日本核物質管理学会Institute of Nuclear Materials Management (INMM) Japan Chapter

会員ページ
MENU

INMM米国年次大会論文集(1977年)

メンター部会の活動の一環としてINMM米国年次大会におけるProceedingタイトルリスト(日本語訳付き)の1977年分を作成しました。

タイトル、著者のほかに、タイトルだけではよくわからない専門用語や略号を日本語で補足した備考欄(訳注、補足・コメントなど)を付加しましたので有効活用いただければ幸いです。

 

Sub-Volume End-marker Title/タイトル Authors 備考
(訳注、補足・コメントなど)
“EASl”-AN EVALUATION METHOD FOR PHYSICAL SECURITY SYSTEMS Harold A. Bennett
EASI:物理的防護システムの性能評価手法
― 検知・査定・通信・遅延・対応の確率解析による敵対行動列の遮断確率評価
(*)EASIは、検知・査定・通信・遅延・対応の各機能を確率モデルとして結合し、想定した敵対行動列(アドバーサリー・シーケンス)に対して警備が間に合う確率(遮断確率)を算出する評価法である。入力には、センサごとの検知確率、通報成功確率、対応時間および敵対行動タスク時間の統計量が必要で、プログラマブル電卓でも計算できる簡便さを備える。設計段階・ライセンス審査・検査の意思決定支援を目的とし、重要な敵対行動列の同定と条件を反映したデータ収集が有効性の鍵である。(Sandia Laboratories)
“NUCLEAR POWER: WILL IT PRODUCE A WORLD OF SATURDAY  NIGHT SPECIALS?” Charles B. Yulish
原子力発電:世界は“土曜の夜の安物拳銃(Saturday Night Specials)”だらけになるのか
―― 1970年代の世論変容と、民生原子力の拡大が招く核脅威リスクの社会的懸念
(*)1960年代の反核兵器運動は、1970年代に原子力発電を人類への脅威と捉える社会運動へ転化し、デモ/シットイン/逮捕/激しい世論戦が継続している。この潮流の中で、原子力拡大が「安価で扱いやすい核脅威」を世界にばらまくのではないかという懸念(“Saturday Night Specials”の隠喩)が提示され、電源政策と核セキュリティ・保障措置の接点が社会的に問われている。講演は、メディア論調と世論の変容を踏まえ、核不拡散・保障措置と民生原子力の関係を政治社会的観点から再検討する必要性を強調している。(ulish Associates, Inc.)
A Crate Counter for Normal Operating Loss R.A. Harlan
廃棄物中の通常運転損失評価に用いるクレート用プルトニウム計数装置
― 大型廃棄物容器(木箱)内プルトニウムの高感度NDAによる計量管理・保障措置検認への適用

<Crate Counter は “クレート((廃棄物用)クレート容器(大型木箱))を丸ごと囲み込む” 計数装置>

(*)1.3×1.3×2.13 m の大型廃棄物用クレートに封入されたプルトニウムを高感度で評価するため、リチウム付活ZnSシンチレーション検出器によるクレートカウンターを開発した。この装置は通常運転損失(Normal Operating Loss: NOL)に係る核物質計量管理を支援し、廃棄物搬出直前の保障措置検認にも利用できる。1000 kg の廃棄物中に約10 g のプルトニウムを検出可能な性能を持つ。(Rocky Flats Plant, Atomics International Division, North American Aviation)
A CRITICAL ANALYSIS OF RECENT ADMINISTRATION STATEMENTS ON REPROCESSING, THE BREEDER AND NON-PROLIFERATION Mike McCormack
再処理・高速増殖炉政策・核不拡散に関する近年の米国政府声明の批判的分析
― 米国エネルギー政策の一貫性・不拡散政策との整合性に関する政策的検討
(*)本講演は、米国下院議員 Mike McCormack が近年の行政(米国政府)による再処理政策、高速増殖炉政策、核不拡散政策に関する声明を批判的に検討したものである。講演者はエネルギー政策立案や核融合研究推進に深く関わり、高速増殖炉プログラムのレビュー委員会も率いており、政策的視点から政府声明の妥当性と影響を論じた。内容は、再処理・増殖炉・不拡散を巡る米国行政の発言の実効性、整合性、エネルギー戦略との関連性を評価する点に重きが置かれている。(U.S. House of Representatives(米国下院議会議員))
A DISPLACEMENT TECHNIQUE FOR CALIBRATION OF SPECIAL NUCLEAR MATERIAL TANKAGE VOLUMES Louis W. Daher, Loren E. Shuler, Lavern H. Morrow
特別核物質タンク容量の校正に向けた変位式体積測定技術
― 変位ピストンを用いたSNMタンク容量校正装置の設計・運用・誤差評価
(*)高度化したプルトニウム処理施設向けに、従来法が適用困難な特殊設計のSNMタンク容量を高精度に校正するため、変位ピストン(positive displacement pistons)を基準とする液体容量校正装置が開発された。装置は寸法検査で標準化されたピストン、マイクロプロセッサ制御、自動バリデーション機能、データ自動記録を備え、遠隔配置された特別核物質タンクの容量をプログラム制御で校正する。校正データは ANSI N15.19-1975 に基づき解析され、誤差要因の検討を含め、SNM計量管理におけるタンク容量信頼性の向上が示された。(Rocky Flats Plant, Rockwell International(Atomics International Division))
A MATERIAL CONTROL ASSESSMENT PROCEDURE R. W. Adams, L. R. Spogen
核物質管理システム評価手順
― 性能基準型規制への適合を目指した攻撃シナリオ生成・応答評価・有効性判定の体系化
(*)本論文は、米国原子力規制委員会(NRC)のために Lawrence Livermore Laboratory が開発中であった 核物質管理システム(Material Control System)評価手順を紹介する。評価手順は「対象識別」「攻撃者シナリオ生成」「システム応答評価」「結果判定」「有効性評価」の5つから構成され、体系的かつ性能ベース評価を可能にする枠組みを提供する。この手順により、将来の性能基準型規制への整合性、明確な評価ルール、ユーザ中心の設計・評価ツールが確保され、保障措置ライセンス取得に伴う問題の低減が期待される。(Lawrence Livermore Laboratory)
A MOBILE NONDESTRUCTIVE ASSAY VERIFICATION AND MEASUREMENT SYSTEM R. J. Sorenson, F. P. Brauer
可搬型非破壊分析(NDA)による核物質検認・測定システム
― 専用車両搭載型リアルタイム中性子・ガンマ計測装置による在庫検認能力の強化
(*)本研究では、核物質の保障措置目的での在庫検認(inventory verification)および現場測定を実施するための、可搬型リアルタイムNDA(非破壊分析)システムが開発された。このシステムは、専用に製作された車両に電子機器およびコンピュータ制御装置を搭載し、パッシブ/アクティブ中性子計測およびガンマ線計測装置を車外で運用する構成をとる。これにより、Hanford サイトを含む多数の貯蔵・保管場所での計測を可能とし、保障措置における検認能力・測定能力が大幅に向上する。(Pacific Northwest Laboratories(Battelle, PNL))
A STRUCTURE FOR THE DECOMPOSITION OF SAFEGUARDS RESPONSIBILITIES Leon D. Chapman, Virgil L. Dugan
保障措置責任分担の階層的構造
― 国際〜施設レベルへの分解と GAASS に基づく物理的防護評価手法の体系化
(*)本論文は、核物質が悪意ある行為者に利用されることを防ぐという保障措置の基本使命を満たすため、国際 → 国内 → 地域 → 施設レベルへと展開される階層的な保障措置責任構造を定義している。 施設レベルでは、保障措置を 物理的防護(physical protection) と 核物質管理(material control) に分解し、さらに輸送時保障措置も含め、役割と機能を体系化している。 また、Generic Adversary Action Sequence Segments(GAASS) を用いて、侵害経路(paths)と物理防護機能(検知・評価・通信・遅延・無力化)を分解し、性能評価指標を構築する手法を提示している。(SNL)
ADVANCED ACCOUNTING TECHNIQUES IN AUTOMATED FUEL FABRICATION FACILITIES R. L. Carlson, A. W. DeMerschman
