INMM米国年次大会論文集(1972年)
メンター部会の活動の一環としてINMM米国年次大会におけるProceedingタイトルリスト(日本語訳付き)の1972年分を作成しました。
タイトル、著者のほかに、タイトルだけではよくわからない専門用語や略号を日本語で補足した備考欄(訳注、補足・コメントなど)を付加しましたので有効活用いただければ幸いです。
| Sub-Volume End-marker | Title/タイトル | Authors | 備考 (訳注、補足・コメントなど) |
| 252Cf FUEL ROD ASSAY SYSTEM: IN-PLANT PERFORMANCE | D. B. Smith, R. A. Forster | ||
| 252Cf燃料棒分析システムのプラント現場内性能評価 ― LWR燃料棒を対象とした252Cf中性子照射による核分裂性物質量の非破壊測定と実プラントに基づく誤差解析 |
(*)この研究では、LWR燃料棒の全核分裂性物質量を測定するために開発された252Cf 中性子源を用いた燃料棒分析システムの設計と動作を紹介している。本システムは、BWR・PWR燃料棒を合わせて2万本以上の実機環境で分析しており、その結果に基づいて応答の独自性、校正精度、測定精度に関する詳細な誤差解析を実施している。これらの実プラント経験を通じ、燃料中の235U含有量に対する測定応答の信頼性を評価し、実運用における性能と誤差要因の総括を行っている。(LASL) | ||
| A BALANCED STAGGERED NESTED DESIGN FOR THE ESTIMATION OF 155 MEASUREMENT ERRORS IN PLUTONIUM DETERMINATIONS | L.T. Hagie | ||
| プルトニウム分析における155種類の測定誤差評価のためのバランス型段階的ネスト設計 ― 下位レベルのサンプリング抑制による上位誤差成分推定の最適化とMOX分析への適用 | (*)プルトニウム分析における測定誤差を評価するため、従来のネスト設計を改良した四層構造の「バランス型・段階的ネスト設計(balanced staggered nested design)」を提案した。従来手法では下位レベルでサンプル数が過剰、上位レベルでは不足となる非効率が生じるため、下位層のサンプリングを抑制して上位層の精度向上を図る手法(pruning)を導入した。この設計手法は混合酸化物(MOX)中のプルトニウム定量における測定誤差の評価に実際に適用され、誤差成分の推定が改善されたことを示した。(GE) | ||
| A Continuous Sampling Plan for the Taking of Physical Inventories | Lester Epel, M. S. Zucker, W. Marcuse | ||
| 物理的棚卸における連続サンプリング方式 ― SNM在庫量評価における分析負荷平準化と会計期間中の在庫把握精度向上のための手法 |
(*)特殊核物質(SNM)の棚卸(Physical Inventory)では、重量・体積によるバルク測定と、化学分析・同位体分析が必要であり、分析工程が遅いことが棚卸結果確定までの大きなボトルネックとなっている。従来の棚卸方式では在庫全体からランダムに抽出して分析を行うため、分析室の負荷が棚卸時に集中し、生産現場にも干渉し、結果としてSNM量確定に大きな遅延を生じていた。本論文は、在庫アイテムの出荷・補充の流れの中で連続的に試料採取する「Continuous Sampling Plan」を提案し、分析負荷の平準化と、会計期間中のSNM在庫量の把握精度向上を両立できることを示した。(BNL) | ||
| A PORTABLE DRY CALORIMETER FOR THE NONDESTRUCTIVE ASSAY OF MIXED OXIDE FUEL RODS* | R. B. Perry, N. S. Beyer, P. N. Lewis | ||
| 混合酸化物燃料棒の非破壊分析用可搬式乾式カロリメータ ― ZPPR燃料棒中プルトニウム量測定に向けた小型高精度カロリメータの設計・性能評価 | (*)本研究は、ZPPR混合酸化物(MOX)燃料棒中のプルトニウム量を非破壊で評価するために開発された可搬式乾式カロリメータの設計および動作特性を詳細に示している。2種類のモデルについて構造と性能を比較し、実際の燃料在庫の非破壊測定に適用した結果、化学分析や他のNDA手法との比較においても十分な精度が得られたことを示している。装置は小型・可搬型であり、ZPPR燃料棒1本あたりの測定時間はモデル1で90分、モデル2で20分と短く、NDA技術として実用的かつ高精度であることが確認された。(ANL) | ||
