INMM米国年次大会論文集(1976年)
メンター部会の活動の一環としてINMM米国年次大会におけるProceedingタイトルリスト(日本語訳付き)の1976年分を作成しました。
タイトル、著者のほかに、タイトルだけではよくわからない専門用語や略号を日本語で補足した備考欄(訳注、補足・コメントなど)を付加しましたので有効活用いただければ幸いです。
| Sub-Volume End-marker | Title/タイトル | Authors | 備考 (訳注、補足・コメントなど) |
| “U. S. N. R. C. SPECIAL SAFEGUARDS STUDY ON NUCLEAR MATERIAL CONTROL AND ACCOUNTING” | Dr. G. Dan Smith | ||
| 米国NRC特別保障措置研究:核物質管理・計量管理(MC&A)に関する評価 ― プルトニウムリサイクルおよびHEU燃料サイクルを対象とした脆弱性評価・防護要件・MC&A技術の総合的検討 |
(*)本研究は、米国NRCが1975年に開始した「特別保障措置研究(Special Safeguards Study, SSS)」の成果を取りまとめ、プルトニウムリサイクルおよび高濃縮ウラン燃料サイクルに必要な保障措置体系の策定を目的とした。研究では、GESMO案に示された保障措置強化策を体系的に評価し、戦略的核物質(SSNM)の脆弱性解析、脅威評価、物理的防護、材料管理・計量管理(MC&A)要件などを総合的に検討した。高スループット燃料サイクル施設を想定し、リアルタイム計量管理、在庫設計、Pu同位体比管理、カロリメトリ測定、HEU燃料のMC&A方式などの技術要素を評価し、施設設計および原子力エネルギーセンター立地調査(Nuclear Energy Center Site Survey)にも適用した。(US NRC) | ||
| A PORTABLE GAMMA-RAY DETECTION SYSTEM FOR LOCATION OF RADIOACTIVE SOURCES | G. M. Worth, C. N. Henry, S. W. France | ||
| 放射性線源位置を特定するためのポータブル ガンマ線検出システム | (*)本研究では、放射性線源の位置を迅速に探索するための携帯型ガンマ線検出システムを開発し、屋内外での線源探索に適用できることを示した。システムは軽量化した検出器・コリメーション機構・指向性読み出しを組み合わせることで、線源方向推定を可能とするポータブル機能を備えている。実証では、ホットスポット探索や不明線源調査などにおいて、従来の据置型検出装置より高い機動性と実用性を示し、保障措置・物理的防護・緊急時対応での応用可能性が確認された。(LASL) | ||
| A SAFEGUARDS-SYSTEM FOR PEBBLE BED REACTORS | H. Buker | ||
| ペブルベッド型原子炉の保障措置システム | (*)ペブルベッド炉の特徴である 連続運転中の燃料装荷・取り出し(online refueling) に対応するため、材料収支よりも 封じ込め・監視(C/S)を主体とした保障措置システムが提案された。建屋構造と燃料経路を設計段階から一体化し、すべての燃料ペブルが出入口の自動カウンターを必ず通過するように構築することで、連続的な物理在庫(PI)監視を可能にした。燃料流量の全数カウントと C/S を組み合わせることで、THTR‑300 のような大量・連続処理型炉でも、完全かつ信頼性の高い核物質流(material flow)の保障措置監視が実現できると結論づけられた。(Kernforschungsanlage Jülich(ユーリヒ原子力研究センター, 西ドイツ)) | ||
| A STRUCTURED APPROACH TO INSPECTION | R. J. Sorenson, K. B. Stewart | ||
| 構造化された検査アプローチ ― 脅威・保証レベル・検査主体に基づく体系的インスペクション設計手法 |
(*)本論文は、保障措置や核物質管理における検査(inspection)活動を、目的・脅威源・要求される保証レベルに基づき定量的に構造化するアプローチを提示した。検査目的を脅威(adversary)の種類、求められる保障措置の強度(assurance level)、検査主体ごとの役割に分解し、検査活動を階層化して体系的に設計できる方法論を提案している。さらに、検査の最終目的である「評価(assessment)」との関係を明確化し、検査結果を定量的に表現できる仕組みを構築することが重要であると強調している。(PNL) | ||
| ACCOUNTANCY, PHYSICAL CONTROL AND SECURITY: A QUESTION OF BALANCE | Dennis W. Wilson, Dennis M. Bishop, J. W. Shaver | ||
| 計量性、物理的管理、セキュリティ: バランスの問題 | (*)論文は、米国の国内保障措置規制がどのような経緯・必要性・政策的背景で整備されてきたかを、原子力燃料施設の事業者(licensee)の視点から整理した。核物質計量管理(accountancy)と物理的防護(physical security)を独立した手法として比較し、両者が部分的に重複しつつも、機能・強み・限界が異なることを分析している。規制当局と事業者の間で発生する“保障措置規制プロセス上の課題”を指摘し、トップダウン型のシステムアプローチによる統合的な保障措置設計を提案している。(GE) | ||
| ACTIVE VERSUS PASSIVE SCREENING FOR ENTRANCE CONTROL | N. J. McCormick | ||
| 入場管理のためのアクティブ スクリーニングとパッシブ スクリーニング | (*)入口管理における アクティブ・スクリーニング(例:ポータルモニター) と パッシブ・スクリーニング(例:性格検査や適性評価) の有効性を、相対改善指数(relative improvement index)により定量的に比較した。過去の研究で導かれたアクティブスクリーニングの指標(1 − r + r ln r)が、パッシブスクリーニングにも近似的に適用できることを示し、両者の統合的(active+passive)評価式 を提案した。例示計算の結果、パッシブスクリーニング単独の効果はアクティブ方式より数桁低いことが示され、核施設の入口管理ではアクティブ方式が圧倒的に有効であると結論づけられた。(University of Washington) | ||
| ADVANCED PHYSICAL PROTECTION SYSTEMS FOR FACILITIES AND TRANSPORTATION | Orval E. Jones, Orval E. Jones | ||
| 核施設および輸送のための先進的物理的防護システム ― 侵入検知・出入管理・輸送防護を統合した防護体系の開発動向 |
(*)サンディア研究所は、外部攻撃・内部犯行・内部支援を含む複合脅威に対応するため、核施設および核物質輸送向けの先進物理的防護(PP)システムの開発を進めており、コンピュータモデルで代替防護構成の費用対効果を評価している。出入管理(admittance control)、ポータルモニター、侵入検知(IDS)、固定・遠隔操作バリア、中央監視・通信設備などの要素技術を評価・改良し、必要に応じて新規開発も行っている。ERDA(当時のエネルギー研究開発庁)の Safe‑Secure Transportation(SST)システム向けに特別車両・デジタル通信装置を開発するなど、核物質輸送防護でも先進システムを実装しており、Los Alamosとの協力により 物理防護と核物質管理の連携(control loop) 概念も提案された。(Sandia Laboratory) | ||