自動化燃料製造施設における先進的核物質計量管理手法
― 分散型計算機ネットワークとインラインNDAを活用したリアルタイムSNM管理および工程別質量収支手法
(*)自動化燃料製造施設向けに設計された新しい核物質管理(アカウンタビリティ)システムは、施設内の特別核物質(SNM)の所在をリアルタイムに把握するため、マイクロプロセッサとミニコンによる分散ネットワークを用いる。 SNM がアカウンティング境界を通過するたびに、遠隔・インラインNDA計測結果を自動取得し、中央アカウンタビリティ計算機が台帳・監査記録を即時更新する仕組みを備える。単位工程ごとには質量収支(mass balance)を用い、カプセル化された物質や移送中の SNM はアイテム管理で追跡するという、工程特性に応じた複合型計量管理手法を導入している。(WHC)
ALLIED-GENERAL MATERIALS ACCOUNTING AND CONTROL SYSTEM G. A. Huff, G. D. Workman, D. G. Hill
Allied-General社における核物質計量管理・制御システム
― 再処理施設の連続流プロセスに対応した AGMAC 計算機ネットワークの構成と導入
(*)Allied-General Nuclear Services(AGNS)が運営する連続流プロセス型再処理施設では、工程制御・核物質計量管理・保障措置測定のすべてを多数の計器・分析結果に依存するため、高度な計算機ネットワーク型管理システムが必要とされた。1日あたり約200件の試料分析(約800項目)と数百のプロセスパラメータを処理するため、Laboratory Data System と Materials Accounting and Control System を統合した計算機ネットワーク AGMAC(Allied-General Materials Accounting and Control System)が構築された。本論文では AGMAC を構成するハードウェア、開発経緯、実装段階が説明され、再処理施設の核物質管理の即応性・信頼性向上を目的とした実用的データ処理アーキテクチャが示された。(Allied-General Nuclear Services)
An  Approach to Performance Based Regulation Development L. R. Sponge, L. E. Cleland
性能基準型規制(PBR)策定へのアプローチ
― 機能階層構造と性能指標に基づく核物質管理システム評価枠組みの構築
(*)本論文は、性能基準型規制(Performance Based Regulations: PBR) を開発するための体系的アプローチを提示し、規制をシステム機能の階層構造(function hierarchy)に基づいて定式化する枠組みを示す。最高階層では社会的目的を機能として定義し、それを下位機能へ逐次分解し、個々の機能に対する性能指標(measures)と上位階層への集約方法を設定することで、PBRの設計基盤を構築する。 規制の柔軟性・性能不確実性・遵守確認の容易さを考慮し、核物質管理システム評価に対して同研究所がNRCに提供した枠組みを例に、実際にPBRを生成する方法の有効性を示している。(LLL)
AN AUTOMATED PASSIVE GAMMA SYSTEM FOR THE ANALYSIS OF URANIUM-235 IN CALCINED ASH SAMPLES R. C. Hagenauer, L. C. Nelson, Jr.
焼成灰試料中のウラン235分析に用いる自動化パッシブガンマ測定システム
― U‑235 定量の自動化・測定効率向上を目指したパッシブガンマ分析手法
(*)本研究は、焼成灰化処理(calcined ash)されたウラン試料中の U‑235 を測定するための自動化パッシブガンマ分析システムを開発したものである。システムは自動化された処理機構とパッシブガンマ計測技術を組み合わせ、試料処理から測定までの操作を最適化し、U‑235 定量の精度・効率を向上させることを目的としている。本装置は、核物質管理におけるウラン分析の迅速化と作業者負荷軽減に寄与し、核物質計量管理および保障措置分析の自動化に向けた重要なステップとして位置づけられている。(LLL)
AN EXPANDED APPROACH TO CERTIFICATION J. A. Wielang
核物質管理認証制度の拡張的アプローチ
― 品質保証認証制度を基盤とした核物質管理者向け資格制度構築の提案
(*)本論文は、核物質管理担当者(Custodians)および中間管理層向けの認証制度創設を提案している。認証制度は既存の品質保証(Quality Assurance)認証制度を基盤として構築する考えが示されている。核物質管理の熟達度を示す**“Certificate of Proficiency in Nuclear Materials Control”**を授与するためのカリキュラム案が提示されている。(Allied Chemical Corporation(米国、旧核燃料・化学企業))
AN OVERVIEW OF U.S. NON-PROLIFERATION GOALS Joseph S. Nye
米国の核不拡散目標の概説
― 安全保障・科学技術政策を踏まえた1977年時点の米国不拡散戦略の全体像
(*)本講演は、1977年に米国国務省で新設された安全保障・科学技術担当次官代理補(Deputy to the Undersecretary)としての視点から、米国の核不拡散政策の基本方向を概説した内容である。米国の核不拡散政策を国際安全保障・技術協力・供給者責任などの視点から整理し、国際的枠組みの強化を図る必要性が強調されている。当時の政策立案に関わる高官として、米国の外交・技術・安全保障政策の交差領域における不拡散努力の総体像を提示する講演として位置づけられる。(U.S. Department of State(米国国務省))
ANALYTICAL CHEMISTRY AND NUCLEAR SAFEGUARDS IN A NUCLEAR FUEL REPROCESSING PLANT E. A. Hakkila
核燃料再処理施設における分析化学と核保障措置
― 分析化学とNDA技術を組み合わせた核物質測定手法の最適化とインライン計測の精度向上に関する検討
(*)再処理施設における核物質測定は、従来の分析化学手法と非破壊測定(NDA)技術の組合せにより実施される。測定手法の選定にあたっては、保障措置要件とプロセス制御要件の双方を満たす必要がある。兵器級プルトニウム測定向けに発展した従来の分析法を再処理溶液向けに適応させる工夫や、精度・妥当性向上のためのインライン計測機器の評価が議論されている。 (LASL)
APPLICATION OF CONTROLLABLE UNIT METHODOLOGY TO A REALISTIC MODEL OF A HIGH-THROUGHPUT, MIXED-OXIDE FABRICATION PROCESS P. W. Seabaugh, D. R. Rogers, A. F. Ciramella
高スループット MOX 燃料製造プロセスの実在的モデルへの制御可能ユニット手法の適用 (*)要旨・本文はオンライン非公開。(Mound Laboratory(Mound Facility), Monsanto Research Corporation )
APPLICATIONS OF THE ABSORPTION-EDGE DENSITOMETRY NDA TECHNIQUETO SOLUTIONS AND SOLIDS J. W. Tape, T. R. Canada, D. G. Langner, E. R. Martin, J. L. Parker, T. D. Reilly
吸収端デンシトメトリによる非破壊分析(NDA)の溶液および固体試料への応用
― 化学マトリックス非依存の高精度SNM定量手法と溶液・プルトニウム灰・MTR燃料束への適用性
(*)吸収端デンシトメトリ(Absorption‑edge densitometry)は、化学マトリックスの影響を受けにくい 非破壊分析(NDA)技術であり、多様な化学形態の核物質(SNM)に適用できる。本手法は、溶液中の SNM 測定に適しているだけでなく、プルトニウム含有灰・MTR燃料束などの固体試料にも有効であることが示されている。SNM 濃度測定において 0.5〜1% の高精度が容易に達成可能であることが確認されており、保障措置向け NDA 手法として高い実用性を持つ。(LASL)
ASSAY OF FISSION PRODUCT CONTAMINATED COMBUSTIBLE WASTE AT THE 10nCi/g FIDUCIAL E. R. Martin, T. W. Crane, D. F. Jones
10nCi/g 基準における核分裂生成物で汚染された可燃性廃棄物のアッセイ
― 高分解能Ge検出器の導入による高感度NDAの実現とNaIベース測定システムの改良検討
(*)既存の NaI(ヨウ化ナトリウム)検出器ベースの廃棄物測定システムでは、TRU(超ウラン元素)と核分裂生成物(FP)に同時対応しつつ 10nCi/g の基準感度を満たすことが困難であることが示された。高分解能の Ge(ゲルマニウム)検出器を評価した結果、この高感度測定用途に適した性能を有することが確認された。新たな高分解能 Ge 検出器を用いた 非破壊測定技術(NDA)および既存の NaI システムの改良案が提示され、可燃性固体廃棄物中の微量汚染評価に資する実用的手法が議論されている。(LASL)
