INMM米国年次大会論文集(1961年)
メンター部会の活動の一環としてINMM米国年次大会におけるProceedingタイトルリスト(日本語訳付き)の1961年分を作成しました。
タイトル、著者のほかに、タイトルだけではよくわからない専門用語や略号を日本語で補足した備考欄(訳注、補足・コメントなど)を付加しましたので有効活用いただければ幸いです。
| Sub-Volume End-marker | Title/タイトル | Authors | 備考 (訳注、補足・コメントなど) |
| A PROGRAM OF ACCOUNTABILITY FOR CORE A OF THE ENRICO FERMI REACTOR TECHNICAL ASPECTS | C. R. Moore, E. C. Kovacic | ||
| エンリコ・フェルミ炉 Core A における核物質アカウンタビリティ計画 — 燃料サイクル費用と計量管理精度向上の技術的検討」 |
(*)エンリコ・フェルミ高速増殖炉(Fermi I)建設計画において、燃料サイクル費(燃料製作・燃焼・再処理・輸送・ロス)の最適化には、核物質の正確なアカウンタビリティ(計量管理)が不可欠であることを示している。 アカウンタビリティ測定の不確かさは、燃料サイクル全工程に影響し、特に政府へのプルトニウム売却価格(U/Pu 比に依存)にも直結するため、測定精度向上の費用対効果が重要である。 測定不確かさの低減に投入するコストは合理性をもって判断すべきであり、「不確かさ 1 減少に 2 以上の費用を費やすべきでない」という経済性の観点から、アカウンタビリティ管理の最適化指針が提示されている。(N/A) | ||
| AN AUTOMATIC DATA PROCESSING SYSTEM FOR THE HOT LAB | John T. Conboy | ||
| ホットラボにおける自動データ処理システム — 80 列パンチカードによる試料管理・核物質会計・臨界管理の効率化 |
(*)Vallecitos ホットラボでは、照射試料数の増加に伴い手作業による記録管理が限界となり、核物質量・識別情報・保管場所を正確に扱うため自動データ処理方式の導入が必要となった。各試料を 80 列パンチカードで一元管理し、属性や位置の変更が生じるたびにカード情報を更新することで、核物質管理・臨界管理・試料追跡を効率的に行う仕組みが構築された。このシステムは 1958 年から運用され、低コスト・高信頼性・迅速性を備えたホットラボ運営のための有効な情報管理手段として機能している。(Vallecitos Atomic Laboratory) | ||
| COMMUNICATIONS AND A TECHNOLOGICAL PEACE CORPS | C.D.W. Thornton | ||
| 通信と技術平和部隊 — 国際情報収集力強化・通信網整備・非軍事技術者による平和貢献構想 |
(*)国際情勢に関する情報収集能力が不足している事例を踏まえ、より技術的・体系的なアプローチによる情報収集体制の強化が必要とされることを論じている。電子的・人的手段を含む、衛星・無人探査機・海中・地上など多様な“情報ピケット”の活用、および大規模通信ネットワーク整備の必要性を強調している。 さらに、海外援助の実効性評価や非軍事的対外活動を担う専門技術型の平和部隊(Technological Peace Corps)の創設を提案し、兵器製造に宗教的良心上の問題を持つ技術者にも参加機会を提供できると述べている。(USAEC) | ||
| DETERMINATION OF URANIUM OR U 235 BY GAMMA RAY SPECTROMETRY A REVIEW | James E. Lovett | ||
| ガンマ線スペクトロメトリーによるウランおよび U‑235 の測定 — 非破壊同位体分析手法の原理・適用範囲・精度に関する総合レビュー |
(*)本レビューは、ガンマ線スペクトロメトリーを用いたウラン(特に U‑235)定量・同位体分析手法を体系的に整理し、その測定原理・適用範囲・課題を総括している。ウラン試料中の同位体組成測定において、ガンマ線検出のエネルギー特性や測定精度への影響要因を概説し、非破壊測定(NDA)手法としての有効性を解説する。既存の測定事例・標準化動向(例:185.7 keV 線の利用)を踏まえ、核物質管理・保障措置におけるウラン定量への実務的適用可能性を論じている。(USAEC) | ||
| FUEL REPROCESSIHG STUDIES BY INDUSTRIAL REPORCESSIHG GROUP | T. C. Runion | ||
| 産業界による燃料再処理研究 — 民間再処理工場の技術的・経済的実現性評価と共同研究体 IRG の取組み |