| AN ANALYTICAL MODEL FOR A FAST-RESPONSE CALORIMETER -– WITH APPLICATIONS* | R. B. Perry, N. S. Beyer, C. W. Cox, C. J. Renken | ||
| 高速応答カロリメータの解析モデルとその応用 ― 電気アナログ手法による熱挙動モデル化と小試料用高速カロリメータへの展開 |
(*)本研究は、ANL型高速応答カロリメータの熱挙動を電気アナログ回路として表現し、温度・熱流・熱容量を電気量に置き換えて系全体を解析できる数学モデルを構築した。このモデルを用いることで、実験で観測される出力のばらつき要因を定量的に理解でき、小試料向け新型高速応答カロリメータの設計・最適化に応用された。カロリメータの熱構造要素を lumped constants として扱い、電気回路としての解析により校正・性能評価の精度が向上することが示された。(ANL) | ||
| AN APPROACH TO THE EVALUATION OF SAFEGUARDS SYSTEMS EFFECTIVENESS | H. Kendrick, E. Lofgren, R. Fullwood | ||
| 保障措置システム有効性評価への一手法 ― 侵入者行動シーケンス解析にもとづく防護性能の定量評価 |
(*)本論文は、保障措置システムの有効性を評価するために、侵入者(adversary)の行動シーケンスを解析する体系的手法(methodology)を提示している。侵入経路・防護層・阻止遅延要素・検知確率などを統合し、システム全体の阻止能力を定量的に評価できる枠組みが示された。提案手法は、設計段階での防護レベル比較や弱点特定に活用でき、保障措置システムの機能改善・最適化に向けた意思決定を支援するものである。(Science Applications, Inc.) | ||
| An Automated Sample-Processing and Titration An Automated Sample-Processing and Titration | J. E. Harrar, C. L.Pomernacki, H. R. Brand | ||
| 自動サンプル処理・滴定システムの開発 ― Davies–Gray 法に基づくウラン定量の自動化と信頼性向上 |
(*)本システムは、固体および溶液中のウラン定量に用いる コンピュータ制御の自動湿式化学分析・自動滴定装置であり、サンプル処理からデータ処理までを一体化して自動化した。測定法は Davies–Gray / New Brunswick Laboratory 法にもとづく電流制御クーロメトリー(U(VI) → U(IV) 還元後、生成した U(IV) を電解生成 V(V) で滴定)で、終点は 電位差測定により決定される。 大量サンプルの誤処理を防ぐため、システムには 広範な故障監視(fault‑monitoring)ネットワークを備え、標準試料の同時測定および許容範囲との自動照合も可能で、高信頼度の分析が実現した。(LLNL) | ||
| AN IN-LINE AUTOMATED PLUTONIUM ASSAY SYSTEM * | J. Birden, J.F. Lemming, R. A. Neff | ||
| インライン自動プルトニウム分析システム ― 再処理・燃料加工工程におけるプルトニウム計量管理の自動化 |
(*)本論文は、再処理・燃料加工のプロセスラインで動作する 自動化プルトニウム分析システム(Automated Plutonium Assay System: APAS) の構成要素と動作原理を解説する。 APASは、サンプル採取・調製・測定・データ処理を自動化し、工程中のプルトニウム量をリアルタイムあるいは準リアルタイムに把握できる計量管理(MC&A)機能を提供する。システムは、人的作業の削減・誤差低減・測定の一貫性向上を目的とし、保障措置や工程管理におけるプルトニウム量把握の信頼性向上に寄与することが示されている。(Mound Laboratory) | ||
| ASSESSMENT OF DOMESTIC SAFEGUARDS FOR LOW-ENRICHED URANIUM: AN INMM STUDY | Dennis W. Wilson | ||
| 低濃縮ウランに対する国内保障措置の評価 ― リスク比較に基づく規制合理化の検討(INMMによる研究) |
(*)INMM 保障措置委員会は、低濃縮ウラン(LEU)が悪用される脅威を評価し、国内レベルにおける LEU 保障措置の必要性とリスクの相対的重要性を体系的に分析した。比較リスク分析(comparative risk analysis)により、LEU の公衆リスクは高濃縮ウラン(HEU)等と比較して低いことが示され、現行規制が実際の相対リスクと整合していない点が指摘された。結論として、LEU に対する過剰な管理要求は適切ではなく、規制要件のリスクベースによる見直し(軽減)が必要との勧告が示された。(GE) | ||
| AUTOMATED GAMMA RAY SCANNING SYSTEM FOR WASTE DRUM ASSAY | L. V. East, S. Wawrowski | ||
| 廃棄物ドラム評価のための自動ガンマ線走査システム ― 透過補正付きセグメント化ガンマ走査(SGS)による高精度アッセイ |
(*)本論文は、5〜55ガロンドラム中の低〜中密度放射性廃棄物の迅速・高精度アッセイを目的として、透過補正付きセグメント化ガンマ線走査(SGS)法を自動化した測定システムを開発したことを報告する。システムはドラムを分割(segmentation)し、各セグメントでガンマ線スペクトルと透過データを取得し、マトリックス減衰補正を適用することで、従来より高い測定信頼性を得ている。これにより、廃棄物ドラムに含まれる核種量を一貫した定量精度で算定可能となり、放射性廃棄物管理・核物質管理の両面で実運用に耐える自動化アッセイ技術として位置づけられた。(Canberra Industries, Inc.) | ||
| CLOSING THE NUCLEAR FUEL CYCLE – THE IMPACT OF INDECISION | A.E. Schubert | ||
| 原子力燃料サイクルの閉鎖に向けた課題 ― 政策的「先送り」がもたらす影響と商業再処理の遅延 |
(*)原子力利用における計画では、採鉱から再処理・Puリサイクル・廃棄物最終処分までを含む統合的な燃料サイクル(closed fuel cycle)が想定されてきたが、実際には「再処理・MOX製造・廃棄物処分」が未整備でサイクルが閉じていない状態が続いている。GESMO(MOX燃料の環境影響審査)や連邦処分場政策の長期停滞により、再処理事業者・電力会社・規制当局の意思決定が先送りされ、商業燃料サイクルの成立に重大な遅延と不確実性をもたらしている。経済評価では、U・Puリサイクルを伴う閉サイクルはワンススルー方式より1基あたり年1,000万ドル規模の経済的利点があるとされるが、政策的 indecision により民間投資は停滞し続けている。(Allied‑General Nuclear Services(AGNS)) | ||
| COMPARISON OF SOCIETAL RISKS | Carl A. Bennett | ||
| 社会的リスク比較の方法論 ― 原子力リスクを含む多領域リスクの構造的評価 |