Assessment of the Uncertainty of Material Differences N. J. McCormick
End(1) 核燃料加工工程における「未計上核物質差」の不確かさの評価
― 離散マルコフモデルと情報理論に基づく損失有無および発生工程特定の不確実性解析
(*)燃料加工施設では、混合・成形・焼結・研削・廃棄など複数工程で核物質が「未計上」となる可能性があり、その発生確率を離散マルコフ過程としてモデル化できる。このモデルに情報理論を適用することで、(a) 物質が損失したかどうか、(b) どの工程で未計上となったか に関する不確かさ(不確実性)を平均量として評価できる。例示計算より、工程数 J が大きい場合、両種の不確かさは log₂(1+J) に近づくこと、また損失率と回収率の比は工程数が少ない場合にのみ重要となることが示される。(University of Washington)
AVAILABILITY ANALYSIS FOR HIGH RELIABILITY COMPUTER SYSTEMS IN NUCLEAR FACILITIES Edward P. Schelonka
原子力施設における高信頼計算機システムの可用性解析
― MTBF・MTTRに基づく単独/冗長構成の可用性比較と多重プロセッサ化によるダウンタイム低減効果
(*)「可用性(Availability)」を システムが正常稼働している時間 ÷ 要求されている総稼働時間 と定義し、核施設における計算機システムの運用有効性とダウンタイム推定の指標として評価している。MTBF(平均故障間隔)と MTTR(平均修復時間)の典型値を用いて 単体構成および多重化構成の可用性を比較し、高信頼化に向けた構成の差異を定量的に示している。多重プロセッサ/冗長化構成により、高故障率ユニットを含む場合でも 年間ダウンタイムを 781 時間 → 32.3 時間へ大きく削減可能であることを示し、複数の接続方式と信頼性データを提示している。(LANL)
ALARM ASSESSMENT Douglas E. McGovern
警報原因の評価
― 侵入検知における警報原因の判定と評価手法の検討(センサー入力処理と監視員による観察を組み合わせた実サイト適用例)
(*)侵入検知システムにおいて警報が発生した際、その原因を判別し必要な対応行動を決定するための「警報評価(Alarm Assessment)」の考え方を整理している。センサー入力を適切に処理することで一部の原因情報は得られるが、最終的な原因判断は監視員による現場観察(直接観察またはCCTV)に依存する。警報評価を実施する複数の手法と、それらを実際のサイトに適用した事例を示している。(SNL)
SYSTEM CONTROL AND DISPLAY James Jacobs
システム制御と表示
― 警報・映像統合による施設防護システムの制御・表示設計(冗長化構成と誤警報低減のための気象連動処理)
(*)本システムは短期間で設計・開発・設置され、市販の軍用・商用部品を主に使用して構築された。深層防護と多様な冗長性を備え、通常時は計算機制御、異常時には手動バックアップで運用され、気象データと連携した警報処理により誤警報を低減する。警報と映像情報はセキュリティ担当者へ対話的に提示され、履歴データが記録されてシステム評価に利用される。(SNL)
CLOSED-LOOP SAFEGUARDS CONTROL OF PLUTONIUM TRANSFER AND SAMPLING OPERATIONS C. S. Sonnier
指定手順限定型保障措置制御によるプルトニウム移送・採取作業の統制
― 認証者限定の手順順守監視と不正行為の早期検知を実現する統合的管理手法
(*)プルトニウム硝酸溶液の移送およびサンプリング工程に対し、作業手順の全ステップを所定順序どおり、かつ正当に認証された者のみが実行できるよう統制するクローズドループ型 safeguards 制御システムを構築した。本システムは、各種防護要素とコンピュータ制御・照合機能を組み合わせ、未認可行為の早期検知、制御の強制、遅延措置、また必要に応じた対応部隊への要請を迅速に行う構造を備えている。設計対象はプルトニウム硝酸塩であるが、特別核物質を扱う他の操作や重要設備への盗取・妨害防止にも応用可能な基本概念として提示されている。(SNL)
CONCEPTUAL DESIGN OF INTEGRATED SAFEGUARDS SYSTEMS J. Shipley
統合型保障措置システムの概念設計
― 核燃料サイクル後段施設を対象とした保障措置統合設計プロセスと概念的枠組み

<Shipley(1977)は “Safeguards by Design (SBD)” の先駆け>

(*)LASL は燃料サイクル後段の複数の施設(再処理、硝酸プルトニウム転換、MOX燃料製造、プルトニウムスクラップ回収、廃棄物取扱い)に対し、統合型保障措置システムの概念設計を行っている。本論文は、概念設計を実施する際の定義、体系的手順、必要なツール、そして一例となる設計成果を示し、保障措置を施設設計に組み込むプロセス設計思想を説明する。さらに、概念設計が施設設計全体の他の要素(運転経済性、プロセス設計、運用影響)とどのように関連し、保障措置強化の初期段階としてどのような価値を持つかを論じている。(LASL)
CONFLICT SIMULATION FOR SURFACE TRANSPORT SYSTEMS S. C. Keeton, P. De Laquil
地上輸送系に対する紛争(攻防)シミュレーション
― 武装攻撃シナリオの定量解析と輸送防護戦術評価を可能にする戦闘モデル(SABRES)の初期機能とその適用例
(*)物資の地上輸送に対する輸送保障措置システムを評価するうえで、武装集団による攻撃が発生した際に、護衛側と攻撃側の交戦結果を予測することが極めて重要であると論じている。Sandia Labs は、輸送中の攻防を動的に解析する戦闘シミュレーションモデル SABRES を開発しており、本論文ではその初期段階の機能と、防護戦術・武器性能・攻撃者特性の関係を評価する例を示している。SABRES を用いることで、護衛戦術の有効性評価、脅威シナリオの比較、武装戦力の最適配置など、輸送防護の設計に必要な定量的知見が得られることを示している。(Sandia Laboratories)
CONGRESSIONAL APPROACHES TO NONPROLIFERATION AND TO INTERNATIONAL SAFEGUARDS Warre Donnelley
不拡散および国際保障措置に対する米国議会の政策的アプローチ
― 立法過程から見た不拡散政策の形成と国際保障措置制度への関与の視点
(*)本講演は、米国議会における不拡散政策と国際保障措置の立案・監督の視点を概説するもので、議会側が核エネルギー・不拡散・保障措置にどのように関与しているかを説明している。講演者 Warren Donnelly は、米国議会調査局(CRS)においてエネルギー・不拡散問題を担当する上級専門官であり、立法過程と政策調査の役割を踏まえ、国際保障措置制度に対する議会の観点を提示している。米国の核政策形成には、科学技術的理解と国際政治上の不拡散課題が密接に絡み合っており、議会はこれらを踏まえて国際保障措置の強化と不拡散政策の方向性を評価・支援する立場にあることが述べられている。(Congressional Research Service, Library of Congress)
DESIGN OF AN ENGINEERED SAFEGUARDS SYSTEMA FOR  A MIXED-OXIDE FUEL FABRICATION FACILITY Alfred E. Winblad, R. P. McKnight, W. C.Fienning, B. R. Fenchel
MOX燃料製造施設における工学的保障措置システム(ESS)の設計
― 脅威シナリオ解析と侵入シーケンス図に基づく物理防護・計量管理の統合的防護構築手法
(*)本論文は、MOX燃料製造施設における多様な脅威に対して、高い防護性能を発揮する Engineered Safeguards System(ESS:工学的保障措置システム) の設計概念とその構成案を提示している。施設を通過し得る全ての攻撃者経路を体系的に解析する Adversary Sequence Diagram(侵入シーケンス図) を用い、重要経路(critical adversary path)を抽出し、物理防護と計量管理を統合した防護体系を評価している。ESS の効果は、検知・遅延・対応力を論理式として評価し、護衛部隊の展開や応答能力を含めた総合的防護性能(盗取・破壊シーケンス阻止確率)として定量的に判定する設計手順が示されている。(SNL)
DESIGN OF AN INTERLABORATORY COMPARISON STANDARD FOR NDA MEASUREMENT OF SCRAP AND WASTE Nancy M. Trahey, J. M. Scarborough
スクラップおよび廃棄物のNDA測定に向けた研究機関間比較用標準試料の設計
― NDA物質量評価の整合性確保に向けたアンケート調査結果とプロトタイプ標準試料計画の提示