| A Soluble Theoretical Model of the Probable Amount of Material in an Inventory | Martin S. Zucker, Lester Epel | ||
| 在庫中の物質量の確率的推定に関する可解理論モデル ― 入出庫・抜取試験過程をマルコフ連鎖として表現した核物質在庫評価手法 |
(*)本研究は、核燃料加工施設の複雑な運転実態を数理的に記述するため、在庫の入出庫や試料抽出などの確率的プロセスを マルコフ連鎖 として解析可能な形にモデル化する手法を示している。在庫アイテムは定期的に受入・払出され、ランダムに選ばれた一部は試験・分析されると仮定し、分析を受けたアイテムは内容量の不確かさ(偏差の確率分布)が改善されるという二つの集団から成る在庫モデルを構築している。このモデルにより、分析頻度や出入庫サイクルに応じて在庫全体の「推定量」と「確信度」が時間とともにどのように変化するかを解析でき、より複雑なシミュレーション(Monte Carlo)の基準としても活用可能であることを示している。(BNL) | ||
| AN INDUSTRIAL VIEW OF SAFEGUARDS | J. E. VanHoomissen | ||
| 保障措置に対する産業界の視点 ― 経済的要因を踏まえた実効的核物質管理の必要性 |
(*)本発表は、産業界の立場から核物質防護(safeguards)を論じ、効果的な保障措置には技術的要因だけでなく 経済的要因が大きく影響する ことを強調している。産業側の実務経験から、保障措置はコスト・作業負荷・操業効率への影響を考慮したバランス設計が不可欠であると指摘し、実装段階での現場視点の重要性を論じている(要旨の講演冒頭メッセージより)。産業界と保障措置当局の協働により、経済合理性を損なわずに実効性の高い核物質管理体制を確立できるという視点を提示した初期の産業側講演である。(GE) | ||
| ASSAY EXPERIENCE WITH MONAL AT OAK RIDGE | T. D. Reilly | ||
| MONAL によるオークリッジ濃縮プラントでの非破壊分析経験 ― ウラン濃縮工程に対するNDA手法(遅発中性子・同時計数・γスキャン)の現場実証(MONAL;The Mobile Nondestructive Assay Laboratory) |
(*)ロスアラモス科学研究所(LASL)が開発した 移動式非破壊分析ラボ MONAL を用い、米国オークリッジ地区の AEC 施設における最新運用事例を示し、多様な核物質測定ニーズに対応可能な分析技術体系を紹介している。MONAL は 14 MeV 中性子源による アクティブ遅発中性子法, 高効率中性子検出器群、Ge(Li) 検出器による セグメントスキャン型ガンマ線分析, さらには 熱中性子同時計数カウンタ など幅広い NDA 装置を搭載しており、現場の測定課題に応じて適切な手法を選択できる。Oak Ridge ガス拡散プラント(ORGDP)では、MONAL 搭載の同時計数カウンタが評価用に貸与されるなど、現場試験を通じて NDA 技術の有効性と応用範囲が実証され、研究機関と施設側の連携強化にも寄与した。(LASL) | ||
| ATOMIC INDUSTRIAL FORUM’S NUCLEAR MATERIALS SAFEGUARD COMMITTEE ORGANIZATION AND ACTIVITIES | K. R. Osborn | ||
| AIF(米国原子力産業フォーラム)核物質保障措置委員会の組織と活動 ― 産業界による保障措置分野への参画とINMMとの協働を通じた政策・実務支援の枠組み |
(*)本発表は、米国の産業団体 Atomic Industrial Forum(AIF)に設置された Nuclear Materials Safeguard Committee の組織と活動内容を紹介し、AIF が産業界の立場から保障措置の議論に積極的に関与していることを示している。委員会は、核物質管理に関する政策・実務課題について産業界の視点を集約し、INMM を含む関連組織と情報交換・協力を進めることで、保障措置分野における産業界の役割を強化することを目的としている。発表では、AIF と INMM が「強い共通関心」を持つ分野として保障措置が位置付けられ、産業界による貢献・調整機能の重要性が強調されている。(Allied Chemical Corporation) | ||
