべきであり、特別な負担を上乗せして導入するべきではないと述べている。企業活動では目的ごとにさまざまな計測が不可欠であり、その計測は核物質管理とは無関係でも実施されるもので、既存の業務データを核物質計量管理の情報源として流用できることが強調されている。このため、核物質管理のデータ取得は、既存のビジネスプロセスと整合した形で行うのが最適であり、通常業務の測定体系を生かすことで効率的かつ実用的な管理システムが成立すると示唆している。(Mallinckrodt Chemical Works) | ||
| STATISTICAL QUALITY CONTROL IN THE MANUFACTURING OF REACTOR FUEL ELEMENTS | R. K. Ruzicka | ||
| 原子炉燃料要素製造における統計的品質管理 ― 燃料装荷量・濃縮度など核物質計量管理特性の統計評価による工程管理と品質保証の向上 |
(*)統計的品質管理(SQC)は、収集したデータを分析し、仕様基準と比較することで、燃料要素が設計・製造仕様を満たしているかを確認するための手法である。この手法は最終製品だけでなく、製造工程中の複数の段階でも適用され、工程管理と品質保証の双方に寄与する。解析対象には、UO₂ 中のウラン重量百分率、U-235 の濃縮度、燃料要素内の燃料装荷量など核物質計量管理に関わる特性が含まれ、材料管理部門と品質部門の双方にとって重要な情報となる。(Martin Company) | ||
| THE NUCLEAR MATERIALS AND FUEL MANAGEMENT PROGRAM FOR THE DRESDEN NUCLEAR POWER STATION | G. R. Parkos, A. F. Veras | ||
| ドレスデン原子力発電所の核物質および燃料管理プログラム | (*)本論文は、GE 社と Commonwealth Edison 社が共同で構築した ドレスデン原子力発電所(アメリカ イリノイ州)の核物質管理および燃料管理プログラムを詳細に説明し、その成立過程と背景を紹介している。ドレスデン発電所は 米国初の完全民間資本による商業炉であったため、運転開始後に初めて明らかとなった核物質の 計量管理上の課題に対処すべく、両社が協力して管理体系を開発・改訂してきた経緯が述べられている。GE は燃料管理および 核物質計量管理のための一般コードや手法を開発し、同様のプログラムを他の GE 製発電炉へも展開する計画であることが示されている。(General Electric Company, Commonwealth Edison Company ) | ||
| The Reactor Operator’s Approach to Nuclear Materials Management | Richard A. Cardin | ||
| 原子炉事業者から見た核物質管理へのアプローチ ― 運転現場の知見を核物質管理に反映させる必要性と実務者参加の重要性 |
(*)筆者は、大型動力炉を運営する原子炉事業者として INMM 年次大会に参加した経験を述べ、事業者側の視点が核物質管理議論に十分反映されていない現状を指摘している。前年の会合では商業炉事業者の代表が自分だけであったことから、事業者視点の意見が核物質管理の改善に不可欠であると強調している。核物質管理は事業者の運転実務と密接であるため、現場を熟知した事業者の積極的関与が、制度・運用の向上につながるとの考えを示している。(Yankee Atomic Electric Company) | ||
| URANIUM AND PLUTONIUM ACCOUNTABILITY PROCEDURES FOR THE CHEMICAL PROCESSING OF IRRADIATED REACTOR FUELS | E.R. Johnson | ||
| 照射済燃料化学処理におけるウランおよびプルトニウムの計量管理手順 ― 再処理工程における物質収支・分析精度確保を中心とした核物質管理の実務的論点 |
(*)要旨(Abstract)は “None” と明示され非公開。(Nuclear Fuel Services, Inc.) | ||
| WORKSHOP ON STANDARD PRACTICES FOR NUCLEAR MATERIALS | 0. H. Jones | ||
| End(1) | 核物質標準実務に関するワークショップ ― 商業炉時代の到来を見据えた標準化の重要性と産業発展に伴う課題認識の共有 |
(*)講演者は核分野の黎明期からの経験を振り返り、産業の発展には多くの試行錯誤と課題克服が伴ってきたことを強調している。近い将来、商業用原子力発電炉の稼働数が急増する見通しであり、核産業全体が大きな転換点(重要な節目)を迎えていると述べている。このワークショップは、そうした産業の成熟期に向けて、核物質管理に関わる標準的実務の重要性を参加者間で認識し共有することを目的としている。 |