(*)特別核物質(SNM)のスクラップおよび廃棄物に対する NDA(非破壊分析)適用状況を把握するため、各研究機関へアンケート調査を実施し、標準試料設計に必要な情報を収集した。回答結果に基づき、研究所間比較(interlaboratory comparison)のための “プロトタイプNDA標準試料(prototype NDA standards)” の構成案が検討され、その使用計画が示された。これら標準試料は、将来的な NDA 計測の信頼性向上と、研究所間での測定データ整合性向上を目的としており、NDA 技術の品質保証体系を整備する基礎として位置づけられる。(New Brunswick Laboratory(NBL))
DETERMINATION OF URANIUM IN IRRADIATED SOLID WASTE BY NEUTRON INTERROGATION J. P. Henscheid, J. A. Rindfleisch, A. G. Westra
中性子照射法による照射済み固形廃棄物中のウラン量測定
― 高ガンマ線場下における未溶解固形物(Rover燃料)のウラン監視を可能にするアクティブ中性子計測装置の性能評価
(*)Rover 燃料溶解工程で発生する未溶解固形物(undissolved solids)中のウラン量を監視するために、中性子照射(neutron interrogation)方式の測定装置を試験した研究である。装置は 50 R/hr を超える高ガンマ線場(1.3 cm)という極めて厳しい放射線環境でも正常に動作し、照射済固形廃棄物の NDA 計測が可能であることが示された。約 75 ポンドのホウ素添加固形物を装填した直径 25.4 cm の試料容器において、20 g の ²³⁵U を検出下限とし、計測精度 ±30 g(²³⁵U)を達成した。(Allied Chemical Corporation)
DEVELOPMENT OF AN INTEGRATED, COMPUTERIZED ACCOUNTANCY SYSTEM FOR NUCLEAR MATERIALS CONTROL IN A NUCLEAR RESEARCH CENTRE H. Buker, U. Kotte, R.Theenhaus
ユーリッヒ原子力研究センターにおける核物質管理のための統合型・計算機化計量管理システムの開発
― 識別単位(inventory units)の一元管理による核物質トラッキングとデータベース化の実装
(*)本論文は、Jülich 原子力研究センター(Kernforschungsanlage Jülich)で開発中の統合型・計算機化核物質計量管理システム(computerized accountancy system) の概要を示し、施設内に存在するすべての核物質・放射性物質を含む識別可能な項目(inventory units)を一元管理する仕組みを説明している。システムでは各項目に固有の識別コードを付与し、核物質の配置・移動・保管を中央データベースで追跡できるようにすることで、施設全体の核物質管理・アカウンタビリティを高度化することを目的としている。このアプローチは、後年の NACS(Nuclear Accountancy and Control System)へ発展し、内部管理レベルと中央管理レベルの二層構造・端末入力・自動処理・在庫推定などの特徴を備えた堅牢な核物質管理基盤となった。(Kernforschungsanlage Jülich GmbH)
Dynamic Models, Estimation and Detection Concepts for Safeguarding Pu(NO₃)₄ Storage Tanks D. R. Dunn
Pu(NO₃)₄ 貯蔵タンクの保障措置に向けた動的モデル・推定・異常検知手法の開発
― 敵対者による盗取を対象とした数理モデル化と信号処理に基づく検知性能評価
(*)本論文は、プルトニウム硝酸塩 Pu(NO₃)₄ 貯蔵タンクに対する敵対者による盗取(diversion)を迅速に検知するため、数学モデル・最適推定(optimal estimation)・異常検知アルゴリズムを統合した手法を提示している。静置・攪拌・充填・払出しなどタンクの運転モードをモデル化し、タンク計測データの変動を解析することで、通常挙動と敵対者による異常挙動の識別が可能であることを示した。検知性能は、いくつかの盗取量(150 g、250 g、500 g)に対する検知確率と誤報確率の関係として示され、保障措置における動的・連続監視の有効性を明確にしている。(LLNL)
ESTIMATING THE AVAILABILITY OF LLEA OFFICERS K. P. Berkbigler
LLEA(地元法執行機関)警察官の即応可能性の推定
― 核物質輸送ルートにおける警察力分布を評価する COPS モデルの開発と適用
(*)本論文は、核物質輸送の物理的防護における重要要素であるLLEA(Local Law Enforcement Agency=地元警察機関)による即応可能体制を評価するため、沿道に存在する警察官数を迅速に推定するCOPS(Computerized Officer Projection System)モデルを紹介した。COPS は、人口統計・警察官数データ(FBI 統計)などのデータベースを用いて、輸送ルート沿いの警察官分布と利用可能性を計算し、警備の弱点(警察官が少ない区間)や代替ルートの比較を可能とする。例として、カリフォルニアおよびネバダ州の複数ルートに適用した結果を示し、地理・人口分布に基づく警察力の偏在と、警備強化上の課題を明確化している。(Sandia Laboratories)
ESTIMATION OF THE OUTCOME OF OVERT ADVERSARY ACTIONS USING SIMULATION L. Harris, Jr., C. Rindfleisch, B. G. Hartenau
公然型脅威主体の行動結果推定
― ネットワーク型シミュレーションによる攻撃者・防護側の相互作用と脆弱性の定量評価
(*)本研究は、核施設に対する overt(公然型)attack scenarios の結果を予測するために、ネットワーク型・集計型(batched, aggregate, network)シミュレーションモデルを構築し、攻撃者行動と防護側応答の相互作用を評価したものである。シミュレーションは、警備員派遣・応答時間・配置・戦術、検知・通報・遅延要素などを含む物理防護システムの動的挙動をモデル化し、攻撃成功/阻止の確率や条件を定量的に推定するために用いられた。目的は、物理防護システム設計において、防護上の脆弱点(vulnerabilities)と改善の優先度を定量的に明らかにし、政策・設計判断を支援することである。(Science Applications, Inc.)
EURATOM-ACTl ITY  IN MONITORING PLUTONIUM CONTAMINATED WASTE STREAMS G. Birkhoff
プルトニウム汚染廃棄物流監視における EURATOM の取り組み
― 参照モニタ概念と放射計測理論に基づく Pu 廃棄物モニタリングシステム設計の体系化
(*)本論文は、EURATOM の Ispra 研究所に設置されたプルトニウム汚染固体廃棄物流の監視(Pu‑waste monitoring)を専門とする助言・評価ラボ(Advisory Laboratory)の組織・役割を説明している。監視システム設計のためのハンドブック(monitoring system design & analysis handbook)の内容を概説し、特に参照モニタ(reference monitors)という校正・比較用機器の概念を強調している。Pu 汚染廃棄物モニタリングの基盤となる放射計測(radiometric assay)理論を整理し、廃棄物管理の目的との整合性を持たせた測定・評価の枠組みを提示している。(Ispra JRC)
EVALUATING THE VULNERABILITY AND DETECTION PROBABILITY OF DETECTION MECHANISMS T. Gozani, J. E. Glancy, R. Polichar, C. Stone
検知メカニズムの脆弱性および検知確率の評価
― 潜行型 adversary に対する検知装置・手順・警備要素の脆弱性解析と検知性能指標(FOM)構築手法
(*)本論文は、核物質盗取(diversion)や施設破壊につながる潜行型 adversary 行動に対して、各種「検知メカニズム」(装置・手順・警備員)の脆弱性と検知確率を体系的に評価する手順(procedural framework)を提示している。手順は ①脆弱性分析(vulnerability analysis)→ ②検知確率分析(probability analysis) の二段構成で、前者では機構が完全に無力化され得る tampering/迂回の可能性を評価し、後者では正常稼働下で adversary が“視野(field‑of‑view)”に入った場合の検知確率を算出する。このアプローチは、I/AA(Identity/Access Authorization)システム、SNM ポータルモニタ、侵入検知装置、材料収支システムなど複数の検知機構に適用可能で、統一的な検知性能データベース構築(safeguards system FOM)の基礎として活用される。(Science Applications, Inc.)