| DEVELOPMENT OF A COMPUTERIZED SYSTEM FOR MATERIALS ACCOUNTABILITY | A. Kraft, J. L. Jaech | ||
| 核物質計量管理のためのコンピュータ化システムの開発 ― 測定・記録・報告データを統合処理する計量管理電子化の実装経験 |
(*)本論文は、核物質(特に source material・special nuclear material)の転用検知に不可欠な 核物質計量管理(materials accountability)をコンピュータ化する試みとして、Jersey Nuclear が構築したシステム開発経験をまとめたものである。核物質計量管理における「測定・記録・報告」は大量のデータ処理を必要とするため、データの完全性・迅速性・効率性の確保が効果的な保障措置の必須条件であり、手作業では限界があることが指摘されている。著者らは、核物質データの入力・処理・解析を電子計算機で一体的に扱う手法と、その導入過程で得られた知見を示し、効果的な計量管理のためのコンピュータ利用の有効性を強調している。(Jersey Nuclear Company) | ||
| ENRICHMENT MEASUREMENT IN LOW ENRICHED 235U FUEL PELLETS | Martin S. Zucker, Gordon Gunderson | ||
| 低濃縮235U燃料ペレットの濃縮度測定 ― NaI(Tl)γ線スペクトロメトリを用いた計数率‐濃縮度線形性に基づく簡便な現場測定手法の検証 |
(*)本研究では、NaI(Tl)シンチレーション検出器と多チャンネルアナライザを用いて、低濃縮UO₂燃料ペレット中の235U濃度を迅速に測定する手法を検証し、適切に定義した計数率と235U濃縮度との間に高い線形性が得られることを示した。背景放射線の正確な減算を行うことで、計数率‐濃縮度プロットを原点通過の直線に近づけられることが明らかとなり、この性質を利用した簡便で高精度な 燃料ペレット濃縮度測定技術が確立された。本手法は、通常の隣接する濃縮度(例:0.85%と1.6%など)を十分に識別できる精度を有しており、低濃縮燃料の現場測定において有効であることが示された。(BNL, USAEC) | ||
| ENVIRONMENT FOR DIRECT INPUT TO THE AEC NUCLEAR MATERIALS INFORMATION SYSTEM* | D. A. Hyde | ||
| AEC核物質情報システムへの直接入力環境 ― 核物質インベントリ・取引・管理情報の集中処理と施設からのタイムリー入力を可能にするデータ伝送基盤 <直接入力環境; “核施設の端末から AEC中央NMISへ、紙を介さずにデータを直接送信して登録する仕組み” |
(*)本論文は、米国原子力委員会(AEC)が核物質の在庫・取引・移動情報を集中管理するために運用していた Nuclear Materials Information System(NMIS) の構成と機能を概説し、国内外の供給・使用に関する核物質データを網羅的に扱う仕組みを説明している。 NMIS は、核物質インベントリ、マテリアルバランス、取引データに加え、AEC所有核物質については 使用状況・行政的管理・財務管理情報 まで取り込み、保障措置・核物質管理システムの中核データベースとして機能していた。本研究では特に、施設側から中央NMISデータベースへの「直接入力」機能の開発状況が紹介され、データ伝送技術の活用により、データ処理の迅速化・整合性向上・タイムリー性改善を実現することが強調されている。(Union Carbide Corporation) | ||
| EVALUATION OF THE YANKEE METHOD FOR CALCULATING URANIUM DEPLETION AND PLUTONIUM PRODUCTION IN EXPOSED FUEL | R. J. Cacciapoiiti | ||
| 照射済燃料におけるウラン減損およびプルトニウム生成量計算に対するYankee法の評価 ― NFS West Valley再処理データとの比較に基づく計算モデル・核データ・前提条件の妥当性検証 |