(*)本論文は、原子力利用に伴うリスクを社会的観点から他産業・他技術と比較するための、リスク定量化手法と社会的判断基準の構造化を試みている。重大事故確率と影響規模、社会的受容性、規制枠組みの違いなど、社会的リスクの比較に影響する主要因を体系的に整理している。リスク比較は一般に単純化されがちであるが、確率・影響・価値判断・社会的便益など多次元の要素を同時に考慮する必要があると結論づけた。(Battelle Pacific Northwest Laboratories(PNL)) | ||
| COMPUTER-ASSISTED NUCLEAR FUEL MANUFACTURE | J. P. Maloney, E. Stone | ||
| コンピュータ支援による原子力燃料製造 ― サバンナ・リバー工場におけるオンライン工程管理と核物質在庫管理の統合 |
(*)ERDA サバンナ・リバー工場では、オンラインデジタル計算機を組み込んだプロセスモニターを活用し、プルトニウム・トリチウム・カリフォルニウム等の生成に用いる核燃料要素の製造を支援している。製造工程全体に配置された端末から、作業者が各工程の指示・データを送受信でき、工程管理・品質管理・核物質管理(在庫管理)を統合したコンピュータ支援製造システムが実現されている。このシステムは、計量・工程記録・安全管理(臨界防止)も補完し、核燃料製造の自動化と保障措置上の透明性向上の両方に寄与するものとして位置づけられた。(E. I. du Pont de Nemours and Company(Savannah River Plant)) | ||
| CONSIDERATIONS IN NONDESTRUCTIVE ASSAY VERIFICATION MEASUREMENTS AND THEIR STATISTICAL TREATMENT | Emanuel R. Morgan, Philip Ting | ||
| 非破壊分析による検認測定とその統計的取り扱いに関する考察 ― NDA応答特性・手法選択・誤差要因解析にもとづく検認の信頼性評価 |
(*)本論文は、核物質の既測定値を検証するための 非破壊分析(NDA)技術の役割と適用範囲について述べ、利用可能なNDA手法とそれぞれの応答特性(system response)を整理した。測定手法選択における重要因子として、試料構成・測定幾何・線源強度・試料マトリックスなどが与える影響が示され、NDA結果を過去の計量・化学分析と比較するための留意点が説明された。NDA検認結果を正しく解釈するためには、**統計的誤差要因の解析と適切な統計的扱い(statistical treatment)**が不可欠であり、誤判定(false confirmation)を避けるための方法論が議論された。(US NRC) | ||
| CONTROL OF SAMPLING ERRORS | F. P. Roberts, R. J. Brouns | ||
| サンプリング誤差の管理 ― 統計的検証に基づく正式サンプリング計画と体系的誤差の抑制 |
(*)特殊核物質(SNM)の計量管理において、測定管理(Measurement Control)の完全性を確保するためには、化学分析用サンプリングに起因する誤差も体系的に管理する必要性が強調された。サンプリング誤差を抑制するため、統計的・実験的検証に基づく正式なサンプリング計画(sampling plans)および手順書が重要となり、インクリメント数、採取量、混合・均質化方法、採取方法の選択などが検証される。特に、これらのテストは 体系的誤差(systematic sampling error)の推定または最小化に不可欠であり、保障措置において不正確なサンプリング起因の誤解・誤検知を防ぐ基礎となる。(PNNL) | ||
| DEVELOPMENT OF IN-PLANT REAL-TIME MATERIALS CONTROL: THE DYMAC PROGRAM | R. H. Augustson | ||
| End(1) | 施設内リアルタイム核物質管理システムの開発:DYMACプログラム ― プロセス監視と核計量管理を統合した次世代保障措置システムの構築 |
(*)DYMAC プログラムは、核燃料サイクル施設内で核物質の流れ(inventory + process)をリアルタイムで監視するための統合計量管理システムとして開発された。施設内のオンライン計測装置、アクセス制御、データ処理装置を結合し、施設単位での即時異常検知(diversion detection)能力の向上を目指している。初期実証では、従来の帳簿ベースの「静的」管理より高頻度・高精度で、プロセス監視(process monitoring)+計量管理(MC&A)を統合した次世代保障措置モデルとして評価された。(USERDA, LASL) | |
| EPRI RESEARCH ACTIVITIES | M. E. Lapides | ||
| EPRIの研究活動 ― 米国電力産業を支える総合的研究開発プログラムの概要 |
(*)EPRI(米国電力研究所)は 1973 年に設立され、米国の電力産業(公営・私営・協同組合を含む)をスポンサーとする総合的な電力研究開発機関として活動を開始した。研究目標は、電力の「発電・送電・配電・利用」に関する先端技術開発を総合・体系的に進め、環境面でも受容可能な技術の確立を図ることである。設立後短期間で、EPRI は電力産業全体の研究ニーズを踏まえた広範な研究プログラムを展開し、統一的・全国的な電力技術開発基盤の構築を主導する機関として機能し始めた。(EPRI) | ||
| ERDA POLICY ON ASSISTANCE TO THE NUCLEAR FUEL CYCLE | F. P. Baranowski | ||
| ERDA核燃料サイクルへの支援に関する政策 | (*)ERDA は原子力燃料サイクルの全工程(ウラン資源、濃縮、再処理・リサイクル、廃棄物管理)のうち、最終処分を除くすべてを民間産業が担えるよう支援する政策を進めていると説明した。商業再処理 R&D は1963年に停止されたが、1976年に再開され、NURE・NFAA・濃縮料金制度・商業再処理の EOI 募集・廃棄物固化と最終処分計画など、複数の支援プログラムが体系化された。ERDA 予算では燃料サイクル領域が大幅に増額されており、米国のエネルギー政策における燃料サイクル基盤整備の重要性が強調された。(US ERDA) | ||
| ERDA’S INTEGRATED SAFEGUARDS SYSTEM PROGRAM | L. M. Brenner, S. C. T. McDowell | ||
| ERDA 統合保障措置システム計画 ― 計量管理・物理的防護・検認を一体化した次世代 safeguards モデル |
(*)ERDA は 1970年代半ば、核物質管理(MC&A)・物理的防護(PP)・検認(verification)を統合した「統合保障措置システム(Integrated Safeguards System Program, ISSP)」 を構築し、米国国内の核施設における一貫した保障措置基盤整備を進めていた。ISSP は、核物質計量管理の自動化、プロセス監視(process monitoring)、アクセス制御、侵入検知、データ処理・解析を統合することで、施設レベルから国家レベルまで統合された保障措置アーキテクチャを確立しようとする計画であった。ERDA は、この統合保障措置モデルを民間核燃料サイクル産業にも適用できるよう制度化を検討し、計量管理・物理的防護・情報処理を結合した次世代の safeguards‑by‑design の方向性を提示した。(US ERDA) | ||