EXPERlENCE WITH DYNAMIC MATERIAL CONTROL SUBSYSTEMS W. R. Severe, J. Hagen, R. Siebelist, P. Wagner, W. M. Olson
動的核物質管理サブシステムにおける運用経験
― DYMAC プロトタイプ運転から得られた計量バイアスの発見とプロセス動的バランス評価による運用手順上の課題抽出
(*)Los Alamos Scientific Laboratory(LASL)が開発した動的核物質管理システム DYMAC(Dynamic Material Control)の試作運用から得られた知見をまとめた報告であり、装置・計量手順の不整合が核物質計量管理(MC&A)の精度を損なうリスクを示した。フィルトレート測定方法の二方式間で統計的バイアスが存在すること、さらに工程単位での動的バランス(unit process dynamic balance)評価により、DYMAC の計量目的を弱める運転手順上の問題が発見された。これらの問題は最終システムでは修正され、DYMAC の本格稼働後も同様の不整合が動的運転環境で再発し得るため継続監視が不可欠であることが結論として示された。(LASL)
Future Prospects for International Safeguards Yoshio Kawashima
国際保障措置の将来展望
IAEA SAFEGUARDS IN RELATION TO NATIONAL NUCLEAR MATERIAL CONTROL SYSTEMS R. Rometsch
IAEA 保障措置と国家核物質計量管理システム(SSAC)との関係
― 国家制度・産業界と IAEA の二層構造による盗取防止枠組みと計量・査察の役割分担
(*)講演者 R. Rometsch(IAEA 保障措置局次長)は、IAEA 保障措置と各国の国家核物質計量管理システム(SSAC)との関係を整理し、国際保障措置は国家システムの上に成立する“二層構造”であることを強調した。国家レベルでは、盗取(diversion)防止の第一線として物理的防護(フェンス、侵入検知、バリア、アクセス制御、警備など)が担われる一方、IAEA は「重大量(significant quantity)」の転用の有無を検証する役割を持つ。安全かつ信頼性の高い保障措置を実現するためには、国の制度・産業界・IAEA の三者が連携し、計量管理(inventory & flow data)、測定精度評価、定期的な実地査察を強化する必要があると述べた。(IAEA)
INMM PANEL DISCUSSION SAFEGUARDING THE NUCLEAR FUEL CYCLE R. N. Chanda
End(2) INMM パネル討論:核燃料サイクルの保障措置
― 産官学・メディアが参加する公開討論による盗取防止・核拡散抑止・制度信頼性の多面的検討
(*)本パネル討論は、INMM が主催する核燃料サイクルの保障措置に関するシリーズ企画の第3回として開催され、保障措置・核拡散・核産業への信頼性に関する社会的議論を“公開対話形式”で行うことを目的としていた。参加者には、電力業界(EPRI)、核燃料企業(Exxon Nuclear)、報道(ENERGY DAILY)など、産官学メディアが幅広く含まれ、燃料サイクルにおける盗取(diversion)リスク、国際保障措置の透明性、産業界の説明責任が主要テーマとして議論された。モデレーターは Los Alamos の G. Robert Keepin(当時の保障措置計測開発を主導した人物)であり、パネルは保障措置技術・制度・政策・世論の交差点を扱うもので、INMM の“社会との対話”活動の象徴的セッションとなった。
INTERNATIONAL NUCLEAR SAFEGUARDS REPORTING FROM THE FIRST U.S. NUCLEAR FACILITY William F. Mackey
米国初の核施設における国際保障措置報告の実証運用
― GE ウィルミントン工場を用いた IAEA 向け核物質報告(PIL・ICR)手続きの試行と NMMSS を介した情報フローの検証
(*)本論文は、米国が IAEA に対して実運用形式で保障措置報告を行う最初の実証試験(reporting exercise)を、GE ウィルミントン低濃縮ウラン燃料製造施設をモデル施設として実施した取り組みを報告している。報告試験では、物理在庫リスト(PIL)、インベントリ変動報告(ICR)など、IAEA 保障措置協定に基づく実際の報告書式に準じたデータを作成し、米国 NMMSS → IAEA という正式な情報フローを模擬して運用性を検証した。情報量がきわめて多いため、核物質在庫・取引情報の体系化、データ要件定義、計算機処理の自動化が不可欠であることが示され、将来のオンライン報告システム概念の導入可能性が提案された。(GE)
INTERNATIONAL SAFEGUARDS INSPECTION APPROACH FOR PLUTONIUM RECYCLE FACILITIES J.E. Glancy,F. Wimpey J. E. Glancy, F. Wimpey
プルトニウムリサイクル施設に対する国際保障措置査察アプローチ
― cross‑over sampling に基づく査察計画の構築と必要査察要員の定量評価

<cross‑over sampling ;一連の工程の「入口」と「出口」の両方をサンプリングし、物質収支の整合性を高い信頼度で検証する方式。工程中での盗取(diversion)や未申告経路の検出力が向上。>

(*)本論文は、プルトニウム再処理施設および再製造(recycle fuel fabrication)施設に対する国際保障措置査察(IAEA)のために必要な作業量を定量化する目的で、cross‑over sampling 法を用いた査察計画の作成手法を提示している。cross‑over sampling に基づく査察計画から、査察官の必要人員(manpower requirements)を見積もり、査察対象工程・測定点・サンプル数・検証作業の組み合わせによる負荷を評価した。実査察では、輸送スケジュール・工程中在庫の検証・計測法の制約などの実務上の条件が査察の成立に大きく影響することを指摘し、実用的な保障措置アプローチの設計要件を整理している。(Science Applications Inc.)
MANAGEMENT OF SAFEGUARD SYSTEM FUNCTIONS DURING MAINTENANCE OPERATIONS S. Donelson, P. Melling, T. Pasternak
保守作業中の保障措置システム機能の運用管理 (*)要旨・本文がオンライン非公開。
MODELING AND SIMULATION IN THE DESIGN AND EVALUATION OF CONCEPTUAL SAFEGUARDS SYSTEMS Donald D. Cobb, Darryl B. Smith
概念的保障措置システムの設計・評価におけるモデリングとシミュレーション
― 再処理・Pu硝酸塩からの転換・MOX製造工程を対象とした動的プロセスモデルと材料計量管理の統合設計
(*)近代的施設の運転データが不足する状況で、燃料サイクル主要工程(再処理、Pu(NO₃)₄→酸化物変換、MOX燃料製造)を詳細な動的プロセスモデルとして構築し、概念段階の統合保障措置(材料計量管理・測定サブシステム)設計を評価した。工程内滞留量やスクラップ/廃棄サイドストリームの変動が、動的材料計量・制御の設計に著しい影響を与えることをシミュレーションで定量化し、設計概念の比較・最適化のための数値データを提示した。得られた結果は、計測・アカウンタビリティ部の統合設計(動的在庫推定・計測点配置・データ処理)に対し、感度と実装容易性のトレードオフを示し、概念設計段階でのモデル駆動型の保障措置設計の有効性を示した。(Los Alamos Scientific Laboratory (LASL))
NUCLEAR PROLIFERATION: AN HISTORICAL PERSPECTIVE Michael H. Raudenbush
核拡散:歴史的視座からの考察
― 世界秩序の変容と政治・社会的含意に基づく核拡散問題の再評価
(*)本論文は、核拡散問題を「兵器の破壊力」という技術的視点にとどめず、数世紀にわたる政治・軍事史の流れの中で生じた世界秩序の変容として位置づけ直す歴史的分析を試みている。インドを含む“核兵器保有に至った諸国”ですら、プルトニウム生産から核兵器製造への最終ステップの政治的・社会的重大性に疑念を持つ点を指摘し、核拡散が国家内部の価値観と国際秩序の両面に影響する複合的問題であることを強調する。核拡散の脅威は、軍事的破壊力よりもむしろ、国際政治・社会秩序の不安定化にその核心があるとの視座から、核拡散の歴史的背景と政治的含意を考察する。(The S.M. Stoller Corporation)
Optimal State EstimationTheory Applied to Safeguards Accounting G. W. Morrison, D. H. Pike
保障措置計量における最適状態推定理論の適用
― カルマンフィルタ・累積和技法・線形スムージングによる動的損失推定モデルの統合的検討