(*)本研究は、Yankee炉Core VおよびVIの使用済燃料が1969年にNFS West Valleyで再処理された際の実測データと、事前に Yankee method を用いて計算された U減損量およびPu生成量 の期待値を比較し、その計算手法の妥当性を評価している。著者は、計算値を得る際に用いた モデル・仮定・核データ を明示し、実測入力データとの系統的比較を行うことで、計算モデルのどの要素が差異の要因となるかを分析している。これらの比較に基づき、Yankee method の予測精度と限界が検証され、将来の燃焼計算・核物質収支評価の改善点が示唆されている。(Yankee Atomic Electric Company) | ||
| EXCEPTION REPORTING OF NUCLEAR MATERIALS CONTROL | Louis W. Daher, Yvonne M. Ferris, W. D. Rotherham | ||
| 核物質管理における例外報告方式 ―― 異常検出の自動化による監視効率向上と Rocky Flats での適用検討 |
(*)本論文は、核物質管理における「例外報告(exception reporting)」の概念を導入し、通常の在庫移動とは異常・逸脱のみを自動抽出して報告対象とする管理方式が、監視効率と信頼性を高めると論じている。例外報告方式は、従来の全件報告型の核物質計量管理(MC&A)に比べ、異常・誤差・不審挙動のみを強調して表示することで、オペレーターと審査側双方の負担を低減し、重要イベントの迅速把握に寄与するとされている。Rocky Flats における核物質管理システムを例に、例外報告を組み込んだ場合のデータ処理・管理フロー・報告体系への影響を示し、将来の核物質管理システムの実装に有効であると結論づけている。(Dow Chemical U.S.A., Rocky Flats Division) ただし、該当論文 “EXCEPTION REPORTING OF NUCLEAR MATERIALS CONTROL” は OSTI に技術報告として収録されている(RFP‑1900 / CONF‑720529‑7, 1973年4月、公表は INMM 1972 会議)。 |
||
| HOW EXACT ARE THE “EXACT” VARIANCES ON URANIUM? | Richard I. Post | ||
| ウラン量評価における“厳密な”分散推定の精度 ― 重量×濃度のような確率変数の積に対する偏りのない分散推定式と近似法の比較検証 |
(*)本論文は、核物質量(特にウラン量)の測定に伴う不確かさ評価において、複数の確率変数の積(例:重量 × 濃度)として値が定義される場合の「真の(exact)分散」をどのように推定すべきかを議論している。著者は、偏りのない(unbiased)分散推定式を理論的に導き、一般に使われるテイラー展開(一次近似)に基づく分散推定や単純代入法との比較を行い、それら近似手法が持つ誤差や限界を定量的に明らかにしている。計量管理の精度向上の観点から、正確な分散推定が核物質管理における信頼性確保に直接影響することを示し、近似式が用いられる実務に注意点を提示している。(GE) | ||
| HOW ONE UTILITY’S FUEL QA PROGRAM COMPLEMENTS THE INDUSTRY SAFEGUARDS EFFOR | G. F. DAEBELER | ||
| 電力会社の燃料品質保証(Fuel QA)プログラムが業界の保障措置努力を補完する仕組み ― ウラン転換・濃縮・燃料製造・装荷にわたる工程管理と物質フロー信頼性の向上 |
(*)本論文は、Philadelphia Electric Company による 燃料品質保証(Fuel QA)プログラム が、燃料製造・輸送・装荷にわたる工程管理を強化することで、業界全体の保障措置努力とどのように整合・補完されるかを述べている。Peach Bottom Unit No. 7(3295 MWt)の初装荷に向け、ウラン鉱(U₃O₈)から UF₆ 濃縮、燃料棒製造、燃料集合体出荷までの工程数量と管理プロセスが詳細に示され、これらの工程でのQA活動が核物質管理に寄与する仕組みが示されている。体系的な品質データの取得・監査・記録管理が、核物質計量管理・転用防止に必要な “信頼できる物質フロー情報” を提供し、結果として保障措置(Safeguards)活動の強化に繋がることが議論されていると解釈される。(Philadelphia Electric Company) | ||
| INTERNATIONAL SAFEGUARDS UPDATED | John F. Mahy | ||
| 国際保障措置の最新動向 ― NPT保障措置制度の確立後に進められた協定交渉・附属取極整備・実施手続の詳細化 |