(*)民間企業の燃料サイクル参入状況を踏まえ、商業規模での使用済燃料再処理がまだ行われていない点を指摘し、再処理の必要性と産業界の役割を整理している。 W. R. Grace & Co. の Davison Chemical Division と5つの電力会社が構成する IRG(Industrial Reprocessing Group)が、民間による再処理工場建設の技術的・経済的実現性調査を開始した経緯を示す。この調査には Bechtel、Weinrich Associates、AM&F、さらに AEC 職員が協力し、工学設計・コスト推定・プロセスフロー・機械処理設備など多角的な検討が行われたことを述べている。(W. R. Grace & Co.) | ||
| HOW TO LOSE QUALITY CONTROL | Paul K. Moffat | ||
| 品質管理の失敗要因 — 核燃料製造における品質喪失の落とし穴とその防止策 |
(*)品質管理の成功事例は多く紹介されている一方、品質管理が失敗する要因(落とし穴)については十分に議論されていないと指摘する。核燃料製造では品質喪失は許されず、本論文はその敗要因(pitfalls)を明確化することを目的とする。M&C Nuclear の実例を基に、こうした失敗要因を回避し、品質管理を維持するための具体的な注意点を示している。(Metal and Contril Inc.) | ||
| NON-DESTRUCTIVE ASSAY OF MTR ETR TYPE FUEL ASSEMBLIES AND PLATES* | Fred H. Tiney | ||
| MTR・ETR 型燃料集合体およびプレートの非破壊評価 — 熱中性子ビームと高速核分裂中性子検出を用いた燃料装荷量の測定手法 |
(*)MTR/ETR 型燃料プレートおよび燃料集合体の核燃料量を非破壊で測定する手法の必要性と重要性を述べている。初期の MTR では、炉からの熱中性子ビームに燃料要素を通過させ、発生する高速核分裂中性子をカウンタで検出して燃料装荷量を評価する方法が試行された。この手法のために専用の走査用トラックとモーター駆動キャリッジが作られ、燃料要素を一定速度でビーム横断させながら測定を行った。(Phillips Petroleum Company) | ||
| Opening Remarks for Paper Presented at the Second Annual INMM Meeting | O. H. Jones | ||
| 第2回INMM年次会合における講演の開会挨拶 ― 核物質調達に関する初期経験と業界協働の重要性を踏まえた所感 |
(*)Jones 氏は、過去の核物質管理業務における多様な課題や意見の対立を回顧しつつ、最終的には関係者間の協力により問題解決が可能であった点を強調した。聴衆の多くが核物質管理分野の「経験豊富なベテラン」であることを指摘し、本講演を一方通行の報告ではなく、双方向の質疑・意見交換の場としたいとの意図を示した。核物質・同位体・特別炉材料などの調達が困難であった時代の経験を踏まえ、組織間の協働の重要性と継続的改良の必要性が強調された。 | ||
| Panel DISCUSSION ON COLD SCRAP REPROCESSING | Edward Nort | ||
| 冷間スクラップ(未照射スクラップ)再処理に関するパネル討論 ― 商業回収政策・再処理プロセスの進展と実務課題の整理 | (*)本パネルは、冷間スクラップ(未照射スクラップ)再処理の重要性と、核燃料サイクルにおけるスクラップ回収の実務的課題を議論する目的で開催され、前年(1960年)の討論の継続として位置付けられた。当時、商業的スクラップ回収に関する公式報告書が公表される段階にあり、パネルではその内容を踏まえて、現行の ANC(旧 AEC の関連委員会)政策とスクラップ再処理事業の進捗状況が検討された。議論では、再処理プロセス、資源回収の効率化、政策面での課題などが取上げられ、産業界全体として対応すべき課題の整理と情報共有が図られた。(Mallinckrodt(マリンクロット社)) | ||
| Panel Discussion on Communications with in the Nuclear Industry | James Young | ||
| 原子力産業におけるコミュニケーション体制に関するパネル討論 ― AEC と産業界間の情報共有強化と調整メカニズム改善に向けた論点整理 |
(*)本パネルは、AEC 内部および民間原子力産業との間のコミュニケーションの在り方を主題とし、James Young(Atomics International)が司会し、AEC 各業務所・G.E.・Idaho Operations Office などの複数代表者が討論に参加した。討論では、核物質管理・規制・運用の各分野における情報共有の不足や連絡体制の不整合が指摘され、より効果的な情報交換メカニズムの構築が必要であることが強調された。AEC とライセンシーの間の業務調整、および INMM として集約的行動につなげるための改善提案が提示され、コミュニケーションの効率化と整備が今後の重要課題と位置付けられた。(Atomics International) | ||