| GAMMA-RAY ISOTOPIC MEASUREMENTS FOR ASSAY OF PLUTONIUM FUELS | J. F. Lemming, Francis X. Haas | ||
| プルトニウム燃料の核種評価におけるガンマ線同位体測定 ―― 高分解能Ge(Li)・平面型検出器を用いたPu/Am同位体比の非破壊分析と化学分析値との比較検証 |
(*)プルトニウムおよびアメリシウムの同位体比を求めるため、高分解能 Ge(Li) 検出器(70 cc)および低エネルギー用平面型検出器(1 cc)を用いたガンマ線スペクトロメトリ実験の成果をまとめている。測定対象は高Pu‑240濃度の灰試料、Pu金属、ZPPR燃料ピン、Pu‑240が約6%の廃棄物など多様で、非破壊で得られる同位体比の精度を化学分析結果と比較して検証している。700 keV までの高エネルギー領域と 220 keV 以下の低エネルギー領域を補完的に利用し、プルトニウム燃料の非破壊同位体分析の実用性と制約を示している。(Mound Laboratory(Monsanto Research Corporation)) | ||
| HIDDEN INVENTORY AND SAFETY CONSIDERATIONS | A. R. Anderson, R. H. James | ||
| 隠れ在庫と安全上の考慮事項 ― 高速炉燃料製造ラインにおける作業ボックス内プルトニウム滞留量の評価と計測不確かさ・臨界安全への影響 |
(*)高速炉燃料製造ラインにおける作業ボックス内に滞留するプルトニウムの「隠れ在庫(ホールドアップ)」を評価し、多くのボックスではスループットの 0.1% 未満であるが、複雑な設備を含むボックスでは 0.5% 程度に達する例があると示した。ボックスおよび内部機器の総表面積がホールドアップ量に最も強く影響し、典型値として約 4×10?? g/cm2 のプルトニウム付着が推定された。当面はガンマ線スペクトロメトリに基づく評価を実施しているが、不確かさ低減のため中性子計測法の導入を検討しており、標準化したサンプルプレートを用いた表面付着モニタリングの有効性を提案している。(UKAEA(英国原子力公社), AWRE(英国原子兵器研究所)) | ||
| HIGH SPEED MULTI-CHANNEL NUCLEAR FUEL SCANNER | Herman Miller, S. H. Shepard | ||
| 高速多チャンネル核燃料スキャナ ―― 燃料棒のオンライン非破壊検査に向けた多検出チャネル構成と高スループット計測技術 <1970年代前半まで主流だった「単チャンネル(Single‑Channel Analyzer, SCA)」から、1970年代後半に「多チャンネルアナライザー(MCA)」が急速に普及へ転換の例> |
(*)本研究は National Nuclear Corporation(NNC)が開発した多チャンネル高速燃料スキャナの構成と性能を説明しており、燃料棒の非破壊検査を高速に実施するためのオンライン計測技術を示している。装置は多数の検出チャネルを同時動作させ、燃料ロッドの寸法・密度・ガンマ線放射の不均一性などを迅速に評価することで品質管理を向上させる設計となっている。生産ラインへの組込みを前提とし、高スループット環境に適合するためのシステム構成、信号処理、計測精度および運用上のメリットについて述べている。(National Nuclear Corporation(NNC)) | ||
| IN SITU MEASUREMENT OF RESIDUAL PLUTONIUM | Cecil H. Kindle | ||
| 残留プルトニウムのその場測定技術 ―― グローブボックス・搬送装置・タンク内滞留量の迅速評価に向けた携帯型ガンマ/中性子NDAの実装と回収量予測精 |
(*)グローブボックス、搬送装置、タンクなどの施設内設備に滞留したプルトニウム量を、その場(in situ)で評価するために、ガンマ線および中性子の携帯型非破壊測定装置を用いた技術を開発・実装した。ガンマ線検出には 2×2 inch NaI 検出器(コリメート済)、中性子検出には ³He 管を内蔵したポリエチレンケース型検出器を使用し、背景放射の変動が大きい環境でも有効なホールドアップ測定を可能にした。設備撤去前の残留プルトニウム位置の特定により清掃作業の効率が向上し、回収量の予測値と実際の回収量は数 g~kg規模で最大 ±16% 以内の一致が得られた。(Atlantic Richfield Hanford Company(ARHCO)) | ||
| IN-PLANT DYNAMIC MATERIAL CONTROLS AN INTERNATIONAL PERSPECTIVE | James E. Lovett | ||
| 核燃料施設におけるプラント内動的計量管理 ―― 物質収支の迅速化と国際保障措置要件を両立させるシステム設計上の課題と国際的視点 |
(*)量産規模の核燃料サイクル施設では、正確で閉じた物質収支(Closed Material Balance)を短時間かつ経済的に達成することが困難であり、その解決策として「動的インプラント計量管理(In‑Plant Dynamic Material Controls)」の活用が有望であると示した。動的管理システムは処理工程とリアルタイム計測を統合し、迅速な収支把握を可能にするが、単に速度を追求するだけでは逆に保障措置機能を弱体化させる危険があるため、設計には慎重さが求められる。国家制度と国際保障措置(IAEA)では要求事項が異なる点があり、国際的に受け入れられる動的計量管理の設計指針を提示し、 safeguards の有効性と効率性を向上させる必要性を論じている。(IAEA) | ||
| MATERIAL BALANCE ACCOUNTING AND NONDESTRUCTIVE ASSAY SYSTEMS FOR PLUTONIUM RECYCLE FACILITIES | T. Gozani, L.Harris,Jr., J. A. Maly | ||
| プルトニウムリサイクル施設における物質収支計量と非破壊分析システム ―― 再処理・MOX燃料製造工程を対象とした物質収支不確かさの評価とオンライン計量管理の適用可能性 |
(*)将来の LWR プルトニウムリサイクル施設(再処理・MOX燃料製造)を対象に、物質収支(Material Balance)の不確かさと核物質計量に用いる非破壊分析(NDA)測定体系をモデル化して評価している。1か月〜1年の従来型計量期間に加え、工程末(End of Shift)や日次のオンライン化された計量管理が、計量精度とタイムリーな保障措置に寄与する可能性を示した。プルトニウムの供給流、製品、スクラップ、廃棄物の各流れを対象に、適用可能な NDA 測定システムの特徴と、保障措置運用における利点・制約を整理している。(Science Applications, Inc.) | ||
| MINICOMPUTER BASED, CONTROLLED MATERIALS INFORMATION SYSTEM | N. Roberts, T. Jessen, O. Meadors, D. Seibel | ||
| ミニコンピュータを用いた核物質管理情報システム ― トランザクション処理型アーキテクチャによる操作性・信頼性・迅速応答性を重視した設計と要求仕様 |
(*)ローレンス・リバモア研究所では、核物質管理業務の効率化を目的として、トランザクション指向の小型コンピュータ(ミニコン)による管理情報システムを開発した。このシステムは複数メーカーの機器を組み合わせ、操作性、信頼性、応答速度を重視した構成となっている。ハードウェアおよびソフトウェア双方に課される要件や設計上の考慮点について論じている。(Lawrence Livermore Laboratory) | ||