(*)本論文は、核物質計量管理における MUF/LEMUF 手法を統一的に再評価し、観測誤差構造を考慮した最適状態推定理論(Optimal State Estimation)の適用可能性を示したもので、特にカルマンフィルタ(Kalman filter)が最適推定器となることを明確にした。在庫測定誤差が移転測定誤差に比べて大きい場合、従来手法よりも累積和(CUSUM)技法や Kalman 推定による継続的転用(diversion)検出性能の向上が得られることを示し、さらに線形スムージングにより過去の損失推定(retrospective estimation)を改善できることを示した。具体例として、MOX 燃料製造施設の状態空間モデル(state‑space model)を構築し、動的材料収支データに基づく損失推定性能をシミュレーションで提示し、保障措置会計の統計的高度化の有効性を示した。(ORNL)
PERIMETER INTRUSION DETECTION AND ASSESSMENT SYSTEM M. J. Eaton, J. Jacobs, D. E. McGovern
外周侵入検知・評価システム
― 埋設ケーブル・マイクロ波・電界フェンス等の複合センサーを用いた核施設外周防護設計と環境適応性評価
(*)本研究は、核施設における外周防護のための侵入検知・評価システム(PIDS)を設計・実装する際の重要要素として、センサーの種類選定、環境適応性、調達仕様、現場施工精度の重要性を体系的に整理した。外来者侵入の早期警報のため、複数種センサー(埋設ケーブル、マイクロ波、電界フェンス、フェンス振動検知等)を組み合わせることが不可欠であり、単一センサーでは誤報率(nuisance alarms)の増加や検知漏れが避けられないと指摘。センサー性能には風・土壌・フェンス剛性・動物侵入など環境条件が強く影響するため、施工寸法・設置条件の厳格管理と、補完的センサー構成による総合的侵入検知精度の最適化が必要と結論した。(Sandia Laboratories)
REAL TIME ACCOUNTABILILTY SYSTEM AT MOUND LABORATORY Mose Baston, Thomas M. Bishop
マウンド研究所におけるリアルタイム核物質管理システム
― 在庫・移動・工程処理の即時記録による核物質会計の高度化と MUF 低減
(*)Mound Laboratory では、核物質(主に特殊核物質)の受入・貯蔵・移動・処理をリアルタイムに記録・監視する「Real‑Time SS Accountability System」を導入し、1976 年から実運用している。このシステムは、核物質のすべての取扱いを即時にデータベースへ反映し、在庫・移動・位置の連続的管理と MUF(未照合量)縮減 を実現することを目的として構築された。実運用の結果、処理工程の可視化、オペレータ入力ミス減少、核物質移動の追跡性向上など、従来の帳票ベース会計方式では得られなかった管理精度と即時性が確認され、核物質管理の高度化に寄与した。(Mound Laboratory(Monsanto Research Corporation / DOE))
REVIEW OF EVALUATION OF HOLD UP MEASUREMENTS Tsahi Gozani
ホールドアップ(滞留核物質)測定評価に関するレビュー
― LEMUF への寄与、核物質シグネチャの選択、γ線測定精度(20〜50%)の実用的限界
(*)本論文は、核燃料サイクル施設におけるホールドアップ(滞留核物質)測定の重要性を再評価し、とくに混合酸化物(MOX)燃料製造施設ではホールドアップ測定誤差が LEMUF に大きく影響する主要因であることを示した。 現状のホールドアップ測定手法および核物質シグネチャを総覧し、既存のγ線測定に加えて、Zr‑95/Nb‑95 や Rh‑106/Ru‑106 など、より貫通力の高い核分裂生成物(FPs)のγ線利用が有望であると提案した。最近の複数の測定例では、20〜50% 程度の体系的誤差が実現可能であり、条件が良い場合には低い誤差が得られ、産業環境でも十分許容される測定精度が達成できることを示した。(Science Application Inc.)
SAFEGUARDS– A REGULATORY VIEW Richar T. Kennedy
保障措置 ― 規制当局の視点
― NRC による近年の強化措置と核施設防護における政策的・技術的課題
(*)本講演は、NRC(米国原子力規制委員会)が直近2年間で進めてきた核施設の保障措置強化策を総括し、産業界・政府・国民の間で高まる安全保障上の懸念と、その背景にある規制ニーズを概説している。NRC の安全保障関連活動として、規則整備・施設設計審査・運用監視・物理的防護強化などの取り組みを整理し、今後の政策方向性として、脅威の変化に即応する“継続的改善サイクル”の重要性を提示した。核燃料サイクルの拡大や国際的な不拡散問題への関心の高まりを踏まえ、規制当局の役割は従来よりも広範で戦略的な視点を必要とすると述べ、技術的・行政的・政策的アプローチの統合が不可欠であると強調した。(US NRC)
SAFEGUARDS SYSTEM DESIGN METHODOLOGY* Alfred E. Winblad, Millen N. Cravens
保障措置システム設計方法論
― 検知・遅延・応答を統合した工学的物理防護システム構築のための脅威分析・設計フレームワーク
(*)Sandia Laboratories は、特殊核物質および重要設備を防護する物理防護システムの設計に向けて、脅威分析(threat definition)、防護目標設定、システム構成要素の選択を体系的に行うための包括的設計手法を開発した。この設計方法論は、検知(detection)・遅延(delay)・応答(response)の3要素を組み合わせ、施設固有の脅威や運用条件に応じて最適な防護レイアウトを設計できるようにした点が特徴である。Sandia が構築した “Engineered Safeguards System” は、各種センサー、バリア、アクセス制御、警報システムを統合し、核物質窃取(diversion)・破壊工作(sabotage)に対する強固で実証可能な防護性能を実現するための工学的フレームワークを提供する。(Sandia Labortory)
SANDIA LABORATORIES PLUTONIUM PROTECTION SYSTEM E. A. Bernard, D. S. Miyoshi, F. D. Gutierrez
サンディア研究所のプルトニウム防護システム
― 改ざん検知型監視装置・計数装置・自己監視シールによる統合的物理防護サブシステム
(*)Sandia Laboratories は、核兵器級プルトニウムの物理防護強化のため、Plutonium Protection System(PPS) と呼ばれる統合的セキュリティシステムを開発し、改ざん検知型装置・監視装置・アクセス管理機器を組み合わせた防護モデルを提示した。PPS は、核物質区域への不正侵入・内部脅威・未承認移動の検知を目的とし、監視カメラ(tamper‑indicating camera)、照射燃料バンドル計数器、自己監視型シール(self‑monitoring seal) など複数のサブシステムで構成される。これら機器の実環境テスト結果が示され、PPS が査察官の労力削減と検知の確実性向上をもたらすことが確認され、今後の IAEA 保障措置・国内物理防護における適用可能性が示唆された。(Sandia Laboratories)
Self-Energized Credential System David E. Barnes, Norman E. Corlis, Harold O. Jeske, John P. Watterberg
自己励起式電子識別タグシステム
― 交流磁界励起による無電池IDタグを用いた自動入退域検知装置
(*)Sandia Laboratories は、核施設の通過者・物品を自動的・無人で識別するため、交流磁界によって起動されるパッシブ型電子クレデンシャル(自己励起式 Credential)を開発した。クレデンシャルは、磁界で励起されると内部の記憶コード(ID+同期+パリティ)を送信し、受信側がこれをデコードしてコンピュータへ転送することで、区域出入をログ化できる。システムは、通路・ドアウェイのループコイル(exciter/receiver)によって構成され、人の自然な動きを妨げずに改ざん困難な識別を実現し、核施設の区域管理と物理防護強化に資する技術として評価された(Sandia Laboratories)
SOME IDEAS ON STRUCTURING THE PROBLEM OF COLLUSION H. Kendrick, James Nicastro
共謀問題の構造化に関する若干の考察 (*)本文および要旨はオンライン非公開。
STATISTICAL EVALUATION OF ISOTOPIC SAFEGUARDS DATA C. L.Timmerman, K .B. Stewart
同位体保障措置データの統計的評価
― ペア比較と両軸誤差回帰(デミング回帰)を用いた誤差推定と異常値識別
(*)本研究は、同一サンプルを再処理施設と独立機関が分析した二者比較データ(paired comparison)と、回帰分析の2系統の統計手法を用いて、同位体分析データの信頼性評価を体系化し、保障措置における同位体検証の妥当性確認手法を検討した。ランダム誤差の推定から、x(施設測定値)と y(独立測定値)の双方に誤差が含まれる状況では、誤差を両軸に持つ回帰(errors‑in‑variables regression)=デミング回帰系モデルが適切であることが示された。ペア比較と回帰分析を組み合わせることで、異常値(outliers)や異常サンプルの識別が、どちらか一方の手法単独よりも明確になることを示し、同位体保障措置データの統計的検証手法の有効性を示した。(Battelle–Northwest Laboratories)