| Panel Discussion on Transport of Nuclear Materials | Tom Bowie | ||
| 核物質輸送に関するパネル討論 ― 行政・法務・実務の観点からみた輸送安全と制度的課題 |
(*)本パネルは核物質輸送を主題とし、司会の Tom Bowie により、輸送安全行政を扱う Dodd 氏およびインフラ法務に通じた弁護士 Milton D. Stewart 氏の 3 名で構成された。Stewart 氏は法律・インフラ・企業顧問の経験を有し、核物質輸送に関わる規制・責任・インフラ運用の視点を提供できる専門家としてパネルに参加した。パネルの狙いは、核物質輸送に関し、行政・法律・実務の異なる立場から課題を俯瞰し、制度的整備・運用改善に必要な論点を共有することであった。(INMM Nuclear Power Systems Division, Combustion Engineering) | ||
| REMARKS BY ERNEST B. TRF.MMEL, DIRECTOR OFFICE OF INDUSTRIAL PARTICIPATION U.S. ATOMIC ENERGY COMMISSION | Ernest B. Tremmel | ||
| 米国原子力委員会(AEC)産業参加局長アーネスト・B・トレメル氏による講演 ― 核物質調達の初期経験と業界との協働関係に関する回顧 | (*)Tremmel 氏は、1950〜52 年にかけてのシカゴ業務所勤務時代、Argonne および複数請負業者のために核物質・同位体・特別炉材料を調達した経験を回顧し、当時の協力関係と業界との結びつきの強さを強調した。核物質が希少で調達が難しかった時期には、多くの意見対立や困難があったものの、最終的には優れた協働に支えられて業務が遂行できた点を述べ、会場にいる長年の業界関係者への敬意を表した。 Tremmel 氏は、講演の目的として「自分が話すだけでなく、参加者から学ぶ場としたい」と述べ、意見交換と質疑の時間を重視する姿勢を示している。(USAEC) | ||
| SUMMARY REPORT IDAHO CONFERENCE ON ADMINISTRATIVE ASPECTS OF NUCLEAR SAFETY IN THE TRANSPORT OF FISSIONABLE MATERIALS | Aubrey O. Dodd | ||
| 核分裂性物質輸送における核安全行政に関するアイダホ会議概要報告 ― 業界手法の把握と統一的規制基準策定に向けた行政的枠組みの検討 |
(*)1960年10月、Idaho Operations Office(AEC)主催により、核分裂性物質輸送における行政的・管理的核安全対策を協議する会議が開催され、各AEC業務所・安全部局・規制部門および主要請負事業者が参加した。会議の主目的は、業界で実施されている核安全確保手法を把握し、核分裂性物質輸送に関する統一的な規制基準および運用手続きの整備を促進することであった。併行して進行していた鉄道危険物規制機関とAEC関係者による基準策定活動との連携を視野に、Idaho 会議は当該取り組みに追加的な支援と推進力を与える目的で実施された。(Idaho Operations Office(米国原子力委員会 AEC)) | ||
| THE DOW CHEMICAL COMPANY ROCKY FLATS PLANT DENVER, COLORADO | Lou is W. Daher, John D. Livingston | ||
| End(1) | ロッキーフラッツ工場(ダウ・ケミカル社)における分析監視用標準溶液調製技術 ― プルトニウム定量における代表性確保と調製誤差低減手法 |
(*)Rocky Flats Plant の分析監視(SS surveillance)運用では、管理用標準溶液の調製において、化学量論的標準物質の確保や、Rocky Flats の分析監視では、実際のプロセスフローで扱われる材料の平均的性状を反映した “代表性のある標準試料” を調製することが困難であった。特にサンプルの均質性、粒度、既知不純物などが問題の原因となり、分析精度より大きな誤差を生じないレベルでの標準溶液調製が課題となっていた。本論文は、半ミクロスケールで高精度かつ完全混合を実現する標準溶液調製法を提示し、プルトニウム分析が質量比から体積比報告に変更された際に生じた問題への解決策を示している。(Rocky Flats Plant, Rockwell International) |