| NATIONAL PROGRAM OF MEASUREMENTS AND STANDARDS FOR SAFEGUARDING NUCLEAR MATERIALS | H. Thomas Yolken, G. A. Hammond | ||
| (米国)政府が策定した核物質保障措置用の国家測定・標準化プログラム ― NRC・NBS・ERDA による高精度測定技術の確立と標準整備の進捗 |
(*)本発表は、NRC・米国標準局(NBS)・ERDA によって共同推進される、核物質保障措置のための国家的測定・標準化プログラムの概要を示したものである。核物質管理において必要となる 迅速・高精度・合理的コストの測定技術の確保 を目標とし、既存の測定課題への対応や将来需要を見据えた標準整備の進捗が報告されている。当時成長しつつあった米国原子力産業のニーズに対応するため、保障措置用測定技術の継続的な整備・改善が進行中であることが示されている。(US_NBS, US_ERDA) | ||
| NON DESTRUCTIVE ASSAY OF SPENT FUEL FOR DETERMINATION OF RESIDUAL FISSILE CONTENT | Tsahi Gozani | ||
| 使用済燃料に残存する核分裂性物質量の非破壊評価 ― 外部中性子源を用いた誘起核分裂と即発・遅発中性子計測による残存核分裂性物質の定量手法 |
(*)本研究は、LWR(軽水炉)使用済燃料集合体に残存する核分裂性物質量(残留核分裂性物質)を非破壊で評価する手法の実現可能性を検討したものである。中性子源によって燃料内で誘起核分裂を発生させ、即発中性子および遅発中性子を検出することで fissile 含有量の推定が可能であり、252Cf や 124Sb–Be といった利用可能な外部中性子源が具体的に提示されている。LWR 燃料集合体 1 体あたり 測定時間は数時間、主要誤差要因は中性子の自己遮蔽で、誤差 5% 未満と見積もられており、直接 NDA による実用的アプローチが成立すると結論づけている。(Science Applications, Inc.) | ||
| NRC PERSPECTIVES ON FUEL CYCLE AND SAFEGUARDS | Kenneth R. Chapman | ||
| NRC による燃料サイクルと保障措置に関する見解 ― 規制当局の使命・新たな政策課題・燃料サイクル分野における保障措置の展望 |
(*)本講演では 米国原子力規制委員会(NRC)が担う保障措置(safeguards)の使命と役割 を説明し、原子力産業保護・規制の重要性が高まっている現状を紹介している。燃料サイクルや保障措置をめぐる 新たな政策課題・ emerging policy issues について、当時の核産業界および規制当局が直面する主要テーマの状況を概説している。今後の規制方向性に関し、NRC が将来の政策動向を予測しつつ、核物質管理と保障措置の改善に向けた展望 を示している。(US NRC) | ||
| NUCLEAR MATERIALS MANAGEMENT: A GOVERNMENT PERSPECTIVE | Mike McCormack | ||
| 核物質管理:政府の視点 ― エネルギー政策における原子力発電の役割と規制・安全性に関する政府側の見解 |
(*)本講演では、米国のエネルギー需要に対して 原子力発電が依然として重要な役割を果たしている ことを政府側の視点から強調している。1976年当時、カリフォルニア州の住民投票(Proposition 15)にもかかわらず、原子力発電は順調に稼働し、全米電力の約1割を供給する健全さ を示したと報告している。米国議会側として、安全性・規制・エネルギー政策全体の中で原子力を活用していく必要性を述べ、INMMの取り組みに謝意と期待を示している。(U.S. House of Representatives(米国下院議会)) | ||
| NUCLEAR SAFEGUARDS AND NUCLEAR SHUTDOWNS | J. D. Worthington | ||
| 核保障措置と原子力施設の運転停止 ― カリフォルニア州Proposition 15を契機とした政策判断・社会的影響の分析 |
(*)本講演は、カリフォルニア州の原子力施設に関する住民投票(Proposition 15, 1976年6月8日)をめぐる議論や専門家の分析をもとに、核施設の運転停止(shutdown)を取り巻く政策的・社会的課題を検討している。住民投票後の専門家会合で得られた知見を踏まえ、原子力規制・安全性・住民合意形成の観点から、核施設の継続運転か停止かを判断する際の複雑な要因を整理している。核保障措置(safeguards)の観点から、核施設の運用維持と停止判断が持つ社会的・政治的インパクトを強調し、政策決定における透明性と正確な情報伝達の必要性を論じている。(Pacific Gas and Electric Company(PG&E)) | ||
| NUCLEAR SECURITY ENCLOSURE | Herman Miller | ||
| 核セキュリティ用エンクロージャ(防護ブース) ― 入退域管理・核物質検知・金属探知・爆発物探知を統合した核施設向けアクセス管理システム |
(*)本研究は、入退域管理(Personnel Access and Control)・核物質検知(Special Materials Detection)・金属探知・爆発物探知を統合した核施設向けセキュリティ・エンクロージャ(防護ブース)の設計を説明する。システムは、各検知ユニットを一体化し、核施設のアクセスコントロールを強化するパッケージ型装置として提供される。運用手順、発生し得る問題、さらに導入経験から得られた知見をレビューし、実運用上の課題と改善点を整理している。(National Nuclear Corporation) | ||
| ORNL NUCLEAR MATERIALS CRITICALITY, ACCOUNTABILITY, AND SAFEGUARDS CONTROL AS SUPPORTED BY AN ON-LINE COMPUTERIZED SYSTEM | H. C. Austin, W. F. Spencer | ||
| ORNL におけるオンライン計算機システムを用いた核物質の臨界管理・計量管理・保障措置管理 ― リアルタイム在庫データベースによる臨界安全・核物質管理・物理的防護の統合的支援 |
(*)ORNLでは1972年にオンライン化された核物質(SNM)計量管理・臨界管理支援システムを導入し、以降ERDAマニュアルで規定された全核物質区分に対応するよう拡張された。このシステムはオンラインデータベースを用いて、臨界管理・保障措置・物理的防護・監視業務を一体的に支援する機能を備えている。施設内部のMaterial Balance Area(MBA)— Material Control Area(MCA)構造に基づき、全ての受払・移動をリアルタイムに記録することで、核物質管理の精度と即時性を向上させた。(ORNL) | ||
| PANEL DISCUSSION THE “BACK END” OF THE FUEL CYCLE | G. Robert Keepin | ||
| パネルディスカッション:燃料サイクルバックエンド(Back End)の課題と将来像 ― 再処理・廃棄物管理・増殖炉サイクルを巡る技術・政策論点 |