Surveillance and  Containment Instrumentation International Safeguards James F. Ney, James W. Campbell
国際保障措置における監視・封じ込め機器の開発
― 無人監視カメラ・照射燃料バンドル計数器・自己監視型シールによる改ざん検知と連続性確保
(*)本論文は、IAEA 保障措置における転用(diversion)早期検知の重要性を踏まえ、材料計量、封じ込め(containment)、監視(surveillance)を統合した保障措置システムを強化するための無人・改ざん検知型(tamper-indicating)監視装置の開発状況を報告している。Sandia Laboratories が開発した3つの代表的機器——セキュア監視カメラ、照射済燃料バンドル計数器、自己監視型シール(self‑monitoring seal)——の構造、作動原理、検知機能、改ざん対策について説明し、保障措置現場での利用可能性を示した。これらの装置は、IAEA査察官の“間接的プレゼンス拡大”を可能とし、無人監視による連続性確保・改ざん検知・独立的な燃料移動確認を実現することで、国際保障措置における封じ込め・監視サブシステムの有効性向上に寄与する。(Sandia Laboratories)
SURVEY TECHNIQUES FOR MEASURING  URANIUM-235 J. E. Glancy, B. F. Disselhorst, D. S. Brush
U‑235 測定のためのサーベイ技術
― 携帯型ガンマ線計によるダクト・フィルタ等ホールドアップ定量化手法とトリウム干渉除去の実装 ―
(*)本研究は、携帯型安定化ガンマ線計(Am‑241 ドープ NaI 検出器:5 cm × 1.3 cm)を用いたU‑235迅速サーベイ手法を提示し、ダクト、フィルタハウジング、その他設備におけるU‑235ホールドアップ測定を実例とともに紹介した。測定は、実際のホールドアップ状況を模擬した標準体(ダクト型・大型フィルタ型)によるキャリブレーション、あるいは未知物に既知U‑235源を付加する方法を用いて定量化し、測定精度を担保した。トリウム由来のガンマ線干渉が存在するため、Thバックグラウンド除去手順を組み込み、サーベイ結果を施設クリーンアウト後の実測アッセイと比較することで、手法の妥当性・精度を検証した。(Science Applications, Inc., General Atomic Company)
Target ldentification Procedure for Plutonium Reprocessing Facllities I. Sacks, A. Maimoni, R. Adams
プルトニウム再処理施設における標的同定手順
― 多属性効用理論に基づく“標的魅力度”の定量評価とP&ID解析による盗取フローパス自動抽出
(*)Lawrence Livermore Laboratory(LLL)は、プルトニウム再処理施設における攻撃者にとって“魅力度”が高い標的(target material)を同定・順位付けする方法論を開発した。魅力度の主観性を抑えるため、多属性効用理論(MAUT)と専門家判断を組み合わせて定量化している。魅力度の高い標的が同定された後、盗取(diversion)に至る可能なフローパス(流れ経路)を、P&ID(配管計装図)に基づくコンピュータコードで自動抽出する。このアプローチにより、施設内の“標的→流れ経路→防護要素”を一貫して可視化・解析でき、脆弱性の特定や防護対策(計量管理・C/S・物理防護)の重点化に資する基盤が整備される。(Lawrence Livermore Laboratory)
TECHNOLOGY TRANSFER, PROLIFERATION AND SAFEGUARDS H. Kendrick, L. A. Kull, D. Rundquist, James NiCastro, P. Melling
End(3) 技術移転・核拡散・保障措置
― 保障措置能力の国際移転が核拡散リスクと盗取抑止に及ぼす影響の評価と設計原則
(*)要旨・本文はオンライン非公開。
THE CONFIGURATION  OF ROAD CONVOYS: A SIMULATION STUDY R. J. Gallagher, K. G. Stimmell, N. R. Wagner
道路輸送コンボイ構成の評価:シミュレーションによる防護性能解析
― 車列編成・警備配置が輸送時の脅威阻止能力に与える影響の検討
(*)要旨・本文はオンライン非公開。
The Joint ANSI-INMM 8.1 – Nuclear Regulatory Commission Study of Uranium Hexafluoride Cylinder Material Accountability Bulk Measurements Louis W. Doher, Paul E. Pontius
UF₆ シリンダの核物質計量管理に関する ANSI–INMM 8.1/NRC 共同研究:一括質量測定の評価
― ANSI N15.18‑1975 に基づく参照質量標準(RMS)を用いた UF₆ 質量校正体系の実証と計量プロセスの整合性評価
(*)本研究は、NRC(米国原子力規制委員会)が ANSI–INMM 8.1 委員会と協力して、UF₆シリンダの一括質量計測(bulk measurements)における核物質計量管理の信頼性を確立するため、ANSI N15.18‑1975(質量校正規格)の実証を目的に実施したものである。方法論の中心は、“質量測定を生産プロセスとして管理する”という ANSI N15.18 の哲学であり、アーティファクト参照質量標準(RMS)を基準とした UF₆ シリンダ校正体系を導入し、NBS(国立標準局)が RMS の値付け・不確かさを保証した。各核施設(UF₆ を計量・移転する施設)での計量器試験、内部標準(IHS)値付け、RMS とのクロスチェックなどのデータを収集し、UF₆ の核物質移転に伴う計量プロセスの統合的評価データベースを構築した。最終段階では、施設内外の計量ループの整合性検証が計画されている。(National Bureau of Standards(NBS), Rockwell International, Rocky Flats Plant)
THE MANY FACES OF SAFEGUARDS H. E. Lyon
保障措置の多面性
― 核物質盗取防止・機微情報保護・施設防護を統合する政策・運用・技術の視座
(*)本講演は、当時 ERDA(米国エネルギー研究開発庁)保障措置・セキュリティ部長であった Admiral Harvey E. Lyon により、保障措置が担う多面的機能(核物質の盗取防止、機微情報保護、施設・装置の保護)を俯瞰する趣旨で行われた。 講演者の略歴(原子力艦艇・兵器システム開発の指揮経験、TRIDENT システム・プロジェクト・マネージャー)は、軍事・技術・運用の横断的視点から保障措置を論じる背景を与える。具体的な技術・制度の詳細は公開要旨に見えないが、国内外の政策・運用・技術開発の統合(統合的保障措置)の必要性を強調する基調的講演として位置づけられる。(US ERDA)
THE MODELING OF ADVERSARY ACTION FOR SAFEGUARDS EFFECTIVENESS ASSESSMENT Howard E. Lambert, Judy J. Lim
保障措置有効性評価のための敵対者行動モデル化
― グラフ理論とフォールトツリー解析に基づく行動系列生成と撹乱(stimuli)同定手法
(*)LLL(ローレンス・リバモア研究所)が開発中の核物質管理(MC)評価手順において、対抗者(adversary)の行動系列と誘因(stimuli)を体系的に生成する方法を提示した。ここで stimuli とは、盗取や隠蔽行為によってプロセス変数・状態に生じる撹乱を指す。提案手法は、グラフ理論とフォールトツリー解析を用いて対抗者行動系列(adversary action sequences)を系統的に列挙・解析し、そこから観測され得る撹乱(stimuli)を同定・生成するものである。生成された行動系列と刺激は、施設の MC 有効性評価(効果の定量化)や続く計算手法の基盤となり、後年の手法発展(有向グラフ+フォールトツリーによる事象集合生成など)にも接続する。(Lawrence Livermore Laboratory)
THE NEED TO DEMONSTRATE THE CONTROL OF REPROCESSING INCLUDING MULTINATIONAL REPROCESSING AT BARNWELL L. J. Colby
再処理の統制実証の必要性 ― バーンウェルにおける多国籍再処理を含めて
― 政策環境下での施設運用デモンストレーションと国際保障措置・計量管理・物理的防護の統合