(*)本論文は、前年(1971年)における NPT 保障措置制度の大きな進展(50か国委員会による国際保障措置制度の策定、最初のNPT保障措置協定の締結)を受け、1972年に実施されたフォローアップ作業の進捗を報告している。1972年は劇的な制度変更の年ではなかったが、各国との 個別保障措置協定の交渉、附属取極の整備、実施手続・技術要件の詳細化 に多くの時間が費やされており、NPT保障措置の本格運用に向けた基盤準備が進められた。論文では、米国が国際保障措置の進展に果たした役割や、NPT 保障措置体制確立に向けた国際的な事務作業の実態が、事実と数値に基づき提示されている。(USAEC) | ||
| INVENTORY VERIFICATION MEASUREMENTS AT THE NATIONAL REACTOR TESTING STATION USING GAMMAS | R. O. Ginaven, D. E. Rundquist | ||
| 国立原子炉試験場におけるガンマ線を用いた在庫検認測定 ― 移動式NDAシステムGAMASによる多様形態核物質の全量γ線分析と迅速サーベイ測定の実施 |
(*)1971年、Gulf Radiation Technology の移動型非破壊分析システム GAMAS が National Reactor Testing Station(NRTS, Idaho)を訪問し、在庫検認のための広範な γ線測定を実施した。測定対象は UO₂粉末、PBF燃料ペレット、Rover燃料要素、ウランアルミナイド粉末、ETR/ATR燃料集合体および燃料板など多様であり、1〜5 kg規模の生産用核物質について 在庫全量測定(サンプリングではなく全件計測) を行うことが可能であった。AEC Idaho Operations Office の在庫検認作業と連携し、さらに 200本のプルトニウム廃棄物ドラムについて 3.5日で迅速サーベイ測定を実施するなど、GAMAS の現場運用性と測定能力が実証された。(Gulf Radiation Technology) | ||
| LWR FUEL ROD NON-DESTRUCTIVE ASSAY MEASUREMENT USING NNC PRODUCTION AND PORTABLE SYSTEMS | Herman Miller | ||
| NNC製造ライン向けおよび可搬型システムを用いたLWR燃料棒の非破壊分析測定 ― 特許同時計数技術に基づく生産機・携帯機の構造と測定性能および核物質管理への応用 (NNC: National Nuclear Corporation) |
(*)National Nuclear Corporation(NNC)は、過去5年間にわたり 製造ライン向けおよび携帯型の非破壊核燃料分析(NDA)装置を開発・試験してきており、本論文ではその最新成果として 軽水炉燃料棒用の生産機とポータブル機の測定手法に焦点を当てている。装置は NNC の特許取得済みの同時計数(coincidence)技術を基盤としており、ウラン・プルトニウムを含む多様な核物質形態(粉末〜完成燃料バンドル)の測定経験に基づいて、燃料棒状態での高精度かつ実用的なNDA測定が可能であることが示されている。 本報告では、生産ライン設置型の高速測定装置と現場即応型の携帯型測定装置の構造・利点・運用経験が提示されており、品質管理・核物質計量管理・保障措置用途に対する適用性が強調されている。(National Nuclear Corporation) | ||
| MATERIALS MANAGEMENT- AN ANALYSIS | Frank P. Baranowsk | ||
| 核物質管理の分析 ― AEC による大規模核物質資産の統合管理と、計量管理・リスク評価を含む最適資源活用の枠組み |
(*)米国原子力委員会(USAEC)は近年、新たに 大規模核物質の統合管理機能(materials management) を担う組織部門を設置し、数十億ドル規模の核物質資産を長期的観点から最適に運用する必要性を強調している。従来の「アカウンタビリティ(核物質計量管理)」は核物質管理の重要要素として引き続き位置付けられるものの、最適な資源活用には計量管理に加えて 複数の選択肢の比較評価・リスク分析 を含む包括的管理が不可欠であることが示されている。本論文は、AEC が進める新しい“核物質マネジメント”の概念が、資源配分の効率化、プログラム横断的な計画立案、リスク認識を統合した意思決定に基づくべきであると論じている。(USAEC) | ||
| MONTHLY PHYSICAL INVENTORIES IN A PILOT FUELS FABRICATION PLANT | John L. Jersey | ||