(*)本パネルは燃料サイクルバックエンド(Back End)に焦点をあて、再処理・高レベル廃棄物・高速増殖炉(breeder cycle)などの将来像を議論するために構成された。モデレーターの Schubert 博士(AGNS 社長)は、原子力化学工学と商業再処理産業の第一人者であり、再処理と増殖炉サイクルの推進派としての視点から問題提起を行った。パネルでは、燃料サイクル後段における保障措置・核物質管理、廃棄物管理技術、再処理産業の経済性と政策的課題が中心テーマとして扱われた。 | ||
| PROGRESS AND PROSPECTS OP THE IAEA IEVELOPMENT PROGRAMME OF INSTRUMENTS AND EQUIPMENT FOR USE IN SAFEGUARDING OP NUCLEAR MATERIAL | T. DRAGNEV, A. J. Waligura, M. De Carolis | ||
| IAEA保障措置用計測・監視機器開発計画の進捗と今後の展望 ― 1976–1980年計画における携帯型NDA装置・監視機器の改良と現場試験結果、および測定困難領域への対応技術 |
(*)IAEAが1976–1980 年に計画した保障措置用機器開発計画の進捗として、核物質アッセイ用の小型・携帯型計測機器および監視装置(surveillance equipment)の改良が報告された。最近の実施設(field)での試験結果が紹介され、検認・測定における中性子計測、ガンマ計測、監視カメラ、封印装置など各種機器の性能向上が示された。特に、実際の保障措置運用で直面する技術的課題(測定困難な配置、バックグラウンドの増大、不均一試料など)に対し、計測手法・装置設計・データ処理技術の改善が進められている点が強調された。(IAEA) | ||
| PERFORMING ACCURATE MEASUREMENTS OF FISSIONABLE MATERIAL FOR SAFEGUARD PURPOSES IN REPROCESSING PLANTS IN EUROPE | Paul De Bievre, J. Broothaerts | ||
| End(2) | 欧州再処理施設における保障措置のための核分裂性物質の高精度測定 ― スパイク添加と同位体希釈質量分析(IDMS)によるU・Pu濃度認証手法の確立と誤差検出性の検証 |
(*)欧州の再処理施設で保障措置検認を行う際、サンプリング時点での核分裂性核種濃度を正確に保証するための手法(スパイク添加 → 後日IDMS測定)を5年間の実績をもとに確立した。保障措置査察官がその場で、U・Pu の同位体組成が異なる既知量(スパイク)を試料に添加または添加操作を監督し、後日遠隔の核計測ラボで同位体希釈質量分析(IDMS)を用いて精密定量を行う。異なるスパイク量で2回実施することで誤差検出が可能となり、Uおよび²³⁵U濃度で0.3%程度の高精度を達成、Puでも同等精度が期待できる保障措置向け分析法として確立された。(Commission of the European Communities) | |
| PHYSICAL SECURITY DURING TRANSPORTATION-1976 | Jack Edlow, David Rudolph | ||
| 1976年における核物質輸送の物理的防護 ― SSNM輸送の政府移管がもたらす安全保障上の影響と民間輸送体制維持の課題 |
(*)米国では 1976 年時点で、戦略的特別核物質(SSNM)の輸送部門を民間から政府(ERDA)へ移管する動きが進んでおり、燃料サイクルの一部を政府が事実上掌握し始めていることが指摘された。商業活動が低迷する中、民間企業が独自の輸送能力を維持することは困難となり、政府移管により民間輸送体制が維持不能になるという産業構造上の問題が提示された。この政府移管方針は、当時未公表であった NRC の Federal Security Agency Study の結論と矛盾する可能性があり、政策調整や安全保障上の整合性が課題とされた。(Edlow International Company) | ||
| Planningfor the Nuclear Future | Dr. Richard W. Roberts | ||
| 原子力エネルギーの将来に向けた計画 ― 保障措置・核物質管理を支える標準化と計測科学の役割 |
(*)講演者は米国標準局(NBS, 現 NIST)在籍時から、保障措置および核物質管理における標準化と計測科学の重要性に深い懸念と問題意識を持っていたと述べている。この課題認識を受け、NBSは核物質管理・保障措置の分野における標準試料・測定技術・計測手法の整備活動を大幅に強化してきた経緯が説明されている。将来の原子力利用に伴い、正確・信頼性の高い測定科学(measurement science)と標準体系の構築が、保障措置計画の中核要素となるとの見通しが示されている。(US ERDA) | ||
| PREDICTION OF CALORIMETER EQUILIBRIUM | P. W. Seabaugh, C. Fellers | ||
| カロリメータ平衡値の予測手法 ―― 温度応答の数学的外挿による測定時間短縮と高精度プルトニウム熱量分析への適用 |
(*)プルトニウムの熱出力を用いたカロリメトリ計測は高精度の非破壊分析法であるが、試料の大きさや熱容量によって温度平衡に数時間を要し、測定スループットが制約されている。著者らは、カロリメータ出力の時間応答を数学的に外挿することで平衡値を予測する手法を開発し、測定が完了する前に平衡値を高精度で推定できることを示した。この予測法により、三種類の抵抗ブリッジ型カロリメータで40〜66%の測定時間短縮が実証され、分析スループット向上に大きく寄与することが示された。(Mound Laboratory) | ||
| PROBABILISTIC RISK ANALYSIS: Its Possible Use in Safeguards Problems | Norman C. Rasmussen | ||
| 確率論的リスク解析(PRA):保障措置問題への適用可能性 ―― WASH‑1400手法の適用限界・データ不足・攻撃者モデル化の困難性と、部分的適用の有効性 |
(*)本論文は、MIT 主導の Reactor Safety Study(WASH‑1400、いわゆる Rasmussen Report)で確立された確率論的リスク解析(PRA)手法を、保障措置分野へ応用する可能性について検討している。PRAは原子炉安全分野では有効であるが、保障措置分野ではデータ不足や、意図的行為(攻撃者)の確率をモデル化できない点が大きな制約となると指摘している。それでも、PRA に含まれる定量化手法の一部は、効果的な保障措置システムの構築・評価には応用可能であり、限定的ながら利用価値があると結論づけている。(Massachusetts Institute of Technology(MIT)) | ||
| Quantifying Scenarios to Check Statistical Procedures | Thomas M. Beetle | ||
| 統計的手法の検証に向けたシナリオの定量化 ―― 核物質転用60シナリオに対する12統計量の感度分析と検知能力評価 |
(*)著者は核物質転用の60通りのシナリオを体系化し、それらが特定の会計統計量(12種)に与える平均値変化を評価し、統計的検知能力を比較した。量的評価表を用いて、各統計量がどのシナリオに対して感度を持つかを示し、統計的検知法の長所・限界・適用範囲に関するいくつかの疑問に答える形で解析を行った。全シナリオに対して平均値変化を示す最小限の統計量の適切な組合せ(最小適正部分集合)が存在することを示し、保障措置での効率的な統計監視設計へ示唆を与えている。(IAEA) | ||