(*)Allied Chemical(当時 Nuclear Services Division 社長)の L. James Colby が、バーンウェル再処理工場(Barnwell)の活用と国際的な多国籍再処理の枠組みを念頭に、再処理の「統制可能性」を実証的に示す必要性を論じた講演である。1977年の米国政策環境(商業再処理の無期限見直し方針)と核拡散抑止の要請を踏まえ、国際保障措置・計量管理・物理的防護を統合した運用実証(デモンストレーション)の意義を主張した文脈に位置づけられる。 講演の狙いは、多国籍アプローチを含む透明性の高い運用を通じて、プルトニウムの盗取(diversion)抑止と政策的受容性を両立させる見取り図を提示することにある。(Allied Chemical Corporation)
THE PHYSICAL PROTECTION OF NUCLEAR MATERIAL IN TRANSIT – THE PROGRAM PLAN R. L. Rinne
核物質輸送時の物理的防護 ― プログラム計画
― 脅威評価・護送戦術・検知・遅延・応答を統合する輸送防護評価体系の構築
(*)Sandia Laboratories は、NRC の委託を受けて、核物質輸送時の物理的防護を体系的に評価するための輸送防護評価プログラム(Program Plan)を策定しており、本論文はその全体構想を示すものである。プログラムの目的は、輸送に関わる脅威分析・護送戦術・遅延要素・検知システム・応答シナリオを包括的に評価する手法を開発し、実輸送条件に適用可能な実証的評価体系を整備することである。Sandia がこれまで蓄積した輸送防護研究(車列シミュレーション、攻撃シナリオ分析、ガード戦術評価)を基礎に、国家レベルの輸送物理防護基準の確立を視野に入れた実施計画を提示している。(Sandia Laboratories)
THE ROLE OF ASSURANCE IN MATERIAL SAFEGUARDS T. I. Mcsweeney, R. J. Sorenson
核物質保障措置におけるアシュアランス(確証)の役割
― 物理防護・計量管理の有効性を定量的に示すための構造化評価手法と盗取経路全体を対象とした体系的アプローチ
(*)保障措置における “assurance(確証・保証)” の役割は、物理防護や計量管理と比べて十分に明確化されてこなかったが、著者らは assurance が 物理防護・計量管理が実際に有効に機能したことを立証する要素であると位置づける。評価の難しさは、(1) 妥当な評価目標の設定、(2) 必要データの定量化 にあり、単なる要件遵守(compliance)ではなく、盗取(diversion)防止に対する実効性を定量的に表現する必要があると述べる。著者らは、流通(flow)と在庫(inventory)の両方の層における盗取可能性を評価する 構造化された assurance 評価手法と、それを迅速に計画立案するための コンピュータコードの活用について示している。(Battelle‐Northwest Laboratories)
THE ROLE OF CONTAINMENT AND SURVEILLANCE IN INTEGRATED SYSTEMS L. M. Brenner
統合型保障措置システムにおける封じ込め・監視(C/S)の役割 (*)要旨・本文はオンライン非公開。
THE TECHNICAL ASPECTS OF INTERNATIONAL SAFEGUARDSA Model for Optimization ofInspection Plan  Kyohei Kiyose, Atsuyuki Suzuki
国際保障措置の技術的側面 – 検査計画の最適化モデル
THE U.S. NEW INITATIVES IN INTERNATIONAL SAFEGUARDS AND MATERIALS MANAGEMENT Robert W. Fri
米国における国際保障措置および核物質管理に関する新たな政策的取り組み
― IAEA 保障措置強化と国内核物質管理体制近代化に向けた米国の新イニシアティブ
(*)本講演では、Robert W. Fri(当時 ERDA 〈Energy Research and Development Administration〉長官代理)が、米国が進める新たな国際保障措置(IAEA)支援策と核物質管理強化策について政策的視点から述べている。演者は、米国が国際不拡散体制の信頼性向上に向けて、IAEA 保障措置の整備・技術支援・国際協力の拡大を進めていることを強調している(1977年は米国が IAEA 保障措置協定に自主的に参加した重要な年)。また、米国内の核物質管理(Materials Management)体制の近代化および国際的整合性の確保が必要であり、政府・産業界・国際機関の連携強化が米国の新イニシアティブの中心であると位置づけられる。(US ERDA)
THE USE OF ISEM IN STUDYING THE IMPACT OF GUARD TACTICS ON FACILITY SAFEGUARDS SYSTEM EFFECTIVENESS Dennis Engi, D. D. Boozer
ISEM を用いた警備戦術が施設保障措置システムの有効性に及ぼす影響の解析
― 内部者脅威を対象としたモンテカルロ型防護シミュレーションによる警備戦術最適化の検討
(*)ISEM(Insider Safeguards Effectiveness Model)は、内部者(insider)が施設内のセンサー・防護要素・警備応答と相互作用する様子をモンテカルロでシミュレーションし、保障措置システムの有効性を定量化するモデルである。モデルは内部者のアクセス権限に基づき、センサー制御・警報の無力化確率、遅延要素、警備員(guard)の配置・応答戦術を変数として扱い、複数の警備戦術の違いが阻止確率(効果指標)に与える影響を評価する。仮想施設に対して guard tactics を 4 種類試験し、内部者の盗取(diversion)および破壊(sabotage)経路に対する防護性能がどのように変化するかを示し、“最適な警備戦術体系の必要性” を結論付けている。(SNL)
THE WHITE-COLLAR CRIME CHALLENGE TO NUCLEAR SAFEGUARDS Herbert Edelhertz, Marilyn Walsh,
核保障措置に対するホワイトカラー犯罪の脅威
― 欺罔・地位悪用・内部知識に基づく非暴力型攻撃者の動機構造と脅威特性の体系的分析
(*)本論文は、核物質の盗取・不正行為が「暴力行使型」ではなく、文書偽造・手続き操作・地位悪用など“ホワイトカラー型”の欺罔行為により達成される可能性に着目し、その特性を分析している。“white‑collar adversary” の動機を system‑motivations / position‑motivations / individual‑motivations の三層構造で整理し、組織内部の知識・権限を利用する攻撃の危険性を体系的に示している。国内外の核産業において、従来の物理的防護(外部侵入対策)だけでは対処できないため、包括的脅威分析にホワイトカラー型攻撃者を必ず含める必要があることを結論としている。(Battelle Human Affairs Research Centers)
TRACEABILITY OF THE NONDESTRUCTIVE ASSEY OF PLUTONIUM USING CALORIMETRY FOR MEASUREMENT CONTROL W. W. Rodenburg, J. F. Lemming, W. W. Strohm
熱量測定を用いたプルトニウム非破壊分析のトレーサビリティ確保
― 化学分析との系統差評価に基づく計測管理への適用と NDA 校正基準への拡張
(*)プルトニウムの NDA 測定に対するトレーサビリティを確立するため、熱量測定(calorimetry)を基準手法として用いる考え方と、その実証結果が示されている。Mound Laboratory では、プルトニウム金属交換プログラム(Plutonium Metal Exchange Program)および校正手法比較実験を通じ、化学分析との系統的バイアスを定量し、その起源を特定した。熱量測定の高い安定性・マトリックス非依存性を活かし、NDA 計測管理・校正の基準(dynamic calibration)へ拡張可能であることを示している。(Mound Laboratory)
VISA – A METHOD FOR EVALUATING THE PERFORMANCE OF A FACILITY SAFEGUARD SYSTEM L. Harris,Jr., L. Kull
End(4) VISA:核施設の保障措置システム性能を評価する手法
― 攻撃者経路の網羅的解析に基づく検知・遅延・対応要素の統合評価と脆弱性把握のための体系的アプローチ
(*)VISA は、核施設の保障措置システムが窃取・破壊目的の攻撃をどの程度阻止できるかを評価するために、個々の防護要素の性能を統合して「総合評価指標(figure-of-merit)」を算出する体系化された分析手法である。方法の核心は「完全性(completeness)」であり、施設内の全ての重要ターゲットに対し、攻撃者が取り得る全合理的ルート(Adversary Action Sequences)を網羅し、検知・遅延・対応の各機能を一貫して評価する点にある。初期版の適用結果から、VISA は設計段階・ライセンス審査・政策検討のいずれにも有用であり、保障措置システムの脆弱性分析と改善案立案に実用的価値を持つことが示された。(Science Applications Inc.)

資料集