| End(1) | パイロット燃料加工プラントにおける月例物理棚卸 ― 新設燃料加工施設を用いた核物質管理手法の試験運用と棚卸実施経験 |
(*)Jersey Nuclear Company による新設のパイロット燃料加工施設(UO₂燃料工場およびMOX工場)では、将来の大規模燃料製造工場を見据え、核物質管理と保障措置を重視した月例棚卸(monthly physical inventory)の実施が設計段階から組み込まれていた。初回の物理棚卸は 1971年10月にUO₂プラントで実施され、その後毎月棚卸を継続し、月次棚卸の運用経験・得られた結果・実務上の工数や課題をまとめている。月例棚卸は、在庫精度の向上や特殊核物質(SNM)の管理強化に寄与した一方で、既存大型プラントでは容易に導入できない側面もあるため、新設パイロットプラントでの“新しい管理手法の試験・評価の場”としての意義が示されている。(Jersey Nuclear Company) | |
| N15-7 PROPOSED ANSI STANDARD AUDITING NUCLEAR MATERIALS STATEMENTS WHAT IT IS AND WHAT IT IS NOT | Bruce F. Smith | ||
| ANSI N15‑7 核物質ステートメント監査標準の提案 ― 核物質計量記録の第三者監査に適用される範囲と“監査ではないもの”の明確化 |
(*)本報告は、米国規格協会(ANSI)N15委員会が提案した N15‑7「核物質ステートメント監査の標準規格案」 が意図する範囲と、誤解されがちな“監査ではないもの”を明確に区別するために作成された概要である。提案規格は、核物質の計量管理記録・在庫ステートメントを第三者が評価する際の統一的監査基準を示すものであり、規制要求の代替や新たな管理制度を創出するものではないことが強調されている。また、N15‑7 は「経営監査」「性能監査」「内部品質保証」などとは目的が異なり、核物質会計ステートメントの真正性・整合性の検証に限定された技術監査標準であると明確化している。(ORNL) | ||
| NUCLEAR CONTROLLERSHIP | C. D. W. Thornton | ||
| 核コントローラシップ ― 核物質管理・測定・検認の高度自動化と攻撃耐性を備えた次世代保障措置システムへの展望 |
(*)著者 Thornton は、自身が長年重視してきた 核物質保障措置(Safeguards)と国家レベル・国際レベルにおける「核コントローラシップ」概念の重要性を強調し、その発展方向について論じている。本来であれば、核物質ハンドリング・測定・検認・データ処理の高度自動化技術や、コスト変動・技術革新に応じて最適化できる動的数学モデルの導入など、将来システムの具体的提案を示す予定であったと述べている。さらに、プロセス流の診断的トライアルバランス、標準化試料による連続的品質監視、アドバーサリーテスト可能な出入口・輸送・工程内防護装置など、より実効的で攻撃耐性の高い核物質管理体制の必要性が論じられている。(USAEC) | ||
| NUCLEAR FUEL MANAGEMENT UTILITY INVOLVEMENT: HOW MUCH? **AN ASSESSMENT OF OBJECTIVES** | Gerald J.Walke | ||
| 原子力燃料マネジメントにおける電力会社の関与度 ― どこまで関与すべきか ― 核燃料管理の目的・範囲・委託限界に基づく関与レベルの評価 |
(*)本論文は、急速に拡大する米国の原子力発電容量(当時すでに 100,000 MWe 以上)を背景として、電力会社が核燃料マネジメントにどこまで深く関与すべきかを整理するために、基本的な考え方と判断枠組みを提示している。核燃料管理(fuel management)は広範な概念であり、燃料調達・濃縮契約・輸送・製造・設計から、炉心燃焼管理・サイクル最適化・バックエンドまで多岐にわたるが、実際には多くの業務を外部に委ねられず、電力会社は既に“部分的に関与している”のが実情であると指摘している。論文では、電力会社の関与度合いを判断するにあたり、(1)どの領域を自社で判断すべきか、(2)外部委託の限界はどこか、(3)燃料の信頼性・経済性を左右する“詳細管理”にどの程度責任を持つべきかという三つの基本質問を提示し、それらを評価軸としている。(Consumers Power Company) | ||