| RANDOM DRIVERS FOR ALL SIZES | Richard N. Olsen, Samuel Untermyer, Herman Miller, Joe Lung | ||
| あらゆる規模の統計評価に用いる乱数駆動モデル ―― 多様な転用シナリオを再現するための確率モデル化手法と保障措置統計検定への応用 |
(*)本論文は、核物質管理の統計的評価において必要となる乱数駆動モデル(random drivers)を、異なる規模のシミュレーションに適用可能な汎用手法として体系化したものである。多様な diversion(転用)シナリオの発生確率分布を模擬するため、乱数発生器を用いた統計的挙動の再現法を示し、保障措置の検知性能を評価するための基盤を提供している。この手法により、小規模プロセスから大規模核燃料サイクル施設まで、統計手続きの妥当性を検証するための共通フレームワークを構築できる点を強調している。(University of Arizona) | ||
| RELATIVE SAFEGUARDS RISKS OF ADVANCED REACTOR CONCEPTS | C. B. Franklin, F. A. O’Hara | ||
| 先進炉概念における相対的保障措置リスクの比較 ―― 7 種の燃料サイクル段階に対する転用脆弱性の定量評価手法とリスク要因の特定 |
(*)本研究は、7種類の先進炉燃料サイクル(LWR‑Pu、LMFBR、HTGR、GCFR、MSBR、LWBR、HWR)について、各燃料サイクル段階ごとに核物質転用リスクを定量評価する手法を構築し、相対的な保障措置リスクを比較した。それぞれの燃料サイクルのどの段階が転用に対して最も脆弱かを特定し、脆弱性に寄与する要因(Pu形態・照射履歴・工程特徴など)を明示した。この比較手法により、先進炉体系における保障措置設計上の重点領域を把握し、炉型間の転用リスクの違いを政策的・技術的判断に利用できることを示した。(The Ohio State University) | ||
| RISK ASSESSMENT AND NUCLEAR INSURANCE -AN OVERVIEW | John V. Deitchman, Willis T. King,Jr. | ||
| リスク評価と原子力保険 ― 概説 ―― 原子力産業の安全実績に基づく保険市場の受容拡大と保険料動向の変遷 |
(*)商業用原子力発電の黎明期、保険業界は原子力の安全性に対する強い信頼を示し、前例のない規模の保険引受能力を投入したが、その後の運転実績は極めて良好であり、当初の判断は妥当であったことが示された。原子力産業の安全記録の蓄積により、世界の保険市場は原子力事業に伴う財務リスクのより大きな部分を引き受けるようになり、核事業者に対する保険料率の低下と大幅な保険料返戻が実現してきた。これらの動向は、リスク評価に基づく原子力保険の成熟化を示すものであり、保険業界が原子力事業に対して理解と受容を深化させた結果として、核事業者の財務的負担の軽減につながっている。(Johnson & Higgins of California, Inc.) | ||
| SAFEGUARDING ENRICHED URANIUM AT A CENTRIFUGE ENRICHMENT PLANT | Alan Fishman, Robert Frederickson | ||
| 遠心分離濃縮工場における濃縮ウランの保障措置 ―― 低濃縮製品の特性、NRC規則、技術方式比較、および転用シナリオ分析にもとづく保護措置設計 |
(*)遠心分離濃縮工場で生産される低濃縮ウラン(約 3%)は潜在的転用価値が限定的であるが、それでも濃縮施設特有の保障措置上の留意点が存在すると位置付けている。既存の NRC 規則を踏まえ、拡散法と遠心分離法を比較し、遠心分離プロセスには核物質計量管理(accountability)上、より効果的な特徴があると指摘している。 数種類の「起こりにくいが想定可能な転用シナリオ」を分析し、それらを防止するために必要な保護措置を検討することで、遠心分離工場に適した保障措置設計の方向性を示している。(CENTAR Associates) | ||
| SAFEGUARDS ASSURANCE ANALYSIS A Practical Application ofThe Fault Tree Technique In Safeguards Design | R. E. Parks, C. R. Condon, R. J. Newmaker | ||
| 保障措置確証分析: フォルトツリー手法を用いた保障措置設計の実務的適用 |
(*)Safeguards Assurance Analysis(SAA)は、施設の建設前・建設中・運転後のいずれの段階でも、保障措置システムの設計・評価を一貫して支援する方法論であり、設計進化の連続性や完成後の機器選定・評価の体系化を可能にする。 Fault(Event)Tree 技法を用いて、特別核物質(SNM)の保護に関する ERDA/NRC 要件を満たすための汎用モデルを整備し、概念設計/既設システムを想定脅威の文脈で解析して、能力が設計・規制要件を満たすかを検証する。フォルトツリーは設計制約内でのトレードオフ分析(費用対効果最適化)の枠組みも提供し、コスト効果の高い保障措置の立案・比較に寄与する。(Olympic Engineering Corporation) | ||
| Spent Fuel Reprocessing Plant Characteristics Important to an Integrated Safeguards Design | G. Bray, H. Kendrick | ||
| 使用済燃料再処理施設における統合保障措置設計上重要となる施設特性 ―― 大規模Pu在庫・高流量・高放射線環境下での計量限界と、アクセス性・物質形態を考慮した統合的防護アプローチ |
(*)LWR 使用済燃料再処理施設では、大量のプルトニウム在庫・高流量・大きな工程ホールドアップが存在し、リアルタイム計量管理を導入しても検知性能が大きく制約されることを指摘している。プルトニウム濃度の大幅な変動、極めて高い放射線レベル、遠隔・自動化された物質ハンドリング、そして十分な感度・精度を持つインライン測定器が欠如していることが、リアルタイム核物質会計(NMA)を困難にしている。これらの制約を踏まえ、内部脅威に対抗するには、物質形態(可搬性・魅力度)とアクセス性を考慮した統合保障措置(integrated safeguards)設計を適用し、計量以外の管理手段に重点を置く必要があると結論づけている。(Science Application Inc.) | ||
| STANDARD FOR DESIGN CRITERIA FOR DECOMMISSIONING OF NUCLEAR FUEL REPROCESSING PLANTS | H. B. Graham | ||
| 核燃料再処理施設の廃止措置に向けた設計基準標準 ―― 廃止措置計画を容易化する構造・設備の機能要件および運用基準の提示 |
(*)本論文は、核燃料再処理施設の廃止措置を前提とした設計基準の標準化を目的とし、NRC が要求するライセンス申請時の「将来の廃止措置計画」の具体的記述を支援するためのガイドラインを提示している。設計段階から廃止措置を容易にするため、施設構造・機器・システムに求められる機能要件(functional criteria)を明示し、通常運転時の運用基準(operational criteria)を設定することで、除染・解体・搬出の作業性を高める枠組みを示している。これにより、廃止措置作業における放射線防護、設備の隔離・除染、解体計画、および廃棄物処理の全体効率を向上させ、将来の廃止措置リスクとコストの低減に寄与することを論じている。(ORNL) | ||