| OPERATING PERFORMANCE AND MATERIAL BALANCE RAMIFICATIONS OF PLUTONIUM NONDESTRUCTIVE NUCLEAR ASSAY INSTRUMENTATION | D. M. Bishop, G. C. Martin | ||
| プルトニウム非破壊核計測装置の運転性能とマテリアルバランスへの影響 ― カロリメトリ・パッシブ中性子・ガンマ計測を用いた燃料製造キャンペーンでの測定精度向上と MUF 低減効果 |
(*)本研究では、米国 AEC のプラント計装プログラムおよび統合保障措置実験の一環として、実際のプルトニウム燃料製造環境で NDA(非破壊核計測)装置の運転性能を検証し、燃料基準サンプルを用いた校正により測定能力を評価した。評価対象には カロリメトリ、パッシブ中性子計数、パッシブガンマ計数など複数の NDA 技法が含まれ、二度の燃料棒製造キャンペーンに適用されて運転データが収集された。NDA データをキャンペーンのマテリアルバランス(MB)に統合した結果、従来の計量管理手法に比べて「未照合作業核物質量(MUF)」が有意に減少し、計量管理の信頼性が大幅に向上することが示された。(GE) | ||
| PLANT MODELING -A GUIDE TO PLANT PERFORMANCE(?) | D. W. Wilson | ||
| プラントモデル化 ― 再処理施設の運転性能評価ガイド ― 核物質計量管理・保障措置要求に対応したMFRPのコンピュータ化モデル構築と運転監視への応用 |
(*)本論文は、General Electric が建設した Midwest Fuel Recovery Plant(MFRP, Morris, Illinois) を対象に、核燃料再処理施設における運転・計量・保障措置要求を満たすために開発された コンピュータ化プラントモデル(material management model) の設計と目的を説明している。MFRP は低濃縮燃料(U-235 < 5%)の再処理により UF₆、Pu硝酸塩、Np硝酸塩を回収する施設であり、特に 高額な特殊核物質(SNM)の正確な核物質計量管理と、保障措置上の転用検知能力確保 が運転要件として重要視されている。これらの要求を満たすため、プロセス運転・測定能力・核物質流れ(material disposition)を詳細に解析し、その結果を反映した 包括的プラントモデル を構築し、期待される性能の評価だけでなく、実運転における継続的監視・診断 に活用している。(GE) | ||
| REMARKS OF DELMAR L, CROWSON DIRECTOR/ DIVISION OF NUCLEAR MATERIALS SECURITY, USAEC AT THE BTH ANNUAL MEETING OF THE INSTITUTE OF NUCLEAR MATERIALS MANAGEMENT | Delmar L. Crowson | ||
| USAEC核物質セキュリティ部門長 Delmar L. Crowson の特別講演 ― 保障措置R&Dを統合するシステム概念設計への取り組みと国内外Safeguardsの最新動向 |
(*)Crowson は、USAEC の国内・国際双方の保障措置(Safeguards)プログラムについて、過去に個別のR&D成果や特定の課題対応策を紹介してきたが、本講演ではそれらを統合する 「保障措置の概念設計(conceptual design)」 に主眼を置くと述べている。保障措置R&Dプロジェクト群がバラバラに見える理由は、個々が特定問題への対処として始まったためだが、これを 体系化された全体アーキテクチャとして再配置する作業 を USAEC が進めていることを説明している。講演では、詳細な制度更新の説明よりも、保障措置全体の構造統合・設計思想を示すことに時間を割く方針が示され、USAEC が志向する次世代の包括的 safeguards システム像を提示している。(USAEC) | ||
| SAFEGUARDS – THE IMPACT ON INDUSTRY | David J. Haymon | ||
| 保障措置が産業界に与える影響 ― 核物質管理要求の高度化に伴う運転負荷・組織対応・制度形成への参画の重要性 |
(*)要旨全文が閲覧制限。(USAEC) | ||
| The Application of Delayed Neutron Spectrometry to Nuclear Materials Assay | S. Shalev | ||
| 核物質分析における遅発中性子スペクトロメトリーの応用 ― 遅発中性子エネルギー分布に基づく新規アクティブNDA核種識別手法の提案 |
(*)本論文は、遅発中性子スペクトル(Delayed Neutron Energy Distribution)を分析対象とする新しい非破壊分析(NDA)手法を提案し、従来の「遅発中性子数を測るだけの手法」とは異なる原理で核物質識別を行うことを示している。手法は、外部中性子線を照射するアクティブNDAを用いるが、測定するのは時間変化ではなく遅発中性子のエネルギー分布そのものであり、特定核種に固有のスペクトル差異を利用して識別能力を向上させる点が特徴である。著者は、このスペクトル解析法が核物質の種類の識別(特にUとPu同位体の区別)に有望であるとし、今後の計量管理・保障措置を目的とした NDA 技術の拡張性を示している。( Israel Institute of Technology(Technion)) | ||
| THE SAFEGUARDS ISSUE | R. F. Lumb | ||
| 保障措置問題 ― 国際・国内 Safeguards 体制が直面する本質的課題と USAEC の制度的方向性 |
(*)本講演は、当時急速に整備されつつあった 国際・国内の保障措置(Safeguards)制度が抱える核心的課題(the safeguards issue) を総括し、政策・技術・産業の三領域にまたがる論点の整理を目的としていると解される。Crowson は、保障措置の目的、制度設計の方向性、R&D プロジェクトとの整合、産業界との調整課題など、Safeguards をめぐる“基本問題”の分析と解決の枠組みを提示したとみられる。特に、保障措置要求の強化と産業界の負担、国際制度(NPT 体制)と国内制度の相互作用、技術的実装(計量管理・監視技術)の限界など、制度運用における本質的課題に対する USAEC の見解が述べられた内容である。(USAEC) | ||
| WHAT THE AUDITOR LOOKS FOR IN EVALUATING INTERNAL CONTROL OVER NUCLEAR FUEL | Joseph Antonello | ||
| 核燃料に関する内部統制を監査人が評価する際に重視する点 ― GAASに基づく内部統制評価原則と核物質管理監査(N15‑7)の関係 |
(*)本論文は、核燃料に関する内部統制(internal control)を監査人が評価する際、一般の財務監査と同様に “safeguards(保全措置)”を内部統制の中心概念として扱うことを強調し、核燃料管理が監査学的に特殊ではなく、内部統制の原理に従う点を示している。著者は、独立監査人は AICPA(米国公認会計士協会)の“一般に認められた監査基準(GAAS)” に基づき評価を行い、核物質監査でもこれらの基準が直接適用できること、そして核燃料管理専用の監査基準 N15‑7(Auditing Nuclear Materials)案も GAAS を大きく援用している点を説明している。監査人が重視するのは、核燃料の特殊性よりも、内部統制の設計・運用の健全性、記録の整合性、職務分掌、照合点でのチェックなどの“統制構造の強度”であり、財務監査と同一の原理であるという視点が示されている。(Arthur Andersen & Co.) | ||
| WHERE, OH, WHERE DID MY ATOMS GO? | William A. Brobst, William A. Brobst | ||
| End(2) | ああ、我が原子はどこへ行ったのか? ― 核物質輸送における盗難・ハイジャックの脅威と米国物流セキュリティの現状 |
(*)本講演は、 核物質の管理に携わる者にとって最重要課題である「輸送中の核物質の安全確保(cargo security)」 を主題とし、当時の米国で深刻化していた輸送貨物全般の盗難・強奪問題を核物質輸送の脅威として正面から取り上げている。著者は、トラック・鉄道・航空・海上輸送の各分野における cargo theft の急増が 年15億ドル規模の損失に達していた事実を紹介し、核物質輸送がこの治安悪化の影響を受けることの危険性を強調している(Senate Small Business Committeeの調査、および DOT の最新調査)。(U.S. Energy Research and Development Administration) そのうえで、核物質に限らず一般貨物の盗難増加が米国の経済活動・国際競争力・サプライチェーンに重大な悪影響を及ぼしている現状を示し、核物質輸送のセキュリティ強化は“保障措置の問題”であると同時に“国家的物流問題”であると位置づけている。 |