| THE DESIGN OF INTEGRATED SAFEGUARDS SYSTEMS FOR NEW FUEL CYCLE PLANTS | L. A. Kull, W. P. Melling | ||
| 新設燃料サイクル施設における統合保障措置システムの設計 ―― 盗取・破壊脅威の同定、防護措置の体系化、システム性能・コスト最適化を含む設計手法 |
(*)本論文は、新設の再処理施設やMOX燃料製造施設に対する保障措置(Safeguards)システムの統合的な設計手法を示し、盗取および破壊行為に対する脅威を網羅的に同定するプロセスを提示している。脅威に対して必要となる防護措置を性能基準に従って特定し、それらを管理可能なサブシステムとして体系化する方法論を説明している。設計最終段階では、総合的なシステム性能・他プラントシステムとの相互作用・コスト・トレードオフを評価し、最適な統合保障措置システムの妥当性を検証する。(Science Applications, Inc.) | ||
| THE DESIGN OF INTEGRATED SAFEGUARDS SYSTEMS FOR NUCLEAR FACILITIES | James M. de Montmollin, R. B. Walton | ||
| 原子力施設における統合保障措置システムの設計 ―― 計量管理・物理的防護・工程監視を統合したシステム最適化アプローチ |
(*)本論文は、核施設における保障措置システムを個別要素ではなく統合システム(Integrated Safeguards System)として設計する必要性を指摘し、計量管理・物理防護・工程監視を総合的に組み合わせる手法を論じている。統合設計の鍵となるのは、システム構成要素間の相互依存性を理解し、全体最適化された保障措置パフォーマンスを達成することであり、単一要素の強化だけでは十分でないことを示している。また、将来の国際保障措置(IAEA 要求)にも対応できるよう、情報流通・監視・計量管理を統合した設計フレームワークの必要性を提案している。(US NRC) | ||
| Safeguards System Effectiveness Modeling | G. Bruce Varnado, H. A. Bennett, D. Engi, D. D. Boozer, L. D. Chapman, S. L. Daniel | ||
| 核物質防護システムの有効性評価モデル ―― 破壊・盗取シナリオを対象とした脆弱性解析手法と防護システム設計への適用 |
(*)本研究は、核燃料サイクル施設における破壊行為や核物質盗取に対する物理的防護システムの効果を比較評価するための汎用的手法を開発するものであり、システム全体の脆弱性を体系的に解析する枠組みを提供している。手法は、施設レイアウト、侵入経路モデル、重要地点分析、システム故障木解析、対抗側(侵入者)属性の設定、警備シナリオのシミュレーションなど複数の解析技法を統合して体系化されている。得られた分析は、代替防護案の比較や重点防護エリアの選定に利用でき、物理的防護システムの設計と最適化に向けた判断支援を行うことを目的としている。(SNL) | ||
| SAFETY IN NUMBERS | William J. Lanouette | ||
| 数に宿る安全性 ―― 原子力をめぐる社会的論争の中で、核物質管理専門家が果たすべき公共的責務とその重要性 |
(*)本講演は、核物質の安全管理が現代社会における最重要の科学的・社会的課題であると位置付け、INMM 会員が果たすべき公共的責任の重大さを強調している。 原子力エネルギーをめぐる議論は政治家・マスコミ・一般市民の間で対立的であるが、その中でも INMM の専門的努力は広く誠実なものとして尊重されていると述べている。講演者は、原子力利用に関する社会的論争が続く中で、核物質の安全な管理とより賢明な利用に取り組む専門家の役割が不可欠であると指摘している。(The National Observer(米国の全国紙/解説誌)) | ||
| SAVANNAH RIVER PLANT’S ACCOUNTABILITY INVENTORY MANAGEMENT SYSTEM (AIMS) (Nuclear Materials Inventory Control) | R. G. Croom | ||
| サバンナリバー研究施設における計量在庫管理システム(AIMS) ―― 核物質在庫の即時更新・ERDA報告対応を可能にするパラメータ駆動型管理システム |
(*)AIMS(Accountability Inventory Management System)は、サバンナリバー・プラントにおける核物質管理のために構築された新しい計量・在庫管理コンピュータシステムであり、在庫記録を最新状態で維持し、ERDA(当時の米国エネルギー研究開発庁)要求を含む各種報告を自動生成する機能を備えている。システムは「在庫ファイル」と「パラメータファイル」の2構造で構成され、ユーザーが準備したパラメータカードによって柔軟に入出力仕様を変更でき、再プログラミングを必要としない操作性の高さが特徴である。AIMSはサバンナリバー・プラントの核物質管理(Nuclear Materials Inventory Control)における主要要素として、精度・即応性の向上に寄与する設計となっている。(E. I. du Pont de Nemours and Company) | ||
| THE ROLE OF MATERIAL CONTROL AND DEVELOPMENT IN ERDA’S SAFEGUARDS PROGRAM | H. E. Lyon | ||
| ERDAの保障措置プログラムにおける核物質管理・技術開発の役割 ― SNM測定技術の高度化・物理防護との統合・測定保証体制強化による次世代保障措置基盤の構築 |
(*)原子力産業の拡大に伴い、核物質計量管理(MC&A)および測定技術の高度な精度要求が急増し、ERDA は 新たな核物質測定技術と物理防護・測定保証プログラムの拡充によって保障措置強化を進めている。SNM測定精度の向上、データ信頼性確保、物理的防護との統合などを含む、材料管理技術開発(Material Control and Development)を中核とする総合保障措置プログラムが推進されている。これらの技術は INMM、ANSI N15 など標準化団体との連携を通じて普及が進み、将来の米国原子力産業の成長に対応した保障措置技術基盤の構築に寄与している。(US ERDA) | ||
| TOTAL ROOM HOLDUP OF PLUTONIUM MEASURED WITH A LARGE-AREA NEUTRON DETECTOR | J. W. Tape, D. A. Close, R. B. Walton | ||
| End(3) | 大面積中性子検出器による部屋全体のプルトニウム滞留量測定 ― ³He計数管アレイを用いた迅速NDA法と実施設適用に向けた校正条件の評価 |
(*)大面積中性子検出器(14本の³He計数管を備えた5ユニットアレイ)を部屋中央に吊り下げる方式により、プルトニウムの室内ホールドアップ量(滞留核物質分布)を非破壊で測定する手法を検証した。本手法は、従来の NaI(Tl) ガンマ線測定法より大幅に迅速でありながら、同等の精度が得られることが示され、実施設と実験室の双方で性能が実証された。測定精度を確保するためには、(1) プルトニウムが室内に均一分布していること、(2) 外部中性子源の遮蔽、(3) 特定アイソトープの比放射能値の既知性が前提条件であり、実験・計算双方の校正手法が用いられた。(LASL) |